[過去ログ] ピカチュウの人生6 (828レス)
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789: ◆v98fbZZkx. 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
すると、氷塊の奥から”かちり”と人工的な音が微かに聞こえ、
隊長がそっと触れてやると音も無くただの氷塊だと思っていたそれは
奥へと押し込まれて開いた。
「この通路を抜ければ我らが里。からくり扉を閉じますと中は暗くなります。
頭など壁にぶつけぬようご注意くださいませ」
 最後の方、特にあっしの方を見て発せられたように思う隊長の忠告に、
余計なお世話だと胸の内で毒づいて、あっしは一団に続いた。
全員が中に入ったのを見ると、ニューラの一匹が内部の天井から吊るされた縄を引く。
音も無くからくり扉は閉まり、辺りはたちまち暗闇に包まれた。
通路の向こうに、柔らかな日の光が差し込んでいるのが見える。
省2
790: ◆nHbSPFGRkE 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
乙です
明日か明後日にでも続きを書きたいです
791: 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
保守
792: ◆nHbSPFGRkE 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
明日の夜か深夜には投下します
793: ◆nHbSPFGRkE 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
 あっしは今までの寒さや疲れも忘れ、光を目指して闇雲に前へ前へと進んだ。
 途中、何度も滑ってマフラー野郎と衝突したり、蹴躓いて不本意にも抱き着いたニャルマーに怒鳴られたりしながらも……
次第に大きくなる白い光に期待を膨らませ、這う這うの体でどうにか出口まで辿り着く。
「じゃじゃーん! 四名さまごあんなーい! ようこそ、オレたちの里へ!」
 先に到着していた子ニューラが戸口に立ち、大仰に腕を振り上げながらお辞儀をする。
 恐る恐る潜り抜けた先は、さんざん待ち侘びた暖かな光に満ち溢れていた。
 普段なら光よりゃ闇、昼よりゃ夜の方が好ましいあっしだが、お天道さんがこんなに在り難かった事ぁねえ。
 そして、目の前に現れた想像を絶する風景に、あっしは度肝を抜かれた。
 洞窟の長えトンネルを抜けると雪国――いや、雪と氷の世界だった。

 そこには『隠れ里』という言葉が連想させるよりも、遥かに大きな空間が広がっていた。
省11
794: 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
「どーだ糞カラス! びっくらこいただろー?」
 いつの間にか近付いていた子ニューラが、へん、と得意そうにあっしの顔を覗き込んでニヤニヤしている。
「う……そ、そんなこたあねえよ! いいからさっさと先に行きやがれ!」
 ハッと我に返ったあっしは、からかうように飛び跳ねる子ニューラを、翼を振って追っ払った。
 そうこうしながらも、あっしらはさくさくと新雪を踏みしめ、ニューラ達に先導されて里の中央を目指し、真っ直ぐに進んだ。
 やがて、緩やかな丘の上に建つ、一際大きな屋敷の前で一行は立ち止まった。
 こいつは恐らく、昔ここにいた人間達の中でも、最も偉え奴が住んでいた家だったに違えねえ。
「頭領様はこの奥の間におられます。御目通りが済んだ後、匿い者達の住まう集落へと参りましょう」
「なー、たいちょー……せめて、親父の方を後回しにできねーかなー?」
 あっしらを中に案内しようとする隊長に、子ニューラが甘ったれたように縋り付く。
省8
795: ◆nHbSPFGRkE 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
 見ると、腰は曲り、体毛の色もすっかり抜け落ちた、一見しただけで年寄りと分かるニューラが現れた。
 そいつは何度も咳き込みながらも、意外にしっかりした足取りで子ニューラ達に近付く。
 その後に、やはり黒い毛並みに白髪の混じった、御付の者らしい初老のニューラが二匹、ぴたりと付き従っている。
「げっ、ばっちゃんたち……何だってこんな時に……」
 子ニューラはますます困ったような顔で、首と両手をぶんぶんと激しく横に振った。
「べ、別に何ともねーって! それよりばっちゃん、起きてきたりしていーのかよ!」
「何を仰られますやら……若君が行方知れずと聞いては、この婆は大人しゅう寝ている訳には参りませぬ」
 一頻り子ニューラの無事を喜んだ後、老ニューラは隊長達の方へキッと向き直った。
「お主らが付いていながら何と言う失態じゃ! もし若君の身に万一の事があらば、亡き姫様に顔向けできぬわ!」
 それまでの猫撫で声とは打って変わり、バクオングさながらのドスの効いた怒声で叱責する。
省10
796: ◆nT58vM8A36 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS

明日明後日にでも続き書く
797: 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
保守
798: ◆nT58vM8A36 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
明日の今くらい〜明け方には投下する
799: ◆nT58vM8A36 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
「ああ、俺達は……」
 答えようとしたマフラー野郎を、隊長はそっと手振りで制した。
「はっ、この者達は――」
 そして隊長は自ら矢面に立ち、包み隠さず事のあらましを報告する。
 話を聞くにつれ、老いぼれたニューラの眉間には
益々深く皺が刻まれていった。
「うぬら、若君の身を危険に晒しただけではなく、
どこの馬の骨とも知らぬ余所者に恩まで着せられというのか……!」
 老ニューラはわなわなと拳を震わせ、雷みてえに荒々しく喉を震わせる。
「やはり、近衛の長など到底務まらぬのだ。うぬのような不出来の――」
省6
800: ◆nT58vM8A36 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
 げほげほ、と老ニューラは思い出したように咳をしだす。
「些か外の風にあたり過ぎた様じゃ。お先に失礼させていただきましょう」
 言いたい放題に胸糞の悪いケチを残して、老いぼれは側近を引き連れて引っ込んでいった。
 あっしは火が付くんじゃ無いのかと思うほどに体が怒りに火照って震えた。
浮れ気分はすっかり台無しだ。
「ごめんな、たいちょー……」
 心底すまなそうに子ニューラは隊長に謝る。
「いえ」隊長は首を横に振り、子ニューラの潤む目を手で優しく拭った。
「お見苦しいところを、申し訳ございませぬ」
 あっしらに向き直って隊長は詫びる。
省4
801: 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
ほしゅ
802: ◆v98fbZZkx. 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
明日明後日にでも続き書くよ
803: ◆v98fbZZkx. 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
投下は明日の今くらいにか明け方に
804: ◆v98fbZZkx. 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
 門が開いた先には新雪に染められた趣のある庭園が広がり、
古ぼけた石畳が敷かれた道の先には如何にもな屋敷がでんと待ち構えていた。
まるで時代劇の中にでも放り込まれたような光景に、
普段のあっしでありゃ御上りさんみてえに庭の中を見回して、
子ニューラの野郎は小憎らしく胸を張って自慢してやがったんだろうが、
さっきのババアとの邂逅が胸焼けのように後に引き摺っていて
何もかもすっかり台無しになっていた。一同は一言も口にせず、
ただ黙々と石畳に足音を響かせた。
 正面扉の前に立つ門番らしき二匹のニューラはあっしらが近付くと
静かに礼をして両脇に避け、扉に付いた龍の頭部をあしらったらしき
省11
805: ◆v98fbZZkx. 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
 途中、出会うニューラ達はあっしらの姿を見かけるとそそくさと道を譲り、
静々と一礼した。そこでもやはり門番と同じように、通りすがり際にニューラ達は
興味深げな目をあっしとマフラー野郎に対して向けた。
「……おい、何なんだろうな、あいつらの視線」
 何ともいえないむず痒さに耐えかねて、あっしは隣のニャルマーに声を潜ませて尋ねる。
「さーね。ちょうど鳥とネズミだし美味そうな獲物にでも見えてるんじゃあないのかい?」
 人事のようにそっけなくニャルマーは答える。
「縁起でもねえこと言うなよな……」
「ま、精々無事に帰れることを祈ってんだね」
 早々に会話を切り上げ、ニャルマーは屋敷の中をじろじろ値踏みするように
省14
806: ◆Pc42BttzIw 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
明日明後日くらいにでも続き書く
807: 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
保留
808: ◆Pc42BttzIw 2012/03/20(火)03:12 ID:???0 AAS
投下は明日の今〜明け方くらいに
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