[過去ログ] 【神坂一作品】スレイヤーズ他 第12話 (1002レス)
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137: 2012/06/27(水)15:42 ID:vCKZKRiW(1/9) AAS
これは王子様ではありません
『おうぢさま』です
エロ無しだが、おうぢさまと美少女という危険物なので避ける人は避けてね
138: 2012/06/27(水)15:43 ID:vCKZKRiW(2/9) AAS
美女と『おうぢさま』

セイルーン王国の首都、セイルーン・シティ。
白魔術都市または聖王都とも呼ばれるこの町の中心部にある大通りではいつものように様々な露店が軒を連ね、地元の人間や観光客で大いに賑わっていた。
その人混みの中を薄紫色の法衣と深緑のマントを身にまとった、毛先が膝裏にかかるくらいの長い黒髪が印象的な少女が呆然と立ち尽くしていた。
出るところは出て引っ込むところは引っ込むというメリハリの付いた理想的なスタイルと整った顔立ちに、通りを歩く男がチラチラと振り返っている。
その中には彼女連れの男も居たりして「他の女を見るな」と恋人を怒らせたりもしていたが、その原因たる少女は気付くことなく一点を見て固まっている。
彼女の名はシルフィール。シルフィール=ネルス=ラーダといって元々はサイラーグという町に住んでいたのだが、ある事件によって家族諸共町が消滅してしまい現在は此処セイルーンの親類の家で暮らしていた。

シルフィールがこの通りのど真ん中に立ち尽くしているのは何故か?
その訳は彼女の視線の先にこそあった。
省32
139: 2012/06/27(水)15:44 ID:vCKZKRiW(3/9) AAS
例えばこの場面。誰かの命を狙う者が居たらどういう具合に見えるだろうか?
人集りの中にいるターゲット。誰とでも握手をする警戒心のない相手。
近づいて斬りつける、攻撃魔法を準備しておいて至近距離で放つ。
暗殺者にとってこれほど容易に事が行える場面もない。
しかしある程度若しくは確実にターゲット自身の実力を知っていた場合はどうか?
察知されるか、あるいは自分より強いなら返り討ちにされる可能性を考慮するだろう。
プロの暗殺者なら尚のこと確実を喫して様子見に入るかもしれない。
だが、もし怨恨の場合は? 逆恨みの復讐を企てる者なら?
それでいて相手の実力を知っていて正攻法ではかなわないなら?
省20
140: 2012/06/27(水)15:45 ID:vCKZKRiW(4/9) AAS
突然身体を拘束されたシルフィールは首に突きつけられたナイフに悲鳴を上げるも、すぐに冷静さを取り戻す。

(ど、どうすれば…)

しかし彼女の場合如何に冷静さを取り戻そうと訓練された兵士や傭兵、自身の知り合いのリナのように戦闘に特化した技術を持ち合わせていないため、こういう状況下では何もできないでいた。
彼女自身は神官という身でありながらドラグ・スレイブ【竜破斬】という強力すぎるほど強力な呪文を始めとする幾つかの攻撃用の黒魔法や精霊魔法を扱えはするのだが、その呪文を唱える隙がなくお手上げ状態だ。
そうこうしている内に彼女に気付いたフィリオネルが叫ぶ。

「シ、シルフィール殿!」
「おっと、動くんじゃねぇぜフィリオネル殿下」
「む、むううッ」
省31
141: 2012/06/27(水)15:47 ID:vCKZKRiW(5/9) AAS
「フィリオネル…殿下……」

自身の民草に対する真摯な想いを口にするフィリオネルに、シルフィールは胸が熱くなった。
彼は紛うことなき王子なのだ。
このセイルーンの全てを、老若男女問わず愛する王子。
白馬に乗った若くて見目麗しい王子ではないが、その心は想像できないほどの麗しさと高潔さをたたえている。
おそらく世界中の為政者の中でも彼ほどはっきりと民こそ国の宝と言い、行動する者は居ないだろう。
その言葉に心打たれたのは何も彼女だけではない。
周りにいる町の人たちも同じだった。
同時にそれは男に対する非難の目、攻撃的な目へと変化していく。
省20
142: 2012/06/27(水)15:48 ID:vCKZKRiW(6/9) AAS
「ああ、あの、殿…下…?」

解放されたと思えば今度は大きな身体に受け止められたシルフィールは、少々パニックになりながらも自分を受け止め守るように抱きしめる人物フィリオネルに声をかけた。

「おおっ、無事であったかシルフィール殿」
「は、はい……なんとか…」
「しかし首筋を刃物で切られておったであろう?」

先ほど男に切られた首筋には切り傷がついていた。
省19
143: 2012/06/27(水)15:50 ID:vCKZKRiW(7/9) AAS
「殿下、聞き及んでおります。昼に大通りでお命を狙われたと」
「うむ、それについてだが……」

帰るなり出迎えてくれたシルフィールの叔父グレイは既に何があったか知っていたようなので、話は早いとフィリオネルは深々と頭を下げて言った。

「すまんグレイ! シルフィール殿を傷つけてしまったのだ!」
「や、やめてください殿下っ、」
「そ、そうです、シルフィールもこうして無事なのですから顔をお上げになってください、」

突然の謝罪に慌てて止めるシルフィールとグレイ。
だが彼はそれでも顔を上げない。
省11
144: 2012/06/27(水)15:51 ID:vCKZKRiW(8/9) AAS
***

数日後、セイルーンの大通りを歩く一組の男女の姿があった。
一人は薄紫色の法衣と深緑のマントを身にまとった、膝裏くらいまで届く長い黒髪が印象的な少女。
もう一方は暑っくるしーくらいの大柄で、ドワーフをそのまま大きくしたようながっちりとした体格。ヒゲ面で四十は越えているだろうおっちゃんだ。

「しかしこのような願いというか、手伝いで本当によいのか?」

おっちゃんは荷物を持っている。そんなに大きくもなければ重くもない荷物だ。
その荷物はおっちゃんの物ではなく少女の物。

「はい、これでいいんです」
省10
145
(1): 2012/06/27(水)15:54 ID:vCKZKRiW(9/9) AAS
アニメのEやRのアイキャッチ、最終回等でフィルさんとシルフィールが一緒にいるところから思いついた
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