[過去ログ] 【ゾンビ】ホームセンター攻防扁【ゾンビ】 その2 (790レス)
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26: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 16:48 AAS
一発、二発、三発。銃弾を撃ち込む度に砕け飛ぶ肉片。
そうだった。オレが警察官になりたかった理由ってこれだった。
オレは銃を持ちたかった。撃ちたかった。有事の事態になって初めて、
オレの中にあった「ガンクレイジー」が呼び起された。
同僚は全員死亡した様子だった。まあ、狭い小学校の教室で発砲すりゃ
結果はこうなるさ。お互い疑心暗鬼になりすぎたな。
とりあえず動いているものはいない。オレは教室を離れ、慎重に階段を
降りていった。4階、3階、2階・・・。
仲間の分を集めても残弾数は10発ちょっと。これで果たしてこの町を生きて
出られるだろうか。三上が生きてりゃその可能性はグンと上がりそうだが。
省4
27: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 16:48 AAS
教員用の駐車場のような所へ出た。出口はすぐそこ。やれやれ、車が使えればなあ。
ともあれやっとここから出られる。正直「なれの果て」とはいえ子供を撃つのは
もううんざりだった。
「おまわりさん・・・」
驚いて振り向くとそこには小5、6くらいの女の子が立っている。
「ど・・、な?」
声がつまった。まさか生き残りがいるとは・・・。
服装は男の子っぽいが、色白な綺麗な子だ。でも色白すぎる、
顔面蒼白ってやつだ。見ると震えている。
「お願い、友達を助けてください」
省15
28: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 16:49 AAS
子供連れじゃ生き残れる可能性はほとんど無いだろう。
はっきり「氏ね」とでも言ってやりたいところだが、今の
「何でもします」フレーズがオレの頭にピンと来た。
この奇病は親方アメリカを発端として起こってる。
メディアも機能しなくなり、警察消防自衛隊もあの(この)ザマだ。
はっきり言って、今後事態は悪くなる一方だろう。治安回復も
ありえないだろうし、ひょっとすりゃ数年、いやもっと長い間無法地帯のまま。
そんならまだガキとはいえ、この少女を連れていくのはオレにとっておおいに
プラスだろう・・・。発育も良さそうだ。オレは少女の太腿に視線を落としながら
彼女に手を差し伸べた。
省3
29: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 16:50 AAS
残念というか、好都合というか、少女の友人(2人とも男・・・)はすでに
死んでいた。泣き喚く彼女を連れてオレは三上の家の近所まで辿り着いた。
「・・・もう泣くなよ、体力を消耗するだけだぞ。それに、奴らに気付かれる…。」
「・・・はい・・・。」
「おまえ名前は?」
「陽子・・・」
民家の塀の裏に隠れているが、「なれの果て」ども、数がどんどん増えてやがる。
この様子じゃ見つかるのは時間の問題だ。
「・・・わりさんは?」
「は!?」
省7
30: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 16:50 AAS
夜になった。暗闇の中、一歩一歩三上の家に近づく。陽子はすっかりオレを
信頼しているようだ。ぴったりとくっついて離れない。
三上の家に着くと、ものすごい硝煙のニオイを感じた。
そしておびただしい数の「なれの果て」の残骸。どうやら三上が自慢の
「隠し子」でドンパチやったようだ。
ここまで来たらコソコソしても意味がない。オレは三上を呼んだ。
「三上ーーーーー!!!」
しばしの沈黙。やがて、すぐ横にあったイナバ物置の戸が開いた。
「キムラ・・・か?」
どうやらオレ達ヘリに乗れそうだ。
省1
32: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 17:48 AAS
小学校の教室。林が寺岡の「なれの果て」に銃弾をぶち込む。
スローモーションで崩れ落ちていく寺岡。
「やめろーーやめろーーー」立ち込める硝煙と血のニオイの中、
怒鳴っている三原巡査がいた。
オレはといえば三原巡査が落とした銃を拾い、自分の銃に
弾を詰め替えた。三原巡査は腕を噛まれている。もう長くないだろう
とオレは判断した。そして林。こいつ、オレに似てる。
元同僚が「なれの果て」になった途端、迷わず殺しやがった。
今後、強い味方になるだろうが、今いち信用できない。
「林ぃーーー!やめろぉ!」
省11
33: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 17:49 AAS
全てがスローモーションで進行した。三原巡査のメガネが砕け散る音。
血の噴水って初めて見た。三原巡査の顔は粉砕され、口が歪んで
笑っている様に見えた。運良くオレの方に銃を向けた新人君には
林の1発目が当たったようだ(真横から血が飛んできた)。
のけぞりながら林を撃ちつづけていると3発目で顔の上半分が
無くなった。暗転。
死体の血のぬくもりが床から伝わってくる。
小便と同じくらいの温度あるのかなあ、とか思いつつ、同僚4人の死体を
後に教室を立ち去ろうとドアに手をかける。
開かない・・・。
省3
34: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 17:50 AAS
目が覚めると陽子が心配そうに覗き込んでいた。
オレ、全身汗だくだ。
「大丈夫か、お前?相当うなされてたぜ」
コックピットから三上の声がした。
ああ、そうだ。小学校から何とか脱出し、三上のとこまで
行ったんだったっけ。
「柄にもないな・・・」
一人言をつぶやくとオレは起き上がった。
「今どのへんだ?」
ヘリは爆音を上げて飛んでいる。下には山しか見えない。
省15
35: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/12 17:53 AAS
ヘリ後部の荷物を確認すると、出だしとしてはそこそこ良い感じだった。
燃料、食料、水、武器類、衣料、一応は揃ってる。しかし、いつまでもつことか。
しかも目的地さえわからないときてる。
「・・・・の」
陽子が何か言った。
「ん?」
「北海道におばあちゃんがいるの」
「フーン・・・」
ヘリは爆音を上げ、北へ北へと向かう。
最後に旅行に行ったのはいつだったっけ…。
省2
57: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 10:10 AAS
東北道を北上し始めてどれくらいの時間が過ぎただろう・・・。
弥生は助手席で寝息を立てている。カーナビをつけているが、
依然、起動画面のまま動かない。あとどれくらいで青森県内に入るのだろうか。
前にも後ろにも車の姿はない。仙台を過ぎたあたりからだったろうか、
こんなに人気がなくなったのは・・・。一体これからどうなるのだろう。
東京を出る時、もう死ぬんだと思った。でも、私達まだ生きてる。
北の方へ行けばあの奇病からも逃げられるかと思ったけど、
この静けさは何?人の気配が全くない。みんな考える事は一緒で
北上する人間で溢れているハズだと思ったのに・・・。
「・・・・まどか、ここどこ?」
省4
58: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 10:10 AAS
弥生はこれ以上ないくらい不安そうな表情だ。顔色も悪い。
無理もない。彼女みたいな典型的な箱入り娘があんな異常な状況に
置かれ、あてもないこんな見知らぬ土地まで連れて来られているのだ。
心細い事だろう。しかも道連れが私一人。
なんとか頼りになる人間を見つけないと。男勝りと(不本意ながらも)
言われる私が一緒とはいえ、やはり女二人では危険だ。
これから先、どんな無法地帯が私達を待ち受けているか予想もできない。
せめて武器。武器が必要だ。
東京は酷いものだった。あの正体不明のバケモノ達以上に私は人間が
恐ろしかった。目を覆いたくなる略奪行為・・・。あそこまで変われてしまう
省9
61: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 11:29 AAS
やっとの事で青森県内へ入った。青森ICに入り、陸奥湾を目指す。
ガソリンがもつかどうか不安だったが、なんとか無事にフェリー・ターミナル
まで辿り着くことができた。
車から降り立つと、潮の香りが鼻腔に満ちた。生臭い・・・。
明かりは一切ない。人がいないのだ。無人なのだ。
「まどかー・・・、真っ暗で怖いよお」
続いて降りて来た弥生が情けない声を出した。
車のヘッドライトで港の一部が切り出された様に闇に浮かび上がっている。
本当に誰もいないのだろうか。
「船、動いてないねこんなんじゃ・・・」
省12
62: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 11:29 AAS
おみやげコーナーの様なところへ行くと、宝の山があった。
たくさんの食料と飲み物。誰も手をつけていない様子だ。
いよいよおかしい。こんなもの真っ先に持っていかれるハズなのに。
手当たり次第、口をつけて胃に食べ物を流しこんでいると、だんだん
気分が落ち着いてきた。弥生も嬉しそうに食べている。血色が良くなり、
頬が薔薇色になっている。本当に人形みたいな子だな、と思う。
「さて、これからどうしよう・・・」
後ろの壁に寄りかかりながら、ため息をつくように言うと、
弥生が顔を覗きこんできた。
「まどか、車、あとどれくらい動く?」
省5
63: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 12:13 AAS
>59
ご安心ください。話はつづいています。
構成です。
64: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 12:16 AAS
一体いつまでここに隠れていなければならないのか。
真っ暗だ。早く「向こう側」へ出たい。
「三上、何時間経った?」
闇で姿は見えないが、キスでもできそうな距離から木村の声が
聞こえた。オレは時計のライトをつけた。
「・・・・まだ2時間くらいしか経ってねえな。きっと奴らまだそこらに
いやがるよ」
時計のライトの反射で暗闇に木村と陽子ちゃんの顔が浮かんだ。
なんて面してやがる。まるで死人みたいにやつれて・・・。
でも多分オレも同じ様なもんだろう。
省10
65: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 12:17 AAS
青函トンネル。本州側の青森県今別町と北海道側の知内町を結ぶ、
総延長53.85キロ(海底部分は23.3キロ)の世界最長の
海底トンネル。
今までここを歩いて北海道まで行こうと思った人間がいただろうか。
いたとは思うが一般人で実践するのは私らが初めてではないだろうか?
トンネルの入り口に立ち、懐中電灯のスイッチを入れた。
だめだ。何の役にもたたない。ただ漆黒の暗闇だけが続いている。
発案者のくせに弥生はもう怖気づいてる。
「ま、まどか・・・やっぱやめよう・・・」
「・・・うーん、でも今さら戻ってもねえ」
省10
68: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 15:51 AAS
トンネルの中はジメジメしていた。どれくらい進んだんだろう。
暗闇にも慣れ、次第に歩くペースも上がってきた。
弥生に到っては張り切り過ぎと言っても過言ではない。
はあはあと肩で息をしている。
「弥生、そんなに飛ばしたら後がもたないよ」
「大丈夫、大丈夫、そんな事より早く出たいもん」
私の3メートルほど先を行きながら、元気そうに言い放つ。
トンネル内は傾斜しており、ひたすら下りが続く。一体どこまで続くのか。
二度と這い上がれない地の底へ向かっている様な気がして、少し不安になった。
さらに2時間程歩くと駅のような所に出た。
省4
69: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 15:51 AAS
「まだ、13、14キロ程度か・・・」
がっかりしながら言うと、弥生が振り向いて怖い顔をした。
「コラ、まどか、弱音吐いてる場合じゃないよ。もう3分の1来たと
思えばいいじゃない」
そう楽観的にとれれば苦労しないのだが・・・。しかもまだ3分の1も
来ていないし。でもまあ、弥生の言う通りだ。もっと気をしっかり持たなくては。
突然、何か音がした。
「しっ・・・」
弥生に静かにする様に促し、耳を澄ます。
ズリ、ズリ、ズリ。何かを擦る音。
70: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 15:52 AAS
少し寝ていたようだ。目を覚ますと、三上と陽子が何か話している。
どうやら銃の扱いを教えてるらしい。教えたって無駄だと思うが・・・。
こんなガキが銃を持ってたって、大勢の「なれの果て」に襲われりゃ何の
役にもたちゃしない。
しゃべるのが面倒なので、そのまま寝たふりを続けた。もっとも目を開けてても
暗闇のせいでお互いの顔は見えないのだが。
「あの・・・」
陽子が突然か細い声を出した。
「ん?」
三上が銃をしまっている音が聞こえる。
省12
71: 青田 ◆t291XhvMgA 02/10/14 15:53 AAS
息ができない・・・。こんなに全速力で走ったことない。
どこまで走ればいいんだろう。まどかは?無事だろうか?
私を先に逃がしてくれた・・・。
「弥生ーーーーー!大丈夫ーーー!?」
後方からまどかの声がする。良かった。生きてた。
後ろを振り向くとまどかがすごい形相で走ってきている。
「そこ!その横の扉開けて!!」
私の右前方に鉄製の大きな扉があった。ドアに飛びつき、ノブを回す。
開いた。すぐにまどかが走り寄って来て、二人してドアの中に駆け込んだ。
ドアを閉めると、その場にへたり込んでしまった。
省4
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