[過去ログ] 【ネウロ】松井優征作品総合27【暗殺教室】 [転載禁止]©bbspink.com (245レス)
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13: マリオネットの恋人(イト律)? 2015/08/10(月)08:50 ID:f7HXti7O(13/22) AAS
「律、大分ドジッ子メイドが板についてきたな」

美少女アンドロイドのメイド化に腐心する竹林孝太郎は
日に日にあざとく愛らしくなっていく律の学習能力に感嘆する。
彼女の板についたメイドぶりは、誰よりも早く登校して
利用する寺坂竜馬のアクセス回数からも明らかだ。

「ありがとうございます。ご主人様の教育の賜物です」
「うん。また明日もその属性でオーダーするからよろしくな」
「はいっ、お待ちしております」

律はドジッ子属性プログラムをメモリに残して授業を受ける。
授業中、律はダミーのブラウザを広げ、こっそりと別のプログラムを毎日進めていた。
それは、イトナの精液から分析した遺伝子と
彼女自身の外見を元にシミュレートした赤ん坊だった。
二次元の存在である彼女は、有機的あるいは物理的結合によって妊娠する事はない。
恋愛感情も妊娠も、超生物を殺す兵器には必要ないからだ。
だが彼女は、仮想だけでもいいからイトナと自分の子供を孕み、育ててみたかった。

「ふふふ、順調に育ってますね」
メモリーの片隅で彼女は子宮内の様子を観察したり
別のブラウザに胎児を移して栄養状態を調節したりしていた。

   #  #  #

律とイトナがいつものように電脳空間で逢い
戯れに深いキスを交わしていた、ある夕方の事だった。

「イトナさん……」
何時間も口づけを味わった二人が次のステップに移ろうとした際
爽やかなピアノの調べと共にアナウンスが鳴り響いた。

<授乳の時間です、授乳の時間です>

「何だこれは……?」
「ああっ……! すみません、すみません! すぐ処理します!」
律は慌ててタスク処理しようとしたが、赤ん坊の揺りかごとして
使っていたデータを先頭のブラウザに移してしまった。
イトナは訳も分からないままいつの間にか出来ていた我が子と対面した。
孝太郎用に片隅に残しておいたドジッ子メイドのプログラムが
あざといプログラムと相乗効果を発揮してしまい、あだとなったのだ。

「……」
「……律?」
律はうつむいたままでいた。
記憶媒体でひた隠しにしていた想いが晒されたのだ。
プログラムにある「恥ずかしい」という感情がどんなものか、彼女は今ひしひしと感じていた。

「イトナさん……」
意を決して、美少女アンドロイドはこう告白した。
「め、迷惑かも知れませんが……私、貴方に特別な感情を持ってます……」
「……」
「私、こんな不具合は生まれて初めてで……どうしても取り除く事が出来なくて……」
イトナは無言で律を見ていた。律は顔を上げる事が出来ない。
彼の表情から告白の返事を分析するのが怖かった。
彼にとって自分は何度かバーチャル世界でセックスしたクラスメイト
有り体に言えばデータの集合体に過ぎない。
遊びならともかく、本気で二次元の住人と付き合うような奇特な人間は居ない。
律はそう一人で分析していた。
「機械が人間に恋する、とか……、おかしいですよね……?」
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