[過去ログ] ギザギザハートの子守唄〜柏木初音 15の夜〜 (1001レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) 自ID レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
313
(1): 甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I 03/08/11 21:54 ID:ifIVJFYZ(1/4) AAS
>>290-301に触発されたので

   悪音たんの夏休み

 じ〜わ、じ〜わ、じ〜わ…。
 リズムが余りにも単調なせいで身体が既にその音を雑音として捉えなくなったのか、それとも人間が生きるにあたり
発する雑音とは違う、自然の音であるからなのか。
 俺は、真夏のセミ時雨の中に自分の身体が溶け込んだような錯覚に囚われつつ『獲物』を追っていた。
 初音ちゃんと一緒に。

「あっ。ほら、お兄ちゃん。ここにもいるよ」
 初音ちゃんの指差す先には、派手に鳴くアブラゼミが木の幹にその身を貼り付けていた。
 じ〜じ〜じ〜じ〜…。
省17
314
(1): 甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I 03/08/11 21:55 ID:ifIVJFYZ(2/4) AAS
 が、その楽しい時間にも終わりが来ることを西日は告げていた。
「そろそろ帰ろうか?」
「う、うん…」
 赤い日の光を浴び、ちょっとうつむき加減でもじもじしている初音ちゃん。
 どうかしたのだろうか? そう思って声をかけようとした時。
 初音ちゃんが向いている方の樹のてっぺんから、一際大きなセミの鳴き声がしはじめた。
 アブラゼミのものではない。
「クマゼミだね」
「クマゼミ?」
「うん、西日本のほうにしかいない、大きなセミ。隆山では珍しいの」
省19
315
(1): 甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I 03/08/11 21:56 ID:ifIVJFYZ(3/4) AAS
「いやあ、やっぱクマゼミは捕るのは難しいや。逃がしちゃった…って、初音ちゃん!?」
 地に足をつけた俺を出迎えたのは、うつむいたままでいる初音ちゃんの姿だった。
「ちょ、ちょっと、初音ちゃん…からだの調子でも…」
 そう言いつつ、近寄ろうとした俺に
「うらあああ〜〜〜っ!!!」
 初音ちゃんが聞き覚えのある…というか聞きたくない…奇声をあげつつ、襲い掛かってきた。

「こういちぃ…また会えて嬉しいぜぇ…」
「は…はは…」
 獲物を狙うような肉食獣とでも表現するのがふさわしい、鋭い目つきをした『初音ちゃん』がねめつけるように
話し掛けてくる。
省11
316
(1): 甘えん坊将軍 ◆eJedRx6H2I 03/08/11 21:58 ID:ifIVJFYZ(4/4) AAS
「ほれ」
 俺の目の前に差し出されたものは…色とりどりの爆竹だった。
「こ…これは…?」
 予想していたものとはかけ離れた『物』を見せ付けられ、良かったような残念だったような、複雑な気分でいる俺に
悪音ちゃんは言葉を投げかける。
「ああ、夏ならではの野外プレイだぜ。生きたセミに爆竹を括りつけて飛ばすんだ」
「…は?」
「そのためにたくさんセミを捕まえたんだろ?」
 そう言いつつ、悪音ちゃんはセミが詰まった虫かごの方へ顎をしゃくった。
「あ、いや、これは、その…」
省19
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.030s