[過去ログ] 【第13号機】新世紀エヴァンゲリオン【第13使徒】 (821レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
755: One First Kiss 2021/06/05(土)01:46 ID:+4iSFOSl(1/9) AAS
投下開始します。
シンエヴァベース。LAS向け。
8レス程度。
756: One First Kiss 2021/06/05(土)01:47 ID:+4iSFOSl(2/9) AAS
「――よかった、また会えて。これだけは伝えておきたかったんだ……」
「ありがとう、僕を好きだと言ってくれて。僕もアスカのことが好きだったよ」
「さようならアスカ、ケンスケによろしく」

我ながら、淀みなく言えたと僕は思う。
最後の言葉は、ちょっと辛いものではあったけれど。
アスカは身をよじって、向こう側を向いてしまって表情は見えない。
アスカの背中を見つめる。
今となっては、懐かしい、と思える深紅のプラグスーツ。そのところどころの破れ目からアスカの白い肌が覗いている。
第13号機のエントリープラグの中で再構成されたはずのアスカの体は、少し背が伸び、ずいぶんとふっくらとしたようだった。
ニアサードインパクトから14年が過ぎている。14歳の時のアスカのスラッとした体も可愛かったが、この彼女の年相応の、大人になった姿はとても綺麗だと思う。
省12
757: One First Kiss 2021/06/05(土)01:49 ID:+4iSFOSl(3/9) AAS
「……ちょっと待って、シンジ?」
アスカがまた寝返りを打ってこちらを向く。
相変わらず大きな、蒼い瞳が僕を射抜く。
険しい顔。でもニアサードインパクト後に再会してからいつも向けられていた、あの刺々しい表情とは違う気がする。
何か、不安げな、探るような、そんな色が混じっている。
そんな詮索はアスカの言葉であっという間に遮られる。
「『好きだった』って言ったわね?」
「う、うん」
そうだよ。
(「シンジのことが好きだったと思う」)
省10
758: One First Kiss 2021/06/05(土)01:50 ID:+4iSFOSl(4/9) AAS
想定外の言葉が僕の決意を揺らがせる。
「じゃあ……、『今』はどうなのよ?」
身を起こしたアスカが僕の前に迫ってくる。
「……ええ!?『今』!?」
アスカの言葉というのは、いつも容赦なく僕の心に切り込んでくる。14年経っても。
『今』という言葉が僕の心を真っ白にする。
(『今』?、僕はアスカを……?)
いやいや、そんなことを考えている場合じゃない。
アスカとの別れを終わらせて、彼女を早く安全なところへ送り出して、僕がやらねばならない最後の決着をつけなければいけない。
だが、そのためにしっかり考えたはずの、アスカとの最後のやりとりのシナリオが破綻しかけているのを感じる。
省20
759: One First Kiss 2021/06/05(土)01:51 ID:+4iSFOSl(5/9) AAS
アスカは無表情に僕を見つめている。
『今』の僕の気持ちを言葉にしろと無言で言っている。
まるで僕が悪いことを隠しているとでもいう顔だ。
せっかく14年前の気持ちを確かめ合って、いい雰囲気でお別れできたはずなのに、どうしてこんな雰囲気になるんだろう。
でも、嘘はつけない。つきたくない。ここまで来たら。
「……そ、そりゃ、『今』だって好きだよ」
喉の底からやっと声を振り絞って言う。
でもこれが蚊の鳴くような声か、と自分でも思うほどに頼りない声しか出ない。
アスカが眉を寄せて冷たい声で言う。
「……もう一度言って」
省23
760: One First Kiss 2021/06/05(土)01:53 ID:+4iSFOSl(6/9) AAS
で、アスカはというと。
突然、横を向いてしまった。
「ど、どうしたの?」
慌てて声をかける。
「何か、僕、変なこと言った?」
「バカ、違うわよ……」
振り向いたアスカの顔は心なしか赤い。
アスカは、僕をまっすぐ見つめていう。
「ねえ、シンジ。キスしようか?」
「……な、何!?」
省22
761: One First Kiss 2021/06/05(土)01:54 ID:+4iSFOSl(7/9) AAS
14歳で時が止まっていた自分より、「大人になった」というアスカの方がこういうのはよく知っているはずなのに。
(『……せめて姫を助けろ』)
唐突にマリさんの言葉を思い出す。
(アスカ、緊張している?)
ふと思いついて、そろそろと右手をアスカの後頭部に伸ばし、そっと触れる。
そのまま、優しく手のひらで丸く円を描く。
僕の手の中でアスカの身体からフッと力が抜けたのが分かった。
迷いを吹っ切って、舌の先でアスカの唇の内側に触れていく。優しく、手をさしのべるように。初めて誰かの家を訪ねて、おずおずとノックするように。
「ん‥‥」
アスカが少し驚いたような声をあげる。
省25
762: One First Kiss 2021/06/05(土)01:55 ID:+4iSFOSl(8/9) AAS
不意にアスカが立ち上がる。
「アスカ?どうしたの?」
僕も何事かと、一緒に立ち上がる。
アスカは口をぎゅっと結んで僕を見つめる。
そして、僕の思ってもみなかった行動をとる。
一歩後ろに下がると、左手首のプラグスーツのコントローラを操作し始める。
カチャ、という機械音とともに、彼女のプラグスーツの布地のテンションが緩むのがわかる。
所々破けていたプラグスーツはほとんどボロ切れのように彼女の身体を纏うだけになる。
「ア、アスカ……何をしてるの?」
肩の肌も露わにし始めたアスカに、僕は慌てる。
省18
763: One First Kiss 2021/06/05(土)01:57 ID:+4iSFOSl(9/9) AAS
>>713です。
タイトルが「One First Kiss」でした。
シンエヴァ公開直後とはいえ、投下頻度はまだ低そうなので、とりあえず前半分投下します。
残りは2週間後くらいを目指してます。
半端な投下ですみませんが、後半はKissで終わりませんので、ご容赦!
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 1.846s*