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【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net (285レス)
【伝奇】東京ブリーチャーズ【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/
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1: ◆TIr/ZhnrYI [sage] 2016/11/25(金) 18:33:21.16 ID:lDounR/X 201X年、人類は科学文明の爛熟期を迎えた。 宇宙開発を推進し、深海を調査し。 すべての妖怪やオカルトは科学で解き明かされたかのように見えた。 ――だが、妖怪は死滅していなかった! 都内、歌舞伎町。 不夜城を彩る煌びやかなネオンの光さえ当たらない、雑居ビルの僅かな隙間で、一組の男女がもつれ合っている。 若い女が仰向けに横たわる男に馬乗りになり、激しく息を喘がせている。 ……しかし、それは人目を憚って繰り広げられる逢瀬などではない。 『喰って』いる。 女は耳まで裂けた口を大きく開くと、ノコギリのようなギザギザの歯で男の腹に噛み付き、はらわたを抉り出す。 まだ体温の残る肉を引き裂き、両手で臓腑を掴んでは貪り喰らう。 すでに絶息している男の身体が、グチャグチャという女の咀嚼に反応するかのように時折ビクンと痙攣する。 この世のものならぬ、酸鼻を極める食事の光景。 女は、人間ではなかった。 柔らかな臓物を、滴る血を存分に味わい、喉元をどす黒く染めた女が大きく仰け反って恍惚に目を細める。 だが、まだ喰い足りない。女は男の頭を両手で掴むと、頭蓋に収納された脳髄を味わおうと更に口を開いた。 ――しかし。 ジャリ……という靴裏のこすれる音に、女は咄嗟に振り返った。 雑居ビルの間の細い路地裏、その出口に、数人の人影が立っている。 性別も年代もバラバラに見える、正体不明の一団。 「いやァ――お食事中のところスミマセンね。ちょォーッといいですか?」 一団の中央に佇む、古風な学生服にマントを羽織った――大正時代の学徒か何かのような姿の人影が、口を開く。 が、顔は見えない。その面貌は白い狐面に覆われており、中世的な声も相俟って少年か少女なのかも判然としない。 女は低く身構えた。食事を目撃した者は、すべて消さねばならない。 唇の端から鋭い牙が覗き、両手の爪が音を立てて伸びてゆく。その姿は明らかに人外の化生である。 だというのに、一団は一向に怖じる様子がない。依然として、女の逃げ道を塞ぐように佇立するのみ。 「こんな東京のド真ん中で、そうやって好き勝手絶頂に食べ物を喰い散らかされちゃ困るんですよねえ。美観を損ねる」 「2020年の東京オリンピック。ご存知ですか?それまでに、ボクたちはこの東京をすっかり綺麗にしなくちゃいけないんです」 「インフラ整備に、施設の建設。世界中から人々を迎えるために、この東京はやらなくちゃいけないことがゴマンとある」 「まぁ……その辺は人間のお偉いさんにやって頂くとして。人間じゃできないことは、ボクらの出番ってワケです」 「アナタたちのような《妖壊》を残らず葬り去る――ま、いわゆる害虫駆除ってヤツですか」 女が聞くと聞かざるとに拘らず、ぺらぺらと饒舌に狐面が喋る。 その全身から、蒼白い妖気が立ち昇る。他の者たちの姿が歪み、人ならぬ何かへと変貌してゆく――。 甲高い咆哮をあげ、女が一気に跳躍し襲い掛かってくる。 「東京オリンピック開催までの間に《妖壊》を殲滅し、この帝都東京をすっかり『漂白』する……」 狐面の背後にいる者たちが、女を迎え撃つ。 「そう。ボクらは――」 炎が、雷撃がビルとビルの隙間の袋小路で迸り、女の姿をした化生を一瞬で葬り去る。 狐面は白手袋を嵌めた右手を伸ばすと、消し炭となって爆散した女の残骸をひとつ抓んだ。 残骸をぐっと握り潰し、そして言う。 「――東京ブリーチャーズ」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/1
266: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc [sage] 2017/02/15(水) 22:03:57.22 ID:U+Xmh4YZ 相変わらずイントネーションを間違えた禹歩の発音で、橘音のいい漢っぷりを称賛するノエル。 ちなみに子ども(精神年齢)は新しく覚えた言葉をとりあえず使ってみたがる性質があるので、うっかり変な言葉を教えると大変なことになるのだ。 みんなも気を付けよう! ノエルが腕を一閃すると、劣勢を察し慌てて合体し直そうとするミニゴホウに、雪玉がぶつかったかと思うと崩壊して足元を埋め、瞬時に凍り付いて手足を地面に縫い付ける。 「せっかく大勢になったんだから急いでリュニオン(再結合)しちゃ勿体ない! 忙しい橘音くんの代わりに遊んであげるよ! 雪合戦だ! 一人でも僕にタッチできたら君達の勝ちな!」 例によって攻勢ターンに入った瞬間にあからさまに分かりやすく元気になったノエルがゴホウ達を挑発する。 もしゴホウ達が日本語を喋れたら、「いや、”勝ちな!”ってドヤ顔で言ってるけどアンタ男だろ!」「見た目だけはやたら綺麗だけど男……だよな!?」 「でも雪"女”だから呪いワンチャンいけるんじゃね!?」「あれ? なんか焦点を後ろに合わせると変な映像が見える気が……」 「しかし我らのプライドにかけてあんな変態を女枠に入れてはいけない……!」 等と審議が繰り広げられているところ……かどうかは定かではないが。 「ふっはははは! 遅い! そんなんじゃハイハイレースで優勝狙えないぞ!」 再結合を阻まれ困惑しているらしいゴホウ達に、ノエルは両手を同時に使って次々と雪玉を当てていく。 相手は破魔の結界で動きが鈍くなっているので当てるのは楽勝であった。 足元が氷雪に埋もれて身動きできなくなったゴホウ達を前に作り出すは ご丁寧に8tと凹凸で描かれた無駄に巨大な氷のハンマー。(実際には8tも無いよ!) 「お次はモグラ叩きだー! ワニワニパニックでも可ッ! とーう!」 ハンマーを振りかざし無駄に大きいモーションで跳ぶ。 動けない奴ら相手にモグラ叩きも何もあったものではない。これは酷い! 「えっ! ヤバ……!」 そこにチッポウの横薙ぎの張り手が飛んできた。 チッポウは橘音が引き受けていたはずだが、流石に小さいお友達を容赦なくいじめる悪い奴を放置できなくなったらしい。 イジメ、ダメ、ゼッタイ! 「たあッ!!」 とりあえず振りかざした8tハンマーを上段振り下ろしから強引に横一閃に変更して迎撃し、 その反動で敢えて派手に吹っ飛ばされることで衝撃を和らげる。 少し離れた場所で地面を二、三回転がって立ち上がり、追撃に備えて身構えるが……来ない。 溶解液は飛ばしてくるものの、ゴホウ達を足止めしたあたりから動こうとしない。 その様子を見たノエルは、とある仮説に行きついた。 まさか、ゴホウを守ろうとしているのか――!? 連携はしている気配はあったが、仲間を守ろうとする意識まであるというのか。 そう思ってしまった瞬間、胸の奥がズキリと痛んだ。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/266
267: 御幸 乃恵瑠 ◆4fQkd8JTfc [sage] 2017/02/15(水) 22:08:33.16 ID:U+Xmh4YZ 「ほらほら、こっちだ、来てみろよ!」 その痛みを悟られぬよう表向きは変わらぬ調子で挑発しつつ。 雪玉をぶつけて牽制しながら、大きく位置を動こうとしないチッポウの周囲を円状に駆ける。 敵の攻撃に当たらないように相手の周囲をぐるぐる回りつつ自分は遠距離攻撃を加える アクションRPGのボス戦でありがちな立ち回りだ。 そして一周回ったところで相手の方に向き直り、地面に手を付いた。 「――アイスプリズン!」 チッポウがいる地点の四方を囲うように、氷の壁がせり上がる。 ゴホウ達を凍りつかせた地点もその範囲内に入っている。 とはいえ、このままではいずれ溶解液で脱出されてしまうのだが―― 「ギャアァアァァァァアアアアアァァアァァアアァアアア!!!」 囚われたチッポウの怒りの絶叫が響き渡る。 「あーあ、雪山でそんなに大きい声出したら駄目だって。終わりだぁあああああああ!」 自分はこの子たちの仲間を想う気持ちを利用した――仲間を失う事に一番怯えているのは自分自身だというのに。 人間に似た部分の心の激痛を誤魔化そうとするかのように、敢えて無邪気で邪悪ともいうべき笑みを浮かべ、腕を掲げる。 しかしここで言う邪悪は飽くまでも人間の尺度から見た時のこと、自然災害は常に人間の都合など知ったこっちゃないのだ。 氷の壁が質量保存の法則を無視したレベルの大量の雪と化し、壁の内側に雪崩れ込んでいく! そう、雪崩れ込むという言葉のそもそもの語源、巻き込まれた者全ての息の根を止める、 雪山で遭難が流行らなくなった現代に至っても度々甚大な被害を出す氷雪系最恐の凶悪無比な自然災害――雪崩である。 雪女のホームグラウンドは言うまでも無く雪山。 もちろんここは雪山ではないのだが、先程円形に走ったことで、その内側に自らの領域――結界を作り上げたのだ。 「勝負――アリ!」 勝利を確信したノエルは、橘音に向かっていつもに増してとびっきりのドヤ顔を向けるのだった。 ちなみにどうやって寄木細工掘り出すんだ!?とか後先全く考えていないぞ! http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/267
268: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2017/02/16(木) 23:22:34.00 ID:zIU5WpN+ 最初に人を殺したのは、苦痛から逃れる為であった。 呪具として改造された魂は、製作者の意図に従い動かねば、耐えがたい苦痛が与えられるからだ。 次に人を殺したのは、苦痛を味わいたくないが故であった。 呪具に刻まれた呪いの通りに人を殺せば、自分は痛くないからだ。 更に人を殺したのは、母の温もりを求めたが故であった。 標的(オカアサン)の胎内(ナカ)に戻れば、幸せに生まれ直す事が出来ると思ったからだ。 尚も人を殺したのは、自分が知らない幸せを持つ人間を憎むが故であった。 誰かが自分と同じ様に苦しんで死ねば、少しだけ気持ちが晴れる気がしたからだ。 そうして、次も、次も、次も。 殺して殺して 殺して殺し。 呪って呪って 呪って呪い。 やがて異形の霊体(カラダ)を手に入れて 九十九の神と呼ばれる存在に成り果てて 電子の海を揺蕩う、人の噂に力を与えられ 製作者の意図をも超え、とうとう人智を超えた霊災と化した頃 人を殺すのは、人を殺す為となっていた。 自身の力に抗えずに無様に死んでいく人間を見る事に、愉悦を感じる様になったからだ。 百を越える年月を経た、コトリバコ。 『ニホウ』『サンポウ』『シッポウ』 彼等は、時を経て哀れな被害者から本物の怪物と成り果てた。 人を殺す為に殺す、救えぬ怪物と化したのだ。 そして今、その三体の怪物の殺意は一人の男に向けられている。 尾弐黒雄 喪服を着こんだ悪鬼。 腕力と頑強さを武器に、有象無象、魑魅魍魎共を捻じ伏せる悪意と暴力の権化。 その尾弐への奇襲を成功させたコトリバコは、今や尾弐の体を玩具でも扱うかの様に粗雑に――――破砕していた。 呪詛の強酸を浴びせかけ、巨大な腕で頭を掴み、アスファルトへと叩き付け。 脚を掴み振り回し、離れた位置に在る商店のコンクリの壁へと放り投げ。 それを餌を放られた犬の様に追いかけると、その拳で、或いは掴んだ瓦礫で、殴りつけ、踏みつける。 尾弐を破壊する三体のコトリバコ達は、本当に楽しそうに。まるで子供の様に無邪気な笑みを浮かべている。 これだけ壊れにくい玩具を手にしたのは、初めてだったのであろう。 自身の手で命を奪う行為への興奮に、本物の赤子の様な笑い声を挙げる彼等。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/268
269: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2017/02/16(木) 23:23:07.48 ID:zIU5WpN+ そのまま絶え間なく暴力は続いていったが……やがて、土煙で尾弐の姿が見えなくなった頃。 コトリバコ達は唐突にその手を休めた。 疲労?慈悲?……否。 彼等は自身が振るった暴力の結果を確認する為に、コトリバコ達はその拳を止めたのである。 彼等が脳裏に浮かべる土煙の向こう光景は、まるで挽肉の様にグズグズになり、力なく絶命している尾弐の姿。 あれだけの呪詛の酸を、暴力を、蹂躙を受けたのだ。丈夫な玩具と言えども壊れない筈が無い。 釣りあがる口元を隠す事も無く揃って、三つ子の子供の様に楽しげに嗤うコトリバコ。 そうして、土煙は晴れる。 向けられる視線。そこには……瓦礫に上半身が半ば埋もれ、力なく首を垂れる尾弐の姿があった。 瓦礫からはみ出た左腕は切り刻まれたかの様に血まみれで、一部の傷は肉の先。白い骨を露見させている。 更にその上半身からは、溶解液の効果であろう。今尚煙が上がっている。 その様子を見た3匹のコトリバコは、思ったよりも損壊が少ない事に若干不満げな様子を見せたが、 それでも再起不能と思うに十分な傷を与えた事への喜びの方が大きかったのであろう。 動かない尾弐の元へ、最後の仕上げ……いざ止めを刺さんと近づいていく。 そうして。とうとう尾弐の前まで辿り着いた『シッポウ』のコトリバコが、 その頭を喰らわんと大きく口を開き――――その直後。 風船が割れる様な音が響き、『シッポウ』の巨大な頭が、消し飛んだ。 突然の事態に思考が付いていかず、動きを止めたのは『ニホウ』『サンポウ』のコトリバコ。 呆然としながらも、原因を探るべくその異形の目を動かし見て見れば、そこには 「……あー、悪ぃな。オジサン、力加減間違えちまったわ」 瓦礫に埋まっていた上体を易々と立ち上げ、数刻前に那須野にデコピンを見舞った時と同じ様に、右腕を前に突き出している尾弐の姿。 いや……同じというには語弊があろう。 何故ならば、尾弐の突き出した右腕。その拳は、鉛の様に黒く禍々しく変化しているのだから。 そう。 加減の無い数多の暴力に晒され、呪詛により生み出された酸を浴びせられて、それでも尚。 尾弐黒尾は、健在であったのだ。 健在であり、尚且つコトリバコを確実に屠る機会を窺がっていたのである。 ……コトリバコ達は、気付くべきだった。 最も損壊している尾弐の左腕、その傷が全て、彼らが持っていない『刃物による切傷』である事に。 嬉々として暴力を叩きつけている最中、尾弐が一度も苦悶の声を洩らしていなかった事に。 「さて、いい感じに大将達から見えねぇ程遠くに運んでくれたみてぇだし お前らも俺相手に十分自分勝手を楽しんでくれたみてぇだからな……もう、いいだろ」 そうして、瓦礫の山を発泡スチロールか何かの様に易々とかき分け抜け出した尾弐は、そのまま立ち上がり一つ歩を進める。 すると……それに呼応するかの様に、何か得体の知れない感覚に押されたコトリバコ達は、一歩後退した。 更に尾弐がもう一歩進めば、今度は二歩分後退する。三歩、四歩と進める内に、コトリバコが退く歩数は増え。 やがて『ニホウ』と『サンポウ』は、彼らがかつて感じた事のない悍ましい感覚に従い、尾弐へ完全に背を向けると、 急き立てられるかのように逃走を開始した。 それは、奪われた物として発生し、奪うモノとして存在してきた彼らからは縁遠い『恐怖』という感情によって齎された行動であった。 一目散に逃走するコトリバコ……だが、その逃走は直ぐに終わりを向ける事となる。 『禹歩』 那須野が先頃展開したその破魔の結界が、壁となり彼らの前に立ちはだかったのだ。 周囲一帯を覆う破魔の結界であるが……コトリバコ達を含む尾弐の周囲十m程には、 まるで浄化しきれない穢れでもあるかの様に、展開出来ておらず、 それが故に、コトリバコ達は周囲を結界に囲まれると言う、ある種の牢獄に囚われたかの様な状態となったのである http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/269
270: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2017/02/16(木) 23:23:44.34 ID:zIU5WpN+ 「逃げてくれんなよ、怪物共。俺のこの姿は連中に……特に、那須野の奴には見せる訳にはいかねぇんだからな」 退く事の出来なくなったコトリバコは、迫る尾弐に対し暫くの間混乱した様子を見せ……結局、彼等は己の力に縋る事となった。 状況を打開する為に、他者を理不尽に蹂躙する事の出来ていた己の力を信じ、反撃を試みたのである。 先ず行われたのは、『ニホウ』による溶解液の噴射。それは、あらゆるモノを溶かす呪詛の毒である。 「毒で俺を殺りたきゃ――――神さんから貰った酒に盛って飲ませるなりしやがれ」 だが、それは今の尾弐に対しては僅かに皮膚を焼く程度の効果しか齎す事は出来ず……まるで用を成さなかった。 当然である。呪詛は上位の呪詛で塗りつぶせる。ならば、呪詛で出来た溶解性の毒液が、『今の』尾弐に通用する筈が無いのだ。 そのまま尾弐が右手で溶解液を噴き出し続けるニホウの頭を叩くと……まるで巨大な鉄槌でも振り下ろされたかの様に ニホウの頭は潰れ、地面にめり込んでしまった。 続いて行われたのは、『サンポウ』による巨体を利用した押し潰し。 数百キロはあろうかというその重量は、並みの人間であれば床の染みに出来る程のものである。が 「じゃれ付くんじゃねぇ。いつまで赤ん坊のつもりでいやがんだ。怪物が」 尾弐の右腕一本により、その巨体は受け止められてしまった。 いや、それだけではない。尾弐が力を込めると、サンポウの巨体は中空に放り投げられ、 そのままその胴体を尾弐の拳により貫かれてしまったのである。 そして最後に、尾弐の背後から襲い掛かってきたのは頭部の再生をようやく果たした『シッポウ』のコトリバコ。 シッポウは、最初に奇襲を成功させたのと同じように尾弐の左側面へ向けてその巨大な拳を振るう。が 「不意打ちで首を落とせなかった時点で、お前さん達に勝ち目はねぇよ。諦めろ」 尾弐は、振るわれたその拳を右手で受け止めると、そのままシッポウの指を二本掴み――――骨ごと力任せに引き抜いてしまった。 ・・・ かくして尾弐の眼前に広がるのは、阿鼻叫喚。粘液に塗れ、苦痛にのた打ち回る3匹のコトリバコ達の光景。 先程までの愉悦の色は遥か遠く、恐怖と苦痛から逃れようともがき暴れる異形の赤子の姿は、いっそ哀れですらある。 ……だが、尾弐はそんなコトリバコ達を見ても眉ひとつ動かす事はなかった。 尾弐は、ただ淡々と。底の見えない闇の様な色の瞳で見据えながら口を開く。 「どんな理由があろうと、自分の意思で自分の望む通りに他人を殺した奴に救いなんてモンがあると思うな。 人を呪わば穴二つ……人を殺す事を楽しんじまったテメェらは、もう哀れな犠牲者じゃねぇ。 同情される事すら許されねぇ、立派な『コトリバコ』って名前の怪物なんだよ」 そうして尾弐は、必死に逃げようともがくコトリバコ……『シッポウ』のすぐ側まで近づくと、拳を振り上げ。 「だから――――テメェらみてぇな怪物の相手は、同じ怪物で十分だ」 その胴体へと右手を突き刺し……体内から小さな木箱を、無理矢理に取り出した。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/270
271: 尾弐 黒雄 ◆pNqNUIlvYE [sage] 2017/02/16(木) 23:23:59.58 ID:zIU5WpN+ 尾弐が取り出したその木箱は、他のコトリバコ達のものとは違い、核となる嬰児の魂と呪詛が融合してしまったかの様に変形してしまっている。 まるで心臓の様に脈打ち、色はどす黒く変色しているコトリバコ。 己の体から取り出された其れを、『シッポウ』のコトリバコは必死になって取り戻そうと腕を伸ばすが……その手が届く前に 尾弐の右手は、小箱を握りつぶした。 箱が潰れるのと同時に苦痛の叫び声を上げながらドロドロに溶解し消滅する、コトリバコの異形の赤子としての姿。 だが尾弐は、その悲鳴すらも気にする事は無く、『ニホウ』『サンポウ』と、順々に小箱を破砕していく。 コトリバコの体液に塗れながら、無表情に淡々とその作業をこなしていく尾弐の様子は、 ある意味ではコトリバコよりも余程怪物じみていた。 そうして、3つのコトリバコを破壊した尾弐は……そのまま、ドサリと瓦礫へと座り込んだ。 「あー、痛ぇ……年甲斐も無く気張り過ぎたかねぇ」 いかな頑強な尾弐とはいえ、あれだけの攻撃を受ければ流石に完全に無傷とはいかない。 最も大きな傷は破魔の刃を作る為に自分で切り刻んだ左腕だが、それ以外にも小さな傷が、尾弐の全身の皮膚に刻まれている。 着込んでいた喪服も一部を残してすっかり融解してしまった為、ブリーチャーズの面々と合流する前にそこらの店で現地調達する必要があるだろう。 「まあ、それでも……こんだけの『呪詛』の塊を喰らえば、ちったぁ目的に近づけた、かね」 そう呟いた尾弐は、自身の右手……先程まで黒く変色していたその拳に一度視線を落とし、黙りこんでいたが、 ……暫くして、他のブリーチャーズの面々が戦闘を行っているであろう区域へと視線を向ける。 「ムジナの奴に任せた以上、万が一にも死人が出る様な事はねぇだろうが……一応、急いで戻るとするか」 そう言って、立ち上がる尾弐。 道中の無人と化した服飾店でレザージャケットを勝手に借り受けた彼は、大分距離が開いてしまった仲間たちの元へと向かう。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/271
272: 創る名無しに見る名無し [] 2017/02/20(月) 21:57:23.36 ID:iQSeyJh3 35:54 ↓ 10:40 https://www.youtube.com/watch?v=WTdY7h129Mk https://www.youtube.com/watch?v=8R0luOy8ce8 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/272
273: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/02/20(月) 23:07:35.27 ID:id/JqesG >>272 失せろや糞マルチ ハゲ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/273
274: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ [sage] 2017/02/21(火) 15:18:41.57 ID:nF0h8BIm ずだだだだ、と不格好なガニ股走りでロッポウから逃げる品岡。 無論敵から目を背けて無防備を晒しているわけではない。ちゃんと背中に目を生やしている。 追って飛んでくる粘液を目視し、ジグザグに動いて躱しながら疾走する。 「あかん息切れてきた……!煙草やめよっかなもう……!」 タールに塗れた肺が酸素を求めて律動し、水際の金魚のようにパクパクと喘ぐ。 肉体疲労とは無縁の妖怪と言えど、今日は朝から色々妖術を使いすぎた。 元々そこまで妖力の残高に自信のあるほうでない品岡は露骨に足運びの精彩を欠く。 ロッポウの足音がすぐ背後まで迫ってくる……! >「――スリップ」 横合いから鈴の鳴るような声がしたが早いか路面が突如凍りつき、疾走していたロッポウが足を取られた。 重量感のある転倒の音が響き、走りながら吐いていたゲロが明後日の方向に飛んで街灯を溶かす。 「でかした優男!」 出現したアイスバーンの主は、何故か精肉屋の庇の上でチューブ容器を名残惜しそうにちゅうちゅう吸っているノエル。 涙の出るような好アシストだった。 思わぬ加勢に調子を取り戻した品岡は振り向きざまに、抜け目なく再装填を終わらせていたトカレフを撃つ。 二発、三発。相変わらずの糞エイムで無駄玉が遠くを穿つが、一発がロッポウの右半身に命中した。 「よっしゃ、弾ぜろやクソガキ!」 間断なく妖力を遮断し弾頭の形状変化を解除、廃車のフレームに復元する。 体内で異物を膨張させられたロッポウはイッポウと同じ末路を――辿らなかった。 廃車はロッポウのすぐ後方に現れた。 「なんやと……!」 着弾観測から弾頭の復元、その一瞬の間隙を縫って、ロッポウは被弾箇所を自らえぐり取ったのだ。 虚空に放られたロッポウの肉片が、出現した廃車によって押し潰される。 深く抉られた傷口からは緑の体液が溢れ、それが地面を焦がす頃には傷が塞がってしまった。 ケ枯れには、至らない。 「そら学べ言うたのはワシやけど……適応早すぎるんとちゃうか」 イッポウがケ枯れさせられた原因を即座に理解し、その対策まで完璧にやってのける。 最悪の霊災、最凶呪具の付喪神。わかりきっていたことではあるが、やはり怪異としての格が違う。 ヒトを殺す為の呪いは、より効率よく殺す為に――殺し続ける為に、進化を続けている。 ――!…………――!!! ロッポウは吠える。 その轟きにイッポウのような品岡を揶揄する響きはなく、純粋な己を鼓舞する叫び。 味方を破壊され、孤立し、自分を滅ぼせる相手とおそらく初めて対峙したコトリバコに、最早愉悦の色はない。 ただ人間を嬲り殺すだけだった呪詛の化身が、己が敵を滅する戦士と化し始めていた。 「しんどいなぁ、付き合いきれんわ。ちゅうても見逃してくれるわけやないよな。 ええで、とことん付き合うたるわ。……大人やからな」 ボコ、ボコ、ボコ……と地面に穿たれた複数の穴から廃車のフレームが生える。 それらの圧縮に使っていた妖力を止め、わずかではあるが回復はできた。 氷の棘付きスレッジハンマーを片手で構え、重心を落とす。 「……行くでコトリバコ、ジブンの好きなじゃれ合いや」 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/274
275: 品岡ムジナ ◆VO3bAk5naQ [sage] 2017/02/21(火) 15:19:20.17 ID:nF0h8BIm 刹那、品岡の姿がロッポウの視界から消えた。 十歩ほど離れたアスファルトが擦れる音、一瞬だけ現れた品岡が更にブレて消える。 品岡の姿を捉えたロッポウが粘液を吐く頃には最早的はそこにない。 形状変化で足の骨を強力なバネに変え、鞠のように跳ね回っているのだ。 「っつおらぁ!」 バネの加速そのままに、横合いからハンマーがロッポウの顔面を捉えた。 氷の棘が赤子の表皮を一瞬で凍結させ、次いで打撃がそれを砕く。 そうして二度、三度と少しづつではあるが、確実にコトリバコの体積を削いでいく。 「修復する隙なんぞやるかいな」 祈ほどの強烈な速力はないが、ロッポウの反応速度を超えられればそれで十分。 復元弾頭のように一撃では仕留められなくとも、このまま一方的な攻勢に持ち込み続ければ、いずれはケ枯れさせられる! ロッポウが息を吸い込んだ。粘液を吐く予備動作だ。 しかしその射出口たる巨大なあぎとは明後日の方を向いている。 コトリバコの恐るべき学習能力が、品岡の機動力をバネによる直線的なものと見抜いた。 彼の一瞬後の位置を予測してそこ目掛けて粘液を吐きかける。 果たして、放物線を描く粘液の先に品岡が現れた。 「浅いわ」 地面のアスファルトがめくれあがり、粘液に対する壁となった。 溶けゆく壁の向こうからハンマーが飛び、コトリバコの下顎を砕いた。 痛みに悲鳴じみた叫びを上げながらもロッポウの両眼は品岡を睨めつける。 ボコンボコンと身体を蠕動させながら赤子の唇が蕾のようにすぼまった。 (何するつもりや……距離開けたほうがええな) ただならぬ動きに警戒する品岡は二歩、三歩とバネ足でバックステップ。 踏んだ地面が隆起し、都合三枚の壁が品岡とロッポウの間に形成された。 ロッポウの身体がかつてないほどに、体積にして倍ほども膨れ上がる。 キィ……と甲高い音で鳴いて唇から粘液が噴き出した。 「それしかできんのかい、芸が無いのぉ――」 鼻で笑った品岡の右腕に激痛が奔った。 さながら水鉄砲の要領で射出口を狭め速度と圧力を増した粘液が三枚の壁を一瞬で貫通し、その先の品岡を撃ち抜いていた。 「あ……?ああああああああっ!?」 圧縮粘液に穿たれた右腕が毒々しく変色し、煙を立てながら腐食の範囲を広げていく。 品岡はたまらず情けない悲鳴を上げながら左手で右の腕を掴み、形状変化で引き千切って捨てた。 握ったスレッジハンマーごと地面に放られた右腕が、溶解してアスファルトの染みと化した。 「前言撤回や。頭使っとるやないか……」 自切した右腕が戻らない。コトリバコの呪いの一部が残っているのだ。 形状変化で強引に腕を作ることも考えたが、残り少ない妖力を無駄には出来なかった。 品岡は潔く腕を諦めて再び走る。彼のいた場所にロッポウが轟音を立てて着地した。 「おのれが……!」 残った左腕で拳銃を撃つ。利き腕を失い回避しながらの射撃では当然当たらない。 ロッポウが距離を詰める。牽制に鉛玉をばら撒きながら少しでも距離を取る。 趨勢は完全に逆転し、品岡は防戦一方だった。 片腕でできる攻撃などたかが知れているし、何よりノエルの妖術のかかったハンマーを落としたのが痛い。 現状コトリバコに対して有効な打撃の放てる唯一の武器だった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/275
276: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/02/21(火) 15:20:00.76 ID:nF0h8BIm 【次スレに続く】 【伝奇】東京ブリーチャーズ・弐【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1487419069/ http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/276
277: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/02/24(金) 05:35:10.97 ID:J7kwTUW9 期待してるよ! http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/277
278: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/06/08(木) 08:51:31.14 ID:yUN74uNw この板はめいいっぱいまで書き込まないとスレが倉庫に落ちないのである http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/278
279: 第壱話ダイジェスト [sage] 2017/06/08(木) 21:48:04.06 ID:UXL9Bb/x 都内の某雑居ビルに事務所を構える高校生探偵の那須野橘音、 その正体は三尾の狐であり、妖壊漂白チーム東京ブリーチャーズのリーダーだ。 橘音のもとに、今日も上司の玉藻前から指令が下る。今回の討伐以来は八尺様。 橘音が所属メンバーに電話をかけまくった結果、 橘音の探偵事務所の助手でもあるターボババアの孫の太甫祈と 橘音と同じ雑居ビルでかき氷喫茶店をしている雪女(イケメン)の御幸乃恵瑠が作戦に参加することとなった。 祈が男子小学生に変装し、橘音が結界を張った公園に誘い込むべく囮となる。 祈は見事な機転で八尺様を公園に誘い込むことに成功し、戦闘が始まる。 最初は互角に戦っていたものの次第に追い詰められていくノエルと祈。 絶体絶命のピンチに陥った時、葬儀屋を営む鬼の尾弐黒雄が駆けつけ、事なきを得る。 しかし状況は依然として予断を許さない。 そんな中、打開策を考える間持ち堪えるように皆に要請する橘音。 八尺様から激しい怨嗟を向けられ気を失うノエルだったが、気絶から目覚めたノエルは橘音に告げる。 八尺様は『橋役様』だと。 かつて幼い頃に妖壊と化したこと、その時に生贄として少年――『橋役様』を捧げられたことを思い出したのだ。 それは、古の時代に行われていた人身御供の風習が生み出した哀しき妖怪。 『橋役様』とは自然災害を鎮めるために、神に捧げるために生贄とされた少年のことであり この八尺様は、橋役様として生贄にされた我が子を求め彷徨う母親の霊の集合体だった。 その言葉を受けた橘音は、橋役様とされた少年の霊達、妖怪名「ミサキ」を召喚。 何組もの母親と子が再開を果たし成仏していく。 その後に残ったのは、かつて複数の少年を殺した背の高い猟奇殺人者の女の悪霊。 哀しき母親の霊達を取り込み利用していた諸悪の元凶だった。 しかしそれらの力を失いただの悪霊となった八尺様などブリーチャーズの敵ではない。 弱弱しい姿になった八尺様が尾弐によってあまりにも容赦なく消し飛ばされた光景を目の当たりにした祈は これでよかったのかとノエルに問いかける。 ノエルはいつか生まれ変われると説き、優しく祈を抱きしめたのだった。 一方の橘音は、八尺様が消えた場所から怪しげな紙片を拾い上げる。 それは今回の八尺様の事件が何者かの差し金によるものということを示していた。 そんな彼らを高層ホテルの一室から見つめる4つの人影―― 彼らは東京ドミネーターズ。彼らこそ、八尺様ばかりではなくここ最近の妖壊事件の黒幕であった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/279
280: 第弐話ダイジェスト [sage] 2017/06/08(木) 22:50:23.73 ID:UXL9Bb/x 都内で女性の謎の変死事件が多発――鞍馬山の妖怪銀行から盗まれた呪詛兵器「ハッカイのコトリバコ」の仕業だ。 コトリバコ漂白の命を受けた那須野橘音の元に集まるのは、多甫祈と御幸乃恵瑠と尾弐黒雄、 そしてのっぺらぼうで陰陽師の式神のヤクザで、ブリーチャーズの非正規メンバーでも品岡ムジナだ。 当初橘音は祈を連れて行くのは危険だとして事務所に残そうとするが、ノエルは橘音が性別不詳であることを指摘し激しく抗議。 紆余曲折を経てムジナの形状変化妖術により男に化けた上で同行することになった。 尾弐は自らの腕を切ったカッターの刃を、その事は伝えずに破魔の刃と称してを祈と橘音とノエルに渡すのであった。 現場に向かった一行は、付喪神化したハッカイ(8種類あるコトリバコの最上位)と遭遇。 複数の巨大な赤子が融合したような不気味な化け物の姿となったハッカイとの戦闘が始まった。 ハッカイがいかに強力といえど5対1、このままいけば勝てると思われた時だった。 ハッカイ以外の7種類のコトリバコが一斉に現れ、場は絶望に包まれる。 追い詰められる一同だったが、すんでのところで橘音の呪式歩方「禹歩」による結界が完成。 コトリバコ達は能力に強力な制限を受け、一転して攻勢ターンとなる。 一同は激戦の末に、全コトリバコの撃破に成功したのだった。 原型の小箱に戻ったコトリバコ達だったが、しかし直後に声をあげはじめる。 ケ枯れして一時的に大人しくなっただけの状態であるため、何らかの手を打たなければすぐに復活してしまうのだ。 橘音は、パズルを解くと展開されるようになっている地獄の門「リンフォン」を発動。 コトリバコ達は成す術もなく地獄の門に吸い込まれていったのであった。 あまりの救いの無い結末に呆然とする祈やノエル。 辛くもコトリバコを撃破した一同だったが、そんな一同の前に東京ドミネーターズの4人が姿を現す。 リーダーらしき『妖怪大統領』の名代レディベアを筆頭に、人狼のロボ、ジャック・フロストのクリス、赤マントの怪人65535面相。 彼らはコトリバコを放ったのは自分達だと堂々と宣言、更に東京を支配すると宣言して宣戦布告する。 満身創痍の一同だったが、激しい怒りに駆られて飛び出した祈を全員でサポートする形となった。 しかし皆の攻撃はことごとく無効化され、祈はレディベアの瞳術の前にあっさりと倒れ伏す。 ドミネーターズの面々はそれ以上一同を追い詰めようとはせず、強者の余裕たっぷりに姿を消すのであった。 悔しがる祈に、橘音はコトリバコの赤子の指の欠片を小箱に入れて渡し 想いの力はきっと伝わるからコトリバコを想うなら持っておくといいと伝えるのだった。 解散後、尾弐はムジナに自分がいなくなった後祈やノエルや橘音を守ってほしいと持ちかけ、ムジナはそれを断る。 何はともあれそれぞれの自宅に帰る一同。 祈はコトリバコを想いながら眠り、一方激戦で妖力を使い果たしたノエルは何故か美少女の姿になっていた。 そして橘音は事務所に帰り着いた後、破魔の刃のお蔭で助かったと密かに尾弐に感謝するのであった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/280
281: 創る名無しに見る名無し [sage] 2017/06/09(金) 00:04:53.44 ID:8VSaZ5kO ttps://www.youtube.com/watch?v=M-ssdkN2wos ttps://www.youtube.com/watch?v=jxUhx4S3_Ao ttps://www.youtube.com/watch?v=8Sh17kXfw-k ttps://www.youtube.com/watch?v=gBRF0op5BrE ttps://www.youtube.com/watch?v=WdW4qz352U0 ttps://www.youtube.com/watch?v=ZuT3xYLW7vA ttps://www.youtube.com/watch?v=Nwptlbjv-MU ttps://www.youtube.com/watch?v=Y9FT_yaCu1c http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/281
282: 第参話ダイジェスト [sage] 2017/07/09(日) 21:14:59.91 ID:PrHTvua2 コトリバコとの戦いから少し時間が流れ桜が咲き始めた頃。 SnowWhiteに突如としてクリスが一人で現れる。 動揺するノエルに向かって、自分はノエルの姉だと言い、ブリーチャーズを抜けるように言って去っていく。 クリスを呆然と見送ったノエルは、我に返ると階下の橘音の事務所に駆け込む。 橘音は尾弐と共に今後のことについて話し合っているところであった。 ノエルの話を聞いた橘音は、3年前にもクリスと戦ったことがあり5人もの仲間が犠牲になったことを明かす。 恐るべき強敵だが、橘音は相手が手掛かりを見せた今がクリスと決着を付ける好機だと再戦を決意。 送り狼のポチを召喚し、クリスが使ったかき氷の器から行先を追跡させることとする。 まずは中学校に寄って祈と合流する流れとなった。 一方、新学期を迎えた祈のクラスに、モノ・ベアードと名乗る転入生が現れる。 それは東京ドミネーターズのレディベアであった。 モノは学校内では戦わないという協定を祈に持ちかけ、祈はそれを受諾。 その直後、水に飢えて《妖壊》と化したカマイタチが体育教師を襲撃。 祈とモノは共闘してカマイタチを無力化する。 そこに橘音達が到着。カマイタチは逃げてゆき、どさくさに紛れて橘音は祈を連れ出した。 ポチの先導で行きついた場所は、千代田区にあるやんごとなき神社。 その拝殿の前にてクリスは悠然と待ち構えていた。 クリスはノエルのブリーチャーズからドミネーターズへの移籍を持ちかけるが、ノエルはそれを拒否。 昔みゆき(ノエルの昔の名前)が妖壊化したことにより雪の女王によって引き離された過去を語り始めるクリス。 クリスが行使する力は、本来はみゆきが持っていた時期女王としての力であった。 そして、ノエルが東京に来たのは雪の女王から橘音への依頼によるものであり、 橘音は最初から全てを知っていたことも明らかになる。 自らが前人格の乃恵瑠と雪の女王との契約によってつくられた仮の人格だと悟ったノエルは、皆に別れを告げる。 突如として女性の姿になるノエル、それはノエルの以前の人格で、 数百年の間雪の女王の元で次期雪の女王としての教育を受けた乃恵瑠であった。 祈やポチはノエルの消失に動揺するが、容赦なく戦闘は開始。 クリスは祭神簿と國魂神鏡の力を行使し、英霊たちを召喚し一行を襲わせる。 橘音はそれに動物の英霊たちを召喚することで対抗。 ノエルが消えてはいないことを信じ、神器たる剣を乃恵瑠のもとに届ける祈とポチ。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/282
283: 第参話ダイジェスト [sage] 2017/07/09(日) 21:16:08.65 ID:PrHTvua2 しかし尾弐はそれではクリスに勝つには不十分だと考え、 いざとなったら乃恵瑠を殺害しクリスに決定的な隙を作ることを考えていた。 尾弐にとって、人を殺めた《妖壊》は憎むべき存在であり、かつて妖壊化したノエルもその中に含まれるのであった。 尾弐のその考えを察した橘音は、莫大な妖力の行使によってケ枯れ寸前になりながらも ノエルを信じて見守るように諭し、万が一駄目なら共に手を穢そうと告げる。 そしてポチには、クリスとの戦いから手を引き、雪の中で倒れた祈を連れ戻しに行くように告げる。 橘音は最初からノエルとクリスに一騎打ちをさせるつもりであった。 橘音が雪の女王から受けた依頼とは、ノエルがクリスと決着を付けられるように導いて欲しいというものであったのだ。 一方、クリスと戦っている乃恵瑠も、尾弐が自分に殺意のようなものを向けている事に気付き、 それを戦略上の良し悪しの問題として冷静に受け止めるのであったが、「死にたくない」という本音が口をついて出る。 それによって乃恵瑠は、自分の中にノエルが残っていること、むしろノエルの方が本性だった事に気付く。 ノエルの精神世界では消えようとするノエルを原初の人格であるみゆきが繋ぎ留め、 ノエルは決して虚構ではなく原型の自分が望んだ真実の姿だと告げていた。 ここに、度重なる記憶消去により三つに分かれていた人格がノエルをベースに統合されるに至る。 乃恵瑠の姿をしたノエルは一気にクリスを圧倒、神器たる剣の力を使いクリスから力を取り戻すことに成功する。 女王の力を失ったクリスにもはや戦闘を続行する力はなく、 また胸に飛び込んできたみゆきを抱きしめることで戦意は無くなり、戦いは終わった。 ケ枯れ寸前だった橘音は、尾弐に血を与えられることで持ち直し、 凍えてほぼ気絶していた祈とポチも、尾弐の介抱と吹雪がおさまったことで意識を取り戻した。 そこに怪人赤マントが出現、祭神簿と國魂神鏡をクリスから奪い破壊する。 これらの破壊が、クリスが妖怪大統領から命じられていた本来の任務であった。 赤マントはクリスに手を下すことはしなかったが、それはその必要が無いと知っているからであった。 本来さほど強大ではない一介の雪妖に過ぎなかったクリスは、身の丈に余る力を長年持ち続けた反動によって、 ノエルに抱かれながら雪となって消えていくのであった。 赤マントが去り、クリスは消え去り、その場にいるのはブリーチャーズの面々だけとなる。 クリスと決着を付けたことにより、ノエルが東京に居続ける理由は無くなった。 しかし普段の青年の姿に戻ったノエルは仲間達に向かって、 こんな過去を持つ自分が今後もブリーチャーズにいていいかと問いかける。 仲間達の反応は様々だったが、ノエルの申し出を承諾するという点では一致していた。 警察や消防が来る前にと急いで撤退する一同。 事務所に戻った橘音は、自身の因縁のライバル的存在である怪人赤マントとの対決に思いを巡らせるのであった。 店舗兼自宅に帰ったノエルは常連客に扮して東京に付いてきていた乃恵瑠時代の従者達に暖かく迎え入れられ、 家に帰った祈はターボババアに御馳走でねぎらわれる。 一方の尾弐は、拠点の一つとしている入り口無き路地裏にて、神社で手に入れてきた神事用の清酒を呷って吐き出す。 吐きだした酒が黒く変色しており触れた雑草を枯らすのを見て 自分にはもう時間が無いという意味合いの意味深な言葉を零すのであった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/283
284: 第肆話ダイジェスト [sage] 2017/10/18(水) 23:18:21.19 ID:F0LWmYSU 7月半ばになったころ、橘音がいつものメンバーを集めて温泉への慰安旅行を持ちかける。 皆の返事を聞く前に橘音が半ば強引に押し切る形で、全員参加となった。 一週間後、一行は妖怪の妖怪による妖怪のための温泉旅館「迷い家」を訪れる。 温泉や散策を楽しみ、夜になって豪華な晩餐をとっていたところ、迷い家の主であるぬらりひょんの富嶽が現れ、一行に依頼をもちかける。 それは最近発見され人間達の手によって上野の博物館に捕らわれていいるニホンオオカミの保護であった。 橘音はじっくり作戦を練ってから実行に移そうと言うが、その夜ポチが単身ニホンオオカミに会いに行こうと脱走。 総出で追跡するが、ポチに追いついた橘音はポチの先走った行動を許し、そのまま行くように告げるのだった。 残りのメンバーは一晩泊まり、次の日天神細道をくぐって東京に戻る。 橘音は偽のカンスト仮面によるニホンオオカミ誘拐の予告上を仕掛け、 東京ブリーチャーズの犬神にカンスト仮面の振りをして乱入して騒ぎを起こしてもらっているうちにニホンオオカミを連れ去るという計画を立てていた。 しかし東京ドミネーターズの狼王ロボの乱入により計画は頓挫。 走って東京に辿り着いていたポチも合流し、ロボを迎え撃つ一同だったが、全く歯が立たない。 そしてロボは白いニホンオオカミを目にすると、かつて人間に殺された妻ブランカと思いこんだのであった。 そこにレディベアが現れロボに内輪の事情で撤退を命じ、ロボはしぶしぶそれに従うのであった。 ひとまず戦いが終わった後にニホンオオカミの檻を見てみるともぬけの殻になっており、混乱に乗じて逃げたようだった。 尾弐と祈がその場に残り、ポチと橘音とノエルが足跡等を手掛かりにニホンオオカミを追跡。 尚、橘音はこのニホンオオカミをシロと勝手に名付けた。 とあるビルの屋上でニホンオオカミ(以下シロ)を見つけた一行。 ポチは獣にしか分からぬ声無き言葉をシロと交わすが、 シロは同族だけが仲間になれる存在だと思い込んでおり、同族以外と群れているポチを仲間とは認めなかった。 そのままシロは走り去ってしまい、深追いすることなく博物館に戻る一同。 重傷の尾弐に救急車を手配し、皆も一緒に乗り込んで、河童が経営する妖怪のための病院河原医院へと向かう。 治療を受けた尾弐は瞬く間に回復し、病室内で作戦会議に突入。 橘音は、満月となる4日後の夜に、ロボは衝動を抑えきれなくなってブランカ(シロ)奪還のために必ず動くと皆に告げ ポチに、ロボに衝撃を与えるためにシロとつがいになれと無茶振りし、 他のメンバーには銀の弾丸を確実に当てる方法を考えておくように言い残し 自分は銀の弾丸を探しに行くと言い残して音信を絶った。 ノエルは天神細道を用いての0距離射撃を提案。迷い家まで天神細道を取りに行った祈は、富嶽から風火輪を授かるのであった。 残りの日数、ノエルと祈は天神細道の使い方を研究し、尾弐は猟銃などを手配していた。 その間、ポチはシロに協力要請するのではなく、シロを深い山へ逃がすべく匂いで道しるべを作っていた。 そして4日後の夜、待てど暮らせど橘音は来ないが、何もしないわけにはいかずシロの元に向かう一行。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/284
285: 第肆話ダイジェスト [sage] 2017/10/18(水) 23:20:48.48 ID:F0LWmYSU ポチはシロに、自分の作った匂いの道をたどって逃げるように要請する。 シロは逆にポチ達に逃げるように言い、寄り添ってほしいと言ったポチに身を寄せようとする。 丁度その時、ロボが現れ、一行は銀の弾丸という切り札無しに迎え撃つ事となった。 シロを前にして我を失ったロボは、相手を食べる事で魂を取り込んで一つになれるという理屈でシロを噛み殺す。 更に、同族を自らの中にかくまうという理由で狼の血を引くポチを次のターゲットとして戦闘続行。 死亡したかのように見えたシロだが、祈が一縷の望みをかけてシロを抱いて天神細道をくぐり、河原医院にかつぎこむ。 普通の狼だったら死んでいたところだったが、妖怪として覚醒したシロは息を吹き返し、河童の軟膏で瞬時に回復した。 ブリーチャーズの結束の強さに心を動かされたことが、妖怪としての覚醒を促したのだった。 シロと共に急いで戦場に戻ろうとする祈の前に、突然壮麗な門が現れ、ミカエルと名乗る天使が現れる。 彼女は聖罰と称し半死半生にした橘音と魔滅の銀弾を寄越して、激励するような言葉を残し去って行った。 橘音を河原医院に預け、魔滅の銀弾を携えて皆の元に戻る祈とシロ。 一方、ポチ・尾弐・ノエルはロボに大ダメージを与えること成功するも、手負いの獣となったロボは更に凶暴化。 やはり人狼は銀の弾丸以外では倒せないのだと思われた。 そこに祈とシロが到着し、シロは自分を仲間に加えてほしいとブリーチャーズのメンバーに懇願する。 それはロボにとっては、ブランカ(シロ)からの決定的な離別宣言を意味していた。 あまりの衝撃に硬直するロボ、祈の手の中には魔滅の弾丸。ついに好機は訪れた。 しかしポチはロボに組みつき、その首筋に噛みつく。狼として狼に負けたと思わせてやりたい、との想い故。 祈はそんなポチの想いを汲み、銀の弾丸を構えた上で、ポチと勝負して負けたら穏やかな妖怪になるように約束させる罠を仕掛けた。 しかしロボは勝負に乗らないという。すでにポチの牙はロボの鉄壁の防御を貫き突き立っていたのだ。 自らの負けを悟ったロボは正気を取り戻し、勝者であるポチに獣《ベート》の力を継承。 一行に裏で糸を引く黒幕の存在を示唆し激励した後、自分の心臓を自ら握りつぶすという壮絶な最期を遂げるのであった。 こうしてシロの保護に成功した一行は、シロを送り届けるためと慰安旅行の続きを兼ねて再び迷い家を訪れる。 ちなみに重傷だった橘音はこの時にはすっかり回復してあっけらかんとしていた。 ポチはシロともっと仲良くなりたいと思いつつ話しかけられないまま旅行の最終日を迎えてしまった。 何事もなく終わると思われたが、見送りに来たシロからポチへ 東京漂白が完遂したら結婚しよう(意訳)的な意味のまさかの逆プロポーズが行われる。 予想外の事態に動揺しつつもそれを受け入れる形となったポチであった。 http://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1480066401/285
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