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221: 河野家にようこそ 第43話(1/9) 2006/02/06(月)20:40 ID:NErKYMOi0(1/10) AAS
 優季と花梨、それにタマ姉が家に帰る土曜日、愛佳が俺の家に泊まりたいと言ったのは、何も友達
の家に泊まることに憧れていただけが理由じゃない。今までずっと病院暮らしだった郁乃にとっても
いい経験になると考えたからなんだ。
 珊瑚ちゃんも泊まることになり、さて部屋割りはと悩む俺。このみ、郁乃、姫百合姉妹を同じ部屋
にするのはちょっとキツイかも……。だけど珊瑚ちゃんは、意外にもるーこと同室を希望する。それ
を聞いてしょげる瑠璃ちゃんだったが、このみが一緒なら寂しいなんて感じてるヒマもないだろうな。
 由真のヤツは、春夏さんの若さに疑問を抱き、このみが実の子じゃないのではなどと言いだす。
それを聞いた春夏さんは何故か顔面蒼白。そして春夏さんは語る――実はこのみは川辺に捨てられて
いた子供で、『このみ』という名前も、入っていた段ボール箱に『お好み焼きのもと』と書かれて
いたところからとったものだったのだ! ――なんて、そんなの作り話もいいトコなのだが、このみ
省13
222: 河野家にようこそ 第43話(2/9) 2006/02/06(月)20:41 ID:NErKYMOi0(2/10) AAS
また何か入手したんだな。
 でも確かに雄二の言い分も理解できる。俺だって一応男だしな。
「貴明からも言ってやってくれよ。同じ男としてさ」
「ま、まあ、タマ姉も少しくらいは見逃してやって――」
 しかしタマ姉は首を振り、
「それなりのものだったら私だって見逃すけど、雄二が隠し持ってたのはどう見ても法律違反な品物
ばかりだったじゃない。この間はビックリしちゃったわよ、あ、あんな過激なの……。
 向坂家に犯罪者がいるなんて知れたらいい恥さらしだわ。まさかあんた、またあんなもの買った
ワケじゃないわよね? 正直に言いなさい」
「ま、まさかぁ。そんなのあるはずないじゃないですか、お姉様……」
省13
223: 河野家にようこそ 第43話(3/9) 2006/02/06(月)20:43 ID:NErKYMOi0(3/10) AAS
「そう言えば、目も少し赤いような……?」
「の、覗き込むな!!」
 おっとと……、顔を近づけたら突き飛ばされてしまった。
「昨日、なかなか眠れなかったみたいなんです。よっぽど今日が楽しみだったんですね」
「な!? お、お姉ちゃん、違うって言ってるでしょ!」
 車椅子を押す愛佳の笑顔に、郁乃が噛みつく。
「郁乃ちゃんもそうなの? 実はこのみもなんだ。
 何して遊ぼうとか、郁乃ちゃん、瑠璃ちゃんと寝ながら何を話そうとか、あれこれ考えてたら全然
眠れなかったんだよ」
「その割には元気そうだな、このみ」
省14
224: 河野家にようこそ 第43話(4/9) 2006/02/06(月)20:43 ID:NErKYMOi0(4/10) AAS
 頑なに拒む愛佳は、車椅子から手を放し、鞄を抱きかかえてしまった。そんなにその鞄、俺に持た
れるのがイヤなのか?
「うん……」
 愛佳の鞄を持つのを諦めた俺は、
「じゃあ、郁乃の車椅子は俺が押すよ」
「「え?」」
 愛佳と郁乃、二人に驚かれてしまった。
「あ、あの、たかあきくん?」
「ちょ、ちょっと、勝手に車椅子動かすな!」
「このくらいのサービスはしてやるよ。今日は河野家宿泊特別キャンペーンってことで」
省14
225: 河野家にようこそ 第43話(5/9) 2006/02/06(月)20:44 ID:NErKYMOi0(5/10) AAS
 諦め、ふてくされ気味に背もたれに寄りかかる郁乃。
「たかあきくん、ありがとう」
 やや前に進んでいた俺たちに駆け寄った愛佳が微笑む。
「いやいや、あくまで特別キャンペーンですから」
 だから特別キャンペーンって何だよ、俺? ……もしかして、俺も結構浮かれてる?
「郁乃、たかあきくんに車椅子押してもらってよかったね。ほら、お礼言わなきゃ」
 愛佳のその言葉に、郁乃はムッとした表情で俺に振り返り、
「お姉ちゃんの鞄、あれ、中身の大半お菓子だから」
「い、郁乃!?
 な、な、何で言っちゃうの!? 内緒にしてって言ったのに〜!!」
省13
226: 河野家にようこそ 第43話(6/9) 2006/02/06(月)20:46 ID:NErKYMOi0(6/10) AAS
「わかったわかった。もし何かあったら、俺はビデオカメラで撮影して、他の誰かに花梨に連絡を
させるから。それならいいだろ?」
「そう、そうだね! うん、これで安心だよ。
 じゃあたかちゃん、行ってきまーす!」
 全く、花梨まで『行ってきます』かよ。
「うん、行ってらっしゃい」

 向坂家への分かれ道。タマ姉と雄二とはここでお別れ。
「じゃあタカ坊、みんなのこと、よろしくね」
 はは、タマ姉はすっかりみんなの保護者だな。
「うん、分かってる」
省13
227: 河野家にようこそ 第43話(7/9) 2006/02/06(月)20:47 ID:NErKYMOi0(7/10) AAS
 納得いってない模様の由真に加え、タマ姉からの思わぬツッコミ。しまった、タマ姉的には確かに
そう受け取れる言い方だったかも。
「あ、いや、そういうワケでは……」
 参ったな、何てフォローすればいいかな……、などと俺が悩んでいると、
「ふふっ、冗談よタカ坊。
 でも本当に、何かあったら遠慮なく連絡するのよ」
 タマ姉が優しく微笑む。……はぁ、やっぱタマ姉には敵わないな。
「タマ姉……、うん、分かった」
 さて、雄二にも挨拶――雄二、やっぱ沈んでるなぁ。
 やっぱりあるんだろうなぁ、Hアイテム。多分それらはことごとく発見、没収され、そして制裁の
省13
228: 河野家にようこそ 第43話(8/9) 2006/02/06(月)20:48 ID:NErKYMOi0(8/10) AAS
愛佳がそう説明してくれた後、俺はそのことを郁乃に謝った。
 他にも色々と車椅子について教わり、俺は、普段それを実践している愛佳が凄いと思ったし、それ
を知る機会を得られたことにも感謝した。練習台にされた郁乃には迷惑だったかもしれないが。
「さて、到着っと。じゃ、上げるぞー」
 愛佳から教わったとおり、車椅子をウイリー状態にして、玄関の段差に乗り上げる。
 普段は玄関のドアを押さえて、愛佳が車椅子を上げるのを見守る俺だったので、勿論今回が初めて。
 力を入れて、なおかつ、出来るだけ優しく……、よいしょ、っと、……よし、上がった。
「うん、上出来ですよたかあきくん。とても初めてとは思えない」
「そ、そうか? 何か嬉しいな……。
 よ、よし! じゃあこの家にいる間は、俺が郁乃の車椅子を押してやるからな!」
省13
229: 河野家にようこそ 第43話(9/9) 2006/02/06(月)20:50 ID:NErKYMOi0(9/10) AAS
 不満げに小さくうなる郁乃をおぶって、階段を上る俺。
 そう、我が家には車椅子用のエレベーターなんて設備はないので、郁乃を二階に連れて行く際は、
こうして運んであげる必要があるのだ。郁乃はこれまで何度か我が家に来たことがあるけど、居間、
、キッチン、あとトイレしか入ったことがなかったので、これまた今回が初めて。
「なんだよ郁乃、何か不満か?」
「不満だらけ」
「そっか。まあ、少しの辛抱だから我慢してくれ」
「たかあきくん、大丈夫? 重くない?」
 俺の後ろから、折り畳んだ車椅子を持った愛佳がそう尋ねてくる。
「いや、全然」
省13
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(7): 河野家にようこそ の作者 2006/02/06(月)20:50 ID:NErKYMOi0(10/10) AAS
どうもです。第43話です。
河野家の、いつもと少し違う土曜日は、次回も続きます。
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