【今こそ】ロシア語入門・初級スレッド【ロシア語】 (553レス)
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506: Godzilla (ブーイモ MMb2-P7MY) 11/04(月)22:34 ID:S6JgDlFzM(1/4) AAS
先日、ロシア語・ウクライナ語・ポーランド語の狭間で、カボチャ・メロン・スイカ三つ巴バトル(?)の長話を投稿させて頂いた。
これらは周知の通り全てウリ科に属するので、それぞれの言語内部の諸事情で語義が変わったとしても、何ら不思議はない。

しかしながら、この「ウリ」科に関する老人の長話を、半島語の「우리」のことと勘違いされたのか、お一人様半島特有の火病を発症されておられるようだが、
旧2ch 時代から20年以上の長きにわたって慢性化している御病気のようなので、
ここでは華麗にスルーさせて頂くw

さて、添付資料は「ちくわPOPブログ」さんの2021年9月30日付け記事に掲載のものを拝借したものだが、ロシア語 тыква は
ともすれば日本人には「ちくわ」と聞こえないこともない。
そんな昭和の駄洒落は別として、スイカやメロンは野菜なのか果物なのかといった話題はよく目にするところである。

吾人の感覚だと、野菜と果物は異なる食のカテゴリーに属し、主に間食やデザートとして食べるのは果物であり、ご飯と一緒に食べるのは野菜という認識である。
(この際は農水省による定義などドーデモいい)
省14
507: (ブーイモ MMb2-P7MY) 11/04(月)22:35 ID:S6JgDlFzM(2/4) AAS
画像リンク[jpg]:imonar.com
508: 吾人 (ブーイモ MMb2-P7MY) 11/04(月)22:49 ID:S6JgDlFzM(3/4) AAS
ということで、A. ブリュックネル(Aleksander Brückner;ドイツ人みたいな名前だが、旧オーストリア帝国のガリツィア ー現在はウクライナ領ー 生まれのポーランド人)
が1927年に出したポーランド語語源辞典が1970年に再版されたので、それで owoc の語源を調べてみたら、「古スラブ語時代に、ドイツ語 Obst「果物」の元となった古期高地ドイツ語 obaz あたりからの借用された語」と出ている。
ブリュックネルの語源辞典の先の見解は、 А.Г. Преображенский が1914年に発表したロシア語語源辞典の記述を踏襲したものと思われる。
後者は吾人の手元には無いが、今はオンラインで見れる。(ブリュックネルの方もオンラインで検索可能)
それによると、ゲルマン語からの借用説はそもそもオランダ出身の言語学者 C.C. Uhlenbeck(ウーレンベック)の説に基づくものとしている。

古期ドイツ語形 obaz(中期高地ドイツ語形 obez)は本来 *oba-eȥ の合成語であり、oba は〜の下にを意味する接頭辞、第二要素はドイツ語 essen, 英語 to eat と同根で、「下に食べる物」とは「主食(メイン料理)に添えて(又は主食の後で)食べる物」くらいの意味と考えられる。
中期英語の ovet(他に ofet, ofvet などの表記有り)もこれに対応する語である。
ドイツ語では大体果物という意味での使用だったが、中期英語では野菜や豆の意味での使用も見られる。
つまり、*oba-eȥ なる語は、原義から果物と野菜のどちらでも、或いは両方を意味し得たと思われる。

蛇足だが、古期高地ドイツ語形 obaz から期待される現代ドイツ語形は Obs であり、実際この形は中部ドイツ語ケルン方言などに現れる。
省4
509: (ブーイモ MMb2-P7MY) 11/04(月)23:09 ID:S6JgDlFzM(4/4) AAS
しかしながら、古スラブ語形 *ovot'e(ovotje)のゲルマン語起源説は、
その後ロシア語語源辞典としては最も有名な、М. Фармер の辞典では否定された。
何故なら、スロベニア語 ovočje、クロアチア語 voće、ブルガリア語 овоще、ウクライナ語 овочі のように、それぞれの言語においた、語尾の子音が規則的に対応するからである。
つまり、古スラブ *tj と *kt はスラブ語によって異なる発達をしており、西スラブ諸語では c [ts]、東スラブ諸語では ч となる。
南スラブ諸語ではその反映が分かれて、スロベニア語なら č、セルビア語とクロアチア語では ć、ブルガリア語なら щ [št]、マケドニア語だと ќ [kj] となる。

ロシア語形が本来ならウクライナ語形のように *овочи となる筈なのにそうなっていないのは、それが教会スラブ語形の借用だからである。
スラブの使徒・キリルとメトディウスが中心となって制定したところの古代教会スラブ語は、彼らの故郷であるギリシャのテサロニキの方言が基礎となっており、
当時のその地の南スラブ語では、古スラブ *tj、*kt の反映は現代ブルガリア語と同じ [št] であった。
ウクライナ語方言形 овоште も又古代教会スラブ語形を直接借用したものである。
こうした一連の規則的な音変化の反映は、借用語としては相当古い時期(遅くても紀元後2-3世紀頃)
省10
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