[過去ログ] 【K.HORNEY】カレン・ホーナイの神経症理論 第2章 (662レス)
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1: パンドラクイーン 2013/11/09(土)23:37 ID:1yoF4cVH(1/2) AAS
ドイツのハンブルク近郊で生まれたカレン・ホーナイ(1885〜1952)は、精神分析医としての
豊富な臨床経験をもとに研究を重ね、非常に優れた画期的な精神病理、神経症理論を完成させました。
「基本的な不安」を抱いた神経症者が、不安から逃れるために身に付けた「自己理想化」のための
「誇りの体系」「べき」などによる「栄光の追求」は、「真の自己」を縮小させる「自己疎外」を
引き起こし、「自己嫌悪、自己軽蔑」などの精神障害を引き起こすことを構造的に明らかにしました。
また、ホーナイ自身の健全な人間性に対する信頼をもった、健康的な人間観、人間性が、
理論や主張に妥当な中庸性や暖かみを加えているのではないでしょうか?
晩年近くになってから著述、出版された「Neurosis and Human Growth」は、彼女の著作中で圧倒的に
優れて重要なもので、独自の概念を包内した理論体系は、可憐ともいえる完成度に達しています。
現代においてもメンタルヘルス改良のために必読の一冊でしょう。
643: ◆9JwNW1WNKc 2015/07/31(金)06:36 ID:cvHxeuuU(4/9) AAS
/// 精神分析療法の道 59 ///////////
こうしたすべての作業が進行していけば、患者はなかでもいちばん広範囲な葛藤――すなわち、
誇りの体系と真の自己との問の葛藤、理想化した自己を完全なものにしたいという欲動と自分が
人間としてもっている可能性を坤ばしたいという欲望との間の葛藤――に直接に取り組んでいける
ようになる。葛藤と闘うための戦力の配置がしだいに整い、中心的な内的葛藤に焦点が絞られる。
患者自身はこの葛藤を見失いがちなので、それから焦点がずれないよう気を配るのが、続く期間の
分析家の第一の仕事になる。この戦力の配置と共に、精神分析のなかで非常に有益であるが、
また動揺の激しい一時期が始まる。動揺の程度と継続期間は様々である。動揺は心中の闘いの
激しさを直接的に表わし、その強さは現在かかわっている問題のもつ基本的な重要性に比例して
省5
644: ◆9JwNW1WNKc 2015/07/31(金)20:23 ID:cvHxeuuU(5/9) AAS
/// 精神分析療法の道 60 ///////////
この時期の特徴は、しばしば速い速度で、起伏が次々に起こる点である。患者は時として
前向きに進み、それが様々な仕方で現われる。彼は以前より生き生きした感情をもち、自発的で
率直にもなれる。また、建設的なことをしようと考えたり、他人に対していっそう親しみや
同情を感じる。自分の自己疎外のいろいろな面にも気がつき、自分からすすんでそれを理解
しようとする。例えば、自分がある場面の「なかに」解け込んでいない時や、自分のなかの
何かを直視する代わりに他人を責めている時、すぐそのことに気づくことができる。自分は
これまで自分自身のためにしてきたことはほとんど何もないのだということにも気づき、また、
嘘をついたり残酷に振舞った過去の出来事を思い出し、暗い気持で後悔するが、心を打ちひしぐ
省3
645: ◆9JwNW1WNKc 2015/07/31(金)20:38 ID:cvHxeuuU(6/9) AAS
/// 精神分析療法の道 61 ///////////
このように自分を現実的に評価するようになったことは夢にも現われるであろう。ある夢で、
患者は山小屋という象徴の形をとっていた。その山小屋は長い間住む人がなく荒れ果てていたが、
立派な材料で作られていた。もう一つの夢は、自分が責任を引き受けることを逃れようとするが、
ついにそのことを率直に認めるというものだった。夢のなかの患者は若い青年であり、ふざけて、
ある男の子をスーツーケースに閉じ込めた。彼にはその子を傷つけるつもりも、その子に対する
何らの敵意もなかったのだが、閉じ込めたことをうっかり忘れてしまった。そのため、子どもは
死んだ。彼は心ならずも逃走しようとするが、その時一人の警官が彼に話しかけ、人間味のある
やり方で明白な事実とその結果がどうなるかを示してくれたのである。
省1
646: ◆9JwNW1WNKc 2015/07/31(金)21:20 ID:cvHxeuuU(7/9) AAS
/// 精神分析療法の道 62 ///////////
以上のような建設期に続いて反動が生じる。反動の中心をなす要素は、自己嫌悪と自己軽蔑の
新たな攻撃である。こうした自己破壊的な感情は、そのままの形で経験されることも、報復的に
なること、つまり、虐待されたように感じたり、サディズム的な幻想やマゾヒズム的な幻想を
もつことによって、外在化されることもある。あるいは、患者は、自己嫌悪については漠然としか
認めなくても、自己破壊的衝動に対する不安は鋭く感じるでかろう。また、最後には、その不安
すら不安の形をとって現われず、不安に対して彼が習慣的にとっている、飲酒、性行為、仲間を
求める強迫的欲求、大言壮語、傲慢さ、のような防衛行動が再び活発になってくる。
こうした混乱はすべて、快方へ向かう真の変化に続いて起こるものであるが、この混乱を
省3
647: ◆9JwNW1WNKc 2015/07/31(金)22:55 ID:cvHxeuuU(8/9) AAS
/// 精神分析療法の道 63 ///////////
患者は自分の進歩を過大に評価することもある。彼は、言わば「ローマは一日にして成らず」
ということを忘れ、私が冗談に「健康のどんちゃん騒ぎ」と呼ぶことを続ける。以前にはできな
かった多くのこともできるようになるので、自分は理想的な適応、理想的な健康の見本であるはず
だと思い――空想のなかでは現にそうなっている。彼は、一方では、いっそう自分らしくなろう
としながら、他方では、自分が快方に向かったこの最後の機会を逸せず、完璧な健康に光り輝く
理想的な自己を実現しようとする。この目標はなおも、一時的ではあるが、彼の方向を狂わせる
ほどの強い魅力をもっている。彼のやや元気な状態は、まだ障害が残っているにもかかわらず、
しばらくの間続くので、彼はもう悩みをすべて克服したという確信をいっそう強める。ところが、
省5
648: ◆9JwNW1WNKc 2015/07/31(金)23:04 ID:cvHxeuuU(9/9) AAS
/// 精神分析療法の道 64 ///////////
他の患者たちは、自分が進歩したと自分自身や分析家に認めるについては、冷静かつ慎重な
ようである。彼らはむしろ、しばしば非常に巧妙な仕方で、自分の進歩を過小評価しようとする。
それでも、彼らが自分の内部の問題や手にあまるような事態に出合うと、以前に述べたと同様な
「反動」が始まる。ここでも最初のグループの場合と同じ過程が働いているのであるが、空想に
よる美化はない。両グループの人は共に、まだ障害や限界をもった自分、並みの才能しかもたない
自分を受け入れる心の準備ができていないのである。この受け入れにくい気持は外在化される
こともある(私は自分を受け入れたいのだが、私が完璧でないと、人が私を嫌うのです、私が
最高に寛大で生産的でなければ、人に好かれないのです、など)。
省1
649: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)06:25 ID:fcXiw5Ac(1/14) AAS
/// 精神分析療法の道 65 ///////////
これまでのところでは、患者がまだ対処できない障害のあることが、心の傷を深める要因に
なっていた。ところが、最後に挙げたような反動を促進している要因は、障害が克服されていない
ことではなく、逆に、建設的な方向へ進もうとするはっきりした動きがあることなのである。
それは必ずしも華々しい行為になるとは限らず、患者が自分を哀れに思い、自分は特に素晴らしく
も軽蔑すべきものでもなく、現にあるがままの、闘い、悩むことの多い人間である、と感じるだけ
のこともある。「この自己嫌悪は誇りがつくり出したものである」とか、自尊心をもつためには、
必ずしも類稀な英雄や天才である必要はないのだとかいうことが、しだいに彼に分ってきたので
ある。同じような態度の変化は夢でも起こる。ある患者は夢で、サラブレッドの競争馬が今では
省6
650: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)07:29 ID:fcXiw5Ac(2/14) AAS
/// 精神分析療法の道 66 ///////////
こうした反動は、患者が自分のためによく考えて何かを決断し、建設的なことをした後で起こる
ことか多い。ある患者は、今やっている仕事の方が重要だと考えたので、自分の時間をさいて
欲しいという依頼を断わることができたが、彼にとってそれは一歩前進を意味するものだった。
もう一人の女性の患者が愛を終わりにすることができたのは、自分たちの愛情関係が主に自分や
恋人の内部に働いている神経症的欲求に基づいていたこと、その関係は自分にとってもう意味が
なくなり、将来の見込みもないことをはっきり認めたからである。彼女はこの決断を、できるだけ
相手を傷つけないようにしながら、敢然と実行に移した。この二つの例で、患者は最初のうちは、
自分がその事態を処理できることに気をよくしていたが、そのすぐ後で恐慌状態に陥った。つまり、
省4
651: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)07:47 ID:fcXiw5Ac(3/14) AAS
/// 精神分析療法の道 67 ///////////
最後に挙げる例は、ここで述べた他の場合より一歩先に進んでいるため、なおいっそう治療を
必要とするものである。その患者はかなり年上の兄と二人で父親から受け継いだ事業を経営し、
成功していた。兄は有能、公正、支配的な人で、典型的な尊大報復型の傾向を強くもっていた。
私の患者はいつも兄の陰に立ち、彼を恐れ、盲目的に崇拝し、自分でも気づかないうちに、兄を
なだめようとして自分を曲げていた。精神分折中に彼の葛藤の反対の側面が表面に出てきた。
彼は兄を批判し、競争心をあからさまに出し、時には挑戦的にもなった。兄も同じ態度でそれに
応じた。一つの反応が次の反応を強め、二人はまもなく口もきかない仲になった。社内の雰囲気は
険悪になり、社員は二人のどちらかについた。
省1
652: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)09:45 ID:fcXiw5Ac(4/14) AAS
/// 精神分析療法の道 68 ///////////
患者は最初のうちは、兄に対してとうとう自分を「主張」できたことを喜んでいたが、
しだいに、自分が報復的に兄を現在の地位から引きずり下ろそうともしていることに気づいた。
彼は自分自身の葛藤について数ヵ月間の効果的な分析を受けた後、ついに状況全体についての
幅広い見通しを得て、個人的な喧嘩や恨みよりもっと大きなことが危機に瀕しているのを
認めることができた。彼は皆が緊張しているのには自分も責任があるのだと認めただけで
なく――それをかなり上回って――自分から進んで積極的に責任をとろうとした。彼は
それが容易ではないと十分に知りながら、兄と話し合う決心をした。そして、続いて行なった
話し合いでは、恐れず、報復的にもならず、自分の考えを述べた。そうすることで、彼は
省2
653: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)09:49 ID:fcXiw5Ac(5/14) AAS
/// 精神分析療法の道 69 ///////////
彼は自分が立派にやったことを知っており、それを喜んでいた。ところが、まさに同じ日の
午後、彼は恐慌状態に陥り、吐き気や眩暈が起こり、帰宅して横にならなければならなかった。
彼は、必ずしも自殺したいと思ったわけではないが、人がなぜ自殺するのか分るような気がした。
彼はこの状態を理解しようとして、兄と話をした動機やその間の自分の行動を再検討してみたが、
不都合な点は何も見出すことができなかった。彼はすっかり途方に暮れたが、それでもよく眠る
ことができ、次の朝はずっと穏やかな気分であった。ところが、起き上がってみると、兄から
受けたありとあらゆる侮辱を思い出し、兄に対する恨みを新たにした。この混乱を分析してみると、
二つの点で彼が打撃を受けていることが分った。
省1
654: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)09:59 ID:fcXiw5Ac(6/14) AAS
/// 精神分析療法の道 70 ///////////
彼が兄との話し合いを申し出て、それを実行した精神は、彼がこれまで生きてきたすべての
(無意識の)価値と正反対のものであった。拡張的欲動の観点から見れば、彼は報復的である
べきで、復讐的勝利を得るべきであったのだ。この点で、彼は事なかれ主義をとり、物事に
甘んじている自分自身を罵り責めた。他方、彼のなかにまだ残っている自己縮小的傾向の立場
から見れば、彼は穏やかに、従順にすべきであった。この点で、彼は自分のことをこう嘲った。
「小さな弟が大きな兄貴の上に立ちたがっている」と。今、現実に彼は尊大か宥和的かのどちらの
態度をとったとしても、後になって、程度は少なくとも、やはり悩んだであろう。そして、
それは少しも不思議ではない。なぜなら、このような葛藤からもがき出たばかりの人は誰でも、
省3
655: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)14:30 ID:fcXiw5Ac(7/14) AAS
/// 精神分析療法の道 71 ///////////
誤解を避けるためにここでの要点をはっきりさせると、こうした自責は彼が報復的にも宥和的にも
なっていないのに起こったのである。しかも、彼は報復や宥和の傾向からはっきりと積極的な一歩を
踏み出していた。彼は現実的、建設的に行勤しただけでなく、自分や自分の生活の「状況」に
ついても真の理解ができるようになっていた。すなわち、彼はこの困難な事態における自分の
責任を、重荷や圧力としてではなく、自分個人の生活の不可欠な一部分として認め感じるように
なっていた。彼がそこにおり、その状態がそこにあったのだ――だから彼は誠実にそれに取り
組んだのだ。彼はこの世界のなかでの自分の地位を受け入れ、受け入れたことにともなう責任を
とったのである。
省4
656: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)15:10 ID:fcXiw5Ac(8/14) AAS
/// 精神分析療法の道 72 ///////////
反動の真っ只中にいる時は、当然、患者は何か起こっているか分らず、自分の状態が悪化して
いると感じるだけである。彼は絶望的になることもある。自分か良くなったというのは嘘では
なかろうか。それとも前進しすぎて助けを受けることができないのか。分析を受けるのをやめよう
という衝動――以前には混乱の時期にも起こったことのない考え――が瞬間的に頭をかすめる。
彼は途方に暮れ、意気阻喪する。
実は、今述べたようなことは、いずれの場合も、患者が自己理想化と自己実現のどちらを選ぶ
べきかに悩んでいることを示す建設的なしるしなのである。そして、この二つの欲動が互いに
相容れないものであることをおそらく何よりはっきりと示しているのは、反動が起こっている
省7
657: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)15:33 ID:fcXiw5Ac(9/14) AAS
/// 精神分析療法の道 73 ///////////
しかし、成長の苦しみのもつ効果は、患者が自分の建設的な動きの意味を自覚するようになった
時に、初めて十分に現われる。それゆえ、分析家は見かけだけの逆戻りにまどわされず、振子が
揺れるように一進一退のあることをそのまま認め、患者がそれを知るように助けることがいっそう
大切である。反動は予測できるほど規則的に起こることが多いので、反動が二、三回起こった後で
患者が上向きの状態の時に、警告するのが良いようである。これが次に起こる反動の予告には
ならなくても、患者もある時期に働く力を予測できると知っていれば、反動に出合ってもそれほど
無力にはならないであろう。患者は反動に対してもっと客観的になることができる。他のどんな
時よりこの時期にこそ、分析家は危機に瀕している患者の自己の明らかな味方になることが大切
省5
658: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)17:52 ID:fcXiw5Ac(10/14) AAS
/// 精神分析療法の道 74 ///////////
患者は反動の意味を理解するたびごとに、以前より強くなって反動から脱出する。反動はしだいに
短く弱くなり、それと逆に、具合の良い時期は、いっそう確実に建設的になってくる。彼が成長し
変化できるという見込みは、確実に手の届くものになってくる。
これからまだどのようなことをしなければならないにしても――しなければならない仕事は
いつでも多くあるものだが――患者が自分からそれをやろうとするようになる時期は間近である。
悪循環が働いて患者をますます神経症に追い込んでいったと同じ仕方で、今度は逆の方向に循環が
働く。例えば、患者が完全無欠になろうとする基準を緩めれば、自責も減じ、そのため自分に
ついて正直になる余裕がでてきて、思い切って自分のことを吟味できるようになる。そうする
省4
659: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)20:03 ID:fcXiw5Ac(11/14) AAS
/// 精神分析療法の道 75 ///////////
そのうえ、自分の発達は自分で促進しようとする患者の勇気と自信はしだいに増していく。
反動について論じた時、われわれは内的葛藤の結果生じる恐怖に焦点を当てていたが、この
恐怖は、患者がどんな生活の方向に進みたいかがはっきりするにつれて消えていく。そして、
この方向感覚だけがいっそうの統一感と力を与える。だが、彼の前進的な動きに付随して、
われわれにもまだよく分らぬもう一つの恐れが生じる。それは神経症的な支えがなければ生活に
対処できないのではないかという現実的な恐れである。神経症者は、結局は自分の魔力によって
生活している魔術師である。自己実現へ向かって進むということは、こうした魔力を捨てて、
自分が現在もっている能力によって生きていくということを意味する。だが、患者は現実に
省3
660: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)20:16 ID:fcXiw5Ac(12/14) AAS
/// 精神分析療法の道 76 ///////////
さらに、そのうえ、自分自身になろうとする動きはどれも、彼がこれまで経験したことのない
ような充実感を与えてくれる。そのような経験は、最初はすぐに消え去るが、しだいに、起こる
回数が増え、継続時間も長くなる。最初にそれを経験した時でも、患者は自分が正しい道を進んで
いるのだという確信を得る。この確信は今までに自分が考え、分析家に言われたどんなことよりも
強い。というのも、この経験は自分自身や生との調和感を得ることが可能であることを示して
くれるからである。それはおそらく、彼がより高い自己実現へ向かって自分を成長させていくうえで
最大の刺激となるものであろう。
///// 自己実現の闘い ///
661: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)22:43 ID:fcXiw5Ac(13/14) AAS
/// 精神分析療法の道 77 ///////////
治療過程は様々な種類の困難に満ちているので、患者は前述のような段階に到達できない
こともある。もちろん、治療が成功すれば、彼の自分自身や他人や仕事に対する関係は著しく
改善されるであろう。だが、この改善をもって定期的な精神分析を終える基準にすることは
できない。それは心の奥深くに起こった変化が目に見える形になったにすぎないからである。
そして、分析家と患者自身だけが、そのこと、つまり、価値観や方向や目標の変化が始まった
ことを知っている。患者の神経症的誇りや支配、服従、自由という幻想のもっている架空の
価値は、魅力のほとんどを失い、患者は自分のもっている可能性を実現する方向に心を集中する。
///// 原著 1950年発行 ///
662: ◆9JwNW1WNKc 2015/08/01(土)23:41 ID:fcXiw5Ac(14/14) AAS
/// 精神分析療法の道 78 ///////////
彼の前途にはまだ、隠された誇りや要求や見せかけや外在化などについてしなければならない
ことが多く残っている。しかし、彼は自分自身にしっかりと根を下ろしてきたので、それらを
あるがままに、つまり、自分の成長を妨げるものとして認めることができる。そのため、彼は、
やがては自分から進んでそれらを見出し、克服しようとする。こうした自発性はもはや魔術に
よって不完全な点を除こうとひどくあせっていた状態を示すものではない(少なくとも、その
程度は軽くなっている)。彼は自分自身を障害もったあるがままの姿で受け入れ始めたので、
自分を分析することも、生きていく過程の不可欠な部分として受け入れる。
///// Neurosis and Human Growth ///
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