[過去ログ] 愛するが故に無理やり…… Part9 (359レス)
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19: コッペリアに花束を 2013/06/04(火)00:46 ID:ZakXDM1E(3/8) AAS
「随分と会話に花が咲いていたようだな。」
「それは、もう。正妃様とお話するのは楽しい限りですわ。」
城の人間の目があるせいか、今日のネリーは“フローリスト家の令嬢”を演じている。
その姿を見るたび、彼女の名女優ぶりに感嘆し、可笑しくて内心笑った。普段の彼女は口調も砕けていて、もっと自由奔放だのに。
……演じているといえば、手馴れた様子で紅茶を注ぐこのシュロもかなりの演技力だ。その所作言動全てが“国王専属執事”だ。
あまりの自然さに、アスターも時々シュロという男がよくわからなくなってくるほどだ。
「そうそう聞いてくださいな、ローラント様。ミオソティス様ったら可愛らしいんですのよ。さっきからずっと」
「さ、サイネリア様!」
慌てるミオと、ちょろりと舌を出しておどけるネリーの姿は見ていて微笑ましい。
だがやはり、その仲睦まじさには少しばかり嫉妬してしまう。……ほんの、少しだけ。
「なんだ、我には言えぬ事か? ミオ」
「え、っと、それは…、その……!」
頬はすっかり紅潮しきり、俯く彼女を2人して笑う。笑い声を受けたせいか、若干涙目になっていた。
そんな和やかな空気の中に、割って入るように1人の衛兵がサイネリアの元へ駆け寄る。
「ご休息の折申し訳ありません。フローリスト卿がお呼びでございます」
「お父様が? …用件は、何と?」
「そこまでは仰せつかっておりません。至急卿の書斎へ参るようにとのことです。」
「そうですか。至急向かいます。お下がりなさい。」
定位置へ駆け戻る衛兵を尻目に、ネリーは深くため息をついた。
「あまり気乗りがしないのですが…至急といわれて行かない訳にもいきませんので、わたくしはこれで失礼させていただきます。」
一礼した後、立ち去っていく。立ち上がったときに、ミオに向かって軽くウインクしたのをアスターは見逃さなかった。
あのウインクの意味は一体なんなのだろう? ちらりとミオを見遣る。顔を赤くしたまま困ったような表情を浮かべていた。
それを見ていると、嗜虐心に火が点る。少し虐めてやろうか。立ち上がり、ミオの手をとる。
「ミオ、あちらの花も綺麗に咲いてるようだ。一緒に見に行こうか」
「え、ええ……」
彼女の手を引き、奥の垣根へと誘導する。ふと振り返った時、シュロが不愉快に笑んでいた。掌をひらひらと振り、どこかへと歩き去っていく。
…どうやら、奴にはお見通しらしい。
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