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【ファンタジー】ドラゴンズリング2【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (368レス)
【ファンタジー】ドラゴンズリング2【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/
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244: ◆ejIZLl01yY [sage] 2017/01/29(日) 04:40:35.86 ID:VysKKKrJ 「……じゃあ、お言葉に甘えて」 折れた刃先を受け取り……改めてその魔力を肌で感じ、思わず怯む。 ……これがあれば、次は、失敗せずに済むのかな。 いや、だめだ! さっき気持ちを切り替えたばかりなのにまた陰鬱な感じに戻りつつある! 「……うん、ありがとう!この刀、絶対に上手く使ってみせるから! じゃあそろそろトレジャーハンターとしての本能が抑えきれないので……またねっ!」 私は二人に背を向け、宝探しを始めた。 この古代都市を構成する鉱物も、一面に散りばめられた宝石も、持ち帰れば相当な額になるに違いない! 上手く加工すれば便利なマジックアイテムにもなるだろうし……。 いや、そもそも古代文明の作り出したアレコレがここには眠ってるはず!他にも持ち帰れるだけ、持ち帰らなきゃ! そして…… 「私はもっともっと、強くなってやるんだー!」 今度こそ、気持ちを切り替える為に、私は大声でそう叫んでみた。 ………さて。 正直な話をすればですね。 これほどの規模の遺跡に辿り着いた以上、ここらにキャンプを仮設して一週間、いや一ヶ月くらいは滞在して探索したいんです。 でもジャンさんティターニアさん、それにテッラさんを見るにどうもそういう雰囲気じゃないっぽい。 これ多分あと十分もしない内にここを離れる羽目になって、そのまま戻ってこれない奴だ。 いやだー、テッラさんお願い今晩お家に泊めて。夕飯はオオネズミのお肉でも食べるから。 ……なんて冗談は置いといて。 私は皆と合流して、テッラさんを見上げた。 >「我々に怒りを燃やすのも無理からぬこと。しかし今は聞いてください >「指環の、魔女……!」 あっ、これ私が話聞いてても半分も理解出来ない奴だ。 うえーん、ウェントゥスって誰だよぉ……。 ジャンさんティターニアさんは優しいけど流石にこの状況で教えて教えてとは出来ないです……。 >「残念ながら時間が無いようです。炎の指環を持った者がここに近づいてくる……」 テッラさんの翼がふわりと円を描くと、その下の地面に魔法陣が現れる。 これで、この古代都市ともお別れかぁ……。 「くっくっ」 なんて考えてたら、噛み殺すような笑い声が聞こえた。 「おぉ、すまんすまん。つい、思い出し笑いをしてしまった」 振り向いたその先には……魔狼、フェンリル。 「そこに埋まっている傀儡の如き女を思い出すと、どうにも愉快で愉快で、なぁ?」 瞬間、私は掻き消したはずの怒りの炎が、再び燃え上がるのを感じた。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/244
245: ◆ejIZLl01yY [sage] 2017/01/29(日) 04:41:11.87 ID:VysKKKrJ 「我は初めから、指環を手にする術を述べておったと言うのに。 指環を手にするべきは、世界を変え得る者だと。 その悪魔紛いの半端者がそうしたように、自ら指環を嵌めれば、それだけでよかったものを」 フェンリルは濁った嘲りと愉悦を浮かべた眼で、私達を見下ろしていた。 まるで、私達を……いや、この眼は、私を捉えていない。 これは……ジャンさんと、ティターニアさんを、挑発しているのか? 「実に愚か……いや、愚かと言うも愚かよな。 運命に流されるだけの傀儡と、その傀儡師風情の指に、竜の指輪が巡り合うものか。 指環の勇者の名が、似合うものかよ」 一体なんの為に……いや、理由なんかどうでもいい。 ミライユさんはそりゃ敵だったけど。 「……無駄死にだな」 そんな舐めた笑みを浮かべて!あの人の死を踏み躙られて! 大人しくしていられるほど私は賢くな…… 「粋がるな」 たった一言、たった一睨み。 ……ただそれだけで、私は死を感じるほどに威圧されていた。 体の震えが、冷や汗が止まらない……。 「貴様は所詮、指環を巡る舞台に迷い込んだ小鼠……精々踏み潰されぬよう、逃げ惑っていろ」 フェンリルはその眼光の矛先を、ジャンさん達へ戻す。 「貴様らは、傀儡よりかは幾分マシなようだが……まだ、それだけだ。我は認めぬぞ」 そして世界をも噛み砕くと謳われた魔狼の牙が、剥き出しになる。 やれるのか……?いくら、ジャンさん達は強い。だけどそれでも、さっきの今の連戦で! 「……もう、やめましょう。フェンリル。その気持ちだけで、私は十分に嬉しい」 ……テッラさんが、片翼でフェンリルを抱き締めるように包み込んだ。 フェンリルはそれを……振り払わない。 「あなたと過ごした、果てしない年月は……時にはあなたの苛烈さに手を焼く事もありましたが。 おおむね、安らかで、居心地のよい時でしたよ。 どうか最期まで、私に居心地のよい時を過ごさせて下さい」 ……指環を巡る舞台に立てていない私には、彼らが何を言っているのかは、完全には分からない。 だけど……なんとなくだけど、分かる事もある。 テッラさんは、このままだと死んでしまうんだ。 だからフェンリルは……私達を、ジャンさん達をここに引き留めようとした。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/245
246: ◆ejIZLl01yY [sage] 2017/01/29(日) 04:41:32.40 ID:VysKKKrJ 「……行け。指環の、勇者達よ」 それは絞り出すような声だった。 ……魔狼、フェンリル。 今でも童話やおとぎ話では、その存在は恐ろしいものとして扱われる。 だけど神話を少し読んでみれば、彼がそんなにも邪悪な存在ではないとすぐに分かる。 彼は生まれた時からこんなに大きかった訳じゃない。初めは、普通の狼と変わらなかった。 だけどその成長は止まらず、巨大になり続け、果てには世界を滅ぼすと予言されてしまった。 神々は彼を二度捕縛しようとして、失敗した。 そして三度目……神々はこう言った。 もし我々のこしらえた綱を千切れないのならば、神々の脅威にはなり得ないから、もうお前を襲う事はない、と。 フェンリルはとある条件付きとは言えその言葉を信じて……そのまま最終戦争の時が来るまで、縛り続けられた。 フェンリルが神々の言葉を信じたのは、己の力に驕っていたからなのか。 それとも己を縛ろうと神々が幾度となく襲い来るだろう日々に嫌気が差したのか。 初めてこの話を読んだ時、多分、違うと思った。 そして今、違ったんだと確信した。 彼はきっと、恐れられたくなかったんだ。 自分が脅威ではないと証明して、誰かと関わりを持ちたかった。 そしてようやくこの場所で、それを手に入れた……はずだったんだ。 「……帰ったら、色々教えて下さいよ。指環の事」 転移の魔法陣の光りに包まれながら、ジャンさんの服の裾を引っ張って、そう呟いた。 フェンリルは私にこう言った。 お前は舞台に立てていない。迷い込んだだけだ、と。 私はそれが堪らなく悔しい。 もし、この指輪を巡る舞台の上で、また誰かの命が奪われるのなら。 役者にすらなれていない私が、それを救える訳がないんだから。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/246
247: ◆ejIZLl01yY [sage] 2017/01/29(日) 04:47:14.70 ID:VysKKKrJ 「……その指環を、我らから、我が許から、持ち去ろうと言うのだ。もし下らぬ結末を迎えてみろ」 フェンリルの声が聞こえる。直後に私達の周囲を奔る、白い残影。 魔法陣の周りが、まるで深い谷のように抉り取られていた。 「この世界の何処にいても、その心の臓に、この牙、食い込ませてくれるぞ」 ……さようなら、テッラさん。フェンリル。タイザンさんも。そして……ミライユさん。 【かつて予言されし世界の滅び、フェンリルをカッコよく書きたいだけの1ターンだった……】 ふぅ、冒険も一段落したし……久しぶりにのんびり余白に落書きでもしよっかな。 今回の内容は……うん、古代都市での収穫物かな! トレジャーハンターの仕事が上手く行って、しかもギルドへの上納も必要なかったら、どれほどの儲けになるのか……。 みんなも気になるでしょ? という訳で、まずは街中を彩っていた鉱物や宝石から。 鉱物はこれちょっと売るのがめんどくさいんだよねー。普通に売ってもなんか珍しいね、で済まされちゃうんだよ。 だから今だったらユグドラシアに持ち込んでみたり、武具職人さんに頼んで立派な武具にするとか。 そういう手間をかけるかどうかで天と地ほど値段が変わっちゃうの。 武具にするなら自分好みの感じに作ってもらってそのまま使っちゃうのもいいね。 宝石は……いいよね!軽くてちっちゃくて高い!全てのトレジャーハンターの恋人……! 大抵の宝石は魔力を秘めてるから、マジックアイテムにしても役に立つ事間違いなし。 お次は……収穫物じゃないけど、こちら【秘刀カムイ】です! 銘はシュマリちゃんホロカちゃんにあの後聞きました! 私は折れた刃先の方を貰ったので、根本にスライムの濃縮粘液を塗って皮を巻いて短刀っぽく仕上げてみた。 こっそり宿屋の屋上に登って空に向かって振ってみたら、一瞬昼間かと見紛うほど眩い炎の刃が飛び出てびっくり。 火事か放火かと騒ぎになって、憲兵さん達にとっ捕まらない内に逃げ出す羽目になりました。 いや、カムイって名前の時点である程度は予想してたんだけど、まさかこれほどとは……。 カムイってのは多分、和国の言葉である『神威』。神様のもたらす破壊、その威力とかそんな意味。 この無限に燃え広がるような波紋は、山一つ丸ごと焼き尽くしてしまうような、神の火を模しているんだ。 折れてしまった刃先でこれなんだから、折れる前はもっと広くを薙ぎ払えたんだろうなぁ。 それは集団戦において単純に強いし、一対一においても届かないはずの刀から炎の刃が伸び来たる、必殺剣として使えたはず。 ……ミライユさんの空間魔法とは、組めば相性抜群だったろう。危ないところだった……。 後は……こちら。この薄っぺらい土色の何か……。これ多分、テッラさんの、大地の竜の飛膜だと思うんだよね。 最初あの古代都市に着いた時、二匹はかなりやり合ってたけど、きっとアレは完全な演技って訳でもなかったんだ。 周囲には血や、皮や肉片が飛び散っていた。その中から見つけてきたのがこれ。 見た目は土と血で汚れたマントのようだけど、マナを感じ取れる人間なら分かるはずだ。 凄まじいほどの、大地の持つ守りの力と、引きちぎられてもなお滾る竜の生命力が。 ただこれ、めちゃくちゃ重い……私じゃマントみたいに羽織るのは無理かな。多分圧死するんじゃないかってくらい重いの……。 今度ジャンさんにいるか聞いてみよう。売っちゃうのは、なんか違う気がする。 最後に……この、ちょっとした剣よりも長い牙。言うまでもなくフェンリルの牙だと思う。 その鋭さや恐ろしいもので。持ち上げた後、涎と血で手が滑って落っことしたらそのまま地面に突き刺さった。 上手く加工すればめちゃくちゃすごい武具になりそうなんだけど、そもそも硬すぎて加工出来るのか、これ。 まぁ……上手くアイテムとして使えなくてもいいんだけどね。 これらは古代都市の、彼らの思い出として、どんなお宝よりも価値があるんだ。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/247
248: ◆ejIZLl01yY [sage] 2017/01/29(日) 04:48:05.11 ID:VysKKKrJ 【ミライユさんお疲れ様でした。 確かにリアクションが難しいなと思うシーンもありましたが だからこそ頭を捻ってどう動くか考えるのは結構楽しかったです。 NPCを出したり、色々キャラの伏線を張るなら、もしかしたら味方として参加した方が良かったかもしれませんね。 ……と言うより、参加して欲しかったなと言うのが、終わってからの私の気持ちになります。 仲間としてミライユさんとお喋りするのは、きっと楽しかったのではないかと、思ってしまいます。 それではまたいつか、どこかのスレで、お会いいたしましょう】 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/248
249: ノーキン&ケイジィ ◆xMlzBZPYec [sage] 2017/01/30(月) 05:18:34.79 ID:oIKoGK93 トリップテスト http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/249
250: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/01/30(月) 08:42:02.77 ID:ljciiA5V >>249 無理そうやな 参加するかしないか、早いうちに宣言した方がいい あとジャンはもう書き込んでもええで http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/250
251: ジャン ◆9FLiL83HWU [sage] 2017/01/30(月) 21:34:47.70 ID:SrnXSExw >「でも……ごめんなさい。もう少しだけ、このまま……」 「……戦うのは慣れてても、ヒト相手は初めてだったか。 そりゃ最後まで止めようとするよな……」 静かに頬を寄せるラテの姿は、ネズミの毛に覆われているとはいえ華奢だ。 魔物を狩るのには慣れていただろうが、初めての殺人は肩に重くのしかかるだろう。 ジャンも旅を始めた頃、身を守るためとはいえ初めて野盗を殺してしまったときも 手にこびりついた血が取れない錯覚にとらわれたのだから。 >「よし……もう大丈夫です。私達は、勝ったんだ。戦利品を、拝借しに行きましょう」 だが、ラテはジャンが思うより心の強い人間だったようだ。 両手で頬を強く張り、その動作を軸にして気持ちの切り替えを行う。 そうしてこちらに振り返り、いつものにこやかな笑みを見せてくれた。 >「と……私は先に『解呪』をしないと」 「血を触媒に化けるなんざ、まるで吸血鬼みてえだな。 あいつらも血を使って色々できるって言うしよ、ダーマに行ったらあいつらから教えてもらえるんじゃねえか?」 すっかり元気を取り戻したラテと共に雑談を交わしながら まだ壊れていない家へ向かい、今回の戦利品を漁ることにした。 ラテは死んでしまったタイザンの遺品を回収するとのことで分かれ、 ジャン一人で家へと向かう。家を漁っている途中、ティターニアとラテがあの姉妹、 シュマリとホロカと話していたようだが、ジャンはあまり近づきたくはなかった。 それはミライユとの戦闘が影響していたというわけではなく、ごく単純な理由。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/251
252: ジャン ◆9FLiL83HWU [sage] 2017/01/30(月) 21:35:16.13 ID:SrnXSExw (獣人の毛って大抵俺の鼻によくねえんだよな……気を抜くと、くしゃみが出そうになっちまう) 幸いラテのネズミの毛はジャンの鼻にはひっかからなかったようだが、 もし、あの姉妹がジャンの鼻にひっかかる毛であれば…… 一緒に戦利品を回収している間、くしゃみが止まらず、力加減ができないジャンがどれだけ貴重な装飾品を うっかり壊してしまうか考えるだけで恐ろしいだろう。 「……お!これはなかなかいい壺じゃねえか。表面の銀と金細工がいい味出してるなコレ」 あの姉妹がこちらに来ないかビクビクしている内に、家の居間で両手で抱えるほど大きい壺を見つけた。 銀で作られた壺に、狼と龍をかたどった金細工が壺の表面を彩っている。 誰でも足を止め、見惚れるような作りに思わず壺を高く掲げた。 「ジャンさん……でしたか?あなたにもお礼を――」 「こりゃ高く売れそうだ、転移で飛ばされちまう前に持ってい――ぶぇっくしょっ!!」 鼻がむずむずするなと思った瞬間、居間に長年積もっていた埃が全て巻き上がるほど大きいくしゃみが出た。 その拍子に高く掲げていた壺を地面に叩きつけ、見事銀の壺は砕け散り、金細工も儚く無数の欠片となってしまう。 慌ててジャンが振り向くと、そこには例の姉妹が並んで立っていた。 「あんたも助けてくれたからな……お礼を言いに来たんだが」 「……とりあえず下がってくれねえか。お前らの歩幅で十歩ぐらい」 無性にむずむずする鼻を抑えながら二人から後ずさり、何回か小さくくしゃみを 繰り返しながら姉妹の返答を待った。 「……ありがとよ。あいつを止めてくれて」 「本当に、ありがとうございました」 ぺこり、と頭を下げる二人だが、ジャンとしては礼を言われるよりも できるだけ早くティターニアたちの方へ行ってほしかった。 「お、おう。まぁアレだよあんまり気にするな、雇い先とかそこらへんならたぶんティターニアが考えてくれただろ」 適当に姉妹に返しつつ、今のくしゃみで吹き飛んだであろう金貨の数々を思うと胸が締め付けられそうになるジャンであった。 腰の袋に入りそうな装飾品を大体回収し、全員が合流した頃。 テッラが口を開き、『指環の魔女』について語り始めた。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/252
253: ジャン ◆9FLiL83HWU [sage] 2017/01/30(月) 21:35:45.03 ID:SrnXSExw >「其れは虚無、其れは常闇、其れは絶望―― 遥か古より名を変え姿を変え歴史の影で暗躍してきた全ての生命の敵――」 「最近起きてる物騒な話やら戦争もそいつのせいにできそうな勢いだな」 ジャンが皮肉めいてそう言うと、大狼フェンリルがすぐに返してきた。 「実際に歴史を動かしてきたのだ、そろそろ民衆の噂になる時期だろう」 どうやら皮肉や冗談といったものをこの狼は好んでいるのか、反応が早い。 >「我は初めから、指環を手にする術を述べておったと言うのに。 指環を手にするべきは、世界を変え得る者だと。 その悪魔紛いの半端者がそうしたように、自ら指環を嵌めれば、それだけでよかったものを」 ラテにもこれくらい言ってのけるのだ、神代の時代より生きてきたとはいえ 話し相手がテッラしかいなくて暇だったのだろう。テッラがその方面に詳しいとも思えないしな、とジャンは思った。 「……最後に言っておくぜ。悪魔じゃなくてオークの半端者だ。それくらい見抜きやがれ」 転移魔術の光に包まれながら、一行を見送る狼と竜を見つめる。 >「……行け。指環の、勇者達よ」 >「彼は私達が足止めしておきます。 あなたがたは一刻も早くウェントゥスの元へ。お行きなさい、”指環の勇者”達よ――!」 ずっと指環を継ぐ者を待っていた彼らは、最後の役目を果たすのだろう。 右手の中指に嵌められたアクアの指環が小さく光った刹那、ジャンたちは地上へと向かった。 >「……帰ったら、色々教えて下さいよ。指環の事」 「全部教えてやるよ、こうなりゃ指環全部集めるまで終わるつもりはねえからな」 転移の光が周りを囲む中、小さく聞こえたラテにそう返してジャンは目をつぶる。 こいつらだけは、旅の最後まで守りたい。そう願いながら。 【ミライユさん参加ありがとうございました! 前回の敵PCとはまた違った趣向の敵PCでなかなか返答に苦労しましたが、 その分充実した戦闘になったと思います。 NPCの扱いは色々考えましたが、上手く活かした使い方が思いつかなかったのと なるべく簡潔にレスしようと思うとどうしても冗長になりかねない点から あのような扱いになってしまいました。もしまたご一緒することがあれば、 今度はもっとミライユさんの設定を活かして書きたいと思います!】 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/253
254: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us [sage] 2017/01/30(月) 22:00:54.71 ID:9XP+5UAl 失礼、トリッポはこちらでした http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/254
255: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/01/30(月) 22:46:39.66 ID:ljciiA5V >>254 おぉ!それだよ で、参加するかしないのか 早めに決めてくれや 具体的なタイミングもな http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/255
256: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us [sage] 2017/01/30(月) 23:12:56.67 ID:9XP+5UAl 参加する いつでも参戦可能 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/256
257: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/01/30(月) 23:29:07.10 ID:ljciiA5V >>256 すぐ乱入して導入部分を書いて みんな待ってるから http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/257
258: ノーキン&ケイジィ ◆AOGu5v68Us [sage] 2017/01/31(火) 03:40:31.82 ID:wqs1AmbY >>257 ティターニア氏の旗振りで進行するものと認識している http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/258
259: ティターニア ◆KxUvKv40Yc [sage] 2017/01/31(火) 06:56:06.24 ID:d9lffD0G 【ノーキン殿お疲れ様だ。心配せずとも参加の意思があるのは分かっておるぞ! 出来るだけ早く登場してもらえるよう努力するのでもう少々だけお待ちを。 我々が進行について話し合う時はコテ付きで行うゆえ名無しでの司会には返答しないで貰って大丈夫だ】 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/259
260: ティターニア ◆KxUvKv40Yc [sage] 2017/02/01(水) 20:33:51.96 ID:LHDFEK+F 一行を行かせまいとするフェンリルを、優しく制止するテッラ。 灼熱都市にて勝負が決して尚立ち上がろうとしていたベヒモスと、それをもういいと制したイグニスの姿が重なる。 >「……行け。指環の、勇者達よ」 「そういう……ことか」 今までの旅の詳しい経緯は知らぬラテも、フェンリルとテッラの様子から何かを察しているようだった。 きっと指環を勇者に託した竜は、死ぬことで全ての力を指環に委譲し、そうしてはじめて指環が完成することとなるのだ。 竜に止めを刺すその役目を担ったのは、炎の指環の時も水の指環の時もジュリアンであった。 そして奇しくも、今回もまた―― 彼はヴォルカナでは指環を容赦なく奪っていったが、ステラマリスでは どこか本気を出していないような攻防の末に結果的にこちらに指環を持ち去る事を許した。 そう、今思えばまるでこちらを試していたかのような…… そして今回は、自分達とかち合うことすらなくテッラにとどめを刺しにこようとしている。 あやつは本当にアルバート殿の言っていたような悪人なのか、と微かにそんな考えが浮かんでくるが 考えても詮無きことか、とひとまず考えるのをやめた。 >「……帰ったら、色々教えて下さいよ。指環の事」 >「全部教えてやるよ、こうなりゃ指環全部集めるまで終わるつもりはねえからな」 「うむ、ここまで関わってしまったら今更降りるわけにもいくまい。ようこそ――”指環の勇者御一行”へ。 御一行といっても二人ではイマイチ体裁が整わなかったが……これでやっとそれらしくなろうぞ」 そう言って微笑む。ラテを正式に仲間に迎え入れることに、今更迷うべくもなかった。 緩みかけた空気を引き締めるかのように、最後にフェンリルの言葉が響いてきた。 >「……その指環を、我らから、我が許から、持ち去ろうと言うのだ。もし下らぬ結末を迎えてみろ」 >「この世界の何処にいても、その心の臓に、この牙、食い込ませてくれるぞ」 「やれやれ、随分と物騒なことだ――ではそうならぬように頑張らねば、な」 最初は帝国騎士にノリで同行という形で始まった旅だが、気付けば随分と色々な人物の期待や激励や脅迫や願いを背負ってしまった。 テッラ殿、フェンリル殿――そなたらが幾星霜の時守ってきた指環、しかと預かった。 タイザン殿――巻き込んだ上におめおめ死なせてしまい済まなかった。姉妹のことは心配するな。 ミライユ殿――救えなかったのは我の力不足ゆえ。せめて安らかに眠れ。仇は必ず討つ―― 【皆第三話お疲れ様であった! 守護聖獣と竜のコンビは出番は少ないものの隠れた人気コンビポジションになりそうな雰囲気が急上昇してきた件】 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/260
261: ティターニア ◆KxUvKv40Yc [sage] 2017/02/01(水) 20:45:12.47 ID:LHDFEK+F 第三話『惨劇の楽園《アガルタ》』(1スレ目278〜2スレ目260) テッラの元に急げとのアクアの言葉に従い、目的地をハイランド連邦共和国領のテッラ洞窟に定めたジャンとティターニアは 洞窟の近くにあり探索の拠点となる都市、魔術学園都市アスガルドにやってきた。 街中を歩いていると、突如として通常より強いオオネズミの一団が現れ、人々を襲い始めた。 近頃テッラ洞窟から魔力の影響を受けた強いモンスターが出てくるようになっていたのだった。 掃討に入ろうとする二人だったが、そうするまでもなく、オオネズミ達は二人の女性によって一掃される。 ハイランドの主府ソルタレクの冒険者ギルドのマネージャー、ミライユと テッラ洞窟探索のためにアスガルドを訪れていたトレジャーハンターのラテだ。 ミライユは表向き友好的に二人に接近するが、本当の目的はティターニアの監視、ひいては指環の奪取であり その場面に遭遇したラテはミライユの危険性を感知し、二人の身を案じて同行を申し出るのであった。 こうして行動を共にすることになった4人は、ミライユの払いで高級宿に泊まることとなり 互いに警戒しつつもそれなりに楽しい一晩を過ごすのであった。 次の日、洞窟に向かう一行だったが、この先に指環があると予感したミライユは増援を呼び、 ギルド員のタイザン・シュマリ・ホロカも合流する。 洞窟を進んでいった先には謎の魔法陣があり、どうしたものかと思案していたところ大きな揺れとともに魔法陣の力が発動。 一行は地底都市アガルタに招き入れられたのであった。 そこでは、ジャンとティターニアに指環を託そうとする大地の竜テッラと それに反対するアガルタの守護聖獣フェンリルが激しい戦いを繰り広げていた。 フェンリルは突然ミライユに歩み寄ると、ミライユのような者が指環を託すにふさわしいとして力が欲しくないかと問う。 しかしミライユはシュマリにその役目を命じ、シュマリはフェンリルと同化してテッラと戦い始めた。 テッラがジャンとティターニアに指環を与えると言った後に指環の祭壇を出現させると、 ミライユがいちはやく指環を手にし持ち去ろうとする。 ラテがそれを阻止すると、ミライユは冷酷で残虐な本性を現し、自らの権力を振りかざして同士討ちをさせようとしたり 実際にティターニアの魔術を使ってジャンを拘束したりとあらゆる手段を使って応戦。 更に、自らに逆らったタイザンを殺害し、ホロカを蹂躙する。 また、戦いの中でミライユからユグドラシア襲撃の計画も語られるのであった。 そんな中、ラテはジャンとティターニアを鼓舞し、魔物の血により自らの強化をした上に 何重にもレンジャーとしての技を使い、ミライユに斬りかかる。 一方、怒りのあまり理性を失っていたジャンは、持っていた水の指環を嵌めるという行動に出たが 精神世界での水竜アクアとの対話の末に、理性を取り戻す。 そして水の指環を制御できる力を得て、その力で作り出した水の魔力の大剣を持って、ミライユに対峙するのであった。 そんな中、ティターニアは、ホロカからミライユを救ってほしいとの驚くべき要請を受ける。 精霊使いであり精霊と対話できるホロカは、ミライユが今のようになった理由が彼女の過去にあると見抜いたのだ。 ティターニアはそれに応える形で、ホロカの助力を受けて、 過去と現在が入り混じり死者と対話できる、精神世界のような領域を顕現する大魔術を発動。 その中で、幼いころに“指環の魔女”に殺された姉のメルセデスと邂逅し、自らの罪を自覚したミライユは泣き崩れるのであった。 そんな彼女に先程までの鬼気迫る気迫は見る影もなく、精神的には生きる気力を失い肉体的にもすでに重傷で助からないと見立てたラテは せめてこれ以上苦しませまいと、メルセデスの幻を纏ってミライユに安楽死の薬を飲ませたのであった。 タイザンとミライユを埋葬し、一通り遺跡からめぼしい物を採取し終えた一行に、 テッラは”指環の魔女”が真の敵であるという意味合いの事を語り始めるが 詳細を語る間も無く、ウェントゥスの元へ行けとだけ言って、一行を送り出すべく転移魔術を発動する。 ジュリアンが近くまで来ているというのだ――おそらくはテッラにとどめを刺すために。 テッラに死んで欲しくは無いフェンリルは最後まで一行を行かせまいとするものの、 テッラに諭され最終的には一行に指環を託し送り出すのであった。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/261
262: ティターニア ◆KxUvKv40Yc [sage] 2017/02/01(水) 23:54:40.69 ID:LHDFEK+F *☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆*゚・*:.。. 第3.5話(or第4話)開始.。.:*・*☆*゚・*:.。. .。.:*・*☆* 地底都市での激戦から数日後―― 一行はティターニアの紹介による賓客としてユグドラシアに滞在していた。 激戦での消耗はほぼ癒え、上層部にこれまでの経緯を報告したり、シュマリとホロカを精霊術の導師に頼んだり ラテに一連のことを話して聞かせたりを終え、多少手持無沙汰となっていた。 さっさとウェントスのところに向かえよ、とフェンリルあたりから怒られそうだが、これには理由がある。 地名を頼りに次の目的地として目星を付けた場所は、ウェントゥス大平原――暗黒大陸に存在する”らしい”平原である。 何故存在する”らしい”かというと、周囲全てを切り立った崖のような大変高い山脈に囲まれており、誰も足を踏み入れる事が出来ないのだ。 そう、空でも飛ばない限りは。詰んだ――かと一瞬思われたが、渡りに船とはこのこと。 魔術工学研究室を中心に極秘に開発していた空を飛ぶ船のようなもの――”飛空艇”なるものが帝国に先駆けてもうすぐ完成するというのだ。 そんな話を聞いた事も無かったティターニアはいくらなんでも極秘過ぎるだろう、とも思うが ユグドラシアの校風から言って、同僚導師に言ったら「ここだけの話」でまず生徒に伝わり そうなったら一巻の終わりで際限なく広まり、やがては敵国にまで伝わってしまう事は想像に難くない。 空を飛ぶ船など俄かには信じがたいが―― そもそも何故誰も足を踏み入れる事が出来ないのにそこに平原があるらしいという事が伝わっているという事が 大昔には実際に飛空艇が飛び交う時代が実在したということを示唆しているのだろう。 (ちなみにこの世界には有翼の種族も存在するが、流石にその山脈を越えるほど高くは飛べないらしい) というわけで飛空艇の完成を待っていればいいのだが、一つ気になるのは、激戦の最中にミライユが語った言葉である。 『アハハハッ、ご名答。あなた方はどうせ死ぬのだから言ってあげます……ソルタレクのギルドでは指環を集めているのですよ。 既に"その中のひとつ"はこちらの手の内にあります。マスターは新しい国を作るために、新しい力が必要なんです。 そして、相思相愛の私の愛情も不可欠なの。そもそも、腐った国と腐った人間は潰すしかないじゃない? ユグドラシアにもギルドの手の者が組織ごと潰しに行くはず。暗殺者ギルドも併合されてますから、きっと今頃は……』 「きっと今頃は……」と言われた割には帰った時も今の時点に至っても何事もないので ハッタリや苦し紛れの出まかせの可能性も十二分にあるのだが、警戒しておくに越したことはないので一応上層部には報告しておいた。 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/262
263: ティターニア ◆KxUvKv40Yc [sage] 2017/02/01(水) 23:56:29.08 ID:LHDFEK+F そんな理由で徒然なる日々を送っていたところ、「ティタ先生、新しい冊子を作ったので見てください」と、 顧問をしているサークルの学生が自主制作の冊子を持ってきた。 「ジャン殿ラテ殿も見てみるか? なかなか面白いぞ」 今回の目玉は、魔法が使えないエルフの宮廷武官がバッタバッタと敵を打ち倒していく痛快活劇であり、 主人公は随分な美形……いわゆるイケメンに描かれていた。 それは別に不自然なことではなくエルフなのだから普通に考えるとそうなのだが。 ティターニアはすぐに元ネタとなったであろう人物に思い至り、 そういえばいつだったか宮廷武官をやめたと風の噂に聞いたが今頃何しておるかの、等と思う。 ところで、高い魔力を持つエルフは生まれながらの魔術師―― 母国語を文法を習わずとも喋りはじめるように、自然と簡単な魔術なら使えるようになる。 (もちろん高位の魔術を習得しようと思うと理論的に学ぶ事が必要である) 何故か本当にごく稀に、魔術を使えないエルフが生まれるのだが、そのような人物はほとんどの場合森で静かに過ごすこととなる。 しかし、彼はそれを良しとせず、肉体を極限まで鍛えて宮廷武官にまで出世したのであった。 そんな感じで呑気に冊子を見たりしている最中であった。 「ティターニア様、大変大変!」 ホビットで助手のパックが騒がしく駆け込んできた。 「なんだ、騒々しい。そなたの悪戯にはもう騙されぬぞ」 「魔術師ギルドから情報が入ったらしくて……主府の冒険者ギルドの一団がここを襲撃しに向かってるらしい!」 「出まかせではなかったのか……!」 魔術師ギルドから情報が入ったということは、どうやら傘下にしようとしてし損ねたものと思われる。 ユグドラシアと魔術師ギルドは表向きは全く別の組織だが裏で就職を斡旋したりと様々な癒着… もとい密接な友好関係があるので、流石に襲撃に参加させるのは無理というものである。 「襲撃の編成等の情報は入っておるのか?」 「質より量のコモンクラスの集団らしい」 「コモンクラスの冒険者など束になって来ようとも我々の敵ではあるまい。率いている者が何者かは分かるか?」 「それが……適当に臨時で雇われたフンドシ一丁とゴスロリの二人組のモグリの冒険者だと……」 「……。ギルド員ですらないと。ソルタレクの冒険者ギルドは一体何を考えておるのだ……?」 ただ舐められているだけなら何も問題はないのだが。 あまりにもアホらし過ぎて、実はそのフリーの冒険者が超強いとかいうパターンを勘ぐってしまう。 万が一まかり間違えて完成間近の飛空艇をぶっ壊されたりしては目も当てられない。 戦える導師や助手(この学園の導師は魔術は漏れなく使えるのでつまり全員)は総員戦闘態勢に入って防衛にあたれとのお達し。 「仕方があるまい、ジャン殿、ラテ殿、付き合ってくれるか?」 http://hayabusa6.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1483282651/263
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