[過去ログ] とある魔術の禁書目録 8フラグ目 (1001レス)
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992: 『風の行方』 ◆UHJMqshYx2 2008/05/17(土)00:09 ID:HMOBz0y7(1/3) AAS
 上条当麻がその少女に気付かないのは、ある意味、才能なのかもしれない。
 何度も呼びかけられて、それでも今日も上条は何事もなかったかのように通り過ぎていった。
「あ、アンタの脳には私を無視するチップか何かでも組み込まれてんのかっ!!」
 少女の口から出た大声に、通り過ぎていった少年ではなく無関係な通行人が幾人もビクッ、と肩
を震わせて振り向いたが、少女からすればそんなことは些末に過ぎるというものだ。
「待ちなさいっていってるでしょ!」
 大声を上げつつ、少女が駆け寄る。そこまでやって、ようやく上条が振り返った。
「あ? なに? あー……、なんだお前かビリビ――」
 予定調和すぎる反応に、その少女――御坂美琴がさらに怒りの声を上げようとした、そのとき。

 ビルの隙間をかいくぐり、そのスピードを劇的に上げた一陣の突風が吹き抜けて。
 美琴と対峙する上条が、その顔を赤くしつつ、気まずそうな表情で言った。

「あー、悪い。ビリビ、いや、御坂じゃなくって、御坂妹か。ゴーグル、着けてないんだな。ネックレス
も着けてなかったから判らなかったよ。あれ、やっぱり気に入らなかったのか?」
「は?」
 上条の言葉に、美琴も訳が判らなくなった。
 が、しかし、この男はどうも自分と『妹達』とを取り違えているらしい。しかも、自分のことは常時ス
ルー体勢万全なのに、いつかのあの日、自分のクローンにネックレスをプレゼントしたことはしっか
りと憶えているのだ。
 糸の切れそうな張りつめた音が頭の中から聞こえて、まだ切れるな! と美琴は衝動を必死で押
さえ込む。
「……アンタねえ、そうやって私のこと無視すんのもいい加減にしなさいよ。スルーしまくったあげく
に人を間違うなんて、私じゃなくっても怒ると思うけど?」
 口を付いて飛び出しそうな怒りに耐え、出来うる限りの穏当な言葉を上条に返した。表情が引き
つっているような、そんな気もするが、しかしこれでも精一杯だ。
 しかし、一瞬考え込むような顔をした上条はそれでも考えを改めなかったらしい。

「いやな、御坂妹さん? あの機械的な感じもどうかとは思うけど、口調まであの姉の真似すること
はないと思うぞ? 常盤台のお嬢様とはとても思えないような感じだしな、御坂は。それだったら普
段通りにした方がカミジョーさんとしては良いと思うんですが?」
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