[過去ログ] 【朝ドラ】梅ちゃん先生でエロパロ (677レス)
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356: 2012/09/15(土)06:33 ID:Rb0pl9sL(1/16) AAS
連投申し訳ない
いまさら船を使っていたと解っても書き直しようがないのでいっそのこと賑やかし目的で落としてしまいます
書いてる途中で投下は無理と判断し好きに書いたのでエロパロというより単なるメロドラマ
ってかエロ要素皆無です ごめんよ…
357: 別れ1 2012/09/15(土)06:35 ID:Rb0pl9sL(2/16) AAS
「…眠れなかった…」
明け始めた窓を見つめながら、梅子が呟く。
今日は松岡が日本を経つ日だ。
『…見送りには来ないでくれ』
松岡に、電話で出発日を尋ねた時、そう釘をさされていた。
『心配しなくても、君はその日も診察だな』
『で、でも…』
本当は、医院を閉めてでも行こうかと思っていた。
『君は、立派な開業医になるんだ。
 こんなことで医院を休んでいい訳がない』
省2
358: 別れ2 2012/09/15(土)06:38 ID:Rb0pl9sL(3/16) AAS
「次の方、どうぞ〜」
カルテを書きながら、梅子が声をかける。
椅子にサッと腰掛けた女性に向き合って、梅子は驚く。
そこには、弥生が座っていた。
「…松岡さんが発つ日って、今日でしょ?」
仏頂面で梅子を見つめる弥生。
「わ、解ってるわ…」
「行かない気?」
「…松岡さんが、見送りには来るなって」
「後悔するわよ」
省12
359: 別れ3 2012/09/15(土)06:40 ID:Rb0pl9sL(4/16) AAS
弥生がバッグから財布を取り出す。
「早く!」
とんと財布を胸に押し付けられて、反射的にそれを受け取ると、
梅子は白衣のまま外に駆け出した。
梅子が出て行った診察室に一人残された弥生は、内の様子をうかがう相沢に向かって声をかける。
「…白衣、ありますか?」
「え?」
「下村医院を頼って来た患者さんを、放っておくわけにはいかないから…」
言い訳でもするかのように呟いた弥生を、相沢がジッと見つめ返す。
…さすがに人の医院で好き勝手し過ぎただろうか…、弥生の背中を冷たい汗がつたい落ちた時。
省25
360: 別れ4 2012/09/15(土)06:43 ID:Rb0pl9sL(5/16) AAS
「…どうして、こんな時に限って…!」
必死で空港の広い廊下を走りながら、梅子は呟く。
わずかな時間だが、空港に向かう電車が遅れた。
もしかしたら、もう間にあわないかもしれない。
息も絶え絶えに、カウンターまでたどり着き、女性に尋ねる。
「あ、あの…アメリカ行きの飛行機は…」
「アメリカの、どちらへ向けた飛行機でしょう?」
「え!?えっと…」
松岡との会話を懸命に思い出して、それらしい都市名を答える。
「それなら…、先ほど飛び立ったばかりですので、次は3時間後になります」
省9
361: 別れ5 2012/09/15(土)06:46 ID:Rb0pl9sL(6/16) AAS
「…はい、自分は医者ですので、ここは任せていただけたら。
 我侭を言い、申し訳ありません」
懐かしい声が遠くに聞こえる。
やがて、すぐそばに人の気配を感じたが、まぶたが重くて、どうしても目を開けることができない。
「白衣なんか着たままで…本当に、君って人は…」
そんな声と共に、布をバサバサと振る音や、それを畳むような人の動きを感じる。。
頭がうまく働かず、声の主が誰だが、わかりそうでわからない。なのに、その呆れたような声になぜか傷つく。
「君は、いつも無茶ばかりする人だった…普段はのんびりしてるのに、何かに一生懸命になると、その途端周りが見えなくなる」
低く響くその声がやけに懐かしく、梅子はその声をいつまでも聞いていたいと思う。
やがて、頭の上に手の重さを感じた。
省15
362: 別れ6 2012/09/15(土)06:51 ID:Rb0pl9sL(7/16) AAS
「ん…」
身を起こすと、そこは覚えのない場所だった。
身を横たえていたのは、簡易ベッド。他に置かれているものはほとんどなく、がらんとしている。
周りに人影もない。
ここは…?
その時、がちゃりとドアが開き、空港の制服を着た女性が入ってきた。
「あ、目が覚めましたか?少し遅かったですね、さっき飛び立ったところですよ…」
女性の言葉に、思わずはっとし、梅子はベッドを降りようとする。
「いけません!しばらく安静にしておくようにと、お知り合いの方にも強く言われています」
女性にすばやく体を押し留められる。
省25
363: 別れ7 2012/09/15(土)06:53 ID:Rb0pl9sL(8/16) AAS
AA省
364: 別れ8 2012/09/15(土)06:59 ID:Rb0pl9sL(9/16) AAS
梅子はもう一度若い自分の写る写真を見つめる。
付き合っている時はいつも、松岡より自分の方が松岡のことを考えているように思えた。
朴念仁な彼に、振り回されているとさえ思うこともあった。
松岡は、どんな思いでこの写真を眺めていたのだろう。
どんな思いで自分に…。
梅子は先ほどの唇の温もりを思い出す。
2人とも奥手すぎて、2人で居る時に、そんな雰囲気を味わったことはなかった。

今頃になって、自分が深く愛されていたのだと知る。
今頃になって、自分がどれほど大切なものを失ったのかが解る。
今頃になって……もう取り戻すことはできないのに。
省17
365: 別れ9 2012/09/15(土)07:03 ID:Rb0pl9sL(10/16) AAS
「…梅子さん。実は最近頭を悩ませていることがあるのです」
2人で論文を書くためにその日は遅くまで居残っていた。
集中力が切れ、少し休憩をとっていた時に、松岡が突然語り始めた。
「実は…今でもたまに恋愛映画を見に行くことがあるのですが…」
「そ、そうなんですか?」
松岡が一人恋愛映画を見る姿は、さぞかし映画館で目立つだろうが、
一度興味をもったことは、とことん追求する松岡らしい…とも、梅子は思う。
「一つ、解せないことがあるのです」
「どんなことです?」
「キスです」
省15
366: 別れ10 2012/09/15(土)07:05 ID:Rb0pl9sL(11/16) AAS
…相変わらず、だなぁ…。梅子はこっそりとため息をつく。
「やはり、人間における幼少期の…」
あくまで学問としてその問題を解決しようとする松岡の言葉を、梅子がさえぎる。
「松岡さんは、誰かにキスをしたいと思ったことがないんですか?」
「ありません」
松岡の答えは、迷いのないものだった。
「えっと…つまり、松岡さんって、今までにキスをしたことが…」
「ありません」
照れも見せず、堂々と胸を張りながら、松岡は答える。
「する目的がはっきりしない行為を、したいとは思えません」
省19
367: 別れ11 2012/09/15(土)07:07 ID:Rb0pl9sL(12/16) AAS
ずいぶん昔の、彼らしいエピソードを思い出して、さっきまで硬かった梅子の表情が、思わず緩む。
松岡は、出会った頃から落ち着いていて、ずいぶん大人に見えていたが、
『キスなどしない!』と言い切った松岡は、やはり今よりずっと若かったのだと思う。
「あのこと、まだ覚えてたんだ…。律儀に謝るなんて、ホント松岡さんらしい…」
知らないうちに、自分がクスクス笑っていることに気付いて、梅子はそんな自分自身に驚く。

……もう少し時間がたてば…こんな風に今日の日のことも笑い話として思い出せるだろうか…。
写真の自分をもう一度眺める。
この頃は、松岡と付き合うことになることなんて、想像もしていなかった。

まだ来ぬ未来のことなど、誰にも解らないものだ。
梅子は、レポート用紙の、整った四角い文字を見つめる。
省21
368: 別れ12 2012/09/15(土)07:09 ID:Rb0pl9sL(13/16) AAS
ようやく医院にたどり着いて、梅子が最初に目にしたのは、何やら医院の前にたむろする人影だった。
慌てて人垣を押しのけ、中をのぞくと…。
「風邪なんて、結局寝て治すしか、ないでしょうが!」
「…でも、のども痛いと言ってるし、鼻水も…。だから、できればそういう薬も…。」
「そんなの、風邪をひいたら当たり前に出る症状でしょ!
 どの症状もそれほど酷くはないし…何も薬を出さないわけにもいかないから、総合の風邪薬ぐらいは出してあげるわよ。
 後はおとなしく寝てなさい!…何か文句あるの?」
若い男性患者は弥生に間近でにらまれ、ブルブルと首を振る。
「はい、じゃ次の人!…あら、梅子?」
「もし症状がひどくなったら、すぐ来てくださいね…え、梅子さん??」
省6
369: 別れ13 2012/09/15(土)07:13 ID:Rb0pl9sL(14/16) AAS
「弥生さんも、山倉さんも、相沢さんも…留守にした医院を守ってくれて、本当にありがとう…」
涙腺の弱くなった梅子が瞳を潤ませながら、3人に深々と頭を下げる。
「…会えたのね?」
梅子の様子から察した弥生が、ストレートに尋ねてくる。
あれは、会えたと言うのだろうか…?梅子の心に疑問が湧く。
それでも、松岡の言葉も、手のぬくもりも、そして、彼の少し乾いた唇の感触まで、
自分はありありと思い出すことができる。

私は、ちゃんと松岡さんに会って、ちゃんとお別れをした。

梅子はじっと自分を見守っている弥生に、コクリと頷く。
そばで身を乗り出して梅子の答えを待っていた山倉が、その言葉を聞いて大げさに安堵のため息をついた。
省18
370: 別れ14 2012/09/15(土)07:17 ID:Rb0pl9sL(15/16) AAS
診察室内に静寂が戻ってくると、2人それぞれの優しさが、しみじみと梅子の胸に迫ってくる。
松岡がいなくなっても、こんなにも心配してくれる友達が、自分のそばにはいる。
ただただありがたいと、梅子は思う。
「…気が済んだのなら、診察に戻っていただきましょうか?」
感傷に浸る間もなく、相沢に声をかけられた。
「あ、はい!」
現実に引き戻された梅子は、自分の責任ない行動を思い出し、急に恥ずかしくなる。
「…今日は勝手なことをして、スミマセンでした」
恐縮しながら頭を下げると、
「生きていれば、色々なことがあって当たり前です」
省11
371
(2): 2012/09/15(土)07:23 ID:Rb0pl9sL(16/16) AAS
飛行機の飛ぶ間隔がわからずあの時代さすがに2時間おきにアメリカ行きが飛んではないだろう…と思い3時間とか適当に書いたが
なぜそんなに早くから松岡が空港に居たのか…等々は考えないように頼みます

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