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第2回東方最萌トーナメント 17本目

17Silent Selene(5/5):2005/02/03(木) 19:24:08 ID:sUX3giBo
「ええ、それはわかってたけど・・・・」
 そう言って、お二人が同じ方向を見てる。すると、そこからすまなそうな顔をして出てきたのは・・・・
警備隊長だった。
「美鈴、あなたいい趣味してないわね」
「そんな!私だって聞くつもりはありませんでしたよ!でも、離れるタイミングが掴めなくて・・・・」
「言い訳はいいわよ。咲夜には伝えておくから」
「ええ〜!?」
 相変わらずなお二人を見たせいだろう。永琳さんの顔が、わずかにほころんだ。やっぱり、涙は残
っていたけど。それから隊長の方へ向き、
「で・・・・門番のあなた・・・・中国、だったかしら?」
「美鈴です!!」
 隊長がすごい勢いで反論してるけど、永琳さんは気にしない。・・・・ある意味、見事。
「あなたは・・・・門番なんかしてるんだから、自分と同じ妖怪を殺すこともあるんじゃない?」
「ええ、ありますよ?」
「それで・・・・それが辛いと思うことって、無いの?」
 隊長は一瞬首をかしげて・・・・何かに思い当たったように、話し始めた。
「そりゃ・・・・殺しちゃったら後味はよくないですけど、でも私の仕事だと仕方ないですから。ちょっ
とイヤな思いをしても、お嬢様や咲夜さん達が少しでも心安らかにいられれば、かまいません」
「私も・・・・」
 思わず、話に割り込んでしまう。でもみんな、嫌な顔もしないで聞いてくれた。
「私も、時々図書館に出る魔物を殺します。その時はイヤですけど、パチュリー様がゆっくり本が読
めるだけで、十分です」
 私たちの話を聞き、永琳さんは黙ってしまった。・・・・永琳さんがこんなことをおっしゃったのは、
多分、ご自分の罪の意識から。それをどう扱っていいのか、わかりかねているのだろう。
 それがおわかりなのだろうか。パチュリー様は苦笑して、
「まあ、この子達は単純だからね、あんまり参考にならないだろうけど」
「単純ってなんですか!?」
 隊長と二人、完璧に声が重なった。が、
「それで、永琳」
「無視ですか!?」
 カンッペキにスルー。パチュリー様、流石です。
「長居させたお詫びに、これあげるわ」
「え・・・・。スペルカード?」
「ええ」
 パチュリー様がお渡しになったのは、ご自身の符。「サイレント・セレナ」だった。・・・・なんです
か?意味がわからないんですけど。
「・・・・どういう意味なの?
「だから、お詫び。――月はね、無言で見守る母親のようなものだと思うの。誰かの力で輝き、誰か
の力で強くなる。誰かのためには・・・・他の何かをも隠してしまえる存在、なんじゃないかしら」
 だから、あなたにそれをあげる。パチュリー様はそう言って、微笑んだ。・・・・そうだ。ここにいる
みんなは、月なんだ。誰かのために輝き、誰かのために生きてる。そんな――月。
 永琳さんは黙ったまま、ふっと目を上げた。
「月から見る月は、穢れた厭わしい月だった。じゃあ、地上から見る月は――?」
「きっと、この上なく綺麗な月よ。月人が月を離れても、きっとその月人にも綺麗に見えるわ」
 パチュリー様はそう言うと、月のように綺麗な笑顔で、にっこりと微笑まれた。




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