紀州【中上健次】熊野 2 (443レス)
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123
(1): 2022/07/03(日)12:00 ID:lVBcmGG6(1/9) AAS
>>109

その阪大準教授の論文の内容はすでに援用した。

「地域開発の記録文学/思想文学 : 中上健次『地の果
て 至上の時』をめぐるメモランダム」
渡邊英理

≫マルクス主義は中上文学とは無関係

あいにく渡邊英理さんの考え方は、
ネオマルクス主義的である。
124: 2022/07/03(日)12:05 ID:lVBcmGG6(2/9) AAS
[路地が解体された後の世界の「職なしゲットー」や、そこで生み出される「廃棄可能な人間たち」。その萌
芽は、すでにして『地の果て』における路地跡の「空地」/「原っぱ」に住まうヨシ兄ら、野宿状態の労働
者たちに萌されている。かつて、中上は、「何度も小説にしたこの路地がたえず新しい読み終る事のない本と
してある」と言った。たえず新しい読み終わる事のない路地には、かつてあったことだけでなく、読者の「い
ま・ここ」に起こっていること、すなわち、それが書かれた時点では未来に属する出来事までも、書き込ま
れている。そのような本として路地を、路地の小説を、いま、この時代に再読することができる。路地なき
後の世界をも、中上の路地は、小説という形をもって、つかみとっていたのである。 ]
(渡邊英理 上記の論文の結びの文)
126
(1): 2022/07/03(日)15:23 ID:lVBcmGG6(3/9) AAS
「本書は、路地を舞台とする中上健次の小説群、路地小説をめぐって書かれている。路地とは、(再)開発を表象する空間であるが、同時に、(再)開発に抗する文学的かつ理論的な構え、思想的なビジョンである。ビジョンとしての路地の核心は、その「仮設」性に見出すことができる。[…]脱中心的で偶発性に開かれ、その未決の複数性と多義性ゆえに群れとして形象化されうる路地の「仮設」性は、[…](再)開発に対する抵抗性において、国家と資本に益する「生産性」へと還元されることを拒み、[…]それとは異なる社会のあり方を探求する構えでもある。したがって、中上の路地とは、国家に抗い資本に抗う、脱国家的かつ脱資本的な志向性をもつ社会として構想されていたと言えるだろう。」
(渡邊英理)

ようするに、中上文学における「路地」は、リゾーム的なものだということになる。
127: 2022/07/03(日)15:25 ID:lVBcmGG6(4/9) AAS
>>10
129: 2022/07/03(日)16:41 ID:lVBcmGG6(5/9) AAS
物理学者が物理をやる時に、いちいちニュートンだとかアインシュタインを引用する必要を感じるでしょうか? 彼らはそれを利用するが、自分がどれだけ師の意見に忠実かを示す証しとして引用符や脚注や賛辞を使う必要なんてない。他の物理学者たちだって、アインシュタインが何をやり、何を発見し、何を証明したかぐらいは心得ているから、読んでいきながらなるほどと思うだけです。今の時代に歴史をやるには、直接的であれ間接的であれマルクス思想につながる概念を全く使わないでやるとか、彼が説明を与え定義づけた視野に立たずしてやるなんてことは不可能です。つきつめれば、歴史家であることとマルクス主義者であることの間にどんな違いがあるのかとさえ思えるほどです。(中略)
 で、議論もマルクスによって定義され体系化されたその全体的視野の内部で初めて始まるわけです。その相手というのが、実際にはマルクス理論ではないのに、ただ共産主義理論のルールを操るという理由でマルクス主義者を自認してはばからない連中です。まあルールと言ったって共産党が決めたもので、党からマルクス主義者だと公認されるためのマルクス利用マニュアルのようなもんですがね。

 (ミシェル・フーコー「監獄についての対談−−本とその方法」ちくま学芸文庫、フーコー思考集成IV所収)
130
(1): 2022/07/03(日)16:41 ID:lVBcmGG6(6/9) AAS
ジル・ドゥルーズ「思い出すこと」
(聞き手:ディディエ・エリボン、鈴木秀亘訳、『批評空間』誌第II期第9号、太田出版)、p.11-12

〈マルクス〉

マルクスを読んだのはニーチェと同じ時期でした。素晴らしいと思いました。彼の生み出した
さまざまなコンセプトは、私にとって今でも役立つものです。そこにはひとつの批判、根本的な
批判が存在しています。『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』はマルクスに、マルクス主義に 完全に貫かれた作品です。現在私は、自分を完全にマルクス主義者だと考えています。
例えば、「管理社会」について書いた記事は(月刊ロートル・ジュールナル1号 1990年5月号に
掲載、ミニュイ社刊『記号と事件』に収録、邦訳河出書房新社)、マルクスが彼の時代には知り
えなかったことを語っているにもかかわらず、完璧にマルクス主義的なテクストです。
省4
132: 2022/07/03(日)17:25 ID:lVBcmGG6(7/9) AAS
131さんは、中上文学を論じたもので、マルクス主義とかかわりのないものを
一部でいいから引用して貼ればいいんですよ。
非常に少ないとは思うけれど、全然ないというものでもないでしょう。
134: 2022/07/03(日)18:32 ID:lVBcmGG6(8/9) AAS
そもそも、日本のネオマルクシストの「第一人者」だとされることの多い柄谷行人と若いころからの親友で、
お互いに影響し合っている間柄なのに、
その中上健次が思想的にマルクスと無関係なわけがないだろう。
135: 2022/07/03(日)18:34 ID:lVBcmGG6(9/9) AAS
現代思想の先駆者の「三巨人」マルクス、フロイト、ニーチェ、
とうぜん中上健次は、これらから多大な影響を受けているわけですよ。
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