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【風俗嬢】過ぎ去りし想い出は【風俗店員】part3 [無断転載禁止]©bbspink.com (188レス)
【風俗嬢】過ぎ去りし想い出は【風俗店員】part3 [無断転載禁止]©bbspink.com http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/
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19: なまえを挿れて。 [] 2017/08/05(土) 03:44:02 ID:iWSpZSFJ0 あーうー私がうーちゃんです。見るからに見た目こわい(いや、ぜんぜんヘタレの一般人』のヤマノに、怯えてしまっていたんです。 、怖がって、しまっていたんです。あーうーあーうー私がしぶんで、しぶん、うーちゃん呼ぶもらいこじきの、うーちゃんなんです。 ちなみにまなみのメコは鬼くさいです。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/19
20: なまえを挿れて。 [] 2017/08/06(日) 21:09:12 ID:6DOf1pPu0 ゴローの店も火災以降は泣かず飛ばずだったが、 店の規模が小さいので、家賃など経費も少なく、 1号店ほど火の車というわけではなかった。 それに普通の性感店の1号店とちがって、ゴローの2号店は学園イメクラ、 4号店は人妻店だったので、固定客の割合が多く、客単価が高いのも幸いしていた。 その目のつけどころがゴローのすごいところだ。 「ゴロー、もうこっちはダメだよ・・・もうどうしようもない」 「○○(俺)さん、どうするつもりですか?」 「もう辞めるしかないかなって思ってるんだけど・・・」 「○○さん、辞めるなら、一緒にデリ、やりません?」 「デリヘル?そんな金、もうないよ」 「僕もないですけど、200万くらいなら、女からひっぱれますよ。」 「え、マジで言ってんの?」 「ええ本気ですよ。前から考えてたんです。デリならそれほど金もかからないと思うし、どうですか?」 「一緒にって言うけど、ゴローはどうするの?」 「僕は今のここに残ります。僕がオーナーで、○○さんが店長って形にはなりますが」 俺がゴローの部下になる。 俺は9歳年下のこの男が好きだったから、なんの抵抗もなかった。 なにより、他に行くところもなかったし、まだ東京に残ることができる。 デリの事務所で寝泊まりする場所も確保できるだろう。 俺の決心は固まった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/20
21: なまえを挿れて。 [] 2017/08/06(日) 21:09:43 ID:6DOf1pPu0 それ以降、仕事中に店を抜け出し、ゴローとルノアールで密会し、何度も打ち合わせをした。 あ、そうそう靖国通り沿いの居酒屋も行ったな。仕事中だけどw 「集」ってお店。当時オープンしたばかりで、ゴローがお勧めっていうから。 なんで覚えてるかっていうと、今でもあるから。 正確な店名を調べてみたら、炭火BAR集。 歌舞伎町のオシャレ系居酒屋でこんなに長く続いてる店も他に無いんじゃない? 結局1度しか行かなかったけど。 女の子や支社長たちとよく行ってた、セントラルロード沿い、コマ劇前の「炙り屋」はいつのまにかなくなってる。 当時、セントラルロードって言ってたけど、今はゴジラロード?になっちゃったな。 今では昔なつかしコマ劇場は無くなり、高層の東宝ビルになっちゃったけど、 コマ劇が解体されて、高層ビルが建つって知ったとき、 こんなでっかいビル、完成までいったいどれくらいかかるんだろうって思っていたけど、 もう開業して2年以上経つのか。 年月が経つのは早いもんだ。 歌舞伎町は今でもちょくちょく行くけど、ナイタイギャラリー、コマ劇場、喫茶上高地、いろいろ変わっちゃったな。 よくウィスキー買いに行ってた、信濃屋は今でもまだあるね。 よくホームラン賞のタオルもらってた新宿バッティングも健在でうれしい。 今でも130キロ、打ち返せるかな? なつかしいなあ。 でっかいごみ袋に、洗濯物詰めて通ったコインランドリーはまだあるのかな。 サクラと住んでたアパートも当時新築だったけど、最近見たら、結構古ぼけた感じになってた。 アパートのオーナーが飼ってた、でっかい犬はもういなかった。 そりゃ生きてないよな。 店を辞めて、デリヘルやろって決めたとき、なんだか走馬灯のように、いろんなことを思い返したのを覚えてる。 まともな辞め方なんかできないだろうし、バッくれれば、当分の間は歌舞伎町には脚を踏み入れられないって、 思っていたから。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/21
22: なまえを挿れて。 [] 2017/08/06(日) 21:10:06 ID:6DOf1pPu0 話がそれちゃったな。 ゴローと打ち合わせして、デリの事務所と女をどうするかをメインに話し合った。 けっこうゴローとは意見が合わなかったんだ。 金を出すのはゴローだけど、その金はゴローの女の金だから、 ゴローは俺ほどはひっ迫してなかったんだ。 ゴローは経営そのものより、自分の都合と、今の店での保身を優先しているのがわかった。 まず事務所だけど、ゴローは中野坂上のマンションに住んでたから、 歌舞伎町との中間にある、西新宿のマンションを事務所として借りようとしていた。 実際、俺は不動産屋に案内されて下見も行った。 (ちなみ数年後、そのマンションでポール牧が死んだ) ちょっと古いけど、広いし間取りも良いし、確かに理想的な物件だったけど、俺は反対した。 なんと言っても家賃と初期費用が高すぎる。 たしか家賃が25万くらい、初期費用は150万くらいだったと思う。 これでは事務所を借りるだけで予算がふっとんでしまう。 それをゴローに言っても、「お金ならなんとかなるでしょ」くらいのことしか言わない。 だけどこっちとしては、ゴローの金じゃないことを知ってるだけに、 女が出してくれなくなったら終わってしまうわけだから、 出来るだけお金をかけずに済ませたかったんだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/22
23: なまえを挿れて。 [] 2017/08/06(日) 21:38:46 ID:6DOf1pPu0 事務所より大事な、女についても意見が合わなかった。 俺は今の店から、何人かひっぱるつもりでいたし、 ゴローもそれに協力してくれるものだと思っていたんだ。 「俺、5人、少なくとも3人は今の店から引っ張れると思う。ゴローは自分の店から何人くらい連れてこれる?」 「いや、○○さん、それはダメです、他の幹部連中にバレてしまうから、僕も引っ張れないし、○○さんも引き抜きはやめてください」 「ええ?そのアテがあるからデリやろうって言ったんじゃないの?じゃどうすんの?女無しで出来ないよ?」 「今の店の子は引き抜けませんけど、僕がなんとか探してきますんで、女は心配しないでください」 「そうか、ゴローがそういうなら・・・あと、警察の届け出はどうしよう?」 「○○さん、僕は届けは必要ないと思ってます。ホテトルとかみんな無許可ですよ。」 「いや、オーナーはゴローだけど、名義は俺だろ?俺、逮捕されるのだけは御免だ。」 「大丈夫ですよ。今の店でも無許可でやってるじゃないですか。」 「それが上手くいかなくなってきたから店が傾いたんじゃないか。デリは簡単に届けが出せるんだから、オカミのお墨付きになったほうがいいよ」 最初から意見がいろいろ食い違ってて、俺は不安になってきた。 だけど俺は後戻りできない。もうデリで食ってくしか、道は残されてないんだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/23
24: なまえを挿れて。 [] 2017/08/06(日) 22:10:41 ID:6DOf1pPu0 なかなか話がまとまらない日々が続いた。 このままだと、すぐ今の店を辞めるわけにもいかない。 だけど、そんな中、俺は再びヤマノと衝突してしまった。 ヤマノは店長だというのに、午後になっても個室で寝ていた。 しかも店の女と一緒の部屋に。 以前も同じことがあって、俺が叱りつけたらしぶしぶ出てきたけど、 今回は、もう俺はこの店がどうなっても良いと思っていたし、 俺は今回のことを、自分が辞める正当な理由として利用できると考えた。 パチンコ狂の支社長には申し訳ないとは思わなかったけど、さすがに飛ぶとなると気が引けるし、 俺を信じてくれていた女の子たちや、地方都市にいるオーナーや部長に、恩を仇で返すことになる。 だから俺は、ヤマノと、ヤマノを店に連れてきた支社長に、店の責任を取らせるために、ここで奴と衝突する必要があったんだ。 プルル・・・プルル・・・ フロントから、ヤマノが寝ている個室のインタフォンをコールする。 だけどなかなか出てこない。 プルル・・プルル・・・ 何度かしつこくコールするとヤマノが出てきた。 「るっせえな!なんだよ!寝てんだよこっちは!!」 「何だとコラ?その口のきき方は!何時だと思ってんだテメエ!」 俺を舐めていたヤマノは、俺がいきなりブチ切れて、ちょっとひるんだように見えた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/24
25: なまえを挿れて。 [] 2017/08/07(月) 01:16:33 ID:AyPkP14Q0 あーうーあーうー私がうーちゃんです。しぶんで、しぶん、うーちゃんのことうーちゃん呼んでしまっているんです。 実際はヤマノに怯えていたんです。 怖がってしまっていたんです。 うだつ上がらない、私の名前はうーちゃんです。 ちなみにまなみの親戚全員もらいこじきなんです。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/25
26: なまえを挿れて。 [] 2017/08/09(水) 23:03:26 ID:6wPPOVyn0 俺とヤマノの言い争いはしばらく続いた。 店内には二人の怒号が響き渡った。 薄いカーテン一枚で隔てられた待合室には、数人の客がいたはずだが、 客も固まっているのか、物音ひとつしなかった。 やがてヤマノは分が悪いと見たのか、方向転換を試みた。 「部長、へへ、威勢が良いのは結構だけど、知ってんだよ、俺」 「なにを言ってんだオメエは!」 「へへへ、マイチャンに送ったメール、なんだよ?あれ?」 俺はドキリとした。 「好きだー、だのなんだの。ギャハハハ!おお恥ずかしい!3号店ではみんなの笑いのタネだぜ! そんなメールを店の女に送るような男が、偉そうなこと言えんのかよ?!え?部長さんよう!」 俺は愕然とした。 俺が個人的にマイに送ったメールが、ヤマノや他のスタッフの目に入っている・・・ どういうことだ? 俺はマイにそこまで恨まれるようなことをしていたのか? それともマイは最初から俺をおちょくっていたのだろうか? 俺は言葉が出てこなかった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/26
27: なまえを挿れて。 [] 2017/08/09(水) 23:04:09 ID:6wPPOVyn0 俺はもう、ヤマノと争う気力が果てた。 張り詰めていた糸が、ぷつんと切れてしまったのを感じた。 「何黙ってんだよ!恥ずかしくてものも言えねえのかよ?!」 「もういい」 「あぁん?」 「あとはお前の好きにしろ」 俺は黙って、レジから10万を抜きだし、ご丁寧に出金伝票を切ったんだ。 「○月分、給料未払い分」と書いて。 ヤマノは黙って見ていた。 俺も黙ったまま、あらかじめ荷物を詰めていた大きなバッグを抱え、店を出た。 誰も何も言わなかった。 今日限りで、俺の歌舞伎町での戦いが終わった。 数年前、初めて歌舞伎町に降り立った日から、サクラをはじめ、他の子たち、 信用できる従業員仲間たちから、たくさんの良い思い出をもらった。 苦しかったことも多いけど、楽しかったことのほうがずっと多い。 きっと一生忘れない。 でも今日ですべてさよならだ。みんなありがとう。 たぶんこれから先、誰とも会うこともないだろうけど、元気でやってくれ。 俺はバッグを抱えたまま、靖国通りに出て、あてどもなく3丁目方面に歩いた。 その道中はよく覚えてないけど、きっといろんなことを思い出しながら歩いていたんだろうと思う。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/27
28: なまえを挿れて。 [] 2017/08/09(水) 23:04:37 ID:6wPPOVyn0 そうだ。間違えなく覚えてることがひとつある。 俺は放浪しながら、マナミに電話を掛けたんだ。 マイが完全に俺から離れたとわかった途端、マナミの声が聞きたくて仕方なかったんだ。 調子良すぎるのはわかってる。 「うーさん、どうしたの?」 マナミはその日、休みで店にはいなかったから、俺とヤマノの衝突は知らない。 「俺、ついさっき、店、飛んできたよ。」 「え!?マジ?どーしたの?今どこにいるの?」 「ちょっといろいろあって・・今ぶらぶらしてる。ごめんな、何も言わずに」 「・・・これからどうするの?」 「実は、ゴローと一緒に、デリヘルを立ち上げる計画なんだ。これから急いでその準備をする」 俺は、マナミにも縁を切られる覚悟で言ったんだ。 マナミは知らないとはいえ、他の女にうつつを抜かし、マナミを置いて勝手に店を辞めている。 愛想をつかされて当たり前だ。 「ほんとにごめん。」 さよならのつもりで、そう言ったんだ。 「あたしはどうすればいいの?」 「えっ?」 「あたしはうーさんのデリヘルで働けばいいの?」 前触れもなく、勝手にマナミを置いて逃げてきた俺に、 マナミはなんの躊躇もせず、ついてきてくれると言っている。 その言葉を聞いて、俺はマナミが愛おしくてたまらなく、そして、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/28
29: なまえを挿れて。 [] 2017/08/09(水) 23:04:59 ID:6wPPOVyn0 「俺についてきてくれるのか?」 「うん、だってうーさんのいない店で働いていたくないもん」 俺は涙腺が崩壊寸前になった。 こんな良い子を裏切ってた自分が、また情けなくなった。 「ありがとう。マナミ。本当にありがとう」 「・・ううん」 「でも、まだ事務所も決まってないんだ。それに、ゴローと一緒にデリヘルを開くけど、 あの店の連中には内緒でやるんだ。バレるとゴローが困るから、マナミは俺が連絡するまで、 今の店で働いててほしい」 「うん、わかった」 「必ず連絡するから、絶対に!」 「うん。待ってるね」 店の女は引き抜くなとゴローから言われていたから、マナミのことは今はまだゴローには言えない。 だけど、マナミという味方が出来て、俺は心強かった。 さて、少し足取りも軽くなった俺だけど、宿なしには違いない。 のんびりはしてられないけど、とりあえず今夜の宿をケータイサイトで探し、 新宿5丁目近辺の安いビジネスホテルにしけこんだ。 ホテルにつくなり、支社長から何度も何度も着信があったけど、俺は全部無視し、 ゴローに電話をして、今日で店を飛んできたことを報告した。 たしかまだ日は暮れてなかったけど、どっと疲れがでた俺は、食事も取らずにベッドで深い眠りに落ちた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/29
30: なまえを挿れて。 [] 2017/08/09(水) 23:47:50 ID:wvhJr7Og0 あーうーあーうー私がうーちゃんです。しぶんでしぶんうーちゃん呼んでしまっているんです。 店から金パクって立派な犯罪者なんです。 そして、まなみのメコはくさすぎたんです。そしてうーちゃんは、五郎に思いっきり顔面殴られて、二丁目でうりせんボウイとして働かされているんです。 そうしないと五郎にまた殴られらの、怖いので恐れてしまっているんです。 私が一生うだつ上がらないうーちゃんなんです http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/30
31: なまえを挿れて。 [] 2017/08/16(水) 23:14:59 ID:Mto59oCW0 それからしばらくのことは、なぜか記憶が薄い。 俺はたぶん、1週間くらいはホテルに泊まったはずだけど、正直、ホテルでの生活は全く覚えてない。 なんとなく部屋の内装は覚えてるんだけど。 俺はすぐにでも事務所を決めないと、という焦りで、 西新宿の物件を紹介してくれた不動産屋に駆け込み、 もっと安い物件を紹介してもらいに行ったはずだ。 不動産屋に掛け合った結果、俺は新宿2丁目の物件が気に行った。 新宿2丁目がどういう街なのかは知っていたが、 デリだから、そこで集客するわけではないので、細かい立地は気にしなくて良いと思った。 なにより、最初に下見した西新宿の物件の、約1/2の費用で契約ができるのが魅力だった。 家賃は13万、初期費用は85万。その数字ははっきり覚えてる。 やはりちょっと古いが、11階建てのレンガ調のマンションの6階で、間取りは2LDK。 丸ノ内線の新宿御苑前駅からもほど近く、万が一、車を確保できなかったときのため、駅に近いのは魅力だ。 古いから2部屋とも畳張りの和室だけど、女の子の待機場所としては、かえってくつろげるかもしれない。 俺はとにかくホテルを早く引き払いたかったし、なにより物件が気に行ったので、すぐ不動産屋で入居契約を済ませた。 保証人が必要だったが、アリバイ会社の保証人代行を使うことによってその問題はクリアできた。 代行料はたしか25,000円だったけど、安いもんだ。 代行してくれた、見知らぬ人物の印鑑証明書がアリバイ会社から送られてきたので、 その人を「叔父」として、印鑑証明を不動産屋に提出。 なんの問題もなく無事書類関係は完了。 どこのだれだか知らないけどありがとう。 きっとやくざに小銭で雇われた、どっかのホームレスなんだろうな。 さて、あとは契約金を払うだけだったので、ゴローに事務所が決まったことを報告し、必要な金額を伝えた。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/31
32: なまえを挿れて。 [] 2017/08/16(水) 23:15:26 ID:Mto59oCW0 そのあと、俺はゴローからお金を受け取ったはずだ。 だけどこのあたりの記憶があいまいなんだ。 金額も覚えてないけど、不動産屋に85万払って、入居後に秋葉原にPCを買いに行った。 そのPCがブラウン管モニタ一体型の富士通FMVだったことは、なぜか覚えてるけど。 当時まだPCは今ほど安くなかっただろうから、それが20万くらいはしたんじゃないかな。 そのあと、しばらくの生活費も含まれていたから、 ゴローから受け取った金額は120〜150万の間だったかと思われる。 そうそう。 最初、軍資金は200万とゴローから聞いていたので、残りのお金はいつ受け取れるのか聞いたような覚えがある。 でも、女から一度にはもらえないので、何度かにわけて渡すから、少し待ってほしいと言われたな。 そう、そのあたりから、俺はちょっと不安になってきてたんだ。 ゴローは口は出さないけど、俺が勝手に2丁目の事務所を契約したことに不満をもってることは明白だった。 さて、新事務所に入居後、俺が一番最初にやったことは、 地方都市のオーナーに電話をして謝罪をしたことだ。 あっちにはオーナーはじめ、世話になった人がたくさんいる。 それを俺は裏切って、店をほったらかして逃げてきたんだ。 いろいろ事情があるとはいえ、一度は謝らなければ気が済まなかった。 それに、このまま黙っていると、単に悪者扱いされ、ヤマノの思惑通りになるのも癪だったし、、 店に残されたスタッフや女の子たちも心配だった。 俺がオーナーに連絡することによって、支社長を立ち直らせ、ヤマノのやりたい放題を少しでも 抑えることができれば、という気持ちも大いにあった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/32
33: なまえを挿れて。 [] 2017/08/16(水) 23:16:00 ID:Mto59oCW0 俺はオーナーの携帯番号を知らなかったので、 まず地方店の本店に居る部長に連絡をいれた。 本店の部長とは、ほとんど一緒に働いたことはないけど、 とても優しいイケメンで、俺より1個下だったけど、この人がグループのNo.2で、オーナーの実質右腕。 歌舞伎町の店にもちょくちょく地方から新幹線に乗って会いに来てくれた人だ。 「おぉ〜!○○(俺)さん!どうしたの?みんな心配してるよ?何かあったの?」 俺は当然、怒られると思っていたのに、本気で俺を心配してくれてるような声で部長が言った。 このグループの人たちは、上に行くほどジェントルマンで腰が低い。 俺が長くこの仕事に居座ってしまったのも、このグループの居心地が最高にいいからだ。 だからますます俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 「本当に部長やオーナー、みなさんに御迷惑おかけしました。申し訳ありません。 僕はもう、あの店では働けません。だから飛んできてしまいました。 最後にオーナーに謝りたくて連絡しました・・・」 「なんか複雑な事情がありそうだね。俺もいろいろ聞きたいこともあるけど、 まずオーナーに連絡するよ。○○さん、今日は連絡とれるの?」 「はい。今、なにもしてませんので、いつお電話いただいても大丈夫です」 「了解わかった。じゃオーナーに伝えるから、待っててね」 「はい。すいません」 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/33
34: なまえを挿れて。 [] 2017/08/16(水) 23:16:25 ID:Mto59oCW0 どれくらい待っただろうか。 覚えてないけど、その日のうちにオーナーから電話がかかってきた。 「はい○○です。」 「おう!○○、何があったんだ?話してみな?」 オーナーはいきなり本題に入った。 「御迷惑かけて申し訳ありませんでした。」 俺は謝ったあと、店でのここ数カ月の出来事を、全部オーナーに話した。 売り上げが上がらず、半年もまともに給料をもらってないこと、 支社長がレジから金を出してパチンコに明け暮れていること、 薬物が店に蔓延してること、 その出所がヤマノであると思われること、 そしてヤマノの店での態度について。 「・・・」 オーナーは電話の向こうでしばらく無言だった。 オーナーは激情するタイプではない。 オーナーが大きな声を出すときは、笑ってる時だけだ。 怒って怒鳴るようなオーナーを、俺は見たことがない。 だから黙り込んだオーナーは、たぶん激怒している。 俺はそう感じた。 俺はオーナーの言葉を待った。 「そうか・・・わかったよ。俺は何も知らなかった。ごめんな。 教えてくれてありがとう。」 俺は涙をこらえることができなかった。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/34
35: なまえを挿れて。 [] 2017/08/16(水) 23:17:42 ID:Mto59oCW0 俺が黙り込んでいると、オーナーが続けた。 「だけど○○、一人で抱えてないで、なんでもっと早く報告してくれなかったんだ? それが残念だよ、俺は。」 「本当にすいませんでした。店を守れなかったのは、自分の責任ですから・・」 「・・・わかった。じゃこうしよう」 「はい?」 「ヤマノは解雇する。支社長は役職をヒラに戻して地方に呼び戻す。お前は店に戻って支社長になってくれ」 「ええっ?」 「頼む。そうしてくれないか?」 思いもよらなかった展開だ。 ほんとうに想像もしてなかった。 俺が歌舞伎町に来る前、地方店の店長会議で、東京への転勤をオーナーから打診されたのが4年ほど前。 当時30歳だった俺は、今、34歳だ。 そのときはすぐ了承の回答ができず、少し返事を待ってもらった。 でも、今日は、すぐ結論が出たんだ。 「ありがとうございます。でも、僕にはもうできません。本当に申し訳ございません」 「だめか?」 「はい。お気持ちはすごく嬉しいです。でも支社長やヤマノとは関係なく、いろいろやってみましたが、 もう何をしても売り上げを元に戻せる気がしません。自信がないんです」 俺の本音だった。火災以降もうあの街は終わっている。 俺の力の及ぶ範囲ではないんだ。 「そうか、わかった、仕方ないな。そう言うなら。」 俺は最後に感謝の気持ちを伝え、電話を切った。 ようやくけじめをつけることができた。 ここから新しい挑戦のスタートだ。 だけど、その挑戦は長くは続かないことになる。 俺は少し、その予感はあったんだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/35
36: なまえを挿れて。 [] 2017/08/17(木) 09:23:29 ID:qzs5MV6x0 男のくせメソメソ泣く、あーうーあーうー私がうーちゃんなんです。しぶんでしぶん、うーちゃん呼んでしまっているんです。人を欺く天才なんです。人、不快させるライセンス取得してしまっているんです。 あーうーあーうー、私がコジキのうーちゃんです。ちなみにゴロウニ怯え、二丁目売り専ボウヤなってしまっているんです。 ちなみにまなみのメッコ隣町まで悪臭及んでしまっているんです http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/36
37: なまえを挿れて。 [] 2017/08/20(日) 10:13:31 ID:+oo+7liB0 不安でいっぱいだったけど、事務所を構えることができた。 さっそく俺は、管轄の警察署に、開業届けを出しに行ったんだ。 ゴローは無届けでやるき満々だったけど、俺はそこだけは譲れなかった。 新しく買ったPCで、届け出の書類をダウンロードし、ネットで風営法を少し勉強もして、 届け出書類を作成した。 最初、新宿署に行ったら、土曜日だかで閉まっていた。 もう長く水商売をやってると、役所が土日休みだとかの感覚がない。 日を改めて行ったら、今度は、「お宅の店はウチの管轄じゃないよ」と追い返されてしまった。 なんだかなぁ・・・よく調べもせず、焦りで空回りしてるよ。 聞いたところ、新宿2丁目は四谷署の管轄だからということで、 さらに日を改めて四谷署の生活安全課に出向いた。 届け出の必要書類を提出すると、「じゃ、ちょっと待っててください」と言われ、 通路の腰かけに座ってドキドキしながら待っていた。 俺は長く歌舞伎町で無許可の違法風俗店に勤めていたし、 アンナの未成年事件や、シオリの自殺未遂事件で、さんざん警察のお世話になったので、 届け出を却下されるんじゃないか、とか、下手したらここで逮捕されるんじゃないかとか、 悪い想像をして、全身に脂汗をかきながら、呼び出しを待っていたことを覚えている。 もっともデリヘルは「届け出制」であって、許可制や認定制ではないので、 提出した書類に不備さえ無ければ、必ず受理されるのではあるが。 「○○さん、お待たせしましたね」 年配のこわもての警察官が俺を呼んだ。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/37
38: なまえを挿れて。 [] 2017/08/20(日) 10:14:16 ID:+oo+7liB0 「はっ、はい!」 「はい、書類はこれでOKですよ。これが受理証ですから、大事に保管して下さい」 「でっ、では!」 「ええ、いつでも店を始めて大丈夫です。」 「ほんとですか!ありがとうございます!」 俺は全身の力が抜けた。 「ただ、いつの日か、もし店を閉める時が来たら、かならず廃業届けを出しに来て下さい。 ドロンは無しですよ」 釘を刺されて、俺はドキリとしたが、 「は、はい、わかりました」と返事をした。 思ったより簡単に開業届けが受理された。 少し構え過ぎて、拍子抜けした感もあるけど、晴れて店をオープン出来るんだ。 まだまだ解決しないといけない問題は山積みだけど、 とりあえず俺は一つハードルをクリアできた満足感に浸った。 俺は受け取った届け出証を大事にカバンにしまって、居心地の悪い警察署から速やかに出た。 空腹を覚えた俺は、署に入る前だか、後だか正直覚えていないけど、 四谷署の近くにある、モスバーガーでハンバーガーを食べて腹を満たした。 ずいぶん年配の御夫婦らしき店員さんがいたことを覚えてる。 フランチャイズのオーナー夫婦かもしれないな。 あれから15年経った今でも店はあるんだろうか。 あの年配の店員さんは御健在なのだろうか。 http://mercury.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1501364288/38
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