[過去ログ] 【呼び出し】あちゃこ★ラッコ★shake it off★3倍理論★(敬称略) [CB] (76レス)
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68: 2018/02/06(火)03:16 ID:VZ+1Jeb60(1/8) AAS
大学3年生の夏休み直前の話。

友人の樹と覚、俺(修)の3人で、海辺に旅行する計画を立てる為に集まった。
樹が「どうせなら海でバイトしないか」と言い出し、その案に乗ることになった。
みんなで働き場所を見つけるべく、手分けして色々探して回ることにした。

主にネットで探していたのだが、結構募集しているもので、「友達同士歓迎」の求人も多かった。
俺達はナンパの名所と言われる海の近くの旅館を選んで、早速電話でバイトの申し込みをした。
電話口の女性の話では人手不足らしく、トントン拍子に話は進み、あっけなくその旅館で働くことが決まってしまった。



こうして旅館へと旅立つ日がやってきた。初めてのリゾートバイトに、緊張と期待で結構ワクワクしていた。
電車を乗り継いで3時間。その旅館は2階建ての広めの一軒家で、田舎の婆ちゃん家風。
省7
69: 2018/02/06(火)03:22 ID:VZ+1Jeb60(2/8) AAS
ある程度、自己紹介が済んだ後、女将さんから案内があった。
「客室はそこの右の廊下を突き当たった左右にあるからね。あんたたちの寝泊りする部屋は、左の廊下の突き当たり。
あとは荷物置いてから案内するから、ひとまずゆっくりしておいで」

「2階じゃないんですか? 客室って」
俺も疑問に思っていたことを、樹が質問した。

すると女将さんは笑顔で答えた。
「2階はもう、使ってないの」

部屋に着いて、窓から見える景色と海から流れてくる潮の匂いを嗅ぐと、本当に夏休みが到来したことを実感した。
これからバイトで大変かもしれないけど、こんな場所でひと夏過ごせるのなら全然良いと思った。
ひと夏の恋なんていうのも期待していたしね。
省16
70: 2018/02/06(火)03:26 ID:VZ+1Jeb60(3/8) AAS
それから何日か過ぎたある日、いつも通り廊下の掃除をしていた俺も遭遇することになった。

見ちゃったんだ。客室からこっそり出て来る女将さんを。
女将さんは基本、部屋の掃除などはしないんだ。そういうことをするのは全部、美咲ちゃん。
だから余計に気になったのかもしれないけど。
見間違いかと思ったけど、やはり女将さんだった。一日、悶々としていた俺は、結局黙っていられず二人にそのことを話した。

すると、樹が言った。
「それ、俺も見たことあるわ」
「おい、マジか。なんで言わなかったんだよ」
俺が焦る。
「だってなんか用あるんだと思ってたし、それに疑ってギクシャクすんの嫌じゃん」
省19
71: 2018/02/06(火)03:42 ID:VZ+1Jeb60(4/8) AAS
次の日、いつもの仕事を早めに済ませ、俺と樹は覚のいる玄関先へ集合した。そして女将さんが出て来るのを待った。
暫くすると女将さんは盆に飯を乗せて出て来た。玄関を出て壁伝いに進み、そのまま角を曲がり、2階に上がる階段の扉を開くと、奥の方へ消えて行った。
そこに消えた女将さんは、覚の言った通り5分ほど経つと戻って来た。
お盆の上の飯は空だった。そして俺たちに気付かないまま、1階に戻って行った。

覚「な? 早いだろ?」
俺「ああ、確かに早いな」
樹「なにがあるんだ? 上には」
覚「知らない。見に行く?」
樹「ぶっちゃけ俺、今、びびってるけど?」
覚「俺もですけど?」
省11
72: 2018/02/06(火)03:44 ID:VZ+1Jeb60(5/8) AAS
俺は意を決して扉を一気に開けた。ひんやりとした空気が中から溢れ、埃が舞った。

俺「この埃の臭い?」
覚「あれ? 臭わなくなった。でも本当に臭ったんだよ。なんていうか…生ゴミの臭いっぽくてさ」
樹「気のせいじゃないの」
そんな二人を横目に、俺はあることに気が付いた。廊下が凄く狭い。人が一人通れるくらいだった。

そして電気らしきものが見当たらない。外の光で辛うじて階段の突き当たりが見える。突き当たりには、もう一つ扉があった。

俺「これ、上るとなるとひとりだな」
樹「いやいやいや、上らないでしょ」
覚「上らないの?」
樹「上りたいならお前行けよ。俺は行かない」
省14
73: 2018/02/06(火)03:47 ID:VZ+1Jeb60(6/8) AAS
下の入り口からの光があまり届かないところまで登ると、好奇心と恐怖心の均衡が怪しくなってきた。そのまま引き返したい気分になった。

暗闇で目を凝らすと、突き当たりの扉の前に何かが立っているかもしれないとか、そういう「かもしれない思考」が本領を発揮し始めた。

「パキパキパキッ…」

この音も段々激しくなり、どうも自分が何かを踏んでいる感触があった。虫かと思った。背筋がゾクゾクした。
でも何かが動いている様子はなく、暗くて確認もできなかった。

何度振り返ったか判らないが、途中から下の二人の姿が逆光のせいか薄暗い影に見えるようになった。
ただ親指はしっかり立てていてくれたみたいだけど。
省1
74: 2018/02/06(火)03:50 ID:VZ+1Jeb60(7/8) AAS
「うっ」

異様に臭い。生ゴミと下水が入り混じったような臭いだった。
『なんだ??』
そう思って辺りを見回す。

その時、俺の目に飛び込んできたのは、突き当たりの扉の前に大量に積み重ねられた飯だった。
それが異臭の元となっていて、何故気付かなかったのかというほど蝿が群がっていた。そして俺は、もう一つあることを発見してしまう。

突き当たりの扉には、ベニヤ板が無数の釘で打ち付けられていて、その上から大量のお札が貼られていたのだ。
更に、打ち付けた釘に細長いロープが巻きつけられていて、蜘蛛の巣のようになっていた。

正直、お札を見たのは初めてだった。だからあれがお札だったと言い切れる自信はない。
でも大量のステッカーという訳でもないと思う。明らかに、何か閉じ込めていますという雰囲気が全開。
省6
75: 2018/02/06(火)03:54 ID:VZ+1Jeb60(8/8) AAS
そしてその後に「ヒュー…ヒュッヒュー」という不規則な呼吸音が聞こえてきた。

俺は身動き一つできなかった。

あの時の俺は、ホラー映画の脇役の演技を遥かに凌駕していたのではないかと思う。そのまま後ろを見ずに行けば良いのだけど、あんなの実際できないぞ。
そのまま行く勇気もなければ、振り返る勇気もない。そこに立ち竦むことしかできなかった。
眼球だけが左右に動き、冷や汗で背中はビッショリだった。

その間も、
「ガリガリガリガリガリガリ」
「ヒュー…ヒュッヒュー」
という神経を逆撫でする音は続き、俺は緊張で動かない足をどうにか進めようと必死になった。

すると背後から聞こえていた音が一瞬止まった。本当に一瞬だった。
省9
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