[過去ログ] 【PBW】Lost Arcadia -Last Code Daybreak-【ロスアカ】 (1002レス)
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896: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:44 ID:apHWnw+I0(1/103) AAS
イッシュ地方でもピッピというポケモンはペットとして人気がある
可愛い容姿に愛くるしい仕草、神秘的な生態など魅力溢れるポケモンだ
可愛がればよく懐くし火を吹いたり物を壊す心配もなく餌もあまり選り好みしない
だが一つだけ問題がある、それは入手がとても困難な事だ
生息域がとても限られている上に見つけるのも難しい、丸3日間山や洞窟を歩き回って1匹も見つからないなんて事もザラである
おまけにイッシュ地方でのピッピの生息域はジャイアントホールというメタグロスやマンムーなど屈強なポケモンが闊歩する超危険地帯なのである
それ故イッシュ地方のピッピはポケモンショップでとんでもない高額で売られている

「ピッピ〜♪」
「おとーさん、おとーさん、ピッピ欲しーっ!」
ここはデパートの中にあるポケモンショップ
省11
897: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:45 ID:apHWnw+I0(2/103) AAS
「おとーさん、この子欲しい!」
「3万円か… これならいいかもしれんな。でもお母さんに相談してからだぞ」
あまり安いとは言えないが隣のピッピと比べるとずいぶんとお手頃だ
それもそのはず、子タブンネは高価なピッピの代用品としてポケモンショップに流通しているのである
代用とは言うが卵グループと全体的にピンク色な位しか共通点は無い
それでもピッピに手が出ないかわいいポケモン好きな人達にけっこうな需要があるのだ
子供の誕生日やクリスマスのプレゼントとして購入する親御さんも多い

「ミィー ミィー ミィー!」
「この子泣いちゃったよ、早く買ってあげようよ!」
今度はガラスケースをペチペチと必死に叩きはじめた子タブンネ
省9
898: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:46 ID:apHWnw+I0(3/103) AAS
秋も終わりの11月、イッシュ地方にある名もない草むらの中で大きな麻袋を持った2人の男が子タブンネを探していた
1人はルカリオ、もう1人はドリュウズを傍らに連れている

「ワフ!」
「おっ、見つけたか」
ルカリオが一件なんの変哲もない場所を指差すと、ドリュウズがそこを掘り起こす
するとその時、2人の近くからガサガサと草を揺らす大きな音が

「兄貴、襲ってくるんじゃねえか?」
「黙って続けろ、巣から気を反らそうとしてやってるだけだ」

30センチ近く掘ると地中に大きな空洞が見つかった
その中から「チィチイ」「ミィミィ」と子タブンネの声が聞こえてくる
省11
899: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:46 ID:apHWnw+I0(4/103) AAS
「よし、捕まえよう。目が空いて
ないのは捕まえなくていいぞ」
「わかってまさぁ」

男たちは子タブンネだけを次々捕まえ、麻袋に放り込んでいく
捕まれたタブンネたちは「ミ゙-ッ!」と鳴いて手足をジタバタさせて抵抗するが男たちは気にも止めない
中には恐怖で糞尿を漏らす子タブンネもいたがそれも気にされる事もなくお尻を汚したまま麻袋に放り込まれた

「チー!チー!ビー!ミーッミーッ!ビャアアアアア!!」
「ミイーッ!!」
「おっ、ママさんのお出ましだぞ、出迎えてやれぃ」

麻袋の中のタブンネ達のママンネが草むらを掻き分けて男たちの前に姿を現した
省14
900: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:47 ID:apHWnw+I0(5/103) AAS
仲間が倒されて怒りに火がついたのか、草むらから出てきたタブンネたちも「ミィーッ!」と雄叫びを上げながら次々と男たちに突進していったが、結果は惨憺たる物であった
波動弾で吹き飛ばされ、メタルクローで腹を引き裂かれ、顎や腹に飛び膝蹴りを食らって血と折れた歯を撒き散らしながら次々と倒れていった
2人のポケモンは戦闘用に鍛え上げられたポケモンだ。野生のタブンネが何匹来ようと負けるはずがない
気がつくと2人の周りに居るのは倒れた半死半生のタブンネだけだった

「あらかたやっつけたみてぇだな、ルカリオ、波動で逃げるタブンネを見つけ出せ、
 リーマ(弟分の名前)、お前は草むらが揺れてる所を当たってみろ」
「がってんでさ!」

襲い来るタブンネたちを倒しても兄貴分はのんびりする事なく指示を急ぐ
多くの場合巣が襲われて戦闘に出るのは父タブンネで
その父タブンネが倒されると母タブンネは巣から子供を連れて逃げだしてしまうからだ
省11
901: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:47 ID:apHWnw+I0(6/103) AAS
『ヂィー ! ミ゙ィ-!ミ゙ィ-! ビビィ! ヴミ゙ー!!』

大量に喜ぶ男たちと対照的に、袋の中の子タブンネたちは地獄そのものの様相であった
詰め込まれた子タブンネ達の体温で中は灼熱の蒸し風呂状態、
ついでに上からも下からも糞尿が降り注ぎ全身を容赦なく汚し、充満する悪臭で息もまともに吸えない
無数の子タブンネが泣き喚く甲高い騒音にも耳のいい子タブンネたちは苦しめられた
この地獄から脱出しようと子タブンネたちは仲間たちを蹴り、そして押しのけながら闇の中を動き回る
しかし、その出口は固い紐でしっかりと閉じられているのであった

「ちょっといくらなんでも詰め込みすぎたな、酸欠で死ぬかもしれんから空気入れてやろうや」
「へい」

弟分は大型のエアポンプを起動し、そこから枝分かれして伸びる管をそれぞれの麻袋に突っ込んでいく
省14
902: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:48 ID:apHWnw+I0(7/103) AAS
しかし、イッシュの自然はタブンネたちに1時間の猶予も与えてはくれなかった

「ワンワン♪」

どこからともなく可愛らしいヨーテリーが現れた。それも1匹ではなく草むらを取り囲むように何匹もいる
そして1匹のベビンネの匂いを嗅ぎ、首筋に食いつくとそのままどこかに連れ去っていってしまった

「ミフーッ!ミフーッ!」「ミアアアアアア!!!」

成体のタブンネ達は声を荒げて威嚇したがヨーテリー達には何のの効果もない
何故ならヨーテリー達は相手の強さや様子が顔のレーダーで分かる能力があるからで
動けないタブンネがいくら吠えようとこちらに危険は無いとヨーテリーたちは分かっているのだ
それからヨーテリーたちは動けない大人タブンネに、抵抗する力も無いベビンネに集団で容赦なく襲いかかった
そして彼らが去った後に残されたのは骨が剥き出しになった死体と瀕死の大人タブンネだけだった
省10
903: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:49 ID:apHWnw+I0(8/103) AAS
1時間道のりの間に袋の中の子タブンネたちすっかり静かになっていた
弟分は中のタブンネが皆死んでるのではないかと心配したが
兄貴分が袋を揺すってみると一斉にミッミッと騒ぎだした

「それじゃタブンネちゃんたちをお庭にあるビニールプールに入れてあげてね」

男たちは2人がかりで子タブンネが
詰まった麻袋を1袋庭に持って行き、
そこに用意されていた水を張ってない直径3mの特大ビニールプールに中身をぶちまけた

『ゥミィィ!! ミィ〜ッ!! ミッ?!ミッ? ミギー!!』

プールの中に袋の口を向け、口を結んでいた紐をほどくと、まるでピンク色の滝のようにタブンネたちは一斉に袋からプールの中に飛び出した
皆一様に困惑し、不安そうに鳴きながら広いプールの中をウロウロと歩き回る
省12
904: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:49 ID:apHWnw+I0(9/103) AAS
「うーん、この子はもうダメかな ー、後で捨てとくから死体と一緒にごみ袋に入れといてね」
「え、こいつはもう助からないんですかい?」
「回復の見込みが無いことはないけど、これから忙しくなるから看病する手間がもったいないんだよー 」

奇跡的に助かった命を省みられる事なく糞まみれの死体と共にビニールのごみ袋に詰められた生き残り子タブンネ
密閉された空間で死臭と糞尿と酸欠で苦しみ抜く事約30分、声にならない断末魔を上げ誰にも知られる事なくその短い一生を終えた
その死に顔は周りの死体と違わぬ絶望の表情だった

3袋分の子タブンネ、約150匹をプールに入れると、さしもの3mビニールプールも満員になった
子タブンネたちは泣きじゃくる子にウロウロ歩き回る子、ぶつかって喧嘩する子など様々だ
壁を登って脱出しようとしてる子タブンネも多数いたが手についた糞汁で滑ってずり落ちてお尻を打ってしまうのだった

「それじゃあタブンネちゃんたちを綺麗にしてあげちゃうよ〜」
省12
905: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:50 ID:apHWnw+I0(10/103) AAS
『ヂヂィ… ヂィィ… 』
「はい、みんな綺麗になりましたね〜」

泡があらかた流れ落ちた時、子タブンネ達の毛皮は鮮やかなピンク色を取り戻していた
しかし当の子タブンネたちは巨大なピンクの塊のように身を寄せあってカチカチと歯を鳴らしながら激しく震えていた
濡れた体に冬の始まりの風は物凄く堪える、体の小さな子タブンネになら尚更だ

「社長、持ってきましたぜ」

洗浄が終わったのに合わせて、兄貴分の男が大きなプラスチックの箱がついた手押し車を押してきた
子タブンネたちは三人によってその箱に押し込められ、家の中へ連れて行かれた

「ここでタブンネちゃんたちを乾かしてあげてね」
省10
906: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:50 ID:apHWnw+I0(11/103) AAS
「ミィィィ!!!ミィッ!!ミフーッ!!」
「ひょっとして俺達の事恨んでんですかね?」
「ミッ!ミッ!ミッ!ミ゙ーーー!!」
「あれだけやったんだからそりゃ恨むだろうよ」

その子タブンネたちの攻撃というのは男たちの足を小さな手でペチペチ叩いたり、
助走をつけて体当たりして反動でコロンと転げてしまったりなど端から見るとじゃれているようにしか見えない
しかし子タブンネたちにとっては家族の敵を討つための捨て身の特攻なのだ
その証拠に攻撃してる子タブンネたちは歯を食い縛り、目をつり上がらせた怒りの表情(でも子タブンネだから怖くない)で時折涙を溢しながら男たちの足にぶつかっていく

「疲れた足にゃいいマッサージだよ、ハハハ」

もちろん男たちには全然効いてなかった
省6
907: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:51 ID:apHWnw+I0(12/103) AAS
「ミッ?」「ミィ?」「ミッミッ!」

すぐに近くにいた数匹の子タブンネたちが反応を示しペレットの元によちよちと集まってきた
しかし野生の子タブンネたちは初めて見るペレットを餌だと認識せず、コロコロと転がして遊んだり足で蹴っ飛ばしたりで口に入れる様子は無い
ペレットは乾燥していて硬いが口に入れると唾液の水分で柔らかくほぐれて子タブンネでも食べられる
だがそれを知らない子タブンネたちにとっては丸い土の塊か木片としか思えないのだ

十数分ほどして子タブンネ達がペレットに飽きてきた頃、それはある1匹の子タブンネが遊んでる最中に不意にペレットを口に入れてしまった事から始まった

「ミィ? ミッミッミッ…(ポリポリポリ)」

ペレットが唾液を吸い込んで柔らかくなると子タブンネの口の中に穀物のほのかな甘みが広がり、それは噛むほどに強くなっていく
雑穀を粉砕してオカラを混ぜて固めただけの嗜好性があまり高くないペレットなのだが
野生暮らしでいつも腹ペコだった子タブンネにとってそれはすごく美味しく感じられた
省12
908: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:51 ID:apHWnw+I0(13/103) AAS
この三色リボンを巻くことで質のいいタブンネと悪いタブンネを見分けやすくするのだ
良し悪しは基本的にペレットの食いで決まる
人工の餌を食わないような子タブンネはペットとして飼うのに不適格で店には卸せないという訳だ
見た目や健康状態に問題がなくペレットを積極的に食べる個体には青いリボンが与えられる
これは一番良いリボンで「すぐにでも出荷できる」事を表している

「もうちょっとなタブンネちゃんには黄色いリボン!、もう一息頑張ってね〜」
「ミッミッ!」

ペレットが口に合わず、あまり食べなかったり途中で吐き出してしまった子タブンネには黄色いリボンが巻かれる
これは「少し改善すれば出荷できる」を意味するリボンだ
黄色いリボンのタブンネはケージに入れられてペレットに徐々に慣らしながら食べられるようになるまでここで飼育されるのだ
省15
909: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:52 ID:apHWnw+I0(14/103) AAS
恐らくここ数日のうちに歩けるようになったばかりなのだろう。鳴き声もまわりの子タブンネよりも幼いベビンネのチィチィ声だ

「巣漁るとき間違って捕まえちまったかなー」
「ミミィ! ミィミィ!」
「ん、なんだこいつ」

弟分が何気なく小さい子タブンネの顔を覗き込んだ時、黄色いリボンの子タブンネがその間に割って入った
この子タブンネは小さい子タブンネのお兄ちゃんで、初めて出来た妹である小さい子タブンネをとても可愛がっていたのだ
両親を目の前で殺され、2匹揃って捕まった後もこの兄子タブンネは必死に頑張った
麻袋の中では降り注ぐ糞尿や他のタブンネの荒ぶる手足から庇い、高水圧洗浄機の冷たい放水からも自分の身を盾にして必死に守った
黄色いリボンを巻かれたのにも理由がある
固いペレットを妹にも食べられるように自分の口で噛んで柔らかくして吐き出したのを「食べられなかった」と誤解された為である
省14
910: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:52 ID:apHWnw+I0(15/103) AAS
「ミィ…?」

社長の手からポトリと妹ンネが落とされると、兄ンネは「何が起こったのか分からない」といった表情で妹ンネへ駆け寄る
野次馬の子タブンネも数匹寄ってきた
首が180°後ろに向いた異様な姿でピクピク痙攣する妹ンネ、兄ンネは不思議に思って触角をくっつけで妹ンネの体の音を聞いてみる
そこから聞こえるのは急速に小さくなっていく心臓の音、血の流れがだんだん緩やかになり、やがて止まる音、止まってしまった呼吸の音…
これらが「死の音」だということは幼い兄ンネにも分かることだった

「ミギュッヒ… ミビェェ〜〜ン!!」
「ありゃ、兄弟だったのね」

兄ンネは死体となった妹ンネにすがり付いて泣いた。それは狂気を含む泣きかただった
死んだはずの母親が生き返って大好きな妹ンネを殺した… 幼いタブンネの心に致命的なダメージを与えるには十分な出来事だろう
省13
911: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:53 ID:apHWnw+I0(16/103) AAS
『ミミーッ! ヂーッ!ヂーッ! ミッヒミッヒ! ミーッ!ミーッ!』

女社長が部屋に入ってくると部屋中の子タブンネたちが一斉に鳴き出した
歓喜、渇望、不満、悲哀、様々なな感情が籠った声が混じりあって部屋中に響く
そのあまりの騒音に衣装ケースの新入り子タブンネの達は思わずたじろいだ

ここのタブンネには十分な食べ物と水、そして温かい空気が与えられてはいるが足りない物が二つある
それは楽しみ、そして母の愛。この子供にとって必要不可欠な二つにここの子タブンネたちは非常に飢えている

「はいはーい、みんな、新しいお友だちだよ〜」

部屋の隅にある折り畳み式のケージをいくつも組み立て、そこに子タブンネをホイホイと首を掴んで放り込んでいく社長
基本的に1檻に1匹、兄弟の子タブンネがいたら一緒のケージに入れるのだ
ケージの大きさは70?四方、身長40〜50?の子タブンネにとってはだいぶ狭いが、食うか寝るか糞するかしかする事は無いので問題はない
省15
912: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:54 ID:apHWnw+I0(17/103) AAS
しかしその答えは単純、この社長がここの子タブンネたちにとっての母親だからだ
確かに子タブンネに毎日餌をあげているのは社長であるが、ただそれだけではない
社長がここの子タブンネ達の母親足り得てるのは、一種の「魔性」のような物があるからだ
独特の高くて柔らかい声はママンネの声にどことなく似ていて子タブンネ達に安らぎを与え
童顔で目が大きく、優しげな円みを帯びた顔も子タブンネ受けがいい
あの、妹ンネを抱っこした時のような穏やかで優しく見える振る舞いもまた魅力的だ
事実、兄ンネもこの魔性に一度騙されかけているのだ

ただ、社長が第一飼育室に来るのは日に1、2回、数十分の間だけ。子タブンネたちはあまり一緒に居ることができないのだ
まだ甘えたい盛りの子タブンネにとって一日の大半を子供だけで過ごすのがどんなに心細い事か
母性というものに飢えきっている子タブンネたちにとっては社長と顔を合わせるたった数秒が砂漠に下りる朝露のような尊い物になるのだ
省11
913: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:56 ID:apHWnw+I0(18/103) AAS
ここの子タブンネたちにとって楽しみはこの吹けば飛ぶような切れ端しかないと言っても過言ではない
それ故、味がなくなるまで、いや、味が無くなってもなお実の繊維の一本に至るまで味わい尽くす
「無くならないで」「いつまでも口の中に居て」そんな事を願いながら子タブンネたちは数滴もないであろう果汁を唾液で口一杯に満たすのだ

「ミ゙ーッ !ミ゙ーッ !ミ゙ーッ!!」
「はいはい、今あげるからねー」
サクサクとナイフでオボンを削りながらテンポ良く次々と配っていく社長
子タブンネたちは隣の檻の子タブンネがオボンを受け取るとより強く鳴いて自分にもくれと必死でアピールする
そして受け取ると一転して静かになり小さなピチャピチャという音だけがケージの中から聞こえてくる

だが、ある子タブンネのケージの前でオボンを切る手が止まった
そしてケージの上部に貼られている付箋紙をチェックする社長
省15
914: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:57 ID:apHWnw+I0(19/103) AAS
抜けンネは突然ママから与えられた激痛にもう訳がわからなくなったいた

「どうしてママはミィにいたいことするミィ? ミィはわるいことしてないミィ」

鳴いてそう伝えたかったのだが喉に血が上ってきて鳴くことも、いや呼吸することすら出来ない
抜けンネの澄んだ青い瞳から、痛みと悲しみの涙が胸の血にも負けぬほど溢れ出た

「心臓を外しちゃったかなー? でもこれだけ血が出てたらそのうち死ぬよね」

社長は抜けンネの血がついてない尻尾の部分でナイフの血を拭き
死にきれずにピクピク痙攣する抜けンネをまるでゴミのようにスーパーの袋に入れてしまった
そして何事も無かったかのようにオボンの切れ端を子タブンネたちに配る作業に戻っていった
省6
915: ショーケースの裏側で (ワッチョイ 83c3-8HZ0) 05/14(火)10:58 ID:apHWnw+I0(20/103) AAS
『ミイッ!チィチィ!キィィ!ミィッミィッ!!』
「いつもくせぇなーここは」

一方、赤いリボンの子タブンネたち約20匹も特大衣装ケースに入れられ男2人によって第二飼育室に連れていかれた

第二飼育室は物置として使われていた部屋で環境は劣悪だ。
常に糞尿と腐ったフーズと死体の悪臭が籠りエアコンもストーブもなく窓が1つあるだけ
子タブンネを入れるケージも専用の質のいい物ではなく、使い古しの衣装ケースや果物の木箱
力の弱いベビンネのケージには段ボール箱さえ使われている
そんな環境で離乳して間もないベビンネやペットに向かない攻撃的な子タブンネが数十匹も飼われているのだ

もちろんそんな事をしていれば毎日死ぬタブンネが出るのは当たり前
男2人の仕事は死んだタブンネを片付ける事から始まる
省15
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