[過去ログ] 怪盗が捕まってあんな事こんな事・・・第5夜 (766レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) 自ID レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
320
(1): 2010/03/24(水)20:57 ID:WnFH+6GS(1/10) AAS
>>190さん貴女はネタ元(てんし)だ

お漏らし要素があるので注意です。
321: 満月の夜に     1/9 2010/03/24(水)20:58 ID:WnFH+6GS(2/10) AAS
震えている。
真夜中、地上80mになるビルの屋上で柚希(ゆずき)は悟った。
吹きつける風が怖い、深海のような遥か下のネオンが怖い。
それもあるが、彼女を真に震えさせる理由は他にあった。

彼女はこれから、街の都市伝説である『怪盗クレール・デルヌ』に成り代わり、
資産家のオフィスに忍び入るのだ。



「う、……ッく!!」

それは今日の朝。
省24
322: 満月の夜に     2/9 2010/03/24(水)20:59 ID:WnFH+6GS(3/10) AAS
春菜がクレール・デルヌである事を、柚希は知っていた。
というよりむしろ、この柚希こそが春菜を『クレール・デルヌたりえさせて』いるのだ。

父が謀殺され、母が心労に倒れた後、2人の姉妹は街への復讐を決意した。
その実動役となったのが春菜だ。
19歳の柚希にとって、3つ下の春菜は頼りがいのある妹だった。
何につけても要領がよく、常に冷静。詐欺師とでも互角以上に渡り合える狡猾さを備えている。
加えるなら、運動神経も何らかの道でメダルを目指せるほどだ。

その春菜に実動を任せる一方、柚希はサポートに回った。
科学者である父に憧れていた柚希は、父の書物を読み漁り、幼少期の大半を研究室で過ごした。
省15
323: 満月の夜に     3/9 2010/03/24(水)21:00 ID:WnFH+6GS(4/10) AAS


柚希は黒いショートヘアを靡かせ、80mの高みから対象のビルを窺う。
真夜中に関わらずほとんどの部屋に電気が点いていた。
襲われる事を想定するなら、電気を消して中で待ち伏せするべきではないか…?
『同士討チヲ避ケルタメデショウ。
 軍隊デモナイ用心棒連中ニ、大シタ連携ガ取レルトモ思エマセン』
ヌイグルミが分析する。
柚希は自分が作ったAIながらに感心した。
確か春菜は“グルミー”と呼んでいた筈だ。妹のいない今、このグルミーだけが頼りだ。
省26
324: 満月の夜に     4/9 2010/03/24(水)21:01 ID:WnFH+6GS(5/10) AAS
「何の音だ!」
廊下から騒ぎがする。
その声を聞いたとき、柚希はすでに行動に出ていた。
狙うのは時価3億の宝石「ルミナス」。その位置は把握している。9階の金庫だ。
階段の位置、警備を置きやすい位置、全て見取り図から把握済みだった。
その記憶を元に行動を起こす。
「いたぞ、追い込め!!」
ガラの悪そうな男達に廊下で挟まれる。
しかし、柚希は余裕の表情でカプセルを投げた。
省29
325: 満月の夜に     5/9 2010/03/24(水)21:01 ID:WnFH+6GS(6/10) AAS
柚希は赤・青・黄と様々な色の煙を撒き散らしながらビルを駆けた。
虚実合わせたガスの効果により、ビルの連絡網はもはや阿鼻叫喚となっている。
そんな中、柚希は着実に目標へと近づきつつあった。
9階。目的の階だ。
階段から上がると囲まれるため、柚希は一旦ビルの外壁に取り付き、再度窓を破って侵入した。
あらぬ方からの侵入で慌てふためく声が聞こえる。
柚希はそれを聞きながら進み、十字型の通路に出ると、
「うりゃっ!!」
グルミーを遠くへ放り投げた。
省16
326: 満月の夜に     6/9 2010/03/24(水)21:02 ID:WnFH+6GS(7/10) AAS
十字路の先には赤外線センサーが張り巡らされていた。
それを潜り抜けると、とうとう目的と思しき部屋が視界に入る。
「よぉし、最後ね!!」
柚希はグルミーにスプレー缶を埋め込み、部屋の中へ投げ込んだ。
「ブボッ」
グルミーが悲鳴を上げて床に転がる、と同時に煙を撒き散らす。
たちまち部屋が白く染まった。
「うわっ!な、何…げほ、ごほっ!!!」
「げほ、さ、催涙弾だ!ちくしょう、目が!ごほ、げほっ!!!」
省38
327: 満月の夜に     7/9 2010/03/24(水)21:03 ID:WnFH+6GS(8/10) AAS
「くっ……!」
柚希は下半身を強烈に揺さぶられながら、必死に手首の解錠を試みる。
しかし集中できない。
ピッキングに集中するには手首の穴に向かって前屈みになる必要があるが、
そうしてしまうと振動する台に陰核を擦りつける形となってしまう。
タイツ越しの振動は強烈で、5秒も陰核を揺さぶられるとたまらない。
「っくああぁ!!!」
たまらず腰を跳ね上げてしまう。そうなればピッキングは一からやり直しだ。
台の表面はつるりとしているため、足で踏ん張ろうにも力の入れどころが無い。
省27
328: 満月の夜に     8/9 2010/03/24(水)21:04 ID:WnFH+6GS(9/10) AAS
(ば、馬鹿、馬鹿!何してるのよっ!!)
3度も達した自己嫌悪から、柚希は手首を拘束する壁へ頭を叩き付けた。
「ぐっ!」
頭蓋の砕けそうな痛みが頭を跳ねる。だが少し冷静になれた。
今すべきことは何か? ――手首のロックを解除することだ。
柚希は震える手でツールを鍵穴に差し込んだ。
そう、手が震えている。手も、肩も。元凶は肺だ。
肺がまるで長距離走をしたようにびくついていて、呼吸がおかしい。
ガスマスクをしているせいで息が籠もって気持ちが悪い。息苦しくて吐き気がする。
省20
329: 満月の夜に     9/9 2010/03/24(水)21:05 ID:WnFH+6GS(10/10) AAS
(あ……いけない。落としちゃった)
柚希はぼんやりした顔で穴の下方をまさぐった。
結局またいっちゃった、無理はダメかな。彼女はそんな事を考えていたに違いない。
が、穴の中を2度ほど撫でた後、急にその動作が忙しなくなった。
目を見開いている。
(う、うそ、何で!?)
ツールが見つからない。ただ取り落としただけであるのに。
救いを求めて彷徨う指は、ついにある答えに辿り着く。
穴の奥、ダイヤルの手前に隙間が開いていた。アクセサリが悠に入りそうなほどの。
省29
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.194s*