[過去ログ] 処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第22話 (167レス)
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59: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)14:23 ID:yMEEbPYT0(1/16) AAS
久々にSSを投稿させていただきます。
14レス分を予定しております。どうぞよろしくお願いします。
60: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)14:33 ID:yMEEbPYT0(2/16) AAS
「それでは、本日はこれでお開きにしましょう」
「はい、ありがとうございました!」
 僕はいつものように雪ちゃんにつかまって華道部へ連行され、部員たちに華道を教えることになった。
雪ちゃんとも勝負をすることになったけど、まあ結果はいつもの通り。
 それはさておき、僕が雅楽乃、雪ちゃんの2人と一緒に片づけを済ませ、帰ろうとした、その時……。
「あの、お姉さま……!」
「雅楽乃、どうかしたの?」
 ふと雅楽乃が思い切ったように声をかけてきた。
「あの……もしよろしければ、お夕飯は私たちとご一緒いただけませんか?」
「うたちゃん!?」
省12
61: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)14:41 ID:yMEEbPYT0(3/16) AAS
「それでしたら、お2人とも寮までご一緒しませんか?」
「寮まで?」
「ええ。今日は寮母さんもお休みですから、私が夕食を作ることになっているんです」
「お姉さまが?」
「ええ。雅楽乃にいずれ手料理をご馳走すると約束しましたから、そのよい機会だと思いまして……」
 僕がそう提案すると、雅楽乃はぱあっと顔を明るく輝かせた。
「本当ですか!?」
「……って、千早お姉さま、お料理できるんですか?」
「ええ。香織理お姉さまに聞いた話ですと、寮の方は全員千早お姉さまのお料理の大ファンということです!」
 その後も雅楽乃は自分のことのように自慢げに僕の料理のことを雪ちゃんに聞かせる。
省9
62: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)14:50 ID:yMEEbPYT0(4/16) AAS
「それで、2人も連れてきたってこと?」
「ええ。以前からの約束ですから。初音さんにはちゃんと連絡は入れてあります」
 寮に戻ると、玄関にいた香織理さんが僕と一緒にいる雅楽乃と雪ちゃんに気づき、何かあったのか聞いてきた。
「そうだったんだ! まあ、絶対食べて損はしないよ! 千早の料理の腕は由佳里さんに負けず劣らずだし、
あたしも千早の作るデザートとかすっごい楽しみにしてるしね!」
「えっ!? あの由佳里お姉さまに!?」
 薫子さんが言うと、雪ちゃんが驚きの表情で言う。由佳里って、確か初音さんの寮と生徒会での“お姉さま”だった……。
 史に聞いてみると、その人の料理はプロ顔負けの腕前で、同年代の人で彼女と同じレベルの人は僕以外に知らないという。
「1学年上にそのような方がいらっしゃったとは……これはプレッシャーですね」
 まあ、少なくとも薫子さんをはじめ寮の2、3年のメンバーはその由佳里さんって人の料理を食べたことがあるみたいだし、
省4
63: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)14:59 ID:yMEEbPYT0(5/16) AAS
 ちなみに今日作ったのは羊肉に大豆やグリーンピース、トマトなどの野菜を入れたシェパーズパイ、
ハギスを羊の内臓、牛肉、野菜で作ったものの3種、うなぎのゼリー寄せ、イングリッシュマフィン、デザートにトライフル。
あと優雨にも食べられるようにと、雅楽乃が好きだからという理由でポトフも作ったけど。
 これは準備段階から100%僕の手作りで、物によっては数日前からすでに下準備を始めている。
「まあ、これをすべて千早お姉さまが!?」
「ええ。実はそろそろ雅楽乃との約束を守ろうと思っていたところですから。これ幸いですけど」
「なんか、都合がよすぎると思いますけど……」
 まあ、雪ちゃんの疑念も無理はない。僕もまるっきり運で、ってわけじゃないんだから。
「実は、ケイリに占ってもらったんです。近いうちに私が雅楽乃に手料理をふるまうことになるって」
「まあまあ、そんなこといいからさあ、早く食べようよ!」
省10
64: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:07 ID:yMEEbPYT0(6/16) AAS
「まあまあみんな、確かにこのままではせっかく千早ちゃんが作ってくれたお料理が冷めてしまいますから、早くいただいてしまいましょう?」
 パチパチパチパチ!
 初音さんの言葉に、薫子さんと陽向ちゃんから拍手喝采があがった。
「でも、普段から淑女としての自覚を持った行動をするべきだとは思いますよ?」
「「うぐっ……!」」

「主よ、今から我々がこの糧をいただくことに感謝させたまえ。アーメン」
「アーメン」
 史がみんなに料理を切り分けると、いつものように夕食が始まった。
「じゃ、いただきまーす!」
「いただきます」
省10
65: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:15 ID:yMEEbPYT0(7/16) AAS
「ま、薫子に続いて千早教信者第2号だもの。そりゃそうなるのも無理はないけどね」
「ですから香織理さん、人をカルトなインチキ宗教の教祖みたいに言わないでください!」
 とまあ色々言い合っていたけど、しばらくして雪ちゃんがきっかけを作るべく食べることにしたようだ。
「まずは私が食べてみるから……うわ、これホントに美味しい!」
 その雪ちゃんが食べたことで、雅楽乃は意を決して料理を口に運んだ。
「んっ……!」
 ごくん。
「ふぁあああああああっ!」
「ちょ、ちょっとうたちゃん!」
 雪ちゃんが見ると、雅楽乃は頬を赤く染めてうっとりした表情をしていた。
省8
66: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:22 ID:yMEEbPYT0(8/16) AAS
「だけで、なんでうたちゃんがこんな風になるのよ!」
 いや、それはむしろこっちが聞きたいぐらいで……。
「おおっ! ただ千早お姉さまがお作りになった夕食をいただくだけですのに、この桃色オーラ全開の展開!
まさに魔王ルシファーも頬を染めて全力で逃げ出して小惑星に激突して爆発させるような雰囲気です!」
「あのね陽向、そのわけのわからない表現はおやめなさい」
 香織理さんのツッコミももっともかもしれないけど、僕には陽向ちゃんの表現よりこの展開の方がわけがわからない。
僕の作った料理を食べてるだけなのに、どうしてこうなるの?
「んっ……くっ……ああああああああっ……!!」
 そしてしばらく食べ続けた後、雅楽乃はそう叫んだかと思うと、ぐったりしてしまった。
「はあっ……はあっ……はあっ……はあっ……」
省11
67: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:29 ID:yMEEbPYT0(9/16) AAS
「じゃあ皆さん、雅楽乃はどうやら風邪か何かをこじらせてるようですから、部屋に運んで看病しますね」
 僕は早口でそう言うと、雅楽乃を抱きかかえてダッシュで自分の部屋へと逃げ去った。

「ふう……」
 僕は雅楽乃を自分のベッドに寝かせると、ため息をついた。なんでこんなことになったんだろう……。
「あ……あん……千早お姉さま……」
 雅楽乃は艶めかしい声で寝言を言っている。いったいどんな夢を見ているんだ?
「千早お姉さま!」
 そう思っていると、部屋の扉をドンドンと叩く音が聞こえてきた。
「雪ちゃん? どうぞ。開いてるわよ」
 僕がそう返事すると同時に雪ちゃんがドアを開けて入ってきた。見ると予想通り険しい顔をしている。
省7
68: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:36 ID:yMEEbPYT0(10/16) AAS
「雪ちゃんは、ミステリー小説も結構読むのよね?」
「な、なんですか突然……もちろん読みますよ」
「じゃあ冷静に考えてみて。料理を作ったのは全員分をまとめてだし、取り分けたのは史だった、そうよね?」
「え、ええまあ……」
 僕が確認すると雪ちゃんは少し弱い口調で同意した。
「その時史に何か雅楽乃に薬の入ったものをつかませるような動作をしていたかしら?」
「そ、それは……してなかったと思います」
「となると、残るは雅楽乃のお皿に薬を塗るくらいだけど、そのお皿も最初から並べられていて、座る場所は決まっていなかった
……そうよね?」
「そ、そうです……」
省13
69: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:43 ID:yMEEbPYT0(11/16) AAS
 翌日、聖應女学院、修身室……。
「そういうわけで、雪ちゃんが気を失った雅楽乃を介抱してくれたのです」
 千早は雅楽乃に気を失った後のことについて説明していた。
「まあ、そうだったのですか。ありがとうございます、雪ちゃん」
「いや、別にお礼を言われるほどのことでもないから……」
 雅楽乃が雪ちゃんに感謝の気持ちを述べる。僕もそれを微笑ましく思える。
「けれど雪ちゃんの計算高さには本当に感心してしまいます」
「へっ……!?」
 そう思っていた直後のその雅楽乃の言葉に、僕も雪ちゃんも唖然となった。
「だって、せっかくお姉さまと甘い甘い一時を過ごせる千載一遇の機会でしたのに……」
省10
70: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:50 ID:yMEEbPYT0(12/16) AAS
「まあ、千早お姉さまのお料理の腕が琥珀の君に並ぶものとは聞いておりましたが……」
「まさか御前でさえもそこまで陶酔させてしまうような魔法の料理を作れてしまうなんて……」
「いや、うたちゃんだから……と言った方が正しいと思いますけど……」
 雪ちゃんが僕にひそひそ声で言う。僕も納得だ。
「うらやましいーっ!」
 な、なんか嫌な予感がするのは気のせいだといいけど……。
「そういえば確か、明日お姉さまのクラスは調理実習ではありませんでしたか?」
「ええ、そうですけど……」
「もしよろしければ、私にもお姉さまの手料理のおこぼれをいただけませんか?」
 お、おこぼれって……。
省5
71: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)15:57 ID:yMEEbPYT0(13/16) AAS
 そして、翌日の調理実習……。
「もーっ! こんなの全然チンプンカンプンだよ!!」
「薫子さん、テンパっていても事態は何も好転しませんよ。とりあえず落ち着いてください。私が教えますから」
 僕はうまく料理が作れなくてパニクっている薫子さんを落ち着かせ、手を取ってここはこうする、と手を動かして教えた。
「あ、う、うん……」
 そうすると薫子さんは何に戸惑ったのか、恥ずかしくなったのか顔を赤らめておとなしく僕の言うとおり料理を作っていく。
「さあ、次は薫子さん1人でやってみてください」
「ちょ、ちょっと千早! 出来たんだしもういいじゃない!」
 そして薫子さんの料理を作り終わったところでそう言うと、予想通り薫子さんは反論してきた。でも……。
「ダメです」
省8
72: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)16:04 ID:yMEEbPYT0(14/16) AAS
「……別にほしいなんて言ってないから」
「あら、立派な淑女になるための特訓を願い出てきたのは薫子さんですよ? お料理の立派な淑女になるための一環ですから」
 僕は笑顔で薫子さんの反論を封じていった。それをしばらく続けていると……。
「うう……千早の意地悪……」
 とうとう薫子さんが目と同じ幅の涙を流し始めた。
「でも、そのおかげでここまで上達したではありませんか。ほぼ初心者でここまでできれば大したものですよ」
「どうせあたしは初心者ですよー。千早とはちがいますよーだ」
 薫子さんは完全に拗ねてしまっている。褒めてるんだけどね。
「あのね薫子さん。誰だって最初は初心者ですよ。私が料理を始めたころに比べればずっと上手ですから」
 それからしばらく僕は励ましたけど、落ち込んだままだ。
省10
73: 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)16:11 ID:yMEEbPYT0(15/16) AAS
「あら、薫子は千早のこと褒めてるんだから、素直に喜んでおきなさいよ」
 そう言っていると、いつの間にか香織理さんと史が調理室に来ていた。
「香織理さん……私の性別のこと忘れてませんか?」
「あら、性別はどうあれ褒めてることには変わりないじゃない」
 ジト目の僕の反論にも、香織理さんは澄ました顔のまま返してきた。
「あのね……もし香織理さんが“男の中の男”なんて称号をもらったらどうですか?」
 僕がさらにジト目で言うと、香織理さんは途端に笑顔になった。
「もちろん、全力で辞退させていただくわね」
「うぼぁーっ……!」
 ガーン!!
省7
74
(1): 東の扉 ◆FVKSJZ0PUs 2014/07/30(水)16:19 ID:yMEEbPYT0(16/16) AAS
とりあえず、これで一区切りです。残りは現在執筆中です。
完全に過疎化してしまった中、ご覧下さる方がどれだけいらっしゃるかわかりませんが……。
それでは、今回はこれで。お目汚し失礼いたしました。
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