[過去ログ] ガンダムヒロインズMARK ??I (152レス)
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30: フェニックステイル第34話投下準備 2021/05/23(日)18:51 ID:FZPzClP7(1/11) AAS
投下します。
今回は直接的なエロ場面はないです。
31: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)18:53 ID:FZPzClP7(2/11) AAS
 サラミス改級巡洋艦『トラキア』の改修整備間にそのMS隊にとっての仮の宿となる第113整備場は、P−04の中核になっている小惑星本体ではなく、その周囲に多数が連結された生産プラント群の一つにあった。
「すごい。生産プラントが、こんなにたくさん……。コロニー何基分なんだろう?」
 P−04中心から伸びる軌条へ沿うように、RGM−79R『ジム?』の4機編隊が宙域をゆっくりと飛んでいく。コロニー生まれでコロニー育ちの生粋のスペースノイドにとってもこの光景はさすがに壮観で、アイネ・クライネ伍長は思わず嘆息した。
P−04の中心とプラントの間、そして各プラントの間を繋いで結ぶ軌条には、いくつもの列車やコンテナが忙しなく行き交っているのが見える。あの中のどれかに、サブリナとその貨物車もいるのだろうか。
 生産プラントとは通常、1基のスペースコロニーに対してその周囲に数十基が付属するものだ。コロニーから隔離された環境内において効率的な特化型の農工業を営むことで、住環境であるコロニー本体の内部では生産困難な各種の物資を提供する役割を担う。
プラント個々の外観は半径300メートル、全長600メートル程度の巨大な円柱状だ。回転軸から垂直に見ればほぼ正方形、水平から見ればリング状の採光窓を設けたほぼ真円となる。
この巨体が固定された中心軸を除いてコロニー同様に自転することで、円筒内に外向きの疑似重力を発生させている。回転し続けるその質量は戦闘艦などの比ではない。
 これに比べればMSなどは豆粒にも満たないし、仮にトラキアのようなサラミス改級巡洋艦をプラントの横に置いたところで、縦に少し潰したドラム缶の横へ細い水筒でも置いたようにしか見えないだろう。
それでも半径で3キロメートル以上、全長に至っては30キロメートルをゆうに超えて文字通り桁違いの巨大さを誇るコロニーの威容とは、さすがに比べるべくもない。プラントひとつの体積は、コロニー・シリンダーの600分の1にも満たないのだ。
 これほど小さいにもかかわらず、プラントがコロニーに対して不可欠な生産拠点としての大きな働きを示せる理由――そのひとつはコロニーと異なり、多層構造化によって床面積を稼げることだ。
省8
32: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)18:55 ID:FZPzClP7(3/11) AAS
 外部ゲートが閉まり、エアロックを挟んで移動すると、トラキアのMS格納庫の3倍はありそうな空間に出た。10基ほどのMSベッドが並んでいる。
 そこへ駐機されている機体にRGM−79GSR『ジム・ゲシュレイ』――ジム・コマンド宇宙戦仕様の独自改修型の姿を認めて、アイネは思わずうげっ、と呟いた。
 ゲンナー・ウェズリー少尉機にはシュン・カーペンター伍長との模擬戦訓練へ無茶苦茶な割り込まれ方をされたり、ルウム農協所属の予備役の美少女たちからはわけのわからない因縁を付けられたりしてきた
 アイネは正直、この機種に対してろくな印象を持っていなかった。
 ジム・ゲシュレイは常備役部隊より予備役部隊で使われている局地戦機と聞いたから、ここも本来は予備役部隊の拠点なのだろうか。
 その奥にはRB−79『ボール』もまとまった数が駐機している。こちらは戦闘用ではなく作業用らしいが、そのわりに頭部には一年戦争さながらの低反動砲が座っていた。
 P−04はジオン残党ルスラン・フリートが活動し、連邦軍の侵入をまったく許さないという絶対防空圏『聖域』に近い。
 自衛用なのだろうか、とアイネは思う。
 アイネがトラキアへ回収された直後に発生した救援作戦で接触した、貨物船『リバティ115』とその護衛に付いていた民間警備会社のボール部隊を思い出す。
 アシュリー・スコット予備上等兵、あのとにかく元気でちょっとおバカな少女は、P−04への到着後も元気にしているだろうか。
省20
33: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)18:56 ID:FZPzClP7(4/11) AAS
「プラント中心軸内のMS基地か……元々は小型艇の発着場か何かだったのを改修したのかな」
 アイネは物珍しげに周囲の空間を観察しながら歩いていく。
 だが、そのマコトを取り巻く人員の中に見覚えのあるパイロットスーツ姿を二人見つけたとき、アイネの顔面からさっと血の気が引いた。シュンの表情も強張っていた。
「よっ、シュン。おひさ」
 そして黒髪のポニーテールを揺らす、凛とした顔立ちの美少女――トモエと名乗ったルウム農協所属の予備役兵が、パイロットスーツ姿でシュンの真正面を塞いでいた。近い。
 光線の加減によるものなのか心無し、笑顔にどこか凄みが宿っているように見える。
「ずっと会いたかったんだよ。こないだトラキアがP−04を出る前、最後に3人で会おうって約束してたの、覚えてるだろ? 私ら、ずっと待ってたんだぜ……?」
「と、トモエさん……っ……あ、あのときは……っ」
 シュンは声にならない声を上げながら、後ずさって逃げようとした。逃げようとしたが、背後から誰かに組み付かれて止められていた。シュンの背中に重く大きく柔らかな、女の丸い肉の感触がふたつ潰れている。 
「り、リタさん……!?」
省19
34: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)18:57 ID:FZPzClP7(5/11) AAS
「なっ、このっ……」
その目に一瞬浮かべた驚きと苛立ちを素早く消し去ると、再び口元に余裕を浮かべてアイネを見返してきた。大きく胸を張って肉のバンパー越しに押し合いながら、アイネはきつくトモエを睨みつける。
「いい加減にしてください。あなたたち、カーペンター伍長にそういうの嫌がられているの、分からないんですか」
「ええっ、嫌がられてる?? そんな……嫌じゃないよね、シュン?」
 シュンを捕らえたリタは間近で彼に問いかけながら、身体を寄せて脚まで絡める。女体の肉感と艶やかな声色に反応させられた股間の膨らみを、直接触れない程度の微妙な距離で指先になぞられると、シュンは苦しげな呻きを漏らして仰け反った。アイネの眉間に皺が寄る。
「おいおい、何やってんだよ……」
ようやく事態に気づいたロブは呆れ半分、3人の巨乳・爆乳美少女たちに争奪される境遇への羨み半分で事態を傍観していた。これから何か積極的な介入が出来るようには見えず、実際、リタとトモエにもほぼ無視されている。
 もしアイネがここで引けば、二人はこのままシュンを小部屋に連れ込んで『介抱』を始めてしまうだろう。
アイネは軽く切れながら、トモエの肩越しにリタを睨んだ。
「彼は私たちの部隊の仲間なんです。具合が悪くなったのなら、私が連れていきます。関係ない他部隊の人は、下がってもらえませんか」
省29
35: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)18:58 ID:FZPzClP7(6/11) AAS
「フィオ!」
 食い下がる少女の後ろからもう一人、やはり旧式パイロットスーツ姿の、ぽっちゃりとした体型の少女が追い付いてきた。
「フィオ、もういいよ。もういいよ、仕方ないよ。これ以上は、やめよう……」
「マルミン――」
 マルミンと呼ばれた可愛らしい顔立ちの温厚そうな少女が短いツインテールを揺らしながら、亜麻色の長髪の少女の片手を取って制止した。そのまま前に出ると、男たちの方へ向かって頭を下げる。
「あの、今まで本当に……ありがとうございました」
「……ああ……。さすがにもう行くな、とは言えねえけどよ……。十分気を付けて、安全にやるんだぞ」
「命あっての物種だからな。せっかくあのルウム戦役で死なずに済んだのに、こんなとこでゴミ拾いのために殺されてたらアホみたいだろ」
「っ!!」
 男の捨て台詞に、長髪の少女はなお食い下がろうとしたが、豊満な少女にぐっと腕を掴まれてやむなくその場に留まった。去り行く男たちの背中を悔しげに睨みつけながら見送る。
省19
36: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)18:59 ID:FZPzClP7(7/11) AAS
「よーし。エレベーター降りたらすぐだからな!」
「まさか、同じプラント内だったとは……」
「というかP−04初期の頃に各プラントへMS隊の拠点を作りはじめたときに、あたしらの家も一緒に作ったんだよね。いろいろ余裕ない態勢だったから、職住一致ってやつでね」
トラキア隊の4人はロッカールームで私服に着替えると、サブリナに出迎えられて、エレベーターでプラント内の『底』を目指した。
 静止した中心軸内に存在する第113整備場は無重力空間だったが、その外側はプラント本体となる回転体であり、ミケリヤ家はその外壁近くに位置していたのだった。
 アイネは道中でシュンを護衛するように周囲に目を光らせていたが、トモエとリタの追撃は無かった。しかしP−04への航路上で接触してから、まさかこれほど早く接触を受けるとは。
 偶然とは思えない。ルウム農協の情報網でトラキア隊の行き先を掴んだのだろうか。もはや油断も隙も無い。
「クライネ伍長……さっきは、ありがとう」
「当然のことをしたまでだよ。また変な絡まれ方をするようだったら教えてね。飛んでいくから」
 少し前までなら、候補生課程で同室の同期生シエル・カディス伍長に言われていたような台詞を、今度は自分からシュンに言っていることに気づいて、アイネはそのおかしさに思わず微笑んで誤魔化した。
省19
37: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)19:00 ID:FZPzClP7(8/11) AAS
「じゃあまずは、これからしばらくお世話になるご家族にご挨拶しなくちゃですね」
「それがねぇ。亭主はいま用事で、子連れで町に出てるのよ。挨拶は後でいいから、先に部屋と荷物を確かめに行ってくれる?」
「そうなんですか」
「サブリナ。じゃあ、ミコトも――」
「たぶん一緒に出てると思う」
「そうか。じゃあ夕食の時間、1900にまたここへ集まるとしよう。それまではいったん解散だ」
「了解」
 マコトが命じると、男2人は自分たちの区画へ向かった。マコトとサブリナは立ち話を始めたので、アイネもやむなく1人で屋敷の中を歩き出す。
久々の1G重力が心地よい。そこかしかの緑と、おそらくレプリカなのだろうが、農村風建築の風情が目に優しかった。心が休まっていくのを感じる。
「…………」
省27
38: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)19:00 ID:FZPzClP7(9/11) AAS
 絶対的なリーチの差で腕も頭も狙う乳房から引き剥がされ、少女は空中に捕らえられながらじたばたともがく。アイネは半分涙目で睨みつけた。
「い、いきなりこんなことしちゃダメでしょ!!」
「ミルク……」
「はぁ!?」
 少女は唇に自らの人差し指を突っ込み、物欲しそうな顔で再び呟いた。
「おねえちゃんのおっぱい、こんなにおっきいのに……ミルク、出ないの?」
「出ません!!」
「がっかり……」
「がっかりしないで!!」
 少女は空中で肩を落とした。泣き出しはしないが、静かな悲しみに満ちた表情をしている。美少女の失望感がありありと伝わってきて、アイネはなぜか自分の方が悪事を働いていた気分にさせられてしまっていた。
省20
39: フェニックステイル第34話 2021/05/23(日)19:01 ID:FZPzClP7(10/11) AAS
「あれ……なんだよ、これ。誰か間違えやがったな。俺のスーツケースじゃねえじゃん。誰のだよコレ」
 与えられた個室で荷物を確かめながら、ロブは悪態をついた。
 ミケリヤ邸の外装は地球の伝統建造物を模してはいるが、個室ごとの基本構造は現代技術のモジュール工法で作られていた。防音や断熱もしっかりしている。
 夜中に大音量で映画を観たりしても、隣から文句を言われることはないだろう。家具や家電の類も一通りは揃っており、生活に不自由することはなさそうだった。
 景観も艦内よりは悪くない。ちょっとしたリゾート気分が味わえる。
 だが同型だったからといって、スーツケースを取り違えられたのはさすがに腹が立つ。
「ったく、ホントに誰のだよ……。なんかやたらクソ重いし、何が入ってんだこれ。クソ……夕食の時間まで待つしかねえか」
 誰かの重たいスーツケースをバタンと床へ転がすと、他の荷物を開梱しながら、ロブは少しずつ新生活の準備を始めた。
 それにしても一人で落ち着くと思い出すのは後輩、シュンのモテ具合だ。
 シュン自身は女性に対する積極性に著しく欠けている。過去に何か嫌なことでもあったのかもしれないが、女たちにとってはそれさえ魅力に見えてしまうらしい。
省25
40: フェニックステイル第34話投下終了 2021/05/23(日)19:02 ID:FZPzClP7(11/11) AAS
今回は以上です。
追ってハーメルンとpixivに挿絵付きの完全版を投稿しますので、よろしければそちらもご確認ください。
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