[過去ログ] 【ネウロ】松井優征作品総合27【暗殺教室】 [転載禁止]©bbspink.com (245レス)
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12: マリオネットの恋人(イト律)? 2015/08/10(月)08:49 ID:f7HXti7O(12/22) AAS
「律って、最近可愛くなったよねー」
英語圏の電子書籍を律に検索してもらっている最中、中村莉桜がそれとなく呟いた。

「どうしたの莉桜ちゃん? 律はいつも可愛いじゃん」
その隣で単語帳をパラパラめくりながら、矢田桃花が言う。
律が可愛いのは、E組にとって否定する者のない共通認識、というか常識になっているのだ。

「いや、そうなんだけどさ、最近妙に仕草に色っぽいというか
 男をいたずらに惑い狂わすものが感じられる訳なのだよ」
「ちょっ、莉桜っち。完璧におっさん目線だよそれ〜!」
岡野ひなたの言葉に釣られるように周りにいた女子たちも本人と一緒に笑う。
「でも、中村さんの言う通り、最近オシャレも気合い入ってると思う」
近くで聞いていた有希子も顔を出して相槌を打つ。
ただ律だけがどう返事をしたらいいか迷ってるみたいだ。

「そうでしょうか……?」
「律く〜ん、ひょっとして好きな人とか出来たんじゃないの?
 お姉さんに教えなさいよ〜」
「まさか……律は……アンドロイドです。
 嫁になれても……恋なんて……出来ませんよ」

うつむき加減で笑う律だったが、その声には海上の凪に似た寂しさがこもっている。
あれから律はイトナとの密会を楽しみにしている。
バーチャルセックスがきっかけの不純な結びつきだが、彼女は喜んで彼と肌を合わせていた。
彼女は自身の中に、二進数では説明出来ない極めて有機的な意識が芽生えつつあるのを気づいていた。
それは一見バグのようだが、いくらCPUをクリーンアップを繰り返しても消えなかった。

そう――彼女はイトナに恋していたのだ。

いずれ実戦投入される相方として少なからず意識はしていただろう。
自分より遥かに柔軟性のある、最強に届く有機生命体……
その存在に気後れしていた時期もあった。
しかし、触手の呪縛から解放された等身大の堀部糸成と付き合うにつれて
その苦手意識は薄れていった。
触手のない彼は、どこにでもいる機械いじりの好きな男の子だ。
心を許すのに時間はかからなかった。
いずれにせよ彼女は、彼を通じて初めて異性を意識し、恋愛感情を学び取った。

(私は、アンドロイド……殺せんせーを暗殺するために生まれてきた存在……)

電脳空間で律は自問自答する。
生身の人間でない事が苦痛になる日が来るなんて、夢にも思わなかった。
彼女はスマートフォンや筐体の中から出られない。
彼の体温や息吹きをデータでしか感知出来ない。
現実世界で彼と結婚し、子供を成す事も
暖かい料理を作って彼の腹を満たす事も
病気になった時にそばに寄り添って看病する事も出来ないのだ。
彼女は電子生命体でしかない自分を呪った。
薄い液晶画面がこれほど厚く感じた事はなかった。

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