[過去ログ] 実況パワフルプロ野球のSS Part14 (795レス)
1-

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
168: 2013/09/13(金)18:50 ID:Fmu30wJW(5/10) AAS
――
大学最後の年は、今ではあまり思い出したくないようなどん底の時期だった。因みに、大輔に振られたのもちょうどこの頃である。
女性選手でもプロで戦える事は、あおいさんやみずきが証明してくれた。だから自分も、きっちり実績を挙げれば、すんなりプロ入り出来るものと考えていたのに。
客観的に見て、リーグ歴代でも十分傑出した成績を残した私に突き付けられたのは、結局は女性であるという変えようの無い事実と、各球団の色の悪い反応であった。
よりにもよってそのタイミングで、日本代表選抜に選ばれてしまったとあって、当時は自分の運命を呪ったものである。あの時ほど野球をやっていて辛い時は無かった。
空虚な気持に更に追い打ちを掛けたのは、招聘された代表メンバーの、私に対するやんわりとした差別だ。勿論例外もあったが、ほんの極一部だった。
例えば、私がミスをしても、野次などは飛ばされない。女だからと見逃されて、特に指摘もされずにそのままにされてしまう。
そして、私が誰かのミスを指摘したとしても、表面上は了承されるのだが、女の言う事だから、とでも言うように真には受けて貰えない。
現役プロ選手も多く参加し、野球に対する意識も高い筈のこのチームでさえこれなのだ。プロの世界に入ればどうなるか、想像出来ないほど馬鹿ではなかった。
あぁ、何で私は、こんなに惨めな思いをしてまでグラウンドに立ち続けているのだろうか。いっそここから逃げてしまえば、随分と楽になるのではないか。
全体練習の後、私は独りでベンチに座って塞ぎ込んでいた。性差というどうしようもない壁が、幾度も味わって来た諦めと絶望が、また私の心を支配し始めていた。

遅れてチームに合流した進さんと出会ったのは、そんな時だった。

『こんにちわ!』
『……もう夜ですよ』
『あぁ、すいません。さっきこっちについたばかりで時差ボケが……えぇと、こんばんわ、初めまして。猪狩進です』
『知っていますよ。ご丁寧にどうも。私は……』
『六道聖さん、ですよね?』
『……よく御存知ですね』
『注目している選手は事前にチェックをするものです』
『私なんかを注目しても、何にもならないと思いますが』
『お節介ですけれど、過小評価はダメですよ。僕らはキャッチャーなんだから、選手の評価は冷静に客観的に行うべきです。それが自分だとしても、ね』
『……それには、確かに同意します』
『もしかして、何かお悩み事でも?』
『は?』
『随分元気が無いな、と思いまして。結構はっきり物を言う……男勝りなタイプの方だと聞いていたので』
『男勝り……ふっ』
1-
あと 627 レスあります
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.079s