[過去ログ] 【WHITE ALBUM2】冬馬かずさスレ 砂糖57杯目 [転載禁止]©bbspink.com (505レス)
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158: 2015/10/09(金)13:14 ID:rcCCv2pq0(8/53) AAS
・意地の悪い指揮者と商談中

指揮者「ふむ。それはいいがミスター北原、私の問いには答えてくれていないようだが?」
春希「あ、はい。その件については…自分には少し専門的すぎてお答えしかねます」
指揮者「ほう。素晴らしい。私は冬馬かずさのマネージャーと話をする予定だったのだが、どうやら間違えてコメディアンと話し込んでしまったようだ。すまないがマネージャーを呼んできてくれるかい?」
春希「…フランツさん。私が冬馬かずさのマネージャーです」
指揮者「なんと!? いやはや。コメディアン呼ばわりしてすまなかったな。君はコメディアンよりずっと愉快だよ。
 しかし、冬馬曜子オフィスがうらやましいな。音楽家崩れの未成年も雇わず、君のような素晴らしくユーモア溢れる人材を抜擢する余裕があるなんてね」
春希「あの、フランツさん。仕事の話を進めませんか?」
指揮者「残念ながら君と話してるほど長い休暇は取れそうもない。冬馬かずさに来てもらえるかな?」
春希「残念ですが、かずさと直接の交渉はお断りしております。特にあなたのような方とはゴメンだと、かずさからも言われております」
省8
159: 2015/10/09(金)13:15 ID:rcCCv2pq0(9/53) AAS
・国際電話

曜子「あらあら。まあ、仕事取れなかった? 気にしちゃダメよ。あの男はいつもああなんだから」
春希「…はい」
曜子「なんだか元気ないわねえ。そんな、パリやウィーンでホイホイ仕事取れたら誰も苦労しないわよ。私だって若い頃は色んな国巡ったからあちこちに友達いるんだし」
春希「(かずさは演奏が良かった時以外はほとんど引きこもってて、友達なんていないな…いや、俺も似たようなものか)いえ、曜子さんのご友人の方々にはいつも助けられています。
 あの、曜子さん。自分は曜子さんのご期待に応えられていますか?」
曜子「何よ。弱気な質問ね。あの子が自分の望む伴侶を得られ幸せでいるのに、それ以上何を望めと?」
春希「…主にかずさのマネージャーとして」
曜子「あの手のかかる娘にまともにピアニストやらせられるマネージャーなんてカネやタイコで探してもなかなか出てこないわよ。
 フランツに何か言われた? ちょっとしたプロ演奏家にだってムチャクチャ言うわよ、あの男」
省8
160: 2015/10/09(金)13:15 ID:rcCCv2pq0(10/53) AAS
・ウィーンの自宅

かずさ「ふう。久しぶりに帰ってきたな。さて、しばらくヒマだし、思う存分引きこもるか」
春希「大して久しぶりでもないし、引きこもるのはいつもどおりだろ」
かずさ「お言葉だなマネージャー。いつ大仕事がきても大丈夫なようにこうしてピアノの前から離れずにいるのに」
春希「ものぐさなだけだろ。ピアノの前でプリン食べるのを禁止にするぞ。それにそんなに都合よく仕事が湧いて出るもんか」
かずさ「向こうから仕事の話が来ることもあるって春希言ってただろ?」
春希「ああ…(主に日本。ナイツレコード、それに開桜社の系列…アメリカからの話はきっと麻理さんだったな…かずさにはとても言えないな)」
かずさ「ふふん。なら、やはり私の腕は理解されているということだな」
春希「(理解はされているさ…良くも悪くも)悪いな、不甲斐ないマネージャーで」
かずさ「なんだ? 急に拗ねたような顔をして?」
省12
161: 2015/10/09(金)13:16 ID:rcCCv2pq0(11/53) AAS
・ブダペストのコンサート会場控え室

かずさ「テレビでもつけるか。(ぷち)あれ? 言葉がわからないな。そういや、今いる国はどこだったっけ?」
春希「ハンガリーだよ。なんで滞在中の国名を忘れるんだ?」
かずさ「春希についていってるだけだし、列車でいくつも国境またげば自分のいる国もわからなくなるさ」
春希「一つしか国境またいでないから。自分の住んでる国の隣国くらい覚えろ」
かずさ「ハンガリーってオーストリアの隣だったのか…」
春希「はぁ…。お客様がどこの国の人かぐらいわかっておいてほしかったな」
かずさ「関係ない。ハンガリー語で演奏する訳じゃない。ピアノは万国共通だ。それに、どうせ演奏して帰るだけなんだから、ハンガリーでもアメリカでも同じだ」
春希「……」
かずさ「なんだ? 旅行気分で来た方が良かったか?」
省11
162: 2015/10/09(金)13:19 ID:rcCCv2pq0(12/53) AAS
・ワルシャワ近郊の列車内

春希「(ワルシャワでの仕事は取れなかったけど、次に期待できる返答はいただけたし。さて、かずさの待つウィーンまで帰ろう)」
春希「(音楽でも聴いて帰るか。少しでもクラシックを勉強しないとな)」
 〜♪〜♪〜
春希「(しかし、クラシックは眠くなるな)ふああ…」

 …ゴソゴソ

春希「…ん? 寝てたな。まあ、こんな長い列車移動だし…
 って、音楽プレーヤーがない! 鞄が開いてる…財布や携帯、パスポートまで! やられた!
 日本でもあるまいに、列車内で居眠りするなんて…しくじった…」

・大使館
省23
163: 2015/10/09(金)13:21 ID:rcCCv2pq0(13/53) AAS
・曜子の病室

曜子「ブザマね」
春希「すいません。曜子さん」
曜子「何がブザマって、かずさに隠し、私にまず『小木曽さんには伏せていただけるようお願いします』なんて言ってコソコソ帰って来てるのがブザマだわ」
春希「自分がコソコソしなければいけない理由の一端は曜子さんにもあると思いますが」
曜子「あら、お言葉ね。私はコソコソなんてしないわよ。かずさのやったことも結果も全部受け止めて始末つける覚悟で最初からいるもの」
春希「自分が覚悟できているからと言って人を奇襲して良い理由にはならないでしょう」
曜子「そうね。大切なのは、奇襲しようがされようが裏切ろう裏切られようが、逃げ出したり投げ出したりせず最後まで責任持つことかしら?」
春希「何がおっしゃりたいのですか?」
曜子「単なる自己嫌悪よ。気にしないで。
省13
164: 2015/10/09(金)13:22 ID:rcCCv2pq0(14/53) AAS
・商談の後

中年男「ありがとう。お陰で商談もスムーズにいったよ」
春希「いえ、翻訳に拙いところあり、すいません」
中年男「いや、ああいう所は音楽家同士で通じるところだからいいんだ」
春希「どうも。この後は何かありますか?」
中年男「飛び込みで記者の取材が入ったから、手伝ってほしい。たしか、君も前職は有能な記者だったんだってね。曜子さんから聞いてる」
春希「そんな、有能なんて…」

麻理「いや、とびきり有能な記者でしたよ」
春希「ま、麻理さん! アメリカじゃなかったんですか?」
中年男「おや。春希君の知り合いかい?」
省8
165: 2015/10/09(金)13:26 ID:rcCCv2pq0(15/53) AAS
・取材後

春希「……」
麻理「ふむ。まあ、固くなるな。もう上司でも部下でもないのだからな。
 事情は曜子社長から聞いた。私はお前が選んだ道を肯定したり否定するつもりはない」
春希「…ありがとうございます」
麻理「だが、お手並みは最悪だ」
春希「!?」
麻理「北原、お前は冬馬かずさを助けたいのか?」
春希「な!? 助けたいに決まっています」
麻理「助けたいがために開桜社にも何も語らなかった。そうか?」
省42
166: 2015/10/09(金)13:27 ID:rcCCv2pq0(16/53) AAS
・曜子の病室

曜子「あはは。あのやり手のキャリアさんに散々やられたみたいね。私も見たかったわ」
春希「……」
曜子「まあ、気にすることないわよ」
春希「気にするも何も、あの人に見られてると思うと気が気でないですよ。アメリカでも知らないうちにお世話になってたみたいですし、『そのうち日本でも公演しろよ』的にプレッシャーかけられましたし」
曜子「それで?」
春希「いえ、かずさの感情もありますし…」
曜子「やらなきゃいいじゃん。日本でやるのが面倒なら」
春希「!?」
曜子「私があなたに期待するのはかずさと幸せに暮らすことだけ。マネージャーとしてかずさを最大限に盛り立てろなんて無理は言わないわ。
省16
167: 2015/10/09(金)13:28 ID:rcCCv2pq0(17/53) AAS
・ワルシャワ、フレデリック・ショパン国際空港、荷物受取場

春希「(帰ったら携帯やカードの再契約に、証明書の取り直しに…そう言えばかずさと連絡つかなかったな。どうしてだろう?)」

 〜♪〜♪〜

春希「このピアノの音は到着ロビー? まさかかずさ!?」
春希「すいません! 到着ロビーの方でピアノが鳴っているようですが、これは?」
空港係員「ああ、一週間前から毎日ショパンを弾いている日本人の婦人がいる。私たちは『ハチコ』と呼んでいる」
春希「『ハチコ』?」
空港係員「ああ。ハチコは一週間前に現れると、展示のピアノを突然弾き出した。あまりの見事な演奏に皆止めずに聞き入っている」
春希「ちょ、ちょっとそれは…」
空港係員「ハチコはあまり自分の事を語らないが、何でも夫を待っているらしい。私たちはかの日本の国のある駅に銅像のある、夫を待ち続けた貞淑な婦人になぞらえ、彼女を『ハチコ』と呼んでいる」
省26
168: 2015/10/09(金)13:30 ID:rcCCv2pq0(18/53) AAS
・ウィーン

小男「うん。ありがとう。気が利くね、キミ。ワザワザボクの故郷から好物を持ってきてくれるなんて」
春希「ええ。この度はいろいろ誤解を解きたく思って…」
小男「曜子ちゃんも大変だろうけど、事情は聞いたよ。アンサンブル編集長あんな目に遭っちゃったからね。『ボクはあんな目に遭いたくないナァ』って、ついつい冬馬かずさちゃんと距離おいちゃってね」
春希「(あなたほどの人が『距離置きたい』なんて周囲に漏らすと、ウィーン界隈で仕事できないんですよ!)」
小男「うーん。でも、やっぱり君たちの活動に口添えするトコまでは協力できないかな?」
春希「!? なぜですか!? 誤解は解けたんじゃ…」
小男「いや、誤解してたワケじゃないと思うケド。だって、キミたちが日本で活動してないのって、その時の件のせいでしょ?」
春希「それは…」
小男「キミも日本避けてて、アンサンブル編集長にも頭下げに行かなかったらしいし、開桜社側から呼んでもアメリカの方しか行かなかったらしいし。
省11
169: 2015/10/09(金)13:30 ID:rcCCv2pq0(19/53) AAS
・ウィーンの自宅

かずさ「おい」
春希「なんだ?」
かずさ「仕事が多すぎる。月3公演以上入れるな」
春希「おいおい。そんなえり好みできる身分じゃないんだよ。稼げる時に稼いでくれよ」
かずさ「贅沢言うな。月2公演超えたら、春希と過ごす時間が大幅に減るじゃないか。それに演奏の質も落ちる」
春希「(確かに遠征ばかりだから月3公演以上は少しだけ忙しくなるし、そんなときにいい公演できた試しはないしな。でも…)
 ハチコ様。当オフィスは今年度は黒字ですが、ただ一人の稼ぎ頭にもっと働いて頂かないとカツカツなんですよ。風邪で半年も休めばこの部屋だって追い出されます。いざという時困りますよ」
かずさ「いざとなったらあたしや春希の貯金があるだろ。贅沢は敵」
春希「それは働かない言い訳の為にある諺じゃない」
省6
170: 2015/10/09(金)13:31 ID:rcCCv2pq0(20/53) AAS
・ウィーン

かずさ「おい、春希。パソコンにメールが来ているぞ…なんだ、あの人か(ぽち)」
春希「おい!? まさか曜子さんからのメールを消したのか?」
かずさ「題名は日本の音楽イベントへの参加案内だった。読む必要はない」
春希「でも、自分の母親からのメールをロクに読まずに捨てるって有り得ないだろ!?」
かずさ「おや? 自分の母親に何も言わずに海外に出た親孝行息子の声が聞こえたな」
春希「……」
かずさ「こないだ日本であんな目に遭わされて、あの人とはしばらく距離をおきたい」
春希「…たった一人の肉親だろ?」
かずさ「あたしにはたった一人、春希だけいればいい」
省17
171: 2015/10/09(金)13:32 ID:rcCCv2pq0(21/53) AAS
・国際電話

春希「すいません。かずさがメール消してしまいまして」
曜子「あら。いいのよ、ギター君。どうせつまらない仕事の案内だったから。…でも、かずさはやっぱりまだ怒ってるのかしら?」
春希「怒ってる、というより、距離を置いてる感じです。ちょっと時間が経てばきっと…」
曜子「まあ、あの子に疎んじられるのはこれが最初でもないしね。それだけの事を何度もしてきたし。自業自得だわ」
春希「いえ、曜子さんの事情はお察しします。仕方なかった事だと思います。時間さえ経てば…」
曜子「時間か。私にはいったいあとどれくらいやり直せる時間が残っているのかなあ?」
春希「…まだ大丈夫ですよ。いつまでも元気でいて下さい。そしてかずさと…」
曜子「……」
春希「そこで口ごもらないで下さいよ…」
省14
172: 2015/10/09(金)13:32 ID:rcCCv2pq0(22/53) AAS
・台所

かずさ「何を作っているんだ?」
春希「…いい醤油が手に入ったから、日本料理を」
かずさ「いつもの鍋だろ? 砂糖さえきかせてくれればいいさ」
春希「いつも鍋ですまないな」
かずさ「あたしが作るわけにはいかないからかまわないさ」
春希「…たまには作ってみるか?」
かずさ「2週間後には公演を控えている。手を火傷でもして公演をフイにしてもいいなら構わないぞ」
春希「そうか。そうだよな」
かずさ「なんなら久々にスシでも食べに行くか?」
省11
173: 2015/10/09(金)13:33 ID:rcCCv2pq0(23/53) AAS
・ウィーンの街中

日本人観光客男「えくすきゅーず、みー。どぅー、ゆーのう…」
日本人観光客女「困ったね。英語通じないね」

春希「(あれは観光客か。かずさ以外から日本語を聞くのも久々だな。助けてやるか)こんにちは。何かお困りですか?」
男「おお! 日本人ですか? 助かります」

男「ありがとうございました。助かりました。私はこれこれこういう者です」
春希「そうですか。俺は、…。ところで、『冬馬かずさ』という名前をご存知ですか?」
男「いえ」
女「(スマホをいじりつつ)あっ。ピアニストの人ですね。数年前、前回のジョバンニで賞を取った」
春希「そうですそうです。自分はその冬馬かずさのマネージャーなんですよ」
省9
174: 2015/10/09(金)13:34 ID:rcCCv2pq0(24/53) AAS
・ウィーン

春希「そういえば、こないだフリューゲル氏について聞かれたけど、あのおじいさんって、今はどうしているんだ?」
かずさ「知らない。引退しているし」
春希「たまには会いに行ってみたらどうだ」
かずさ「不肖の弟子を見て体調悪くされても事だからやめとく」
春希「不肖の弟子かはともかく、会うだけでも喜ぶんじゃないか?」
かずさ「いや、弾いてみせろなんて事になっても困るしな」
春希「そうかな? 曜子さんはどう言ってる?」
かずさ「あのじいさんももう年だし、新しい師匠探したほうがいいってさ」
春希「そうか…」
省11
175: 2015/10/09(金)13:35 ID:rcCCv2pq0(25/53) AAS
・フランクフルト
春希「ありがとうございます。その条件で」
音楽祭興行主「良いけどね。他のピアニストもいる中で2曲だけだから、交通費と宿泊費で飛ぶようなギャラしか出ないけど、いいのかい?」
春希「いいです。こちらも次の仕事につながる事を期待してのこの仕事なので」
興行主「あっそ。自信あるんだねぇ」
春希「?」
興行主「まあ、頑張ってください」
春希「はい」

・国際電話

曜子「そう。私がこれだけ頼んでもダメ?」
省26
176: 2015/10/09(金)13:35 ID:rcCCv2pq0(26/53) AAS
・フランクフルト。演奏後、控え室

 ガシャン! パリン!

春希「なんだ!? なんで荒れてるんだ!?」
かずさ「どうもこうもあるか! 大恥だ! なんだ! あの流れは!? なんだ! あのピアノは!?」
春希「なんだ、って…」
かずさ「ああいう膜がかぶりまくったようなピアノは大の苦手なんだよ!」
春希「(知らなかったし、膜がかぶったピアノってなんだ?)ま、まあ。演奏がうまくいかなかったくらいで荒れるなよ。よくあることじゃないか」
かずさ「それだけじゃない! ピアノもあたしの曲にだけ合ってないんだ! おまけに、前の奴らからの口上も!」
春希「な? 何かおかしなところあったか?」
かずさ「あの皮肉もわからなかったのか!? 明らかにあたしをコケにしているんだよ!」
省16
177: 2015/10/09(金)13:36 ID:rcCCv2pq0(27/53) AAS
・日本。曜子自宅

曜子「な、何よ。この記事は・・・何があったの!?」

 プルルル

曜子「国際電話? はい、もしもし。はい、おひさしぶり。こないだの話は考えてくれた?
 なんですって!? 協力できない? あんな娘はゴメンだって? 私の娘をあなた、って、聞いてるの?
 くっ。切ったわね。私がこんな体でなければ」
美代子「ダメです! 社長! お身体に障ります。落ち着いてください」
曜子「そっちにあった連絡は?」
美代子「・・・」
曜子「・・・みんな私の娘はお断りってワケね。はは、はは」
省17
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