[過去ログ] 葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ8 (496レス)
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488: 陽光 2006/12/31(日)12:11 ID:8ICLZxUz0(2/4) AAS
「や、柳川さん……?」
「もう止めろ……川澄はもう、此処にはいないんだ……」
「…………」
「死んだ人間の生命は決して戻らない……」
柳川は敢えて告げる―――現実を。
受け入れられない事実を突き付けられ、佐祐理の瞳に再び涙が満ちてゆく。
佐祐理は耳を塞ぎ、全てを拒むように首をぶんぶんと振った。
「聞きたくありませんっ!どうして……そんな事を言うんですかっ……!」
「川澄は死んだ―――だが」
「もう止めてぇぇぇ!」
柳川が優しく佐祐理の体を抱き締めた。
佐祐理の動きがピタリと停止した。
そしてゆっくりと、柳川は言葉を紡ぐ。
「川澄の代わりに、俺がずっとお前を守る。俺は絶対に死なないし、お前も絶対に死なせはしない」
「……どうして?どうしてそこまでしてくれるんですか?」
「川澄との約束もある……だがそれだけではない。俺にはどうやらお前が必要のようだからだ。
お前といると、何故かとても心が安らぐ……。もうとうの昔に失った感情だと思っていたのだがな……」
「え……?」
「だからずっと傍にいてやる。この島の中だけでは無い、ずっとだ。お前が迷惑で無ければな。
だから……もう、川澄を休ませてやれ。泣くなら俺の胸で泣け……そして川澄にはいつもの笑顔を見せて、安心させてやれ……」
その真摯な言葉一つ一つが、佐祐理の心へ届く。
佐祐理の瞳から涙が再び零れ落ちそうになる。

だが、泣かなかった。
佐祐理は顔を上げて、微笑んだ。
目にまだ涙は溜まっているが、決して無理に作られた笑顔ではない。
「分かりました……でももう、泣いてられません。涙は―――この島から出られた時に纏めて流す事にします。
これからも、ずっと……よろしくお願いしますね」
もう佐祐理は虚ろな瞳をしていなかった。彼女の目には確かな光が宿っている。
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