[過去ﾛｸﾞ] 〜冬が来る前に･･･水瀬名雪スレッドPart8〜 (1001ﾚｽ)
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317(1): 03/10/29 22:58 ID:c4I1eeTb(1/4) AAS
＃>276の続きです
「…そうなんですか」
そっと、スケッチブックを袂に置いた栞。
沈黙が流れる。
さっきの言葉は、ほんとうにあれで良かったのだろうか？
栞の様子を見ながら、俺はずっと自問自答を繰り返していた。
「寂しいです」
「…」
「でも、そう思えることが、…嬉しいです」
意外な言葉。
省17
318: 03/10/29 22:58 ID:c4I1eeTb(2/4) AAS
「それでも、何度も挫けそうになりました」
「一日中、薬を飲んでいたような気がします」
「体中がぼうっとして、ときどき痛みました」
「治療の時は痛みが引かなくて…。お姉ちゃんが励ましてくれなければ、気が狂っていたかも知れません」
「峠を越した、とお医者さんに言われた時は、お姉ちゃんと一緒に喜びました」
「もう、辛い治療を受けなくてすむのがまず嬉しくて…」
「それから、また学校に行けるんだって、またデートできるんだって…」
一つ一つの言葉が、重い。
「大変だったんだな…」
それしか、言葉が出なかった。
省15
319: 03/10/29 22:59 ID:c4I1eeTb(3/4) AAS
「私、学校に戻ってから、上手くやっていけるでしょうか」
「栞なら、大丈夫だ」
「ずっと、一人だったから、どうしていいのか分かりません」
「転校生だって考えればいい。これからいろんな奴と話して、栞が友達になりたい人と友達になればいい」
「友達になってください、って言うのでしょうか？」
「まあ、いろいろだな。そう言って友達になるのもいれば、自然と話し始めて友達になるのもいる」
「難しいですね」
「難しくなんてないさ。学校に行ったら、すぐ分かる。栞と友達になりたいと思って話しかけてくる奴もいるさ」
「楽しみです」
栞の表情が、少し和らぐ。
省19
320(2): 03/10/29 23:00 ID:c4I1eeTb(4/4) AAS
こんこん
ノックの音がした。
「はい」
栞から目線を切り、入り口を見やる。
名雪と香里だ。
スケッチの終わる時間を見計らって来たのだろう。
栞が視界に入ってきたので、終わったと思ったのかも知れない。
どちらにしても、思った以上に時間が経っていたような気がした。
かちゃ
「栞、いい絵が描けた？」
省5
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