【ADV】妄想・創作スレ (217レス)
1-

1 2010/07/22(木) 19:14:04 ID:7/mxrIKo0(1)
801エロは禁止
2 2010/07/29(木) 15:40:36 ID:0MqX9vM20(1/8)
コウ一途ルート脳内補完してたんですが、溢れてしまいました。
久しぶりに文章を書いたのでグダグダですが、勝手ながらupさせていただきます。
すいません。

コウ×バンビ 3年目11月の設定。
呼び方は「コウ君」「美奈子」です。
3 コウ×バンビ 1/6 2010/07/29(木) 15:42:04 ID:0MqX9vM20(2/8)
はばたき山の紅葉は今年も見事だ。
11月も半ばになると枯れ木が目立つが、その分遊歩道は見事に彩られている。
ツレはカサカサと小気味良い音を立てる錦の上を満面の笑みで飛んでいる。
「うわぁ・・・きれいだね!コウ君」
今度はひらひらと舞う紅葉に駆け出し少し前を歩く美奈子は、後ろに手を組んで体を少しかしげるようにして微笑みかけた。・・・ガキかてめぇは。
「あぁ。バイト休んで来た甲斐があった、っておい、あんまはしゃいでんじゃねぇぞ」
屈託なく笑う顔は、・・・まぁ悪かねぇけどよ。
「!」
言わんこっちゃねぇ。落ち葉に足を滑らせて彼女は体のバランスを崩した。
琥一は半歩で差を詰めて美奈子を抱きとめる。
まったく、世話が焼ける。
「あ、ありがとう・・・」
彼女は頬を赤くしながらも居心地悪そうに俯きつぶやく。
(・・・まぁしょうがねぇか)
琥一はそんな美奈子に知られない様、小さなため息をついた。

先週、海浜公園へ出かけた帰りだった。
「前にも警告したはずだぜ?いつまで抑えきれるかわからねぇって。・・・今がその時だ。」
その時の美奈子の顔は忘れられない。
少し怯えたような・・・度が過ぎた悪戯を咎められた子供みてぇな顔。
本当はわかってんだろ?・・・今更そんな顔されたってこっちはもう限界なんだ。
「嘘なもんか・・・ほら、こっち来いよ」
お構いなしに、うろたえる美奈子の手を引き寄せた。
屈めば唇が触れ合う程の距離。濃くなった秋の匂いと一緒に美奈子の香りが飛び込んできた。
いっそのこと振り払われて頬の一つでもひっぱたかれりゃぁ良いと思っていた。
でも美奈子は振り払うどころかじっと俺の目を見つめてゆっくりと言った。
「・・・コウくんのこと、信じてるから」
美奈子が見ているのは俺の目じゃない、心だ。
・・・コイツはいつだってそうだ。
わかってんだかわかってないんだかよくわからねぇくせに肝心なところでは絶対に目をそらさず逃げたりしない。・・・俺とは正反対だ。
胸に痛みを感じた。おかげで少し熱が冷めたようだ。自嘲的な笑いが漏れる。
「そうか・・・帰るわ。早いとこ頭冷やさねぇとな。・・・じゃぁよ」
4 コウ×バンビ 2/6 2010/07/29(木) 15:42:53 ID:0MqX9vM20(3/8)
一瞬流れた妙な雰囲気は、ひらひら舞う落ち葉がどこかへ連れて行ったみたいだ。
先週の事が少しは効いているのか、美奈子はいつもより遠慮がちに触れてくる。
他愛のないおしゃべり。自分が女相手にこうも饒舌になる日がこようとは思わなかった。
気づけば二人の影は長くなり、夕日で染まる山の向こうに黒い雲が見えた。
「妙な雲があるな。おい、そろそろ帰るぞ」
「はーい」
そう答えるとガキの頃この時期になると歌わされた童謡を口ずさみながら手をつないできた。
「・・・あったけぇな。」
「そう?」
ごく自然に手をつなぎ見上げるようにして微笑みかけてくる。
柄にもなく頬が緩む。ったく何なんだ。気味が悪りぃ。
中坊の頃からは想像もつかない今の自分に殺意とも罪悪感とも取れる眩暈を感じながら、美奈子の手から伝わってくる暖かさがとても心地よかった。
いつの間にか握り返している自分の手に少し驚きながらも足早にバス停へ向かった。


バスから降りると黒い雲は一段と大きくなったように見えた。
(早いとこ家まで送ってやらねぇと。)
最初の頃、美奈子との帰路はいつもあっという間だった。不思議なもんで、こいつに触れられていると悪い気はしない。それどころか家へ帰ってもまだ声が聞こえるような気がした。
それが今じゃちょっとした拷問だ。いや根性試しというべきか。
それでも悪い気はしねぇから始末が悪い。
5 コウ×バンビ 3/6 2010/07/29(木) 15:44:26 ID:0MqX9vM20(4/8)
急に冷え込んできた秋の町を手をつないで歩く。
いくらかマシとは言え今日もちょこまかと人をつついたりなでたりとこっちの気も知らないで無邪気そのものだ。ったく・・・。
「おい、そろそろ冗談が冗談じゃなくなる」
ぴたっと足を止め美奈子は「コウくん怖いよ・・・」とつぶやいた。
しまった。きつく言い過ぎたか。
「わりぃ。怖くねぇから。な?怖くねぇぞ?」
そういって少し顔を覗き込むようにすると首筋に冷たいものが降ってきた。
見上げると暗雲が立ち込め遠くの方からゴロゴロと聞こえてくる。
「あーあ、きやがったな。おい、走るぞ」
「う、うん!」
着ていた上っ張りを美奈子にかぶせ、手を引いて走り出した。
あっという間にバケツをひっくり返したようなどしゃ降りになる。
体の熱を奪っていくひどく冷たい雨だ。
「おい、大丈夫か?」
雨音に消されないよう大声で聞くと
「大丈夫!・・・コウくん、ごめんね」
と申し訳なさそうな返事が聞こえてきた。
「バーカ。何謝ることがあんだよ」
そう言って笑ってやると強張った顔を少し緩めて「やさしいね」と言ってきた。
「ウルセ。スピード上げるぞ」
顔だけ妙に熱くなった。


小波の表札が見えた。
「おい、すぐ風呂にでも入って暖かくすんだぞ。じゃぁよ」
玄関ポーチの前で美奈子の手を離してそれだけ言うとそのまま足をwestbeachに向けて加速した。
「あ!ま、待って、コウ君!」
6 コウ×バンビ 4/6 2010/07/29(木) 15:45:18 ID:0MqX9vM20(5/8)
バシャバシャと水音を立てて追いかけてくる。
「なんだ?ジャケットなら今度」
「ちがうよ!このまま帰ったらコウ君風邪引いちゃう。家に来て!」
オレの前に回りこみ、両腕をガシっと掴んで言った。
「いいんだよ、オレは」
少し息が上がっている美奈子の口もとは白く煙っている。
「よくなーい!もう、コウ君だって人間だもの!」
「はぁ?なんだそりゃ?」
ツッコミを入れたいところだが腕をぐいぐい引っ張る美奈子に、観念してついていく。
ゴロゴロ言っている雲もだいぶ近づいてきたみたいだ。
美奈子が鍵を取り出してドアを開けると家の中は真っ暗だった。
「ちょっと待っててね、今タオル持ってくるから!」
「あぁ」
たたきがあっという間に水溜りになっていく。
バタバタと慌しい足音が近くなって美奈子がタオルを広げてかけてくれた。
「今ゲストルームのバスにお湯張ってるから、そのまま使ってね」
「おう。悪りぃな。こんなにしちまって。・・・おじゃまします」
リビングに向かって一言言うと
「あ、パパとママ今週いないよ?」
なん・・・だと?オマエさらっと、そんな大事な事このタイミングで言うか?
こっちこっち!と俺の手を引きながら
「旅行に行ってるの。昨日はカレンとミヨが泊まりに来てくれたんだよ」
と楽しそうに話している。
先に聞いてりゃ絶対に上がったりはしなかったのによ。悪りぃ冗談だぞ、コレ・・・。
「コウ君、顔赤くなってる。も、もしかして熱がでたんじゃ?!」
「これはっ・・・違うよ。バーカ。」
額に手を伸ばしてくる美奈子を避けた。
「そう?それなら良いんだけど。それじゃゆっくり温まってきてね」
「・・・おう」
7 コウ×バンビ 5/6 2010/07/29(木) 15:47:05 ID:0MqX9vM20(6/8)

客間のドアを閉めてから美奈子は雑巾を取り出して滴を拭き取った後、はっとした。
(コウくんの着替え!)
自分にジャケットを貸してくれた琥一は冷たい雨の中黒いカットソー一枚になっていた。
このままお風呂もないwestbeachへ返せば、いくら人間離れした体力が自慢の琥一でも風邪を引くのは避けられない。
そう思ってなんとか引き止めたものの、その後のことは考えていなかったのだ。
「パパのじゃ小さいし・・・あ!」
昨日カレンが泊まりに来たとき花椿吾郎新ブランドの試作品をどっさりもらった事を思い出した。その中に、確か・・・。
自室に戻り、椿の花とエッフェル塔がプリントされた巨大なショップバッグを開いてみると“MEN’S@EXTRA-LARGE”のシールが張られた黒いビニールバッグが見えた。
入っているのはオリジナルアメニティグッズに下着とバスローブ、それとタオル。
カレンが「これでアナタもセレブ気分♪高級リゾート★ゴージャス!セット」って言ってたっけ。昨日ミヨが使ってたし、入っているのは同じはず。
「うん、これならきっと大丈夫だよね」
早速ゴージャスセットといくつかハンガーを抱え急ぎ足で客間に戻った。
脱衣所のドア越しにそれを伝えると、安心したのか美奈子からくしゃみがひとつ出た。
「私も温まってこよっと」
8 コウ×バンビ 6/6 2010/07/29(木) 15:48:36 ID:0MqX9vM20(7/8)
シャワーを済ませてコーヒーを淹れていると、琥一がリビングのドアを開けて入ってきた。
「あ、コウく・・・!」
コーヒーカップから目を上げて美奈子は動きがピタリと止まってしまった。
「ん?・・・あぁ?なんだよ・・・おい、なにボケーっと突っ立ってんだ?」
琥一の洗いざらしの髪は当然ながらセットされておらず、湿り気を帯びてはらはらと頬で揺れ、精悍な顔立ちを際立たせていた。
また黒地にトラ柄のパイピングが施されたバスローブの、胸元から覗く厚い胸板やすらりと伸び引き締まった足腰が、彼のスタイルの良さをこれでもかと引き立てているようだった。
つまり、ゴージャスセットバスローブはまるで彼のためにデザインされたかのように、似合っていたのだ。
揃いのタオルを首に掛け立っているその様子は外国映画に出てくるワイルドな俳優の様で、美奈子は思わず・・・見とれていた。
「コ、コウ君、よく似合ってるね、それ」
タオルで頭をゴシゴシと拭きながら本人も満足そうに「あぁ、悪くねぇ」と笑った。
「お、お洋服乾かしてくるね!あああのっコーヒー淹れたからよかったらどうぞ」
ドキドキしてて、とても恥ずかしくて、いつもと少し違うだけのコウくんなのに、なぜか一緒にいるのがいたたまれないような気がして・・・パタパタとスリッパを響かせリビングを出た。
ゲストルームの脱衣所には琥一が自分で洗ったであろうボトムとシャツがハンガーにかけて干されていた。そばにジャケットを吊るし除湿機をセットすると、美奈子はベッドに倒れて呟いた。
「・・・うぅ、反則だよ。コウくんかっこよすぎ・・・」
9 2 2010/07/29(木) 15:52:15 ID:0MqX9vM20(8/8)
以上です。お目汚し失礼致しました。

コウくんの大接近後の苦悩と髪下ろしが書きたくて、
長いだけで何がなんだか分からん文章になってしまいました。
すいません。
読んでくれた方、ありがとうございました。
10 2010/07/29(木) 18:28:07 ID:t2YdL66M0(1)
>>9
全力でGJ!!!!
トラ兄優しいなーバンビ可愛いなーと萌えてたら
濡れ髪下ろしたトラ兄に心臓打ち抜かれました!バンビに超共感w
ありがとうございました!!!
11 2010/07/30(金) 15:08:35 ID:.dxjBgS60(1)
2です。

>>10
久々の文章だったのでコメントをいただけて嬉しかったです。
GJありがとうございました!
コウくん優しいですよね。しかもロマンチストだし
ホント見た目とのギャップがまたたまらんっす。
今日もまたコウ一途から抜け出せないww
12 2010/08/01(日) 00:07:52 ID:itdFL.U6O携(1)
おぉぉ!遅ればせながらGJ!コウ兄かっこいいよー!
楽しく読ませて頂きました〜ありがとうございます!
13 2010/08/03(火) 01:33:59 ID:qMJMwxWA0(1/2)
髪下ろしたトラ兄スチル補完しました。
萌え死ぬwww
ありがとうございました!
14 2010/08/03(火) 01:34:37 ID:qMJMwxWA0(2/2)
あげてしまった!すいません・・・
15 2010/08/03(火) 12:20:42 ID:Fdiz7HswO携(1)
兄ちゃんかっこいい…
髪下ろし&バスローブ姿想像したら激萌してたまらないです。続きは‥とか、後ろハグとかされたら、そのまま止まんないだろうなーとか
16 2010/08/03(火) 13:22:53 ID:K3bh.bRo0(1/4)
バスローブトラ兄余裕で再生されました
素敵過ぎです
ありがとうございました!
17 16 2010/08/03(火) 22:07:22 ID:K3bh.bRo0(2/4)
>>2さんのバスローブ兄に萌え過ぎてしまったので
続きを勝手に妄想してしまいました。
続きじゃなくて別ストーリーだと思って見てください

扉を開けて美奈子が戻ってくる
「コウ!今乾燥機かけてきたからね。ちょっと時間かかっちゃうと思うから
ゆっくりしていってね。あ、そうだ。コ、コ、コ、コーヒ飲ん・・?でるよね。」
「あ、あのTVつけていいよ。ちょっと片付けしちゃうから待っててね」
TVのリモコンを指さしながら赤い顔でいいつのる
(あぁもう!直視できないよ!)
顔のほてりを誤魔化す為に、やや早口になりながら奈美子は
バタバタとリビングを通り過ぎる
「あぁ・・わかった。手間かけちまったな」
落ちてきた前髪をわずらわしそうにかきあげ所在なさげにソファーで
コーヒーを飲んでいたコウがTVのリモコンに手をのばした




やたらといい匂いが漂ってきて腹が鳴った。
近くに置いてあった新聞を読みふけっていたコウは
はっと気がついてが美奈子が消えたキッチンへと向かった

「おい・・何をして・・・」
そこにはエプロン姿の美奈子が何やらバタバタと動きまわっている
「おっ」(これは・・・やべえ。かわいいじゃないか)
コウは思わず呻いてしまった口を押さえて立ち止まる。

 こういう時、ルカだったら迷わずかわいいって口にするんだろうが
俺は死んでも言えねえ
ガラじゃねえだろ
18 16 2010/08/03(火) 22:09:37 ID:K3bh.bRo0(3/4)
「あ、コウくん。今ね、昨日カレン達と作った残り物を温めていた所でね
ひき肉もあったから、ハンバーグでもどうかと思って・・・食べていってくれるよね?」
そう言ってにっこりと微笑む美奈子に少し見とれていたようだ
あわてて横を向いて視線をそらす。
「コウくん?ハンバーグ嫌いだった?」
「い、いや。そうじゃねえ。嫌いじゃねえよ。はぁ〜・・・フライパン貸せ、続きやってやる」
「いいの?ありがとう。じゃあ、私スープ見てくるね」
(まったく冗談じゃねーぞ。早く帰らねーと俺の自制心にも限界ってもんがあんだ)
(こうなったら、ちゃっちゃと作って・・・)



やり始めてしまうと、自炊しているだけはあってコウはかなり手際がいい。
付け合せのコーンやにんじんも一緒に焼いた後
「まあ、こんなもんかな。皿何処にあんだ?」
「え?!あ・こっちの棚に・・熱っ!」
スープを盛り付け様としていたまま振り向いた美奈子は
手に熱湯のスープをかけてしまったようだ

「ばか。かせ!」
「あ!イタっ」
すぐに手首を引かれてシンクの冷たい水に手を入れられた。
「痛いか?ちょっと冷たいけど我慢しろよ?」
「う、うん。」
動揺した美奈子が顔を上げると触れそうな程近くにコウの顔がある。
いつも強面で通ってるが、手を見つめて心配そうな顔は真剣で目はとても優しい

ほっと安心する。コウは時々ルカや私を見る時はこの顔をしている。
本人に言うと嫌がりそうだから言えないけれど
そういえば、コウに手をつかまれ羽交い絞めの様に後ろから押さえられている。
(こ、この状況ってまるで抱きしめられている?!)
急にバスローブ一枚のコウの姿を思い出し、背中にあたるコウの胸板の感触と体温
にドキドキと心臓がはやくなる。)
「あ、あの。ちょっと痛いけどもう大丈夫!」
(あーコウ。も〜離れて〜心臓の音聞かれちゃうよ〜)
「ばかやろう、後残ったらどうすんだ。しばらくこうしてろ」
19 16 2010/08/03(火) 22:10:43 ID:K3bh.bRo0(4/4)
後ろからギュを書きたくて書いてしまいました。
駄文失礼しました
20 2010/08/04(水) 05:58:05 ID:B7ti0a2UO携(1/2)
イイヨイイヨー!!
うしろからギュッたまらんです。
光景を想像して萌え転がったよw
乙!
21 2010/08/04(水) 07:50:23 ID:aEScGsu6O携(1)
後ろからギュと料理するコウ兄‥
朝から萌転がってます
22 2010/08/04(水) 08:29:56 ID:XsL/1njI0(1)
ここはトラ兄祭りだね!髪下ろしに料理に後ろギュッ
バンビを見る優しいにキュンキュンしました
トラ兄の萌え要素がたっぷり詰まっていて
朝から心拍数がやべぇなこりゃ!
ありがとうございました
23 2010/08/04(水) 21:10:10 ID:ustla7is0(1/4)
イルカ×バンビ 体育祭ネタ
バンビ名は便乗して“美奈子”で

兄弟の二人三脚とミヨちゃんの借り物競走萌えと、
花屋のイルカミヨイベにちょっぴりジェラった気持ちを吐き出そうとしたら何故か兄弟△に
甘さも面白みもなくてなんか暗いですが、駄文投稿失礼します
24 イルカ×バンビ(兄弟△)体育祭ネタ 1/3 2010/08/04(水) 21:10:42 ID:ustla7is0(2/4)
体育祭を終え、美奈子と俺は並んで帰路に就いた。
日も傾きはじめ、分厚い雲が夕日と灰青の不思議なグラデーションに染まっている。
「あーあ、せっかく美奈子と二人三脚できると思ったのに」
コウと二人、大迫ちゃんに嵌められて全力で挑んだリレーは、終わってみれば楽しかったと言えなくもない。
けどやっぱり、原動力となった幻のご褒美を思うと、つい溜息がこぼれた。
そんな俺を見て、美奈子が笑った。
「そんなに二人三脚やりたかったの?」
二人三脚がやりたい、というか、“美奈子と”という部分が大事なんだけど。
別段やる気があった行事じゃない。むしろタルイと思っていた体育祭。
だけど、美奈子と一緒に競技に参加できれば、きっと楽しい思い出になったろう。
もちろん密着度も重要だ。

「そういえば美奈子、ミヨちゃんと手つないで走ってなかった?」
大迫ちゃんの目を逃れ、人混みに紛れて応援席をふらふらしていたとき、
引っ張られながらヨタヨタ走るミヨちゃんと、彼女の手を引き、時折気にかけるように声をかけながら走る美奈子が見えた。
「うん、借り物競走でね?ビリだったけど」
「ミヨちゃんが借り物?お題なんだったの」
「ん?えーと、……秘密」
何かを思い出したように、ふふ、と美奈子は楽しげに笑う。
女の子同士の秘密ってやつ?
まぁ、何となく想像はつくけれど。
「いいな、俺も手つないで走りたかった」
さっきから美奈子との二人三脚について悶々と考えていたせいかもしれない。
素直な感想が口からポロっとこぼれた。
「…ふーん」
あれ?何でその反応?
ここは「もうっ」って呆れたように笑って言うところじゃ…
「ミヨ、可愛いもんね」
あ、そっち?
ちらと視線を向けると、俺から少し背けた顔は、唇を尖らせて拗ねているようにも見える。
あ、やばい、カワイイ。
「…やいてる?」
「違います!」
「もうっ」って怒られるのもいいけど、こういう反応もいいかも。
ツンデレ?なんて言ったら、きっと赤くなって怒るだろうななんて考えながら、
先ほど思い出した、ミヨちゃんの手を引き走る美奈子の姿をもう一度思い浮かべた。
25 イルカ×バンビ(兄弟△)体育祭ネタ 2/3 2010/08/04(水) 21:11:25 ID:ustla7is0(3/4)
借り物競走でミヨちゃんを借りた美奈子。
おそらく、お題は「友達」とか「親友」とか、そんなあたりだろう。
それが容易に連想できるくらいには、二人の仲がいいことは知っている。
でもなんで美奈子はミヨちゃんを選んだんだろう。ちょうどそばにいたから?
花椿さんがそばにいたら、彼女を選んだんだろうか。
「ね、美奈子」
「なに?」
「もし借り物が“幼馴染”だったら、美奈子は俺とコウ、どっちを借りる?」
言ってしまってから、つまらないことを聞いたと後悔した。
コウが聞いたら、「バカか」と一蹴するに違いない。
そんな俺をきょとんと見ていた美奈子が、ふわっと微笑んだ。
「二人とも借りてくよ?」
至極当然だと言わんばかりに、美奈子は言った。

今は釣り合っている天秤。
けれど、もう俺とコウは、平等に与えられる錘に満足できないでいる。
コウと面と向かってそんな話はしない。
何も言わなくても、きっとコウも気付いてる。
たとえ美奈子が動かなくても、俺とコウのどちらかが皿の上で身じろぎするだけで、簡単に均衡は破られる。
美奈子は気付いているんだろうか?
26 イルカ×バンビ(兄弟△)体育祭ネタ 3/3 2010/08/04(水) 21:11:58 ID:ustla7is0(4/4)
ちくりと胸を刺すような思いとは裏腹に、腹の鳴る音が間抜けに響いた。
俺、結構シリアスな考え事してたはずなんだけど。胃袋は正直だ。
「腹減ったなぁ」
「頑張って走ったもんね」
「ウチ帰ったら、ホットケーキ焼こ」
「…野菜とかも食べなきゃだめだよ?」
野菜か…あったかなウチに。
俺の表情から我が家の冷蔵庫事情を悟ったらしい美奈子が、しょうがないなぁと言わんばかりに溜息をついた。
「じゃあ、今日は私がご飯作ってあげる」
「…マジ?」
「うん。二人とも今日は頑張ったからご褒美。…二人三脚の代わりね?」
少し申し訳なさそうに、そんな提案をする。もしかしたら、間接的とはいえ、俺とコウを騙したことを気にしていたのかもしれない。
「何が食べたい?」
「美奈子が作ってくれるなら何でもいいよ」
そういうのが一番困るんだけどなぁ、と文句を言いつつ、ぶつぶつとメニューを思案する。
「野菜がとれて、お肉もとれて、ホットケーキ。……お好み焼き?」
お好み焼きって甘くないじゃん、という俺の内心のツッコミも知らず、自分の思いつきに美奈子はニマニマしている。
「あ、お好み焼きってお肉豚だよねぇ?コウくん牛肉の方がいいのかな…」
真剣に悩みだす美奈子に、俺は吹き出した。
「どっちでもいいんじゃない。どうせコウは味なんてわかんないよ」
もう、適当だなぁと言いながらも、美奈子は楽しそうに笑った。

今は釣り合っている天秤。
けれど、もう俺とコウは、平等に与えられる錘に満足できないでいる。
傾くのは、明日かもしれない。明後日かもしれない。
美奈子は気付いているんだろうか?
気付いていてもいなくても、美奈子が望んでいるのは、3人でいる時間なんだということを、俺は知ってる。
そして俺も、まだもう少し、平等に降り注ぐ温もりを感じていたい。
そう思った。



お目汚し失礼しました〜
27 2010/08/04(水) 21:23:21 ID:B7ti0a2UO携(2/2)
いい文章をありがとう!
PVP中の微妙な関係と切なさがたまらん。
あとバンビかわええ

貧困な感想でごめんよ。でも本当に良かった、萌えた!乙!
28 2010/08/04(水) 23:30:00 ID:7Q09iUDo0(1)
うわあ、バンビがかわいすぎて変な声出た!
ありがとうありがとう!
イルトラ好きな自分は萌え転がるしかない内容だったよ
特に「二人とも借りて〜」のくだりで、本気でイルトラに感情移入した

ありゃダメだ……かわいすぎる
惚れるしかない
29 16 2010/08/05(木) 12:21:16 ID:PK0MuRI.0(1)
>>16です
コメントくださった方ありがとうございました!励みになります
三人称は書きなれないのでちょっとぎこちなかったと反省中です

>>26さん
△イルトラ好きだ!!
ミヨに焼きもち焼くバンビかわゆす
30 2010/08/06(金) 19:38:16 ID:TzYkZKeA0(1)
おお!覗いてみて良かった!!
>コウは味なんてわかんないよ
のところふつーにイルカが言ってそうで萌えたw
イルトラバンビ最高だー
31 2010/08/12(木) 02:06:04 ID:XExXR0Lk0(1/3)
青春△PvsP → タイラーENDネタ
ニーナ視点です。

バンビ名は「美奈子ちゃん」お借りしてます。
駄文かつ誤字脱字がありましたら、お許しください。
32 青春△PvsP → タイラーEND 1/2 2010/08/12(木) 02:08:54 ID:XExXR0Lk0(2/3)
『お前んとこのマネージャーさん、とうとう本命彼氏ができたって?』
 卒業式の三時間ほど後、友人からそんな電話がかかってきた。
……嵐さん、告ったんだ……。
 俺はというと、二人が卒業してゆく姿を見るのが──自分だけが取り残されるのを実感するのが嫌で、卒業式は
ブッチした。
 この電話もベッドに寝転んだまま受けている。
『俺達としてはさ、本命が不二山先輩、対抗 お前だと思ってたんだけどな〜。まさかあんな無名の奴が
出てくるなんてな〜』
「…………は?」
 え? 今、なんつった? 嵐さんじゃねえ?
 俺は慌てて飛び起きた。
『何て言ったっけ? ……ああ、駄目だ。名前も思い出せねえや。確か文化祭ん時に、相手役やった奴だろ?
 てか、お前知らなかったの?』
 名前は確か……駄目だ。俺も思い出せない。だけど、あいつは文化祭の後「ローズクイーンの相手役には……」って
噂されて、それから美奈子ちゃんとは全然接触がないって筈だったろ?
「知るも知らないも俺今日は欠席だし。それに、そりゃいくらなんでもガセだろ」
 俺はちょっと安心してベッドに座り直す。
 数か月前の文化祭で見事今年度のローズクイーンに選ばれた美奈子ちゃんは、結構全校生徒の注目を集めて
いたりする。本人は全然気づいていないのがらしいっちゃらしいけど。
『いや、それがさ』
 友人が続けるには、卒業式の少し後、二人が教会から手を繋いで出てきたこと。そのまま二人で帰ったこと。
互いに頬をちょっと染めていたりして、まさしく「できたてのカップル」という雰囲気だったこと。
 そんな様子が複数人に目撃されている、との事だった。
 二度目になるけど、美奈子ちゃんの注目度は結構高い。それこそ桜井兄弟や花椿カレンと比肩するくらいに。
……本人は無自覚だけど。
『お前が知らないなら違うのかもな〜。あ、話変わるけどさ──』
 それから十数分は会話した筈なんだけど、何を話したのかは記憶にない。
 覚えているのは、ただ内心で(早く切りやがれ、この野郎)とだけ思っていたことだけだった。
33 青春△PvsP → タイラーEND 2/2 2010/08/12(木) 02:11:08 ID:XExXR0Lk0(3/3)
 三十分後。俺は携帯を手に取った。
 やっと。やっと気持ちが固まった。
 美奈子ちゃんに電話する。で、噂の真偽を確かめて──どうせガセなんだからすっとばしてもいいんだけど──
何処かに呼び出そう。うん、あの海がいい。そうしたら告ってハッピーエンドだ。
 電話帳から美奈子ちゃんの番号を呼び出す操作は、指が覚えている。
 初めて電話した時みたいに、心臓がバクバクしている。
 数回の呼び出し音の後、いつもの「もしもし」という声が聞こえた。
「もしもし、俺、新名だけど」
 と、名乗った後、二言三言の雑談。
「ところでさ、文化祭ん時にあんたの相手役やった奴だけど……」
 そう言った瞬間、受話器の向こうで美奈子ちゃんが息を呑むのがはっきりとわかった。
『……ホント、旬平君は情報が早いね』
 しばらくしてから聞こえてきた美奈子ちゃんの声。
 続きは聞きたくなかった。でも電話を切ることもできない。
『……うん。好きだって言ってくれて……。そういうこと……なの』
 受話器の向こうの彼女がどんな表情なのか、容易に想像できてしまう。
「なんで? だってあいつは文化祭からこっち、あんたとは全然……。それに、あんたとあいつじゃ
釣り合わないってみんな──」
『違うの』
 俺の言葉を遮る彼女の声の強さは、今までに聞いたことがなくて、俺はそれ以上続けられなくなる。
『違うの。みんな勘違いしてるの。文化祭だって、平君がいたから上手く出来たの』
──ああ、思い出した。平、だ。
 美奈子ちゃんの声を聞きながら、頭の片隅でそんなことを思った。
『いつもいつも私が困ってる時には一生懸命フォローしてくれて……。そんな彼だから好きになったの』
 俺は言葉を失った。
 俺は──いや、俺と嵐さんはどうだったろう。
 美奈子ちゃんがマネージャーなのに甘えて、フォローするどころか、二人で対立して美奈子ちゃんを
困らせることしかしていなかったんじゃなかったろうか。
「……そっか。良かったじゃん」
 お姫様を困らせるガキ二人と、助ける王子様。勝敗は目に見えている。
 なら敗者にできるのは、勝者を称える事だけ。それくらいのプライドは持っている。
『うん、ありがとう。……あの……』
「あ、キャッチ入ったみたいだ。切るよ、ごめんな」
 そう言って、返事も聞かずに電話を切る。
 多分彼女が言おうとしていた「ごめんなさい」は俺が言うべきだったし。


 電話を切ってからどれくらい呆けていただろう。俺はもう一度携帯を手に取った。
 ほんの半年前までは、彼女からの連絡を嵐さんに伝えるのは俺の役目だった。
 今度のことを知らせるのも、俺の役目だろう。
 電話帳から嵐さんの名前を探して、俺はコールボタンを押した。
34 2010/08/14(土) 09:08:13 ID:.lcGMjzc0(1)
>>32
ニーナ好きの自分歓喜
面白かったありがとう!!
青春△太陽キュンED激しく読みたいです
35 2010/08/18(水) 23:33:06 ID:PTHn8T920(1/2)
イルカバンビの体育祭ネタ書いた者です
感想くださったバンビ達、嬉しかったですありがとうございます

トラ兄の起動ボイスが好きすぎて妄想
ED後、同棲中? バンビ名美奈子。バンビがGSプレイ中
DVD発売延期にカッとなってうp

>>33
認めたくないニーナと受け入れたニーナの気持ちの流れが切ない
最後の4行好きだー
36 トラ兄×バンビ 起動ボイスネタ 2010/08/18(水) 23:33:49 ID:PTHn8T920(2/2)
休日前の夜、何をするでもなく夜更かしして二人まったり過ごす。
レコードが流れる部屋の中、美奈子は俺によっかかってDSに没頭している。
ときめきナントカだかメモリアルだか、今人気の恋愛ゲームらしい。
王子がどうのこうの、タッチがどうのと、画面の中の男に何やら必死だ。
おまえなぁ…自分の男そっちのけで何やってんだか。
少しは構え俺に。
漫画雑誌をパラパラめくりながら、退屈といえば退屈、
けど背中に感じる温もりは満たされていると言えなくもない、そんな時間がゆったりと過ぎていく。

以前は二人きりになると、口下手な俺は何を話していいやら、間がもたず気まずい思いもした。
けど今は、会話のない時間は気詰まりとは違う、ただお互いの存在を感じるだけで安らげるような、柔らかなものに変化した。
変わったのは俺か、美奈子か。
どちらも変わっていないといえば変わらない。
変わったとすれば、お互いの相手を思う気持ちにプラスして、相手が自分を思う気持ちが、確かなものとして自分の中にある。
それだけのことで満ち足りた気分になる、なんて言うとこっ恥ずかしくてたまらないが。

ふと感じる重みがズレたような気がして美奈子を見ると、DSを持つ手はだらりと下がり、頭の重心は俺に向かってズリズリと傾いてくる。
寝落ちか。
「おい、美奈子」
「んー」とか「むー」とか返事ともつかない呻き声をあげて、結局シーツの上にごろんと転がった。
「こら、先に寝んな、オイ。…あ〜あ」
すやすやと寝息を立て始めた、あどけない寝顔を眺める。
無防備もいいところだな、おい。
だいたいこいつは、信じてるだかなんだか知らないが、男の前で危機感とか緊張感とか、もう少し持てねぇのか。
俺みたいな男のどこに安心を感じるのか、それを嬉しくも思う反面、微妙な気持ちにもなる。
「はー…」
情けない溜息をこぼす自分に苦笑する。
こいつに再会するまでは、まさか自分が女に振り回される日がやってこようとは想像だにしなった。
昔の俺が今の俺を見たら、呆れるか腹を抱えて笑うか、それとも頭を抱えるか。
どちらにしても、あの頃の尖がった自分には予想もしなかった事態だろう。
そんな事態を招いた当の本人は、そうとも知らず気持ちよさそうに寝こけている。
いい気なもんだ。人の気も知らないで。
目にかかった前髪が鬱陶しそうに見えて、指でそっと梳いてどけてやる。
ついでに滑らかな頬を手の甲でそっとなでると、微かに口元が笑んだように見えた。
なんだぁ?もしかして…
頬をむにっとつねってやると、我慢しきれなかったのか、ふふっと笑い声をたてて身じろぎした。
「起きてたか…。コラっ、ガキみてえだぞ」
くすぐったそうに笑う美奈子につられたのか、顔が笑みを形作るのを自覚する。
まぁ、こんなのも悪かねぇ。
そう思えることが、幸せということなんだろう。


37 [sage sage] 2010/08/18(水) 23:57:07 ID:T2S9MG7wO携(1)
>>32-33
自分もニーナ好きなので嬉しい。
これから隠し攻略だから終わったらこのADV思いだすと思う。
GJでした。
38 2010/08/18(水) 23:58:47 ID:EASxlZ120(1)
>>36
も、萌えーーーーー!!!!!
39 2010/08/19(木) 01:00:49 ID:sgvE9GqQo(1)
>>36
なにこれ…超萌えたgj
寝たふりなバンビ可愛すぎる
40 2010/08/19(木) 12:30:49 ID:IdgHBgTcO携(1)
うわーん、うちにもリアルトラ兄欲しい!DSGS3やってる横でリアルトラ兄とか、萌死にするかも。
41 2010/08/20(金) 03:19:47 ID:t4Y92Vn20(1)
うわぁ、萌え通り越してものすごーく癒されました!
ありがとうございました!
いい夢見れそう・・・
42 2010/08/21(土) 01:14:30 ID:yLM5SgTQ0(1/6)
31-33を書いた者です。
コメントをくださった方、ありがとうございました。とても嬉しかったです。

調子に乗って、もう一本です。
ニーナ&嵐さんの合宿プールイベントネタです。
連続ADVっぽく書いてみました。
合宿プールが嵐さん寄りイベントなので、ちょっとだけ新名びいきになってます。
萌え要素なしです。ごめんなさい。

>35様
コメントありがとうございました。
自分、こういう萌えは書けないので、羨ましい かつ 尊敬します。
バンビ、可愛過ぎvv
43 新名&嵐 合宿プールネタ 新名編 1/2 2010/08/21(土) 01:16:42 ID:yLM5SgTQ0(2/6)
「飛び込むぞ。せーの」
 嵐さんの合図で前方へと跳んだ。
 ドッボーンと三人分の大きな水音が響く。
 僅かに手から力が抜けた。
 あっと思う間もなく、美奈子ちゃんの指がオレの掌からするりと逃げてゆく。

 もう一度手を繋ぎに行くのも何かカッコワルイ。
 美奈子ちゃんと嵐さんは何か話をしている。
 小声なので会話の内容までは聞こえないが、何かイイ雰囲気っぽい。
……今更悔やんだって仕方がない。
 オレは二人から少し離れて、水音に気づいて誰かが来ないか偵察に行く。
 ハァ……。もう、何やってんだかなー。
 オレのクソッタレ!

──この合宿でつくづく思い知ったことがある。
 それはオレは嵐さんに負けっぱなしだってことだ。
 柔道だけじゃない。
 男としての器のでかさや──美奈子ちゃんが俺たちに抱いている感情も。
 ホント、一年ってのはでかい。色んな意味で。
……ヤダヤダ。


 それから小一時間。
 水中でのコサックダンス30秒(嵐さん曰く「水中で素早く動く訓練をすることで身体能力を高める」んだそう
だけど……ホントかよ?)とか、10秒間で合宿の反省点を三つ述べるとか、普通の部活じゃ有り得ねぇ反省会を
過ごした。
 夏とは言え、夜のプール。
 流石に身体が少し冷えてきたってことでそろそろお開きに……となったんだけど、何故か美奈子ちゃんが水から
上がろうとしない。
「お前、何やってんだ?」
「えぇと……うん、気にしないで。二人は先に戻ってシャワーでも浴びててよ。わたしはもう少しここにいるから」
「馬鹿言ってないで。アンタ一人、置いてけるわけねーでしょ」
「ほら。引っ張ってやるから、手、貸せ」
 そう言って嵐さんが手を伸ばすと、何故か彼女はそれから逃げるように一、二歩後退さった。

???
 嵐さんが疑問符だらけになっているのがわかった。
 何故ならそれはオレも同じだったから。
 が。
 一瞬後にオレは正解を察した。

「嵐さん、回れ右。ついでに三歩前進!」
 言いながらオレは体操シャツを脱ごうとした。けど、濡れているせいか焦っているせいか、なかなか脱げない。
「は? お前まで何 言い出す……つーかお前、何やってんだ?」
「いいから! 嵐さんは回れ右!!」
 オレはやっと脱いだシャツを思いっきり絞ると、暗闇でよくわからないが濡れていなさそうなところを選んで
そこに置いた。
「アンタは上がってそれ着て。アンタのよか大きいから足の方まで隠れると思う」
 オレはそう言うとやっと事態に気づいたらしい嵐さんを強制的に反転させて、その場から三歩どころか倍以上は
離れる。
 嵐さんは普段では考えられないくらいオレにされるがままになっている。
……変なコト、想像してんじゃねーだろうな、コノヤロウ。
44 新名&嵐 合宿プールネタ 新名編 2/2 2010/08/21(土) 01:17:18 ID:yLM5SgTQ0(3/6)

 数秒後、微かな水音とペタペタと小さな足音が背中で聞こえた。
 思わず振り向きたい衝動にかられたが、その瞬間、脇腹に走った重い衝撃がそれを思い留まらせる。
 見ると、オレが掴んだままの嵐さんの右腕──その肘が当たっていた。
……パネェよ、嵐さん。
 オレは返事代わりに、指先に力を込めた。

 帰り道の数百メートル。
 オレは「相手の顔を見ないで会話する」ことの難しさを嫌ってほど思い知った。
 オレ(多分嵐さんも)は視線を前方に固定したまま、嵐さんと並んで歩く。
 その後を少し離れて美奈子ちゃんがついてくる。
 漂う緊張感。
 微妙にすれ違う会話。
 なのに誰もつっこまない。

 クラブハウスまで数メートルのところで、オレは足を止めた。
 つられて嵐さんも立ち止まり、一歩遅れて美奈子ちゃんの足音も止まる。
「オレ達向こう向いてるから、アンタは先に入りなよ」
 美奈子ちゃんの方を見ないままオレは言った。
「二人が先に行って。もうすぐそこだし」
「だーかーらー、たとえ一分でも女の子一人置いていけねーっての。OK?」
 それでも動こうとしない美奈子ちゃんに嵐さんが強い調子で後押しをする。
「いいから行け。美奈子」
 僅かの間の後、美奈子ちゃんの小走りの足音が近づいてきた。
 その音が最接近した時、ぴたりと止む。
「ありがとう、旬平くん」
 その声を残して、再びの足音が遠ざかる。

 彼女の気配が完全に消えるまで数十秒。男二人で並んで暗がりを見続ける。
「いい加減、手ぇ離せ」
 嵐さんの声でオレは腕を掴んだままだったことに気づいて、慌てて掌を開く。
「俺らも戻るぞ」
 踵を返して歩き始めた嵐さんの後を追いつつ、オレはこの合宿を思い返す。
……色々あったし 嵐さんには負けっぱなしだったけど、いい合宿だったよな。
 そんなことを考えていたら、嵐さんが一言。
「お前には負けねーぞ。新名」
──今更言われなくても、十分骨身にしみてますよ。
 そう答えようとして、ふと気づいた。
「前言撤回。オレも負けねぇっす、絶対!」
「……前言?」
「いや、こっちの話っす」
 そうだ。前言撤回。
 負けてねーことあるじゃん。オレにも。
 嵐さんだけじゃない。他の誰にも。
 負けてねーし、負けられねーこと。
……いや、今ンとこはちょっとだけ負けてるかもしんねーけど、まだ旗が上がったワケじゃない。
 逆転のチャンスはきっと来る。
 気持ちで負けてたら勝負なんかできる筈がない。
 腹くくって全力でぶつかるだけだ。

『楽しくラクに』がモットーだった去年までのオレ。
 そんな自分も嫌いじゃない。
 でも、今のオレも結構イイじゃん。


 翌日、美奈子ちゃんから返された洗い立ての体操シャツは、オレの宝物のひとつになった。
45 新名&嵐 合宿プールネタ 嵐編 1/2 2010/08/21(土) 01:20:34 ID:yLM5SgTQ0(4/6)
「ほら。引っ張ってやるから、手、貸せ」
 手を伸ばせば、子犬か子猫がじゃれつくが如くに俺の手を握り返す筈だった。
 ところが。
 今夜の美奈子は俺を避けるように、数歩下がる。
 さっきまでまったく普段と変わらなかったのに、何故?
 と、そこへ新名の声が追い討ちを掛ける。
「嵐さん、回れ右。ついでに三歩前進!」
 視線を転じると、ヤツは何故か体操シャツを脱ごうとしている。
 訳の分からない事態の連続に、思考がついて行かない。


 ヤツ──新名旬平は俺の1コ下の後輩だ。
 一年前の春、ヤツを一目見て気に入った俺は、美奈子と協力してあいつを柔道部へ引きずり込んだ。
 新名は柔道に関してはまるっきりの素人だったが、元々身体能力も高いし、頭もいい。
 中学時代から経験があるという他の数人の部員より技術面で多少劣るところもなくはないが、始めてから
一年強とは思えない成長を見せている。
 本人にはまだ伝えていないが、次期部長はあいつに決まっている。
 もちろんこれは俺だけではなく、大迫先生や1、2年生部員、それに美奈子の全員一致の意見だ。
 見込んだ逸材が皆に認められて、俺も鼻が高い。
 だが、まったく問題がないわけでもない。
 あいつはメンタルが弱い。いや、弱いと言うよりは足りないと言ったほうが正確だろう。
 勝ちたい。強くなりたい。
 そう思っているのは分かるが、「何が何でも」という気迫がない。
 その辺りを鍛えられたら、と、この合宿を思いついたのだが、残念ながら成果は上がらなかった。

 美奈子に言わせれば、それは俺の所為もあるらしい。
「だって、嵐くん強すぎるんだもん。『どーせ嵐さんには敵わないしぃ』って思ってるんだよ」
って、それは俺の所為なのか?
 確かに俺はあいつより強い。
 年季が違うし、何より俺には師匠がいた。
 投げた回数は星の数。投げさせた回数も星の数。
 しかし、投げられた回数は両手の指に足りない。
 本気で勝負したら絶対に俺が勝つ。
 100回やったって100回勝つ。
 百人掛けの最後の対戦者があいつなら負けるかもしれねぇが。
 本気の振りして手ェ抜いたって、あいつは絶対に気づく。
 そういうヤツだ。この新名旬平という男は。


「アンタは上がってそれ着て。アンタのよか大きいから足の方まで隠れると思う」
 新名のその言葉で、俺はやっと気が付いた。
 と、同時に頭を殴られる程のショックを受ける。
──美奈子のことを一番わかってやれるのは俺じゃなかったのか?
 が、実際は俺には気づけなかった美奈子の困惑を、こいつは気づいた。
 思考停止──と言うか堂々巡りに陥った俺は新名に腕をひっぱられ、プールサイドから少し離れる。
 背中では水音に続いて、小さな足音が聞こえた。
 ふと、新名が動いた気がして、殆ど無意識に脇腹に肘を打ち込んだ。ただし全力から三割ほど力を抜いて。
46 新名&嵐 合宿プールネタ 嵐編 2/2 2010/08/21(土) 01:21:06 ID:yLM5SgTQ0(5/6)
 帰り道のことはあまり覚えていない。
 色々考え事をしていたのもあるが、随分ととっちらかった返事をしたような気もする。
 が、それに対してツッコまれもしなかったからそうでもなかったのかもしれない。

 クラブハウスまで数メートルのところで、新名が足を止めた。
 腕を掴まれたままの俺も当然立ち止まる。少し後ろを歩く美奈子もだ。
「オレ達向こう向いてるから、アンタは先に入りなよ」
 !!
 まただ。
 俺が考えもしなかったことをこいつはさらりとこなしてゆく。
「二人が先に行って。もうすぐそこだし」
「だーかーらー、たとえ一分でも女の子一人置いていけねーっての。OK?」
 それでも動こうとしない美奈子に俺は声を掛ける。
「いいから行け。美奈子」
 くそ。言い方がきつくなっちまった。
 自分への苛立ちを美奈子にぶつけてどうするよ、俺。
 やばい。今夜は自己嫌悪で眠れねぇかも。

 僅かの間の後、美奈子が小走りに近づいてきた。
 後ろを通り過ぎる瞬間、「ありがとう、旬平くん」と小さな声。

 彼女の気配が完全に消えるまで数十秒。俺は今夜のことを思い返す。
 花火をやろうと言った新名の案を却下したのは俺だ。
「花火なら部活の帰りに海辺にでも寄ればいつでもできるだろ。夜のプールに忍び込むなんて真似できるのは
今夜だけだ」
 そう言って新名を納得させた。
 その結果がこれだ。
 もうどうしようもねぇ。

 あー、もう、完敗だ。
 なにが「100回やったって100回勝つ」だよ。
 ナメた口きいてんじゃねぇぞ、俺!!

「いい加減、手ぇ離せ」
 どこかへ引っ立てられるような気分になるからな。
 当然後半は口にはしない。
 つーか、どんだけ力込めてたんだよ。微妙にしびれたような感覚が残っている。
「俺らも戻るぞ」
 カッコつけてる場合じゃねぇよな。っとに情けねぇ。

 新名。
 お前はもっと強くなれ。
 俺ももっと強くなる。柔道だけじゃない、もっと色々なことで。
 俺が守りたいものは俺が守れるようになる為に。
 お前に負けるのはこれが最初で最後だ。

「お前には負けねーぞ。新名」
 呟くように言った言葉に、一拍置いて返事が返る。
「前言撤回。オレも負けねぇっす、絶対!」
「……前言?」
「いや、こっちの話っす」

……何かよくわかんねーが、合宿の目的は達成されたようだ。
 後ろから迫ってくる足音を感じながら、俺は頬が緩むのを止められなかった。
47 新名&嵐 合宿プールネタ 終わり 2010/08/21(土) 01:25:49 ID:yLM5SgTQ0(6/6)
書き込み終了です。

蛇足ですが、新名編の最後の行の宝物の前に「一生の」を入れるとニーナED、
語尾を「だった。」に変えると嵐さんEDっぽくなりますw

お粗末さまでした。
48 2010/08/21(土) 03:11:08 ID:wcKE9tUAO携(1)
>>42
萌えました。
今夜眠れないかもw


ニーナと嵐さんの、お互いの足りない部分を相手から感じとってしまい、
「俺って負けてるのか」
「こういう所が足りない、でも負けない」
という切磋琢磨な関係がすごくいいです。
敵は強い、でも乗り越えられない山じゃない的な。
青春△は特に大好きなので読めて嬉しいです。
49 2010/08/21(土) 12:09:05 ID:GTOzYvzUO携(1)
すごーい
書くの上手だね
50 2010/08/23(月) 03:48:34 ID:wK9Rs5FwO携(1/7)

皆さんの作品を読んで、即発されました。初めて投稿します。
新名の補習スチル妄想。二年目冬に発生な感じで。あ、台詞はまったく別物です。すみません。
51 2010/08/23(月) 03:49:19 ID:wK9Rs5FwO携(2/7)

期末テストの結果発表。
デーンと壁に貼り付けて学年別に晒されるそれは、結構シビアだと思う。
俺のは順当に、一桁台。
で、コッソリと一学年上のを見に行く。
ちょーっと、心配だったんだよなぁ。どっかとぼけてるというか、天然というか、そんなだから。
と、あーあ。
予感的中。いやそれ以上。
さすがに補習授業宣告受けたら、落ち込みもするか。
一年時にもしたんだっけ。
大迫ちゃんに教えてもらったとか言ってなかった?で、ノートの取り方とか分かったって。
ってことは、要領悪いんだろうな、きっと。
52 2010/08/23(月) 03:50:23 ID:wK9Rs5FwO携(3/7)

週が変わって、放課後。
補習授業を覗きに行くと、文字通り頭を抱えている連中に混じって、外を眺めている姿を発見。
先生がいないのを確認して、後ろの扉から足早に近付く。
渡されたプリントはまだ白紙。
「旬平くん」
周りを気にしてか、小声で、でも驚いてるのははっきりわかる。
「なんか力になれっかなーと」
「うーん…でも、まだ習ってないでしょ?きっと分かんないよ」
ああ、そっか。俺年下なんだ。
どうやってもクラスメイトにはなれない。
学年関係ない行事多いから気にしてなかった。
あー、違うな。気にしたくなかったんだ。
53 2010/08/23(月) 03:51:28 ID:wK9Rs5FwO携(4/7)
「それって、年下じゃ頼んねえってこと?」
「そういう意味じゃ…」
「そういう意味なの。アンタ、同じ年だったら男でも、一緒に勉強しよ、とか言うだろ?ソイツがアンタにどんな感情持ってるか、とか考えないでさ」
なにか反論しようとして、開いた唇がキュッと閉じる。
逸らされた視線は、俯いて見えない。
言い過ぎたのは分かってる。
補習組の何人かがこっちをチラチラ見てる。
「ごめん、センパイ。これ以上アンタにガキって思われたくないから帰るよ……補習頑張って」
僅かに俯く角度が深くなったのは、最後の言葉に頷いたんだって思っとく。
54 2010/08/23(月) 03:52:29 ID:wK9Rs5FwO携(5/7)
なんか、力になるどころか邪魔しただけだったな。ホント、自己嫌悪。
校舎を仰ぎ見たら、窓際の席、さっき俺がいたところに2人。
すんません、センパイがた。俺が弱らせちゃったバンビちゃん、元気にしてください。
そんな念を送って校舎に向かって深々と一礼。
補習最終日、またアンタに会いに行く。
で、またデートしてよ。誠心誠意尽くすからさ。
55 2010/08/23(月) 03:57:51 ID:wK9Rs5FwO携(6/7)
なんか勢いで書いて、載せてしまってすみません。
迷惑でなければ、また懲りずに投稿してしまうかも。
お目汚し、失礼しました。
56 2010/08/23(月) 07:13:38 ID:bX0mzZho0(1/2)
また書いて〜!楽しみにしてる。補修イベント好きだから
楽しかったよ!
57 嵐さんED1その後 1/3 2010/08/23(月) 15:21:47 ID:Y63B2Zdw0(1/4)
卒業式を終えた後の教会。
まっすぐな嵐くんの告白を受け、想いが通じ合えた喜びと自分を包む力強い温もりをかみしめていると
ふと、その力が緩んだ。

「そろそろ帰るか。名残惜しい気もするけど。」
ポンポン、と私の頭を宥めるように撫でながら嵐くんが言った。
ずっとこうしていたいけれど、そろそろ戻らなくては。
「そうだね。」
微笑み返しながら、私は言った。

とりあえず教室においてある鞄を取りに行こうか、などと言いながら
3年間の思い出が詰まった校舎を嵐くんと歩く。
自分の右手を覆う骨ばった大きな手に、少し恥ずかしくて嬉しい
そんな気持ちを感じながら。

「もう皆帰っちゃっただろうね―――」
と言いかけたところで、この廊下の先にある教室でワイワイと騒いでいる様子に気が付く。
「まだ皆残ってたんだ。」
と呟いた私に気が付きながらも、そんな事はお構いなしとばかりに
嵐くんはいつもと変わらぬ歩調で進んでき、私は内心少し戸惑う。

ちょっと待って――言葉を発するより先に嵐くんが『ガラ!!』と大きな音を立てて教室のドアを開けた。
58 嵐さんED1その後 2/3 2010/08/23(月) 15:23:09 ID:Y63B2Zdw0(2/4)
一斉にこちらに視線が集まるのを感じて、私は思わず身を竦ませる。

「おー不二山!どこ行ってたんだよ!これからクラスの皆でカラオケ行って打ち上げでも――って、あれ!?」

クラスメートの一人が楽しそうに言いながらこちらに近づいてきたけれど
私達二人の様子を見て、ピタッっと止まった。

「って、え、おまえら、手なんか繋いじゃって――っていうか、
 いつの間にかどこかに行ったと思ったら、二人でいたのかー?
 つーか、おまえらってもしかして――?」

ああほらやっぱり!
とても恥ずかしくなって思わず嵐くんを見上げると、繋いでいた手が解かれた。
ほっとしたのも束の間、ぐいっといきなり左肩を掴まれ
気が付くと私の頬に嵐くんの堅い胸が当たっていた。

「うん。こいつは俺の。」

途端『えーー!!』とか『きゃーー!!』とか教室に誰のものとも判別できないすごい歓声が響き
私は顔に熱が集まってくるのを感じて思わず下を向いた。
正直すぎるよ……。

あっという間に数人のクラスメートに囲まれて、嵐くんと男子達が楽しそうに話をしている。
そんな嵐くんの横顔をチラっと盗み見ると、嵐くんもふとこちらに視線を下げてニヤリと笑う。
私の肩を抱く手にほんの少し力を加えながら。
59 嵐さんED1その後 3/3 2010/08/23(月) 15:24:28 ID:Y63B2Zdw0(3/4)
もう!!と嵐くんを軽く睨んでいると
「バーンビー!!ついに私のバンビが他の男のものにー!!」
「すべては星の導きとバンビの努力の成果。おめでとう、バンビ。」
カレンとみよが傍に駆け寄ってきた。
私の手を引っ張りながらカレンが色々言っていると
「おい、花椿。こいつは俺んだ。手ぇ放せ。」
嵐くんが冗談とも本気ともつかない口調でそんな事をいうので、周りのクラスメートにさらに冷やかされる。

いよいよいたたまれなくなって縮こまっていると
「おーい、お前らぁ!盛り上がるのもいいけどそろそろ閉めるからなぁ!帰るんだぞー!!」
大迫先生が教室のドアを開け顔を覗かせながら言った。

じゃあそろそろカラオケにでも移動しよーぜ、などと言いながら
クラスの皆はそれぞれに荷物をもって教室を後にしていく。
助かった…恥ずかしかった…。

「俺たちも行こーぜ。」
嵐くんが手を差し伸べながら、あたたかく笑う。
…本当にもう、この人には叶わない。

「うん!!」
私はその手をぎゅっと掴んで、嵐くんと並んで歩きだす。
この手をずっと放したくない、そんなことを思いながら。
60 2010/08/23(月) 15:44:38 ID:9BCptj3YO携(1)
乙!なんか読んでてキュンときたw
しかしカレンさんと嵐さんに取り合われるとかバンビ裏山すぎるぜ…
61 2010/08/23(月) 15:52:55 ID:Y63B2Zdw0(4/4)
創作文書くの初めてなのでかなり読みづらいかもしれません…。
でもキュンときてくれた人がいてくれたならすごく嬉しいです。
これからもっと修行して素敵なものを書けるようになりたいです。
62 2010/08/23(月) 16:44:12 ID:bX0mzZho0(2/2)
嵐さんの声で再生されたよw 面白かった!乙です!
63 2010/08/23(月) 18:59:35 ID:wK9Rs5FwO携(7/7)
>>56さん。感想ありがとうございます。補習イベ、いいですよねー。次、どんなものになるかまだ決まってませんが、また出来次第、置きにきます。
64 2010/08/23(月) 22:13:00 ID:erX14DrQ0(1/2)
どこからがエロで、どこまでがエロじゃないのかな。
投下していいのか悩んでるんですが…
65 2010/08/23(月) 22:22:50 ID:o1mnbJQkO携(1)
>>55
もっと読みたい!
66 2010/08/23(月) 23:08:38 ID:5XzxR9Ls0(1)
>>64
男共のボルケーノも上限大接近6回目くらい、
ちゅーも爽やかチッスなら許されるんじゃないかと自分は思ってるんだが、どうだろうねw

作品増えると投下迷ってる人も投下しやすくなるかもしれんし、それでまたどんどん増えるといいね
67 2010/08/23(月) 23:53:59 ID:erX14DrQ0(2/2)
>>66
仕上がり具合で雰囲気読んで決めます。
どうもありがとう。
68 2010/08/24(火) 00:55:45 ID:mVxex4Js0(1)
>>57>>61
gjgj嵐さんボイスで再生された
次のSSを書く作業にうつるのだ!
69 親友愛情の設楽先輩 大学イベ1/3 2010/08/24(火) 15:24:12 ID:W8oZx/DU0(1/3)
一流音大に入学して一か月。
もう一度本気で音楽に向き合う為に、今までなかったほどピアノ漬けの毎日。
はば学にいた時ほど自由な時間はなくなったが、ようやくできた休日を使って俺は買い物にきていた。

本当ならアイツを誘ってどこかに――と思わなかったわけじゃないが、アイツが想う奴は俺じゃない。
俺はあくまで、アイツにとって少し親しい先輩。
アイツの相談に乗ってアドバイスをしてやる、そんな立場だ。

――それでいい、と思っていた。最初は。

アイツから、好きな人がいると聞かされた時は正直驚きもしたが、少し面白くもあった。
この俺にそんな話をする奴は今までにいなかったし、何よりアイツの想う男
――紺野の普段からは想像つかないような様子をアイツから聞ける。
それが面白くもあり、多少の暇つぶしにもなるとそう思っていた。

…でも。
アイツが今までと何も変わらない様子で俺を誘い、色んな話をして…そんなアイツを見ているうちに俺の心に変化が起きた。

何でアイツなんだ。
そんな話聞きたくない。
俺を、俺だけを見てろ。

気を抜いたら口をついて出そうになる言葉を今まで何度飲み込んだことか。
アイツへの想いは加速度的に増し、ピアノに向かっていない時はもちろん
何も見えないほど集中して弾いている時でさえアイツの顔が浮かぶ。
今だってそうだ。
こうして、春の暖かい日差しを受けた街並みを眺めながら歩いている、こんな時だって
俺はアイツの笑顔や腕に触れる時の温かな感触を思い出してしまう。

――相当重症だな、俺も。

ふっと息をつき、角を曲がったところでドンッという衝撃が胸に当たり思考が絶たれた。
70 親友愛情の設楽先輩 大学イベ2/3 2010/08/24(火) 15:27:39 ID:W8oZx/DU0(2/3)
人にぶつかった――と思った瞬間にはもう、そのぶつかった人間はこちらも見ずに
ペコリとほんの少し頭を下げて横を通り抜けていこうとする。

ちょっと待て!

とっさに俺は横を通り抜けていく人間の手を掴んだ。
バッと顔を上げ、こちらを見上げる黒目がちな瞳と視線がぶつかる。

やっぱり。

「お前…。どうしたんだよ!」
アイツだった。
ずっと走ってきたのだろう、紅潮した頬にかかる少し乱れた髪を気にすることなく息を切らしていたアイツは
真っ赤になった目に今にもこぼれそうなほど涙を溜めていた。

何だよ、何でそんな顔してるんだよ!

言いかけた言葉をぐっと飲み込む。
こんな様子のこいつに問い詰めてどうする。
しかしそう思って混乱した頭を落ちつけようにも、こんなこいつの姿を見て心はどうしようもなく乱れる。

「設楽先輩……。」
驚いて見開いたアイツの瞳から、一筋涙が零れ落ちた。

泣くな。何で泣いてるんだよ。

思わず空いた方の手でアイツの頬に触れる。
抱きしめてやりたい。俺の腕の中に閉じ込めてやりたい。
でも、それはできないんだ。

ハァ、と息をついて少し心を落ち着けながら俺は言った。
「ちょっと来い。そんな顔している理由を話せ。聞くだけなら聞いてやる。」
「で、でも設楽先輩…!」
慌てた様子のアイツの手を掴んだまま、ちょうど近くにあったカフェに入る。
「いいから。」
71 親友愛情設楽先輩 大学イベ3/3 2010/08/24(火) 15:29:32 ID:W8oZx/DU0(3/3)
アイツから事の仔細を聞く。
やっぱり紺野絡みか。
正直聞きたくなかったと思わなくもないが、それでもこいつのあんな顔を見て放っておけるわけがない。

「紺野は悪気があったわけじゃないだろう。ていうか、何も考えてないと思うぞあいつ。」
「わかってるんです。紺野先輩は何も悪くないって。
 ただ私が勝手に先輩との距離を感じて寂しくなったっていうか…。一年の差って大きいですね。」
コーヒーカップをそっと持ち上げて、淋しげにアイツが笑って目を伏せる。

「大したことないだろう、一年なんて。お前が思ってる程違いなんてない。」

自分でも下手な慰めだと思う。
いや、慰めじゃないな。
実際、一年の差なんて思うほど大きくないんだ。想いが通じ合ってさえいれば。

「…ありがとうございます。設楽先輩に言われると、なんだかそんな気がしてきます。」
そう言ってふふっと笑ってこちらを見る。
「…なんだよ。」
「いいえ。やっぱり設楽先輩は優しいなーと思って。」
「なっ…!!」
自分の頬に朱が差すのが分かる。
「別に優しくなんてない、俺は。」
思わず横を向いてそう言うと、あいつはくすくす笑って言う。
「いいえ。設楽先輩はすごーく優しいです!」

「からかうのもいい加減にしろ!」
堪らなくなって俺は席を立つ。
「それだけ元気ならもう十分だな。帰るぞ。送ってやる。」
「はい!」
そう言ってアイツも立ち上がり、俺の隣に並ぶ。

そうして帰り道、アイツはいつも通りに学校の事やバイトの事、そして紺野の事を俺に話す。
それを聞きながら俺は思う。

本当に俺は優しくなんてないんだ。
お前の相談に乗ってやってるなんて言いながら全然話も聞かずに適当に相槌を打つことだってある。
人の気持ちを察してやるのが上手くないから、お前の様子がおかしい事にだってすぐ気が付いてやれない。
その上、上手に慰めることもできやしない。
ダメだと分かっているのに俺の腕に触れるお前の温もりを放したくない。

そしてお前が困るとしても、いつか本音をぶちまけてしまうだろうと俺は確信しているのだから。
72 2010/08/24(火) 20:17:26 ID:dCHfyX2QO携(1)
>>65さん。ありがとうございます。
ちょっと時間掛かってしまいそうですが、また書きたいと思います。
73 2010/08/24(火) 20:46:09 ID:OjIFI7.M0(1)
>>69 GJ!!
親友ぼっちゃまはまだなので、特攻してきます。

ここに投下されるADVは、みな各キャラの声がきこえてきそうで、
バンビさんたちの愛が感じられるよ
文才のあるバンビさんたち、投下楽しみにしてますww
74 2010/08/25(水) 00:38:55 ID:JwFKqBf6O携(1)
>>69
GJすぎる。ご馳走様です
本当に、このイベントはあって良かった。なぜ無いんだ573…!!
75 2010/08/25(水) 07:41:08 ID:WCX5ixs20(1)
>>73>>74
GJありがとうございます!上の設楽先輩ss書いたものです
ちなみに>>57の嵐×バンビも書きました

思った通りに全然書けない…やっぱり一朝一夕にはうまくいかないものですね
お目汚しな練習作ですけれど、これからも投下させてください!
今度は男前ニーナとか甘々嵐さんとか書きたいな…そして他の方の作品も読みたい!
76 2010/08/25(水) 19:05:14 ID:9eZM0Y8IO携(1)
何か色々増えてる…!
どれも美味しく頂きました、ありがとう
77 2010/08/25(水) 19:22:27 ID:CNIBJJHE0(1)
>>75
すごい!
嵐さんもぼっさんもリアルに光景が浮かんできます、ご馳走様でした

次回作待ってます!
78 2010/08/25(水) 21:54:41 ID:r/fUW7akO携(1/5)

先日新名補習イベの創作文書いた者です。
今回は、文化祭前イベから。
前回同様、台詞等あってません。
気にならない方、駄文ですがどうぞ。
79 新名 1/3 2010/08/25(水) 21:56:28 ID:r/fUW7akO携(2/5)

今年の文化祭は駄菓子バー。
棚に商品並べて、クラスメイトも漸く終わったと安堵の声を挙げる。
でも、なんかしっくりこない。
もう少し雰囲気作りたい気もすんだよな。
「ちょっと俺、気になんだけど」
「えー?」
「もう完璧だろ〜」
「ニーナ懲りすぎじゃね?」
ブーイングにも似た声。そりゃそうだろうな。
「先生にでも見てもらうか」
「あ、いいな、それ」
誰かの一言を受けて、教室の外に出た。
職員室に向かおうと歩き出したところで、見知った顔。
「ちょうど良かった。な、少しでいいんだ。時間貸して?」
「え?でも、時間が」
80 新名 2/3 2010/08/25(水) 21:57:15 ID:r/fUW7akO携(3/5)

確かに、その両手には演劇の台本と衣装らしき布を抱えている。今から体育館で通し稽古ってとこか。
でも、今出会ったのって、なんか意味ある気がするんだよな。
「大丈夫。すぐ済むから」
なんか怪しいキャッチみたいな言い方だけど、言い返す隙を与えず背中を押して連れて行く。
「スゴい!本格的だね」
「だろ。企画、立案、全部俺。ほめて」
教室の扉を開けて、開口一番、飾らない感想。
それを聞いたらさっきまでの違和感みたいなのがサッと消えた。
バイト中も思ったけど、なんかこの人の一言っていい感じ。
81 新名 3/3 2010/08/25(水) 21:58:00 ID:r/fUW7akO携(4/5)

「ニーナ、誰?」
「俺のカノジョ。だから手出しちゃダメ」
バイト以外、あんまり遊んだりしたこともなかったけど、なんかちょっと言ってみてもいいかな、と。
ちらりと視線を向けたら、元からくりっとした瞳をまん丸くしてる。頬もなんだか赤い。
周りが騒々しくなる中、名前を呼ぶ声に笑みを見せて。
「冗談。後で誤解解いとくって」
そう言ってみたら、口を尖らせて上目遣いしてきた。
うわ。なにこの人。すっげえ武器使ってくんじゃん。
前言撤回。
彼氏いるって反応じゃなかった。
それならさ。
事実にしちゃってもいいんじゃね。
卒業式まであと4ヶ月。
82 2010/08/25(水) 22:00:36 ID:r/fUW7akO携(5/5)

終わりが?な感じになってしまって、反省。
迷惑でなければ、次考えてきます。
83 2010/08/26(木) 00:05:21 ID:WemoHXns0(1/2)
>>81
最後にキュンと来たー
また待ってます!

皆めちゃくちゃうまいね!!プロかと思った
特に青春△最萌えなんで美味しくいただきました
今後も期待しております
84 嵐×バンビ 1/3 2010/08/26(木) 12:19:05 ID:yt/r3X7.0(1/4)
はば学を卒業して春休みに入ったものの、大学の合格発表や入学準備で毎日は慌ただしく過ぎていき
ようやく落ち着いたかな、と思える今日は嵐くんと二人で森林公園へお花見に行く予定。

「日本の春といえば、だ。桜見に行こ。」
三日前、嵐くんから電話でそう言われて、今日のこの日をとても楽しみにしていた。
付き合い始めて最初のデート。
今までも二人で出かけることは沢山あったけれど、ちゃんと『彼氏・彼女』としてデートするとなるとやっぱり嬉しい。
嵐くんの喜ぶ顔を見たくて今朝早くから私はお弁当の準備に勤しんでいた。
――嵐くんはお肉好きだからいっぱい用意して…バランス良く野菜も色々――
ブツブツと言いながら2人分にしては大きすぎるお弁当が出来上がった頃には
もう家を出ないといけない時間ぎりぎりになっていた。
私は慌てて支度を整え、玄関で靴を履きながら家の中にいるお母さんに声をかける。

「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。今度お家に連れていらっしゃいね、彼氏。
 前にお見舞いに来てくれた、体格の良いかっこいい子でしょ。」
クスクスと楽しそうに笑いながらお母さんがそんな事を言うから、
思わず玄関のドアを握ろうとする手がとまり恥ずかしさがこみ上げる。
…やっぱりばれてる。
「もう!!…行ってきます!」
こうしている暇はない。
とまった体を再び動かして、私はお弁当の入ったバッグに注意を払いながら公園に向かった。

公園入口にはすでに嵐くんが待っていた。
「ごめんね、遅くなっちゃった。」
「ん。いいよ、こんぐらい。」
嵐くんは柔らかく微笑んでそう言った。
そして視線を私のバッグに移して不思議そうな顔をした。
「てかお前、なんだその荷物。いつもよりやけにデカくね?」
「ふふっ。実はお弁当を作ってきました!」
私がバッグを掲げてそう言うと
「本当にか。すげー嬉しい。お前の手料理、合宿の時以来だな。」
目を見開いて嵐くんは大喜びしてくれた。

「荷物重いだろ。俺が持つから貸せ。こういうのは男の役目だ。」
そう言ってひょいっと私のバッグを片手で持つと、もう一方の手で私の手を握る。
「行くぞ。」
ごく自然なその動きに幸せを感じながら嵐くんに身を寄せて公園に入っていった。
85 嵐×バンビ 2/3 2010/08/26(木) 12:21:03 ID:yt/r3X7.0(2/4)
森林公園の桜は見頃で、多くの人達がお花見を楽しんでいる。
私達も丁度良い桜の木を見つけ、その下にレジャーシートを敷いて桜を楽しみながらお弁当を広げた。

「あーーすげーうまかった。あんがとな。」
嵐くんが目を細めて笑う。
「それにしても、お前何作ってもうまいな。やっぱ俺の目に狂いはなかった。俺の将来も安心だ。」
満足そうにそんな事言って。
深い意味はなく、いつもの天然な調子でそう言ってると分かっていても
やっぱり嵐くんの口からこの先の将来を予感させる事を聞くと自然と頬が緩んでしまう。
――嬉しいけど、やっぱり恥ずかしいな…。

「腹いっぱいでねみー…」
ぼんやりと桜を見上げながら呟く嵐くんを見て、私はふと思いついた。
「ねえ、嵐くん。」
ポンポン、と自分の膝を叩きながら
「ならば、わらわの膝を貸してやろうぞ。」
と私が言うと
「ははーー!有難き幸せ。…っていうか誰だそれ。」
ははっと笑って嵐くんはこちらを見る。
「でもいいかもな、それ。本当に貸してくんねぇ?」
嵐くんの優しい目を見て、一瞬心臓が跳ねる。
「うん、いいよ。どうぞ。」
一応デニムミニスカートの裾を伸ばして整えると、ごろっと嵐くんが横たわって私の膝に頭を乗せた。

自分で言い出したとはいえ、この状況になってみると物凄く恥ずかしい。
動揺を誤魔化すように
「寝心地はどうですか?」
と冗談めいて聞いてみたら
「すげーあったけぇ。…んで、すげー柔らけぇ。」
目を閉じて嵐くんが言った。
――もう、素直すぎるよ。
86 嵐×バンビ 3/3 2010/08/26(木) 12:28:02 ID:yt/r3X7.0(3/4)
そんな嵐くんの顔を直視できなくて私は頭上に広がる桜の枝を見上げた。
青空の中に広がる一面の薄桜色は吸い込まれそうな美しさで言葉が出ない。
「…ん?どうした?」
黙り込んだ私を不思議に思ったのか、嵐くんが聞いてくる。
「桜がね、すごく綺麗で。思わず見惚れちゃって…。」
「ああ。…すげー綺麗だな。」

嵐くんも桜に見入っているようで、ただ黙ってじっとしていた。
しばらくそうしていると
「おい、こっち向け。」
と、嵐くんがふいに言った。
何だろう?と視線を桜から外し、私の膝にある彼の顔を見ようと下を向いた瞬間。
膝にかかっていた重さがふっとなくなり、唇に温かなぬくもりを感じた。

一瞬何が起きたか分からなかった。
でもさっきまで唇にあった感触がなくなり、再び膝に重みがかかった瞬間私は我に返った。
――今のって…!!
一気に顔へ熱が集まるのを感じて私は両手で自分の顔を覆った。

「嵐くん…。誰かに見られたら恥ずかしいよ。」
やっとの思いでそう言うと
「大丈夫。みんな桜に夢中で俺たちのことなんて見てねーよ。」
嵐くんが飄々と答える。
指の間からチラっと嵐くんの顔を覗くとニヤリ、とやっぱりいつものように笑っていて。

「手、どかせよ。お前の顔が見てぇ。」
嵐くんはそっと私の髪に触れながら優しい声で言った。
おそるおそる手をどけると、嵐くんの指が私の髪からそっと頬へ流れるように移動して
私は触れた部分が熱くなる。

「綺麗だな。桜もだけど、お前もきらきらしててすげー綺麗。」
いきなりそう言われて、息が止まりそうになる。
「俺、こういうのどう言っていいかわかんねーから上手く言えねーけど。
 お前が好きだ、すごく。すげー大事。これからもずっと大事にしていくから、ずっと傍にいてくれ。」
真剣な眼差しで嵐くんが言った。
「お前は――?」
 
震える手に力を込めて、私は嵐くんの髪を撫でながら口を開く。
「…私も、嵐くんが大好き。ずっと傍にいさせてね。」
勇気を振り絞って言うと
「よし!」
嵐くんは私の髪をくしゃっと掻き回すように撫でて、今日一番の笑顔を私に向けてくれたのだった。
87 2010/08/26(木) 13:20:26 ID:q/myJLPs0(1)
>>84-86
GJGJGJ
禿げ萌えました。どうもありがとう!
88 2010/08/26(木) 13:51:59 ID:ImftV1D20(1)
嵐さんSSマジパネェ!!GJすぐる・・・・。
禿萌えた!!!!!
89 2010/08/26(木) 13:54:40 ID:rytIfaWcO携(1)
GJ!萌えたー!
情景が目に浮かぶようだ…
職人姐さん達すごすぎ最高!
90 2010/08/26(木) 14:00:03 ID:yt/r3X7.0(4/4)
嵐×バンビ書いたものです
良かった…軽くちゅーしてるからここじゃヤバイかなと思ったけど
受け入れてもらえたようで安心しました
甘々嵐さんは書いていて楽しいけど恥ずかしかった…
91 2010/08/26(木) 14:41:36 ID:WemoHXns0(2/2)
>>90
最高!!!禿萌えました。28282828
攻略一通り終わっちゃったから
ここで萌えを補給させてもらおう
次も楽しみに待ってます!
92 2010/08/26(木) 22:03:55 ID:CcLUusQwO携(1)
90さん、GJ!
セリフがまんま嵐さんの声で脳内再生されました
93 2010/08/27(金) 00:29:32 ID:v2Fol3M20(1)
>>90
やばいむちゃ萌えた!ありがとう!!
94 2010/08/27(金) 02:03:25 ID:pcS7XjL6O携(1)
>>90Gjでした!

嵐さんとバンビとのほんわかした内容で素敵でした。
嵐さんの声が再生されたw
95 2010/08/27(金) 14:29:21 ID:L682dzYYO携(1)
>>83さん。遅くなりました。
感想ありがとうございます。
青春△はもう、衝撃大きすぎですよね。
期待に応えられるか分かりませんが、また出来次第載せにきます。
96 ニーナ×バンビ 1/5 2010/08/29(日) 00:37:22 ID:U29bQz5U0(1/6)
真夏の照りつけるような日差しも夕方になると和らぎ、街の熱を冷ます涼しげな風が流れてくる。
行き交う人々の波に押し流されないように私をさり気なく庇いながら、繋いだ手に力を込めて新名くんが言った。

「やっぱすっげ人だね。花火までまだ時間あるし、縁日でも見て回ろうぜ。」
今年で新名くんと花火に来るのは3回目。
卒業してもこうして変わらず彼と一緒にいられる毎日が嬉しくて、ついついはしゃいでしまう。
「うん。あ、私、かき氷食べたいな!」
「りょーかい。さ、行こうぜお姫さま?」

――また少し背が高くなったな…
そんな事を考えながら隣を歩く新名くんを見ていると、その視線に気づいた彼が悪戯な笑みを浮かべてこっちを見る。
「なーにぃ?オレに見惚れちゃった?」
冗談っぽく言う新名くんにドキッと一瞬胸が高鳴ってしまう。
「もう!」
私は恥ずかしくなって、肩に触れる彼の逞しい腕にこつんと頭を寄せた。
「ああ、もう……。アンタそれ反則…。」
そう言って新名くんが歩をゆるめたその時。

「あ、おーい!新名!」
少し離れた所から、5〜6人の男の人達がこちらに向かってきた。
「やっぱり新名じゃん。よ!やっぱ彼女さんと来てたんだ〜。」
「ハァ…ヤバイのに見つかった…。」
新名くんは溜息をつく。
いきなりの状況に私は少し驚いてチラリと新名くんを見上げた。
「こいつら、学校の友達。」
97 ニーナ×バンビ 2/5 2010/08/29(日) 00:38:47 ID:U29bQz5U0(2/6)
「わーすげー!やっぱ新名の彼女さん噂通り超かわいー。」
「ばーかお前、去年のローズクイーンなんだから可愛いにきまってんだろー。」
「あ、どーも俺、佐藤っていいます。新名にはいつも世話かけられてます。」
ワイワイと高いテンションで次々と話しかけてくる彼らを見てたら、高校時代が懐かしくなって
私はクスクスとつい笑いがこみあげてくる。
――元気でかわいいな、新名くんのお友達。

「…やべー。本気で新名羨ましー…。」
「浴衣姿だとすごい色っぽいし、彼女さん。」
「あ、あの記念に握手してもらっていいですか。」
新名くんのお友達の一人が差し出した手を、勢いにのまれておずおずと握り返すと
「あ!ずりー!!俺もいいっすか。」
「ばーか次は俺だって。」
あっという間に取り囲まれてしまう。
急に不安になって思わず身を竦ませていると
「ストーーーップ!!」
新名くんがお友達を遮るように立ち、私を背に庇う。

「お前らいい加減にしろっつーの。せっかくのデートなんだからジャマしない!ほらあっち行けって。」
しっしっと手で追い払う真似をして新名くんが言った。
「ちぇーケチー!」
ブーブーと文句を言いつつも、大人しく皆離れていく。
「じゃーまたなー新名。」
「学校でなー。」

「あーもー分かった分かった。またな。」
連れ立ってその場を後にするお友達に、新名くんはおざなりに手を振った。
98 ニーナ×バンビ 3/5 2010/08/29(日) 00:41:29 ID:U29bQz5U0(3/6)
ふう…ちょっと驚いちゃった…。
「お友達、皆面白い人達だね。」
新名くんの方を向きながらそう言ったら、繋いだままだった手を急にひっぱりながら彼が足早に歩きだした。
「え、ちょ、新名くん?」
「行こう。花火見るの、去年と同じ場所でいいよね。」
振り向かずに歩き続ける新名くんの背中を見つめながら、とりあえずついていく。

去年花火を見た場所は穴場のようで、人気が少ない割に花火が良く見える場所だった。
その場所にもう少しで着くところなのに、新名くんはこちらを振り向かずひたすら無言で歩き続ける。
いつもと違ったその雰囲気を変えようと、私は彼の背中に話しかけた。

「新名くんのお友達、みんな元気で可愛いね。なんていうか、高校生!って感じで、すごく。」
途端、ピタッと足を止めた彼の背中に私は勢い余って軽くぶつかってしまった。
いたた…と鼻をおさえながら
「新名くん…?どうしたの、何か―――」
そう言うと、いつの間にか振り返った新名くんの強い視線に捕まる。
99 ニーナ×バンビ 4/5 2010/08/29(日) 00:42:42 ID:U29bQz5U0(4/6)
「ね、それ、どういう意味?」
繋いだ手が解かれて、通り抜けた風に指先が冷やされていく。
「一つ年下だからガキっぽい…そういう意味?オレもアンタにそう見られてるってこと――?」
怒りを孕んだ瞳に射すくめられて私が何も言えずにいると、ふっと目を逸らして新名くんは横を向く。
「…ゴメン。言い過ぎた。」
少し傷ついた様な横顔を見て、チクリと胸が痛む。
――違うの、そうじゃなくて。
言いたい事が上手く伝えられない。ううん、私がきちんと伝えてないからだ。

「私、新名くんのこと年下だからどう、とか思ったことないよ。」
横を向いていた彼の顔がはっとこちらに向けられ、再びその強い瞳にぶつかる。
「新名くんは優しくて、色んな事に一生懸命で。私にとってたった一人の大切な男の人だよ。」


「ごめん!」
グイっと肩を掴む力に流された私の体は、一瞬の内に逞しい胸と腕に包まれて息もできないほど強く抱かれていた。
繰り返す早い鼓動を頬に直に感じて、一気に体が熱くなる。
「ホントごめん。さっきのはただの妬きもち。」
「新名くん…?」
顔を上げて彼の顔を見ようと私が身動きすると、それを制するように更に腕の力が強まる。
「そのままで聞いて。」
耳元で囁くようにかけられる新名くんの甘い声に、心臓が早鐘を打つ。
100 ニーナ×バンビ 5/5 2010/08/29(日) 00:44:17 ID:U29bQz5U0(5/6)
「アンタってさ、すっげ魅力的なクセに全然その辺無頓着っていうか…隙があるからさ。
 さっきみたいにオレ以外のヤツと仲良くされるとメチャクチャ不安になる。」
そんなこと、と私が言いかけると、そっと私の髪を撫でて
「しっ。…黙って聞いて?」
新名くんが囁く。
「オレはどう頑張っても、やっぱアンタの年下だからさ。ガキみたいに思われねーかとか気になるし。
 ――てか、こんな事言ってるようじゃガキだよな…。ああもう、オレマジでかっこわりぃ…。」

「そんなことないよ!」
私は顔を上げて、新名くんの胸元を握る手に力を込めて言った。
「私は、新名くんのそんな可愛い所も恰好良い所も全部好き!大好きなの!
 だから、そんな事言わないで…」

目を見開いたまま私の言葉を聞いて、新名くんは顔を赤らめた。
「アンタにはマジかなわねーよ。」
熱を帯びた瞳を細めて、艶やかに笑う。

「前にも言ったかも…だけどさ。」
私の髪を一筋掬い上げて、そこに口付けながら目を伏せる。
「アンタの何もかもが愛しい――この髪も」
離れた唇は次に瞼へ、そして優しく私の手を握るとその指先へと触れていく。
「目も手も、全部オレだけのモノだから。」
唇が触れるたびに微かな息がかかり、羞恥と熱にうかされてクラクラしてしまう。
「もちろん、ここも。――目、閉じて?」

聞こえてくる花火の音を遠くに感じながら、私はそっと唇に触れる新名くんの温もりを確かめるように感じていた。
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