[過去ログ] MX ダンディ×さばげぶっ!→アース (704レス)
上下前次1-新
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
58: 2014/06/29(日)23:11 ID:4S6Is8wz(1/13) AAS
一体この連敗は、どこまで続くのだろうか?
マスコミが煽り、口さがない人達の色んな憶測の声。
普段はプロ野球に大して興味が無い人の耳にも届いていた事であろう。
そして、ついに日本プロ野球最多連敗記録の更新のかかる試合がやってきた。
7月7日、七夕である。
この試合、5位オリックスと6位ロッテの逆天王山対決(グリーンスタジアム神戸)は、全国テレビ中継されることになった。
注目はただ一点。ロッテが連敗記録を更新するかどうかである。
そして、運命のマウンドには、最後に勝ち星を挙げたジョニーこと黒木が立った。
ストッパーから先発へ再転向したのである。4日間の休養を貰い、再調整してこのマウンドへ。
もはやこの連敗を止めることが出来るのは、黒木か小宮山の完投しかないであろう。
75(1): 2014/06/29(日)23:12 ID:4S6Is8wz(2/13) AAS
この日の黒木の気迫はすごかった。
オリックス打線を気合で抑え込む。
4回に1失点はするが、8回までを3安打1失点と好投する。
ロッテ打線も3点を取り、黒木を援護。
「これなら連敗を脱出しそうだ・・・」
誰もがそう思い始めた。
テレビ中継は、ロッテがリードしたままの9回裏に入った段階で終了する(ロッテ3−1オリックス)。
アナウンサーの「どうやらロッテは今日こそ連敗を止めることが出来そうです」と言うコメントと共に。
だがそのコメントは、少し早かった。
114: 2014/06/29(日)23:13 ID:4S6Is8wz(3/13) AAS
9回裏。
トップバッターはイチローである。
黒木「9回裏の先頭バッターがイチローだったんですけど、バッターボックスに入る前から、こっちを見てるなという視線を感じていたんです。
なんだか、イヤーな感覚。でも、僕も気持ちで投げるピッチャーだし、目をそらしちゃいけないと思って、イチローの方を見た。
そうしたら、イチローがこっちを睨んで「オレは絶対にお前の球を打ってやるぞ、17連敗なんか関係ないぞ」と言ってた、
いや、正確には、そう言ってるように感じたんです。
あの時、17連敗の日本記録がかかってて僕らはもう必死だった。
その姿を見れば、相手チームの選手にも「アイツら、頑張ってるのにかわいそうだな」とか、そういう気持ちが出てくるかもしれないでしょ。
今日は黒木もこれだけ気合いの入ったピッチングをしてるんだから、何とか勝たせてあげたいな、とかなんとか(笑)。
だけどイチローの目には、オレは情け無用で行くぞというような雰囲気しかなかった。
省2
144: 2014/06/29(日)23:13 ID:4S6Is8wz(4/13) AAS
そして、黒木はそのイチローを見事三振に斬って取る。
一死。
後二人である。
次のバッターはニール。
だが、ライト前にヒットを打たれてしまう。
一死一塁。
続くバッターは谷。
黒木が投げる。谷が打つ。
打ち損なって谷が打ち上げた打球は、一塁ファールフライとなり、アウト。
これで二死一塁。
165: 2014/06/29(日)23:13 ID:4S6Is8wz(5/13) AAS
ついに連敗脱出まで、あと一人である。
球場全体がどよめく。
そして最後のバッターになるはずの相手は、プリアムである。
黒木の球速は、6,7回で一旦138km程度に落ちた。
ところが、この9回、速球は140km後半がまた出だしたのである。
黒木いわく「きっと肉体の限界を、気持ちがカバーしてたんでしょうね」
気力を振り絞って投げる黒木とキャッチャー福沢のバッテリーは簡単にプリアムを追い込んだ。
カウント2−1。
あと1球。
ファン、選手、皆の想いが「あと1球」になった瞬間である。
省1
212: 2014/06/29(日)23:14 ID:4S6Is8wz(6/13) AAS
ここでバッテリーは、ストレートを選択した。
これには理由がある。覚えているだろうか?ロッテのこの連敗が始まる前に最後に勝った試合の事を。
6月12日の ロッテ2−1オリックス である。
この唯一の失点は「黒木がプリアムに抜けたフォークボールをホームランにされた事によるもの」である。
これを踏まえて、バッテリーはフォークを選択しなかった。
福沢が構えたコースは、プリアムの弱点と言われる内角高め。
黒木はうなずき、雄たけびを上げながら渾身の力をこめてストレートを投げた。
「おりゃーっ!!」
球速は146km。黒木の139球目のストレートは、福沢の構えたミットの位置よりやや下に行く。
運命のいたずらか。
省1
241: 2014/06/29(日)23:14 ID:4S6Is8wz(7/13) AAS
一閃。
プリアムが捉えた黒木の渾身のストレートは、大きな弧を描いてレフトスタンドへ飛んでいく。
黒木が打球を追って振り向く。
黒木「投げて、打たれたら、その瞬間の音って、普通は聞こえますよね。
でもあの瞬間は真っ白になって、全然、音が聞こえなかったんです。
頼む、入るなという感じもなかった。もう、ボーッと真っ白になっちゃった」
まるでスローモーションのように飛んでいく白球。
悲鳴と歓声を乗せた打球は、無情にも連敗脱出を夢見て待っていたロッテファンがいるレフトスタンドに飛び込んでいった・・・。
262: 2014/06/29(日)23:15 ID:4S6Is8wz(8/13) AAS
あと1球だった。
9回二死カウント2−1から、まさかの同点ホームラン。
黒木がしゃがみこんで、その端正な顔をゆがめる。
目は真っ赤である。
ロッテ内野陣(酒井や福浦)が、黒木の周りに集まる。
だが、誰も何も言えない。
皆、頭の中が真っ白になっていたからである。
結局、黒木はそのまま降板する。
涙を流す黒木は、抱えられるようにマウンドを降りた。
その時マリーンズサポーターからは、球場に鳴り響く黒木コールが起こる。
省1
305: 2014/06/29(日)23:15 ID:4S6Is8wz(9/13) AAS
黒木の降板理由は、右腕が極度の疲労で痙攣したからである。
試合後は、曲がる事すら出来ないくらいであった。
黒木「とにかくあの試合は、凄まじく集中できたんです。右腕の痙攣もね、普通は前兆があるじゃないですか。
だけど、そういうのを全然感じなかった。」
黒木が打たれた後、小宮山がベンチに現れて「投げましょうか」と進言した。
松沼コーチは「リードしたら」という条件つきで、小宮山をブルペンに向かわせる。
しかし、小宮山の登板の機会は回ってこなかった。
この試合の結末はあまりにも無情すぎた。
延長12回裏、オリックスの代打広永が、代打サヨナラ満塁ホームランを放って、決着をつけたからである。
ロッテにとって、あまりにも「あと1球」が遠かった。
360: 18連敗 2014/06/29(日)23:16 ID:4S6Is8wz(10/13) AAS
試合結果 ロッテ3−7オリックス 延長12回サヨナラ
壮絶な終幕ののちに得た17連敗は、日本プロ野球最多連敗の新記録である。
翌7月8日。
投打に後手後手に回ったロッテは、イチローのホームランで止めを刺される。
前日の敗北の反動、それに怪我人続出満身創痍では追うことすらかなわず、敗れる。
ロッテ4−7オリックス。
ついに18連敗の記録を打ち立てた。
どこまでも続く連敗街道。
しかし、明けない夜は無い。
ついに連敗が止まる日が来たのである。
389: 連敗ストップ 2014/06/29(日)23:17 ID:4S6Is8wz(11/13) AAS
7月9日、その日はやってきた。
相手は同じくオリックスである。
ロッテは序盤から打線が大爆発、一気に9点を奪い、ロッテ9−1オリックスと大差をつけた。
ところが好投していた小宮山に、オリックス打線が襲いかかる。
6回裏、なんと8連打で一気に5点を奪われる。
最大の山場は二死満塁で長距離砲ニールという場面。
もしここで一発がでたら・・・の場面であったが、ここは小宮山が何とか抑えた。
試合はそのまま進み、ロッテ9−6オリックスで勝利。
長い長い連敗の闇は、ここにやっと明けたのであった。
その時の、選手、ファンの喜びようは、まさに優勝した時のようであったと言う。
423: 連敗ストップ 2014/06/29(日)23:17 ID:4S6Is8wz(12/13) AAS
これだけ負け続けたロッテだが、驚く事にファンは減るどころか増加した。
(ロッテのファンクラブの会員が2万人から3万人に増えた)
野次や罵声、グランドへの物の投げ込みも少なかったようだ。
選手に送る声援は「マリーンズ、俺たちがついてるぜ」の横断幕が表すとおり、常に暖かかった。
負けても負けても勝とう立ち向かう姿。
日本記録を更新した試合の黒木の姿を見て、感動した人も多いと思う。
特にプリアムに打たれた後、マウンドでうずくまる黒木の姿は、恐らくロッテファンでなくても何かしらを感じたのではないだろうか。
447: 2014/06/29(日)23:18 ID:4S6Is8wz(13/13) AAS
ifがあれば。
プリアムにホームランを打たれた時、フォークなら果たしてどうだったであろうか?
最後に勝った試合で、ホームランを打たれていなかったら?
いやそれよりも、何度もサヨナラ負けをした場面。
そこを抑えていたらこんなに連敗していなかったのではないだろうか。
ありえないような逆転負けを幾度も喫し、ロッテ18連敗はこのように様々なドラマを抱えて突き進んだ。
この記録はそう簡単に破られる事はないだろうが、この記録が破られるその時は、(無責任だが)出来ればこれ以上のドラマを期待したい。
翌年、ロッテは日本プロ野球最多連敗を更新した同じ7月7日に、その時期にしては珍しく単独首位に立った。
なんとも不思議な話である。
上下前次1-新書関写板覧索設栞歴
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル
ぬこの手 ぬこTOP 0.091s