[過去ログ] 【神坂一作品】スレイヤーズ他 第12話 (1002レス)
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296: お使い?(ゼルアメ)? 2012/10/13(土)14:47 ID:BXZzTDoT(1/6) AAS
※エロまで行けなかった。

−−−−お使い?−−−−

「今日はここで宿を取るか」

 リナのお使いの旅2日目の夕方に辿り着いたのは小さな村だった。
 辺りから漂う夕食の支度の匂いが空腹を刺激する。
 昨日は通り雨にあい、あまり行程が進まなかった為仕方なく野宿だったので
宿のふかふかの布団を想像しただけでアメリアの足は軽やかになる。

「宿はどこでしょう…あ、あそこに看板が出てますね。わたし行ってきます!」
省23
297: お使い?(ゼルアメ)? 2012/10/13(土)14:47 ID:BXZzTDoT(2/6) AAS
 それだけならば、女性同士、はたまたそういう関係の男女、と思われても仕方があるまい。
大抵宿屋の主人というのは、相手が言わなければそう解釈するものだ。
 4人で旅をしてそれなりに長いとは言え、元々旅慣れしているリナが大体宿などはいつも決めていたのだ。
慣れていないアメリアに任せてしまったゼルガディスの落ち度とも言える。

「俺はここで寝よう。先に風呂でも行って来い」

 そう言い、長椅子に腰掛け外套を外すゼルガディス。

「えっ、だ、ダメです、ゼルガディスさんがベッドで寝てください!」
「お前は俺が、女に椅子で寝れと言うような男に見えるわけか?」
「そ、そういうわけじゃないですけど…」

 困ったように俯くアメリアを見て、ふと意地悪をしたい心が疼く。
省21
298: お使い?(ゼルアメ)? 2012/10/13(土)14:48 ID:BXZzTDoT(3/6) AAS
「遅くなりましたー…」

 そっとドアを開け部屋に入ると、小さな明かりの傍らでまたゼルガディスが長椅子に座ったまま目を閉じていた。

「ゼルガディスさん?」

 声をかけるが、反応はない。

――寝ちゃってる、のかな?
省26
299: お使い?(ゼルアメ)? 2012/10/13(土)14:49 ID:BXZzTDoT(4/6) AAS
「き、きききのっおっおきっ…」
「勝手に寝てると勘違いしたのはお前だろう」
「だ、だって、黙ってて、静かであの、その」
「ほう。セイルーン王家の人間は、相手が黙ってて静かで寝てると思ったら寝込みを襲っても良いのか」
「そっそんなの、正義じゃ、ないですぅ…」

 混乱した頭で自分に何が起きているのか必死に考えるアメリア。
しかし、目の前にいるゼルガディスはいつものどこか遠くを見ている瞳とは違う熱っぽいそれで
自分をしっかりと見詰めていて、その熱さが自分に向けられている、と思うだけで顔に血が上り
益々何も考えられなくなる。
 アメリアにとっては、この状況そのものが既に十分すぎるお仕置きだ。
省28
300: お使い?(ゼルアメ)? 2012/10/13(土)14:49 ID:BXZzTDoT(5/6) AAS
 素直に頷くアメリアを見、どこか諦めたような、もしくは観念したのか、という表情を浮かべるゼルガディス。

「じゃあ、俺がこれからする事の理由もお前は分からない」
「え……ん、んっ?」

 不意にゼルガディスの唇がアメリアのそれを覆った。

「ん…んーーーーー!!!!」

 予想外すぎるその行動にアメリアはばたばたと腕を動かすが、腕の拘束が解けたのもそのはず。
ゼルガディスの腕はアメリアの体をしっかりと抱き締め、更に動けなくなっていた。
省23
301: お使い?(ゼルアメ)? 2012/10/13(土)14:50 ID:BXZzTDoT(6/6) AAS
 ドクン、と頭の奥で心臓の音が跳ねる。

「ずっと……俺も、お前と同じように思っていたからだ」
「ゼルガディス、さん…?」
「だがその俺の枷を取っ払ったのは…分かるだろう?」

 ぎゅっと、アメリアを支えている腕に力が入る。
 お互い同じ気持ちで居たのか。ずっと。
 自分が悩んでいた事と同じ事を、相手も悩んでいた。
 そう思った時、アメリアの心の枷も、ふっと消えてしまった。

「…ごめんなさい、わたし…っ」
「謝るな」
省9
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