銀魂の桂をチョメチョメするスレ54

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988: 埋め代わりに小ネタ [sage] 2010/06/19(土) 22:42:42 ID:???

維新後ヅラたんﾊｱﾊｱ

桂さんの髪に触れた瞬間、美容師が動揺したのがその背中越しにも見て取れた｡
今宵のレセプションに備えトップクラスの美容師を呼んだのだが、その経験豊富な彼をして驚きせしめる髪の持ち主なのだ、桂さんは。

維新を迎え、我が国はようやく地球人の手に返された。
桂さんはそうと言われることを好まないが、我々桂一派はその第一の功労者とされている。
独立後、桂さんは銀河系各国との交渉の場には必ずといってよいほど出席を求められていた。
それほど、各国の要人に桂さんの人気は、高い。
齢三十にしてますます涼やかな色気を醸し出す容姿の持ち主が、一度は国に裏切られながらも絶望せずおのが信念を貫き、
とうとう無血革命を成し遂げた不屈の精神をその器に秘めているということに類い希なる｢ドラマ性｣を感じるのだと、彼らは言う。

普段は彼らの様式に合わせその身をかっちりとした洋服に包む桂さんだが
今宵は先方の強い要望もあって、全てが我が国の流儀にのっとって行われる。桂さんの装いも勿論その一つだ。
桂さんは質素倹約を好むが、同時に相手への敬意を表するのに相応の装いをする重要性も十分に解している。

美容師は慎重に毛先を整え、洗い、仕上げに椿油をつげ櫛で馴染ませた。
普段から不思議と桂さんの髪はしっとりと艶やかだが、少し手を入れるだけでその美しさはいや増す。
着物くらいはさすがに自分で着ると譲らなかったので桂さん自身の手に任せた。
京の老舗に用意させた夏の装いをその手が取る。そんな動作すらいちいち洗練されていて、隙がない。
黒に近い濃色の袴は、桂さんのしなやかな細さを強調するのに一役買った。
最後に夏らしく涼しげな金紗の羽織を纏うと、私も含めその場にいた者全てが息を飲んだ。
下の地が微妙に透ける紗の羽織は、粋でありながらどことなく幻想的で桂さんによく似合う。
維新の折、一度はばっさりと切ってしまった黒髪もようやく肩を過ぎるまでになった。
その黒髪を美容師が着物に合わせた色合いの組み紐でそっと結わえた。

＊

｢さぁ、行こうか｣
支度を終えた桂さんがこちらを見て短く告げる。
この美しい人の傍に仕えることができるという無上の喜びを噛みしめながら、私は足を踏み出した。

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