[過去ログ] 【まどか☆マギカ】杏子×さやかスレ34【杏さや杏】©2ch.net (177レス)
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(1): 紡がれる幸せ1 2017/05/14(日)00:55 ID:6R9e2QYr0(1/10) AAS
 恐れていたことが起こった。
彼女が、ではない。
これはむしろ、あってはならないことだ。
起こす必要のないことが起こり。
ひとりは訝り、ひとりは怯え、ひとりは惑い、ひとりは怒る。
「…………どういうこと?」
たった今、された質問の意味がさやかには分からなかった。
分かるハズがない。
知っていて当然の――あるいは知らないハズの――ことを問われたからだ。
「え…………?」
省34
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(1): 紡がれる幸せ2 2017/05/14(日)00:58 ID:6R9e2QYr0(2/10) AAS
 
 

 なかば勢いに任せて飛び出したさやかだが、当てがあるワケではない。
そもそも状況を正しく理解していないから、その解決方法も糸口すらも見当がつかないのだ。
(お母さんは……杏子を忘れたってこと……?)
歩きながら、少なすぎる手がかりを元に考える。
それはあり得ない。
杏子は今や美樹家のもうひとりの娘として、両親も当然のように接している。
しかも昨日は父の日のパーティーまで催してるのだ。
久しく音信の遠のいていた友人が相手ならともなく、たかだか数時間のうちに記憶から消え去るなど考えられない。
省31
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(1): 紡がれる幸せ3 2017/05/14(日)01:02 ID:6R9e2QYr0(3/10) AAS





美樹さやかは走るのが得意だ。
なにかと張り合いたがる癖があって、体育の時間でもつい競走してしまう。
走りだけでなく、体を動かすことは総じて得意だ。
特に水泳にかけては今でも水泳部から誘いがくるほどに長じている。
だから間に合う、という驕りがなかったと言えばウソになる。
省49
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(1): 紡がれる幸せ4 2017/05/14(日)01:06 ID:6R9e2QYr0(4/10) AAS
「ねえ、お母さん。その話、ちゃんとするから今は……後でいい……?」
そう言いながら彼女はもう背を向けていた。
「杏子を連れ戻しに行くんでしょう?」
「うん……あいつ、飛び出していっちゃったし……」
「私の所為よ。警察を呼ぶなんて言ってしまったから――」
彼女は正当な理由なく住居に侵入された際の模範的な反応をしたらしい。
「仕方ないよ。それじゃ行ってく――」
「さやか!」
「な、なに……?」
テストで初めて0点をとった時、母は今のように怒鳴った。
省42
58: 2017/05/14(日)21:51 ID:6R9e2QYr0(5/10) AAS
規制にかかってますがその理由が分かりません
続きは書き込めるようになってから……
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(1): 2017/05/14(日)21:52 ID:6R9e2QYr0(6/10) AAS
「だけど……そんなバカなことをバカ正直にやって、こんな厄介者を受け容れてくれるお人好しがいる――」
杏子は小さく息を吐いた。
「――嬉しかった。誰かが作ってくれるご飯ってこんなに美味かったんだなって。
何も気にせずベッドで眠れるのがこんなに心地良いものなんだなって……忘れてた気持ちを思い出せたんだ。
ヘンな話だよな。大して生きてもいねえのに遠い昔みたいに懐かしく感じるってさ」
残念だがさやかにはこの感覚は理解できない。
実際に彼女と同じ境遇に追い込まれなければ永遠に共有できない想いだ。
「それが今日の話とどう繋がるの? あんたが感じてた、恐いっていうのは――」
共感できない悔しさをごまかすように彼女は問う。
「家が貧しくなって食べるものにも困ってた時にさ……あたし、店からリンゴを盗んだことがあるんだ。
省40
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(1): 紡がれる幸せ6 2017/05/14(日)21:56 ID:6R9e2QYr0(7/10) AAS
”いなくなってしまえばいい”と杏子は言うつもりだった。
だがその言葉を発する前に拳が頬を打ち、彼女は倒れ伏した。
その際、思った以上の衝撃が拳から手首にかけて走ったが、さやかは気にしないことにした。
「まどかや仁美だったら平手打ちで済ませてたけど、あんたならこれくらい何ともないだろ?」
仁王立ちするさやかは無表情――実際には烈しい怒りを纏っているが表に出ていないだけ――で杏子を見下ろした。
「………………」
何が起こったのかも理解できないまま、彼女はよろよろと立ち上がる。
口の横を切ったらしくわずかに出血していた。
「言っとくけど、その傷は治さないからね。あんたが勝手に転んで怪我したと思ってるから」
人を殴ると、思いのほか拳が痛む。
省30
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(1): 紡がれる幸せ7 2017/05/14(日)22:03 ID:6R9e2QYr0(8/10) AAS
ここにキュゥべえがいたら彼女よりも万倍の難解さでもって、万倍の説得力ある論を展開しただろう。
これはいわゆる錯視と同じだ。
”そう見える絵”は描けても、”そう見える目”に作り変えることはできない。
「もしあんたが魔法をかけてあたしがそれにかかってたとしたら……こんな話はしないわよね?
逃げ出したあんたを追いかけることさえさせなかったハズだよ。逃げる姿を見せなければいいんだから」
全て杏子の仕組んだことなら辻褄が合わない、と彼女は言う。
何もしなくても上手く行っていたものを、わざわざ壊してしまったのだと彼女は批判する。
「あたしたちは血は繋がってない。でもそれだけが家族じゃないでしょ? もし血の繋がりだけで決めるなら……。
本当の家族は親子だけってことになっちゃうじゃん。夫婦だって姉妹だって血は繋がってないけど家族だろ?」
「………………」
省32
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(1): 紡がれる幸せ8 2017/05/14(日)22:09 ID:6R9e2QYr0(9/10) AAS
「あ、あたしのことはいいってば」
「だからこそ、ある時から疑問を抱いたの。さやかを見れば分かるけど、私の育て方とは違う、って。
それなのに私の中では杏子を産んで育てたことになってるの。記憶がこんがらがるってこんな感じなのね」
「………………」
「でもね、現実にないものはどう頑張っても作れないの。たとえ魔法の力であっても、ね」
母はちらりと杏子を見る。
彼女はばつ悪そうに俯いた。
「杏子はモモちゃんの世話をよくしていた面倒見の良い娘だわ。とても立派なお姉さんよ。
そう、お姉さんとして。杏子、あなた……妹の面倒は見ていたけれど子育てをしたことはないでしょう?」
「子育て…………?」
省38
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(1): 紡がれる幸せ9 2017/05/14(日)22:17 ID:6R9e2QYr0(10/10) AAS
つまりスタンドミラーに施した魔法はあくまで追い風としての効果しか発揮しなかったということだ。
純粋で疑うことを知らない者にかけた催眠をより強固にする一方、一度でも疑念を抱いた相手には逆にその疑念をより強く抱かせる。
そうなれば術者の与り知らぬところで鏡は正反対の方向に力を発揮し結果、母は自力で眩惑の霧を抜け出したのだ。
魔法というよりも魔術ね、と母は言ってから、
「でももうその力は必要ないわね。杏子――」
彼女を真っ直ぐに見据えた。
それから深呼吸をひとつする。
「ちょっと痛いけど我慢しなさい」
何が――と問う前に平手打ちが飛んだ。
「お、お母さん!? なんで……!」
省20
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