NR JAPAN 観術の認識セミナーの内容教えて part.4 (444レス)
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抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) 自ID レス栞 あぼーん
3: 2022/01/12(水)11:24 ID:pi3ScF7A(1/4) AAS
――これは本気でヤバい。
固い地べたの感触を顔面に味わい、彼は自分がうつ伏せに倒れたのだと気付いた。
全身に力が入らず、手先の感覚はすでにない。
ただ、喉をかきむしりたくなるほどの熱が体の真ん中を支配している。
――熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い。
叫び声を上げようと口を開いた瞬間、こぼれ出たのは絶叫ではなく血塊だ。
せき込み、喉からこみ上げる命の源を思うさまに吐き出す。ごぼごぼと、口の端を血泡が浮かぶほどの吐血。ぼんやりとした視界に、真っ赤に染まった地面が見える。
――ああ、これ全部、俺の血かよ。
省6
4: 2022/01/12(水)11:25 ID:pi3ScF7A(2/4) AAS
理解した瞬間に急速に意識が遠のいていく。
さっきまでのた打ち回るのを強要していた『熱』すらどこかへ消え去り、不快な血の感触も内臓に触れる手の感覚も、全ては遠ざかる意識の付き添いとして連れていかれる。
置いてけぼりにされるのは、『魂』の同行を拒否された肉体だけだ。
その肉体を、消える意識からの最後の働きかけで少しだけ動かす。首を、上に向けて。
眼前、鮮血の絨毯を敷き詰めた床を、黒い靴が波紋を生みながら踏みつける。
誰かがいるのだ。そしてその誰かがおそらく、自分を殺したのだろう。
不思議と、その相手の顔を拝んでやろうという気にはならなかった。
自分を殺すような相手、そんな相手にすら傍観を決め込むほど日和見主義だった記憶はないのだが、心はその相手の素姓など欠片も興味を払っていない。
ただ願ったのは――彼女が無事でありますように、ということだけだった。
省10
5: 2022/01/12(水)11:25 ID:pi3ScF7A(3/4) AAS
不思議と、その相手の顔を拝んでやろうという気にはならなかった。
自分を殺すような相手、そんな相手にすら傍観を決め込むほど日和見主義だった記憶はないのだが、心はその相手の素姓など欠片も興味を払っていない。
ただ願ったのは――彼女が無事でありますように、ということだけだった。
「――バル?」
鈴の音のような声が聞こえた気がする。
どこが耳でどこが鼻かもわからない状態だから、空耳の可能性の方が高い。
それなのに、記憶を頼りに再現したのだとしても、その声はひどく心地よく感情を揺さぶる。
だから――、
省13
6: 2022/01/12(水)11:27 ID:pi3ScF7A(4/4) AAS
――これは本気でマズイことになった。
一文無しで途方に暮れながら、彼の心中はそんな一言で埋め尽くされていた。
一文無しというのは正確ではない。財布はポケットの中に入っているし、やや小銭が多くてお札が少ない点を除けば全財力には違いない。
地元から一番近いショッピングモールまで出て、本屋で買い物して昼飯を食べてくるぐらいの余裕は持てる懐具合。にも関わらず、一文無しと表現するしかない。
なにせ、
「やっぱ、貨幣価値とかって全然違うんだよな……」
手の中の十円玉――希少な『ギザ十』を指で弾いて、少年は長いため息をこぼした。
これといった特徴のない少年だ。短い黒髪に、高くも低くもない平均的な身長。体格は鍛えているのかやや筋肉質で、安物のグレーのジャージと相まってスポーツマン風ではある。
三白眼の鋭い目だけが印象的だが、今はその目尻も力なく落ちていて覇気がない。
群衆に紛れれば一瞬で見失いそうなほど凡庸な見た目だ。
省19
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