[過去ログ] 【ゾンビ】ホームセンター攻防扁【ゾンビ】 その2 (790レス)
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465: 数学屋 ◆Z62ETnTQww 02/10/24 20:49 AAS
宣告はあっさりしていた。
運が良くて一週間。運が悪ければ今日中にも。
「こればかりは経験者などいませんし、前例もありません。憶測だけです」
医者はそう言って謝るように頭を下げた。
私にも医者に対する怒りはなかった。ゾンビに噛まれた人間がいつゾンビ化するかなど、わかるわけがない。第一、ゾンビの存在の公式発表から時間はそれほど経っていないのだから。
「いいんですよ。それで先生。“傭兵”の受付はどこですか?」
医者は、俯いたまま一枚のプリントを差し出した。
「ありがとうございます。先生」
「すいません」
「謝らないで下さい、先生。私はね、女房にゃ愛想尽かされて、娘にも捨てられた、そんな嫌な男ですよ。しかしね、こんな私でもこの年になってようやく他人様の役に立てるのかと思うと、嬉しくなってくるんですよ」
私は立ち上がると、左腕を振りながら診察室を出た。
違和感は感じるが、不思議と痛みはない。ついさっき投与された薬のせいだろう。それとも痛みを感じる神経も死につつあるのか?
二の腕の中程、ゾンビに噛まれた部分はややはれぼったいような感覚があるだけだ。
これで私も、遅かれ早かれゾンビになる。
だが、そんな私にも出来ることがあるのだ。
いや、こんな私だからこそ出来ること。
考えながら“傭兵”受付の扉の前で立ち止まったとき、ようやく背後の人影に気付いた。
「貴方は?」
「失礼」
男は軽く会釈するが、私に向けたライフルの銃口は全くぶれていない。
「“患者”には、その処遇が決まるまで見張りが付けられることになっています」
言われてみればその通りだ。当然の処置だろう。
「私は、ここの受付に用があるんだ」
男は突然直立不動の体勢を取ると、私に向かって最敬礼した。
「自分は、貴方の意思に感銘を受けております。そしてこれは、我ら一同を代表しての言葉です」
男は帽子を脱いだ。
「ありがとうございますっ!」
「はは、どうも、照れくさいね」
私はくすぐったい気持ちになりながら、受付のドアを潜った。
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