[過去ログ] 【ドラマ】もう一度君にプロポーズ (553レス)
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41: 2012/07/07(土)01:06 ID:CZ7UOQL+(1/21) AAS
頂いたアドバイスを参考に、小分けにして少しずつ投下やってみます。

とりあえず冒頭を試して、いけそうなら続けてみます。
失敗したらすみません!
42
(3): はじまりの夜 1 2012/07/07(土)01:09 ID:CZ7UOQL+(2/21) AAS
教会でのプロポーズを受けた二日後、休みを取った可南子は波留の待つマンションへ戻る事になった。
そう・・・今日から二人で暮らすのだ。
波留は自分の休みが取れる日に合わせてゆっくりでいいと言ってくれたが、可南子は葬儀の後の諸々の処理や
仕事を休んでしまってその間に待たせていた作業に追われる彼を心配し、早く戻りたいと申し出たのだ。

「おじゃましまーす・・・じゃないか、ただいまぁ・・・」

合鍵でマンションに入りリビングを見渡すと、窓際に積まれたダンボールはキレイに片付けられていて
可南子の愛読書たちは所定の位置に戻されていた。
それだけで、なぜかほっとする自分がいる。
退院して初めてここに来たときは違和感しか感じなかったのに、今はなんとなく居心地よく感じるから不思議だ。
省12
43: はじまりの夜 2 2012/07/07(土)01:14 ID:CZ7UOQL+(3/21) AAS
(今日からここで、二人で寝るんだ・・・)

夫婦なんだからあたり前の事だけれど、その夫婦として・・・ってところにまだ全然慣れない自分がいる。
ここに戻ってくるってことは・・・そういうこともあるとちゃんと理解しているつもりだけれど・・・
やはり胸の高鳴りが抑えられない。

(大丈夫、波留さんとなら・・・)

日記の中の幸せな自分と、教会で抱き合った時、自然と嬉しいと思えた自分。
信じようと決めたから、ここにいるんだ・・・。
可南子は一つ大きく頷いて、作業を続けた。
掃除を終えて夕飯の支度をしていると携帯が鳴る。波留からだ。
省8
44: はじまりの夜 3 2012/07/07(土)01:18 ID:CZ7UOQL+(4/21) AAS
「ちょっと波留さん、なんで言ってくれないんですかー!」
「そうだぞー波留、水臭いなー」
「・・・は?」

事務所から大声の桂と、社長があとに続いて出てくる。

「は?じゃないですよ、今日可南子さん帰ってくるんじゃないですかー!」
「そうなの?って、桂お前なんで急にそんなこと言い出すんだよ」
「えー?いや今メール見たら裕樹さんからで、そう書いてあったから」
「裕樹ー!?あいつなんの用だよ、まさか・・・デートの誘いか?」
「そ、レストランの市場調査のお誘い。楽しいんだよねー、色んなお店にタダで行けてさ」
省8
45: はじまりの夜 4 2012/07/07(土)01:23 ID:CZ7UOQL+(5/21) AAS
「いやでも、みんな俺のカバーで残業続きだったていうのに・・・」
「何言ってんすか!私、残業でもなんでもいーっぱいして、早く一人前になりたいんです!だから任せて下さい!」
「残業!?じゃぁ、お前やつとなんとか調査には行かないんだな?よし、俺も働くぞー!」
「おいおい、お前達、張り切るのはいいが、半人前に払う残業代はないぞー」
「えーー!社長そんなケチケチしないで下さいよー!」

(・・・このやり取りは、俺が帰るまで延々終わらないんだよな・・・)
「すみません!じゃぁ・・・お言葉に甘えさせて頂きます!」

波留は温かな職場の仲間の思いやりに感謝した。
ロッカーで着替えを済ませ、逸る気持ちを抑えて愛車に跨り、可南子へ帰るコールをする。
省7
46: はじまりの夜 5 2012/07/07(土)01:26 ID:CZ7UOQL+(6/21) AAS
マンションに着いて階段を駆け上がり、いつもの癖で鍵を開けようとしてしまい苦笑する。
気を取り直し、呼吸を整えてからインターホンを鳴らした。
ドアのガラス越しに人の気配がして、扉が開く。

「おかえりなさい」

こぼれるような笑顔で出迎える可南子。

「ただいま・・・」

この3ヶ月あまり・・・あたり前のように感じていたこの小さな瞬間を、何度思い浮かべたことだろう。
波留は嬉しさのあまり、また可南子を抱きしめたい衝動にかられたが・・・
同居再開の初っ端から、そんなガツガツしたところは見せられないと思い自重した。
省4
47: はじまりの夜 6 2012/07/07(土)01:31 ID:CZ7UOQL+(7/21) AAS
「なんかいい匂いがするね」
「あ、料理の?」
「それもあるけど・・・」
「あ、花?・・・お義父さんに・・・丁度良かったです」

テーブルと、サイドボードの上の太助の写真の前に花が飾られている。

「ありがと。でもそうじゃなくて・・・」
「?」
「なんだろうな。可南子がいるって匂い・・・かな」
「・・・え?・・・私?」
省15
48: はじまりの夜 7 2012/07/07(土)01:36 ID:CZ7UOQL+(8/21) AAS
「あー・・・気持ちいい・・・」

湯船につかり、ため息をつく波留。
いつもは手早くシャワーを浴びるだけだったから、こんな風にゆっくり風呂に入るのも久しぶりだ。
家のそこかしこに可南子がいる幸せがあって、波留はじわじわとそれを実感していく。

実はいい歳をして、昨日の夜はなかなか寝付けなかった。
主のいないベッドの片側を見つめていたら、教会で久々に抱きしめた可南子の柔らかな体を思い出し・・・
そんなことを思いながら、一人欲を吐き出してしまった。
それが今夜のために良かったのか、悪かったのか・・・一人可南子を思うと、また男の欲求がもたげてくる。
妻でいることをOKしてくれたといっても、自分に対する可南子の態度はまだまだぎこちない。
省1
49: はじまりの夜 8 2012/07/07(土)01:40 ID:CZ7UOQL+(9/21) AAS
(この感じ・・・あの頃と似ているな・・・)

5年前・・・可南子の恋人になってからも、なかなかキス以上の関係には進めなかった。

可南子が今までの彼女と全くタイプが違っていたからだろうか。
30を過ぎた大人の女性であるのに、幼さと少女のような愛らしさを残す可南子に夢中になって・・・
たわいない冗談なら言えるのに、肝心な思いをいつも伝えられず、悶々とした日々があった。
やっと結ばれたのは、出会った年の11月の終わり・・・二人の誕生日に近い頃に行った旅行先でだった。
あの時の自分は、笑ってしまうくらい緊張して・・・余裕がなくて・・・
だから、あの日の可南子の日記のページは読んでいない。
今の可南子にとっての初めての自分は、少しは余裕のある男でありたい・・・
省6
50: はじまりの夜 9 2012/07/07(土)01:45 ID:CZ7UOQL+(10/21) AAS
テーブルに料理を並べていると、タオルで頭を拭きながら波留が戻ってきた。

「うまそー・・・」
「お待たせしました」
「そんなことないけど、見たら急に腹減ってきた。食おっか」

二人で「いただきます」と手を合わせる。
波留の実家で好評だった煮物を含めた、野菜たっぷりの和食。
この間の葬儀の後もそうだったけれど、波留は本当に美味しそうに食べてくれる。
そんな姿を見つめながら、自分が不在の間、偏った食生活を送っていたであろう波留を思い
可南子はまた申し訳ない気持ちになった。
省10
51: はじまりの夜 10 2012/07/07(土)01:49 ID:CZ7UOQL+(11/21) AAS
「わかりました。・・・ごめんなさい、食事中にこんな話」
「いいよ。これからはこんな風に、思ったことちゃんと言い合おうな」
「はい・・・あ、食べてください!」
「おう!」

自分の気持ちを気遣って、いつも明るく優しく接してくれる波留。

(ほんとうに優しい人だな・・・)

可南子の心は温かく癒されながらも、一方では切なくなっていった。

『あいつはさぁ・・・気を使われる苦しさっていうのかなぁ・・・そういうのをずーっと感じて生きてきたんだよ』
省9
52: はじまりの夜 11 2012/07/07(土)01:53 ID:CZ7UOQL+(12/21) AAS
食事が終わり、食器をシンクに運んでいると

「可南子はもういいから。風呂入ってきたら?あと俺、やっとく」
「え、いいですやります」
「掃除とか頑張って疲れただろ?こことかここも、ピカピカじゃん」

波留はシンクやレンジを指差しながら、可南子をキッチンから遠ざけようとする。

「でも・・」
「いいって。洗い物くらいはちゃんとできますから」
「そう・・ですか?じゃぁ、お願いします」

可南子は波留の言う通りにすることにした。
省8
53: はじまりの夜 12 2012/07/07(土)01:57 ID:CZ7UOQL+(13/21) AAS
「この間の教会の続き・・・いいかな」

少し照れたように笑いながら、可南子に指輪を手渡す。
可南子がそれに頷くと、波留は手を差し出した。
左手の薬指にゆっくりと指輪がはめられていく。
波留はそれを見つめながら、嬉しそうに何度も頷いている。

「指・・・長いですよね」

可南子もやっぱり照れくさそうに自分の左手を差し出し、波留の大きな手と比べる。
しばらくそうやって二つの結婚指輪を眺めていると・・・可南子の手を波留の両手が包み込んだ。

「あのさ・・・いや、やっぱりいいや」
省10
54: はじまりの夜 13 2012/07/07(土)02:01 ID:CZ7UOQL+(14/21) AAS
「・・・・・」

予想外の・・・いや予想していた展開とはいえ、波留の口から出たストレートな要求に、言葉が出ない可南子。
波留はそんな可南子を見て、やっぱり・・・といった困り顔だ。

「ほら、だからいいって。ごめんなさい、調子に乗りました!」

頭を下げ、気まずそうに謝る。

「・・・・・いい・・ですよ」
「・・・え?」
「お願いします・・・」
省10
55: はじまりの夜 14 2012/07/07(土)02:05 ID:CZ7UOQL+(15/21) AAS
「やっぱり・・・まだ・・・なんか照れますね」

取り繕うようにそう言うと、困惑していると受け取ったのか、波留が「ごめん」と小さく謝る。

「いえっ、嫌じゃないです、あの、髭が、ちょっと」

可南子はその言葉に焦ってぶんぶんと首を振り、さらに取り繕うように否定する。

「ああ、髭・・・気になる?」
「あ、ちょっと・・・あ、でも、すぐ慣れると思います」
省8
56: はじまりの夜 15 2012/07/07(土)02:15 ID:CZ7UOQL+(16/21) AAS
「・・・なんか、馬鹿にしてません?」
「してないよ」

膨れっ面の可南子を、波留が笑顔で見つめている。

「私、もう36なんです」
「知ってます」
「別に、このくらいなんでもありません」
「・・・そうなの?」
「そうで・・・んっ・・・・・」

言い終わらないうちに、また唇が塞がれた。
省18
57: はじまりの夜 16 2012/07/07(土)02:18 ID:CZ7UOQL+(17/21) AAS
「大丈夫だよ。今日はこれ以上は望みません」
「え・・・でも・・・」
「ん?」
「波留さ・・・波留は・・大丈夫なんですか?」

波留がまた目を丸くして笑った。

「大丈夫じゃないって言ったら?」
「私なら大丈夫です・・・36だし・・・あなたの妻、ですから」

そう・・・ちゃんと解っててここに来たのだから・・・
可南子は自分に言い聞かせるように言った。
省11
58: はじまりの夜 17 2012/07/07(土)02:22 ID:CZ7UOQL+(18/21) AAS
「ありがとうございます・・・でも、我慢、しないでください」
「え?」

まとまらないまま出てきた露骨な言葉は、可南子をまたさらに焦らせた。

「いえっ!えっと・・・私、何言って・・・」
「俺、そんなに我慢してるように見えるかな・・・」

波留は照れたような、困ったような顔をしている。

「・・・ごめんなさ・・・あっ」
省10
59: はじまりの夜 18 2012/07/07(土)02:26 ID:CZ7UOQL+(19/21) AAS
「っ・・・はぁ・・・ごめ」

急に唇が解放され、二人の荒い息遣いの中、波留の切ない声が響いた。

「さっきゆっくりって言っといて・・・止まらなくなりそうだ・・・」

可南子を強く抱きしめながら、頬を摺り寄せる波留。

「可南子が可愛くて・・・スピード違反してしまいそうです・・・」
省13
60: はじまりの夜 19 2012/07/07(土)02:30 ID:CZ7UOQL+(20/21) AAS
「スピード違反は駄目だよな・・・うん、すみません、ちゃんと安全運転に戻ります」

波留が体を離し、気まずそうな顔で苦笑いをしている。

「・・・戻らなくていいです・・・駄目じゃ・・ないです・・・」

考えるより先に、自然に言葉が出た。

「え?」
「・・・続けてください」
「いや、無理しなくていいから」
省4
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