FFDQかっこいい男コンテスト 〜ドラゴンクエスト4部門〜 (250レス)
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231: 復讐 3/8 2011/05/31(火)01:05 AAS
「背中が色とりどりになってるよ。これが意味してること、自分で分かってる?」
 僕は回復呪文をかけながら問い掛けると、クリフトはこくりとうなづいて「階段からモンスターに落とされたから…。」と小声で呟いた。
「あれって階段から落ちてたんだ。よく耐えたな!…っていやいや、そうじゃないだろ。階段落ちだけじゃないだろ、これ。」
「打撲の色が違うのは、怪我をした時間がそれぞれ違うからです。」
 クリフトは益々消え入りそうな声で呟いた。
「正解。つまりこれって今日は最初の戦闘から自分に対して回復呪文をほとんど掛けて無かった、ということかなぁ?」
 回復呪文が早速効いてきて、打撲痕が綺麗になっていく。クリフトは痛みが消えたはずの背中をますます丸めた。
「申し訳ありませんでした…。」
「なんでこんなことしたのか聞いていい?まさかしょっちゅうやってるんじゃないよね?」
 ひとまず全ての打撲を消して、僕が少し強い口調で言うとクリフトは慌てて首を振り、「そんなにはやってません!」と語るに落ちる台詞を吐いた。
「じゃあ、時々やってるわけだ。なんで?魔力を温存するため?」
「あっ…いえ、その…。」
「で、今日はなんで節約モードに入ってたの?僕が命令したわけじゃないよね?」
「姫さまが…。」
「アリーナが自分の怪我治すの我慢しろっつったの!?」
「違います!姫さまはそんな事おっしゃったりしません!」
「じゃあ、アリーナ姫がどうしたんだよ。」
「私が勝手に判断したことなんです。」
「前置き長い。いいから早く吐いちゃって。」

「『今日はダンジョンの最奥まで行きたい。』」

 僕は全てを理解して天を仰いだ。「それ、アリーナの言葉?」
 クリフトがこくりとうなづく。
「その言葉に、クリフトは縛られちゃったわけだ。
 姫さまが喜んでくれるなら、高いところから階段落ちしても耐えてみせるって?」
 クリフトは怯えた顔で下を向く。
「さすがに、今日は気が付いたら魔力が本当に残ってなくて。
 自分がどれだけ愚かなことをしたのか、分かっているつもりです。」
「ダンジョンの最奥で回復役に死なれる方が辛いんだけど。
 それに、このことをアリーナが知ったら、自分自身を責めるんじゃないの?」
「姫さまには…!」
 うな垂れていたクリフトがすがるように僕を見上げる。
「言わない、言わないよ。」
 僕は肩をすくめた。クリフトはやっと安堵して笑顔を浮かべる。僕はその顔面に素早く唱えたラリホーマを浴びせてやった。

 そして、今に至る。
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