[過去ログ] 【アカギ】南郷さん萌えスレ3 (990レス)
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(5): [―{}@{}@{}-] 欠片 2008/09/26(金)13:43 ID:??? AAS
26日、東西戦のメンツが集まるよりかなり早い時刻に、天はひろゆきに付き合わされ、
赤木の眠る墓地へとやってきた。毎年のことだ。
几帳面なひろゆきは、皆が揃う前に、供え物で溢れかえった墓前を整理する。「命日」に
供えられたものだ。持ち出し禁止のはずの賭場のチップや、パチンコの玉など、ひろゆき
は店を調べていちいち送り返す。最初は面倒だと渋る天だったが、栄養ドリンクや気に入
った銘柄があれば煙草も失敬する。預かれる余禄が大きいので、今では文句も言わない。
世間と、天たちの知る「命日」にはズレがある。
葬儀の告知が出たのが葬儀の数日前の新聞。表向き、「赤木の死」は少なくともそれ以前に
しなければならない。誰もが知っている、いわゆる「公式」の赤木の命日は26日よりずっ
と前なのだ。
墓石は大幅に削られている。「命日」を過ぎるといつもこうだ。名を彫りつけた部分を残し、
裏側まで削られ、厚みがなくなっている。博徒たちの験担ぎだ。赤木の慕われようを目の当た
りにし、天たちは毎年「しょうがねぇなぁ」と思いながら、墓の前を片付ける。
そして毎年、天たちより先に、80年配の、だが元気そうな老人が墓前にたたずんでいる。
すっかり白髪になり、老眼鏡をかけ、老いてなお昔は立派であったろう体躯をうかがわせた。
線香の煙が細く立ち昇り、老人は人の好さそうな顔をほころばせ、親しく墓に話しかけている。
「『暑さ寒さも彼岸まで』ってな。涼しくなってからで助かるよ…。おかげでお前の墓に参れる
 からな…。岩手まで葬式に行けなくてごめんな……。あの頃は身体、悪くしちまってな…。
 今でも申し訳なく思ってる……」
言葉の端々にのぞく偽りのない情に、天は胸にしみるものを感じた。例年通りなら、いつもこ
のまま遠くから見守り、去るのを待つのだ。
だが、ひろゆきは反対に表情を険しくした。危険を感じたからだ。26日は秘密なのだ。なのに、
この老人は毎年必ず26日に参っている。あの夜集まった天たち以外で赤木の死の真相を知って
いるのは、セッティングをした黒服2名と、死亡診断書を書いた医者のみだ。だがこの3名に関
しては、信用の置ける人物で絶対に秘密が漏れる心配はない、と金光は請け合った。
ならばなぜ、毎年決まって「今日」、赤木の本当の命日に墓に参るのか。どこからか情報が漏
れたのか。放っておいては深刻な事態を招きかねない。ひろゆきにとって、この秘密は聖域に
等しかった。
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